ISアドベンチャー 聖騎士伝説   作:イナビカリ

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第007話:ISの意味

 

 一夏と箒がオータムから拳骨を喰らった後、授業が開始された

 授業が始まったからか千冬も多少は元の状態に戻っていたが…

 

一夏

「………」

 

 一夏の様子が授業が始まってからおかしかった

 

真耶

「…ココまでで分からない人はいますか?」

 

 真耶は黒板に授業の内容を書き終えると、振り向きながら生徒達に問いかけた

 

真耶

「織斑君と八神君は分かりますか?」

 

太一

「分かり易いですよ。」

 

 太一は真耶にそう答えたが…

 

真耶

「そうですか♪…織斑君はどうですか?」

 

一夏

「………すみません…分かりません…」

 

 一夏は授業に着いて行けてなかった

 

真耶

「分からないってどこですか?言ってくれれば先生が教えますよ?何せ私は先生ですから任せて下さい!」

 

一夏

「………全部です…」

 

真耶

「…へ?」

 

 真耶はその言葉に固まってしまった

 

真耶

「本当に全部ですか?」

 

一夏

「はい、全然分かりません!」

 

 真面目な顔で答える一夏に、真耶は狼狽えてしまった

 そのやり取りを見ていた千冬は一夏に問い質したが…

 

千冬

「織斑、入学前に渡した参考書はどうした?必読と書いてあった筈だが?」

 

一夏

「古い電話帳と間違えて捨てました。」

 

 ガンッ!

 

 一夏の答えに出席簿で殴った

 

千冬

「新しい物を出す。1週間で覚えろ!!」

 

一夏

「あ、あの厚さを一週間って言うのは…」

 

千冬

「自業自得だ!…やれ!!」

 

一夏

「…はい…」

 

 そして、そのまま授業は続けられた

 太一は、後ろの席から呆れた顔をしながら一夏を見ていた

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 休憩時間に入り一夏は太一に勉強を教えて貰いに来たが…

 

一夏

「頼む太一!俺に勉強を教えてくれ!!」

 

太一

「悪いが俺はやる事があるんだ。お前の勉強を見る時間は無い。」

 

一夏

「そ、そんな~…」

 

 太一はアッサリ断った

 

太一

「俺に頼まなくてもマドカに教わればいいだろ?久しぶりに再会した兄妹だ。勉強しながら話したらどうだ?」

 

一夏

「そうなんだけど…その…」

 

太一

「まさかお前、妹に教わるのはカッコ悪いとでも思ってるのか?言っとくが勉強してなかった時点でお前は大恥かいてるんだぞ?今更気にする事か?」

 

一夏

「うぐっ!…その通りです…マドカに頼んできます…」

 

太一

「そうしろ。」

 

 そう言って一夏はマドカの席に行った

 マドカは一夏の頼みを二つ返事で頷いてくれた

 そんな二人にセシリアが話しかけていたが、太一はその後のやり取りを気にせずにいた

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

千冬

「授業を始める前に、クラス代表を決める。」

 

 授業が始まるとそう話し始めた

 

千冬

「クラス代表は文字通りクラスの代表の事だ。各連絡事項やクラス代表会議の出席等が主な仕事になる。近い内に開かれるクラス対抗戦の代表選手にもなる。」

 

太一

(…クラス代表…嫌な予感がするな…)

 

千冬

「それでは立候補する者はいるか?自薦、他薦は問わない。後、選ばれた者に拒否権は無いからそのつもりでいるように。」

 

 千冬がそう言うと…

 

生徒1

「はい!織斑君を推薦します!」

 

一夏

「え!俺!」

 

生徒2

「私は八神君がいいです!」

 

太一

「………(やっぱり俺を推薦したか…)」

 

生徒3

「私も八神君がいいと思います!」

 

生徒4

「私は織斑君です!」

 

 太一と一夏が推薦された

 

一夏

「待ってくれよ千冬姉!」バキッ!「織斑先生…」

 

千冬

「自薦、他薦は問わないと言った!拒否権は無い。他に誰かいないか?」

 

セシリア

「納得できませんわ!!」

 

 突然セシリアが叫んだ

 

