ISアドベンチャー 聖騎士伝説   作:イナビカリ

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第102話:平行世界からの帰還

 

 

 ドガアアアアアアアアァァァァァァァァァァンッ!!!

 

全員

「キャアアアアアアアアァァァァァァァァァァッ!!!」

 

 太一とエンシェントグレイモンの合体攻撃によって起きた巨大な爆発…

 それは今まで以上の衝撃を生み出し、地上にいた束達全員を吹き飛ばした

 

千冬(平行)

「グッ…ウウッ…一体…どうなっ…な、何!?」

 

 最初に起き上った千冬(平行)が上空を見上げるとそこには太一とエンシェントグレイモンの2人しかいなかった

 【パラレルモン】と【メタモルモン】の2体の姿は無かった

 《アン・ポア・トゥールス》によって増幅された《オメガバースト》の炎は【アーマゲモン】の防御力と再生力を上回り2体を完全焼滅させたのだった

 次々に起き上った束達や平行世界の面々もその光景に言葉を失っていた

 だが、その時…

 

 パァ~…

 

全員

「え?」

 

千冬(平行)

「オ、オイ!?体が光ってるぞ!?」

 

 束、千冬、マドカ、鈴、オータム、スコール、クロエの身体が淡い光を放っていた

 それは上空にいる太一とエンシェントグレイモンも同じだった

 

「皆落ち着いて!!多分【パラレルモン】が倒されたからアイツに転移された私達は元の世界に戻ろうとしてるんだよ!!」

 

 束は自分達の身に起こっている現象を正確に分析していた

 その束の説明に千冬達も平行世界の面々も全員が納得し落ち着くと…

 

 ズシイイイイイィィィィィンッ!!!

 

全員

「!?」

 

 エンシェントグレイモンが地上に降りて来た

 

「たっくん!?」

 

太一

「急いでエンシェントグレイモンに乗れ!!また上空に放り出される可能性がある!!!」

 

束達

「!?」

 

 太一達は元の世界では地上にいたにも拘らずこの平行世界に飛ばされた時は上空に放り出された

 あの時と同じ事が起こる可能性を考えエンシェントグレイモンに乗るように指示を出したのだ

 太一のその言葉を聞いて束達は慌ててエンシェントグレイモンに駆け寄った

 束達が来るとエンシェントグレイモンは頭を下げて束達が乗りやすいようにした

 そして、全員が乗り終わる頃には全員の輝きが増し始めていた

 

太一

「もうじきだ!しっかり捕まっていろ!!」

 

束達

「ハイ!!!」

 

 全員が何時でも転移してもいい様に身構えていると…

 

束(平行)

「待てえええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!」

 

全員

「へ?」

 

 後から平行世界の束がエンシェントグレイモンに飛びついて来た

 だが、すでに頭を上げているので束(平行)は足にしがみつく事になった

 

千冬

「…何してるんだお前?」

 

 千冬がそう聞くと…

 

束(平行)

「束さんも連れて行け!!!」

 

全員

「はぁ?」

 

 とんでもない事を言いだした

 だが…

 

千冬

「どうする八神?アイツなら本当について来るぞ?」

 

太一

「放っとけ。」

 

全員

「…え?」

 

 太一もエンシェントグレイモンも全く相手にしていなかった

 

千冬

「いいのか?」

 

太一

「ああ、俺達は自分達の元いた世界に戻されるだけだ。連れて行けと言われて連れて行く事など出来ん。出来るのは【パラレルモン】だけだ。」

 

束(平行)

「何だと!?」

 

 自分は行く事が出来ないと断言された束(平行)は驚きの声を上げた

 すると…

 

束(平行)

「だったら…サンプルだけでも!!!」

 

 ガンガンガンガン!!

 

 何処から出したのかノミとドリルでエンシェントグレイモンの装甲を削り始めた

 だが、【クロンデジゾイド合金】で出来ているエンシェントグレイモンの装甲がノミやドリル程度で傷が付く訳無いので束(平行)のこの行動も所詮は無駄なあがきでしかなかった

 

束(平行)

「クッソオオオオオォォォォォッ!!!なんだよこの装甲!!傷一つ付かないじゃないか!!!」

 

「ハァ…当たり前でしょ?【クロンデジゾイド】で出来た鎧がそんな物で削れる訳無いよ…」

 

束(平行)

「【クロンデジゾイド】だと!?ぬうううううぅぅぅぅぅっ!!!」

 

 ガンガンガンガン!!!

 

 束(平行)は意地でもサンプルを手に入れようと躍起になっていた

 だが、もはやそれはただの往生際の悪いだけ人間の姿でしかなかった

 その為、束(平行)を全員が放っておく事にすると…

 

千冬

「この世界の私!!!」

 

千冬(平行)

「!?」

 

 千冬は平行世界の自分に声を掛けた

 

千冬

「後悔してもいい…開き直ってもいい…だが、決して忘れるな!!」

 

千冬(平行)

「………ああ!!!」

 

 千冬のその言葉に千冬(平行)は力強く頷いた

 そして、千冬も頷き返した

 一方で…

 

「こっちの私!!!」

 

鈴(平行)

「な、何よ!?」

 

 鈴も平行世界の自分に声を掛けていた

 

「アドバイスよ!!待ってても無駄よ!!アンタのその気持ちが本物なら自分の言葉と態度の全てでハッキリと伝えないと決して伝わらないわ!!」

 

女性陣(平行)

「!?」

 

「それでも伝わるかどうか分からないのがアイツだけど…少なくともアイツが気付いてくれるまで『待つ』なんて言う消極的な方法じゃ決して実りはしないわ!!」

 

女性陣(平行)

「………」

 

 鈴のアドバイスに平行世界の鈴だけでなく箒達(平行)も黙り込んでしまった

 そして…

 

「それからそっちの織斑一夏(平行)!!!」

 

一夏(平行)

「!?」

 

 一夏(平行)の方にも話しかけた

 

「アンタもアンタでもう少し周りを見て、言葉を理解しなさい!!!じゃ無いとアンタもこっちのアンタみたいになるわよ!!!」

 

一夏(平行)

「…そっちの…俺…」

 

「アンタはまだ戻れる!!取り返しのつく場所にまだいる!!こっちの織斑一夏はもう手遅れな状態だけどアンタならまだ取り返せる!!!」

 

一夏(平行)

「取り返し…」

 

「私の言葉が理解出来ないならアンタもそこまでの男よ!!こっちのアンタと同じ『最低のクズ男』になるだけよ!!!」

 

一夏(平行)

「最低のクズ…」

 

 鈴に言われた事を一夏(平行)は反芻していた

 そうして千冬と鈴が平行世界の面々に最後の言葉をかけていると…

 

 パァ~~~…

 

 太一達を包む光が更に増していった

 そして…

 

太一

「じゃあな。」

 

 バシュッ!!!

 

束(平行)

「アタッ!?」

 

 その言葉を最後に太一達は姿を消した

 まるで最初からそこにいなかったかの様に

 だが、エンシェントグレイモンにしがみついていた平行世界の束はやはり着いて行く事が出来なかった

 

全員(平行)

「………」

 

 そして、他の面々はわずか数時間ではあったが自分達の体験した非現実的な時間を思い起こすのだった…

 

 こうして平行世界を舞台とした太一達の戦いは終結したのだった…

 

 




 <予告>

 パラレルモンを倒し無事に元の世界に帰ってきた太一達

 一方の平行世界の人々は太一達との出会いにより何を思うのか



 次回!!

 ISアドベンチャー 聖騎士伝説

 それぞれの世界

 今、冒険が進化する!


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