セシリア

「そのような選び方納得いきませんわ!物珍しいからと何も知らない男を代表にして、恥晒しもいいところですわ!」

 

 セシリアは一夏を睨みながら続けた

 

セシリア

「大体、無知な極東の猿に代表が勤まりますの!?実力でしたらわたくしの方が上でしてよ!」

 

 勢いからなのか日本に対して侮辱を言い始めた

 周りのクラスメイト達がセシリアを睨み始めるが当の本人は気付いていなかった

 

セシリア

「大体、文化なども後進的な…」

 

一夏

「いい加減にしろ!!」

 

セシリア

「…何ですって!?」

 

 今度は一夏が吠えた

 

一夏

「さっきから黙って聞いてれば好き勝手に言いやがって!イギリスだって島国で碌な料理なんか無いじゃないか!?激マズ何連覇だよ!?」

 

セシリア

「なっ!わたくしの祖国を侮辱しますの!?」

 

一夏

「先に言ってきたのはそっちだろうが!?」

 

 白熱していく二人の口喧嘩を太一は冷めた目で見ていたが…

 

一夏

「おい太一!!お前も何か言ってやれよ!!」

 

 一夏が太一に話題を振って来た

 

太一

「は?」

 

一夏

「は?じゃねえよ…お前何とも思わないのかよ!!あれだけ言われて腹が立たないのかよ!!」

 

 一夏はこう言うが実年齢95歳の太一にしてみれば、この二人の喧嘩はハッキリ言って馬鹿馬鹿しいだけなのである

 その上、太一はこの世界の人間ではない為、そもそも愛国心と言う物自体が無いのだ

 その為、腹が立つという事自体起きないのだ

 

太一

「…そうだな…まあ俺は君達が何を言おうとどうでもいいが…」

 

一夏

「どうでもいいって…自分の国が馬鹿にされて何とも思わないのかよ!!」

 

太一

「別に…だが、君達二人に言っておく事が幾つかあるな。」

 

一夏

「え?俺も?」

 

太一

「まず、オルコット…君はイギリスの代表候補生だろ?君の発言はイギリスの発言と取られてもおかしくはないんだぞ?」

 

セシリア

「え?」

 

太一

「そして、君はさっき無知な極東の猿と言ったが、周りにいるのは誰だ?教師は誰だ?」

 

 太一に言われセシリアは周りを見ると自分を睨みつけている生徒達がいた

 

太一

「ココは日本…つまりクラスの大半は日本人だ。君は一夏だけでなくこのクラスの日本人全員に喧嘩を売った事になる。」

 

セシリア

「!?」

 

太一

「そしてISを造った人は何処の国の出身だ?世界大会の【モンド・グロッソ】の初代優勝者は何処の国の出身だ?」

 

セシリア

「あ!?」

 

太一

「篠ノ之束と織斑千冬は共に日本出身。君の発言はイギリスが日本に宣戦布告したと取られてもおかしくはないんだ。コレが切っ掛けで日本とイギリスの間で戦争が起きた場合、君はその責任を取れるのか?それを分かって言っているのか?」

 

セシリア

「あ…あ…あ…」

 

 太一の言葉にセシリアは言い返す事も出来ず、口をパクパクしていた

 一夏は言い返せないセシリアを見てガッツポーズを取っていたが…

 

太一

「次に一夏…お前だ…」

 

 太一の標的が一夏に切り替わった

 

一夏

「お、俺もか?」

 

太一

「お前の発言も問題だ。まずお前はイギリス料理を食べた事があるのか?」

 

一夏

「え?…な、無いけど…」

 

太一

「お前は食べた事も無い料理を激マズと言って貶したのか?」

 

一夏

「だ、だって雑誌とかじゃ…」

 

太一

「お前は雑誌や噂を鵜吞みにして自分では食べた事も無いイギリスの食文化を馬鹿にしたのか?」

 

一夏

「そ、それは…」

 

セシリア

「…八神さん…」

 

太一

「食べる人によっては日本料理を不味いと言う人もいる。美味い不味いは人によって様々だ。違うか?」

 

一夏

「………」

 

太一

「それにお前達はクラス代表の事で喧嘩してたんだろ?食べ物を話題に出す必要があるのか?」

 

一夏

「ぐっ…」

 

太一

「そもそも一夏、お前歳いくつだ?お前の言ってる事は子供の悪口と同じだ。幼稚園児でもあるまいし、いい年した奴の言う事じゃないぞ。」

 

一夏

「ううっ…」

 

全員

「………」

 

 太一の反論を許さない正論に二人はすっかり黙り込んでしまった

 さっきまでの大騒ぎが嘘のように静まり返っていた

 

太一

「最後にこれは俺のポリシー…と言うか持論の様なものだが…」

 

一夏

「…え…」

 

 一夏はこれ以上何を言われるんだと思ったが…

 

太一

「食はその国々の文化に密接に関係している大切なものだ。それを馬鹿にする奴は最低だ!!」

 

一夏

「!?」

 

 太一の『最低』と言う一言に見事に打ちのめされた

 

マドカ

(まあ、太一兄さんならそう言ってもおかしくないか…)

 

オータム

(アイツは生前、外交官をしてたらしいからな…食文化に触れる事も多かっただろうし、そんな考えを持つようになっても当然か…)

 

 マドカとオータムは生前の太一の職業を知っているので、その考えを持つ事に納得していた

 

セシリア

「…八神さん…わたくしの国の料理を弁護してくれた事に感謝します…それと…」

 

太一

「ん?」

 

セシリア

「確かにわたくしは言い過ぎました…それについては皆さんに謝罪します。申し訳ありませんでした。」

 

 セシリアは太一に言われた事に対してクラスの全員に頭を下げ謝罪した

 しかし…

 

セシリア

「ですが!ココまで来ては引き下がれません!!織斑さん、貴方に決闘を申し込みます!!」

 

 一夏に対しての怒りは収まっていなかった

 

一夏

「オウいいぜ!「待て。」…え?」

 

 一夏もそれを受けようとしたら太一が会話に入って来た

 

太一

「その前に一夏、お前は謝らないのか?彼女はちゃんと皆に謝ったぞ。それともお前の言った事は暴言じゃないとでも言うつもりか?」

 

一夏

「ぐっ!………すまなかった…」

 

 一夏のヤル気を削ぐ様に太一は一夏に謝罪する様に言った

 太一の言う事も尤もな為、言われた通り一夏もセシリアに頭を下げた

 

一夏

「太一!お前はどっちの味方なんだ!?」

 

太一

「どっちの味方でも無い。そもそも喧嘩してたのはお前だろ?勝手に俺を巻き込んでおいて何言ってるんだ?男同士だからって味方になると思うな。」

 

一夏

「うっ!」

 

 太一の言う通り一夏は傍観していた太一に無理矢理話題を振った

 太一からすれば迷惑でしかなかったのだ

 

セシリア

「それで織斑さん、受けますの?」

 

一夏

「あ!いいぜ!受けてやる!その方が手っ取り早いからな!!」

 

セシリア

「言っておきますけど、ワザと負けたりすればわたくしの小間使い…いえ、奴隷にしますわよ!」

 

一夏

「侮るなよ!真剣勝負で手を抜くほど腐っちゃいない!!」

 

セシリア

「そうですか。」

 

一夏

「それで…ハンデはどのくらいほしい?」

 

セシリア

「あら?早速お願いですか?」

 

一夏

「いや、俺がどのくらいハンデを付ければいいかなって。」

 

太一

(コイツ…自分で何を言ってるのか分かってるのか?)

 

 太一は一夏の言葉がおかしい事に気付いたが…

 

生徒達

「アハハハハハハハハハハハハハハハハハッ♪」

 

生徒1

「織斑くん、それ本気で言っているの?」

 

生徒2

「男が女より強かったのって、大昔の話だよ?」

 

生徒3

「織斑君と八神君は確かにISを使えるかもしれないけど、それは言い過ぎよ!」

 

太一

(コイツ等も何言ってるんだ?)

 

 生徒達が次々に言う言葉を太一は理解できなかった

 

一夏

「…じゃあハンデはいい…」

 

 続けて一夏のハンデ撤回の言葉、太一は一夏やクラスの生徒達に完全に呆れ果ててしまった

 

太一

「…はぁ~…」

 

セシリア

「八神さん!今の溜め息は何ですか?」

 

 そのせいで太一は大きな溜め息を吐いたが、それにセシリアが反応した

 

太一

「…いや…阿保らしくてな…」

 

セシリア

「あら、貴方も織斑さんをそう思いますか?」

 

太一

「何言ってるんだ?阿保らしいのは一夏を含めた君達全員だ。」

 

全員

「!?」

 

セシリア

「…どういう事ですか!?」

 

 全員の視線が太一に集まる中、太一は一夏に視線を移した

 

太一

「…まず一夏…お前自分が何を言ってるのか分かってるのか?」

 

一夏

「え?」

 

太一

「分かってないのか?…お前さっき…『真剣勝負で手を抜くほど腐っちゃいない』…そう言ったんだぞ?」

 

一夏

「それがどうしたんだよ!」

 

太一

「はぁ…ハンデって言葉は相手に対して手を抜くって事じゃないのか?」

 

一夏

「………あ!?」

 

太一

「お前は自分で自分の事を腐ってるって言ったんだ。」

 

一夏

「そ、それは…」

 

 一夏はココまで言われて漸く自分の言った言葉が矛盾している事に気付いた

 だが、すでに取り消す事は出来なかった

 

太一

「それに、あのタイミングでハンデを撤回したら、お前がオルコットに恐れをなして取り消したとしか聞こえないんだが?」

 

一夏

「お、俺はそんな事…」

 

太一

「お前の言い方とタイミングだとそうとしか聞こえないんだよ。さっきの事もそうだが、もっと考えてからものを言え。」

 

一夏

「ううっ…」

 

 一夏は自分の失言の数々を太一に指摘されすっかり凹んでしまった

 

太一

「次に君達に聞くが…女は男より強いって言ったな?」

 

生徒1

「え、ええ!そう言ったけど!!」

 

生徒2

「それがどうしたのよ!本当の事じゃない!!」

 

太一

「…なら証明しよう。…そうだな、君がいい。」

 

生徒1

「え?私?」

 

太一

「俺と今から腕相撲で勝負しよう。女の方が強いなら俺は勝てない筈だよな?」

 

生徒1

「え!?そ、そんな…む、無理よ!」

 

太一

「どうしてだ?女の方が強いんだろ?それとも女が強いって言うのはⅠS有りでの話なのか?君はⅠSが無いと男に勝てないのか?」

 

生徒1

「ううっ…」

 

太一

「男には生身でやらせて、君達女はⅠSを使って勝負するって言うのか?それは不公平じゃないのか?それともそれが君達女の間では公平と言うのか?」

 

全員

「………」

 

 太一の言葉にさっきまで余裕を見せていた生徒達は黙り込んでしまった

 

太一

「そもそも、君達は何故あんな欠陥品でそんなに偉そうに振舞えるんだ?」

 

全員

「!?」

 

セシリア

「…八神さん…今なんと言いました?」

 

太一

「ⅠSを欠陥品と言ったんだが?それがどうかしたのか?」

 

セシリア

「どうかしたですって!?ISを欠陥品と言っておいてよくそんな事が言えますわね!!」

 

太一

「は?ISは欠陥品だろ?女しか使えない事が欠陥以外の何だって言うんだ?男女両方使えて初めて最低限完成された物だろ?」

 

セシリア

「何を言ってますの!?ISはわたくし達、選ばれた女性の象徴ですのよ!そもそも男の貴方が使える事の方がおかしいのですわ!!」

 

太一

「君こそ何を言ってるんだ?ISは宇宙に行く為に造られたパワードスーツなんだぞ?」

 

セシリア

「そんな事知ってますわ!!」

 

太一

「そこに女性だけの物なんて無かった筈だが?」

 

セシリア

「え?」

 

太一

「ISは偶々女しか使えなかったと言うだけで、その目的は純粋に宇宙に行く事だ。君の言うような女性の象徴として造られた物じゃない。」

 

セシリア

「!?」

 

太一

「まあ、今はそんなこと誰も覚えていないようだがな。【白騎士事件】だったか?あの事件のせいでISは夢のパワードスーツからただの兵器になってしまったからな。」

 

千冬

「!?」

 

マドカ&オータム

「………」

 

 太一の言葉に千冬は内心激しく動揺した

 マドカとオータムはその千冬の反応に気付いていた

 

セシリア

「へ、兵器ですって!?」

 

太一

「そうだ。俺はIS本来の目的、宇宙に行くと言う事は素晴らしい事だと思う。女しか使えないって言う欠陥を差し引いても、夢があるしロマンを感じる。だが【白騎士】とか言う奴のせいで、その本来の目的をISは見失ってしまった。」

 

千冬

「………」

 

太一

「その結果、今のISは女性の象徴とか言って男を見下す為の道具にされた。本来向かうべき場所に行く事が出来ず、下らない兵器に成り下がってしまった。」

 

千冬

「………」

 

セシリア

「………貴方は…先程はわたくしの国を弁護してくれたから…見所のある殿方と思いましたのに…わたくし達の誇りを…ISを…そこまで愚弄するなんて…」

 

太一

「俺は愚弄なんかしてないぞ?ただ本当の事を言っただけだ。」

 

セシリア

「何ですって!?」

 

太一

「そもそもこの学園だっておかしい…いや、ココに入学した君達がおかしいと言うべきか?」

 

全員

「!?」

 

太一

「ISは兵器、力と言ってもいい。だが、それを使う君達は力を扱うにしては余りにも能天気すぎる。」

 

生徒達

「………」

 

太一

「君達からは力を使う事への覚悟、力に対する恐怖、そう言った心構えが微塵も感じられない。」

 

生徒達

「………」

 

マドカ

「力に対する覚悟と恐怖か…」

 

太一

「織斑先生、山田先生、貴方達は入試の時、そう言った事も考えて合否を決めたんですか?彼女達を見ているとそんな事を考えている様には見えないんですが?」

 

真耶

「そ、それは…」

 

太一

「貴方達は成績しか見なかったんですか?確か入試には面接もあると聞きましたが、その時に彼女達の何を見ていたんですか?」

 

真耶

「う、うう…」

 

太一

「他の学校ならそれでも構わないでしょうが、ココはIS学園。世界最強の力を学ぶ場所ですよ?成績以上に心構えと言う物が大事だと俺は思うんですが?」

 

真耶

「………」

 

太一

「ハッキリ言って貴方達二人は俺から見てとても教師には見えません。」

 

真耶

「え!?」

 

千冬

「何!」

 

太一

「教師と言うのは生徒に知識だけを教える者の事ですか?貴方達が学生の時に教えを受けていた教師はただ勉強だけを教えていましたか?それとも貴方達はその人達から他の事を学ばなかったんですか?それなら通信教育で十分じゃないんですか?貴方達の必要性は何処にあるんですか?」

 

真耶

「あ…あ…」

 

太一

「山田先生、貴方は前の授業で一夏に自分は先生だから任せろと言いましたね?今も同じ事が言えますか?」

 

真耶

「!?」

 

太一

「貴方達が教師を名乗るなら今の男を見下す発言を注意するべきじゃないんですか?なのに何故貴方達は何も言わなかったんですか?彼女達の偏った考えを正すのもまた教師のする事じゃないんですか?それとも貴方達も同じ考えを持っているんですか?」

 

真耶

「ち、違います!!」

 

太一

「違うなら何故何も言わなかったんですか?まさか気づかなかったなんてふざけた事を言うつもりですか?あれだけ大声で何人も言っていた事に二人揃って気付かなかったんですか?」

 

真耶

「そ、それは…」

 

千冬

「………」

 

太一

「俺はさっき全員に呆れたと言いましたが、それは貴方達二人も含まれているんですよ。貴方達は教師として勉強を教える以前に必要最低限な事をしていないんですからね。そんな貴方達に教師を…先生を名乗る資格なんてありません。」

 

千冬&真耶

「………」

 

太一

「貴方達は『先生』と言う言葉の意味を考えた事がありますか?」

 

真耶

「…え?」

 

太一

「『先生』とは『先に生きる』と書きます。その言葉の通り先に生きる者として後から続く者を導いて行く人の事です。」

 

千冬&真耶

「………」

 

太一

「今の貴方達は後から続く者を導いていると胸を張って答えられますか?」

 

千冬&真耶

「………」

 

 太一の言葉に真耶は元より千冬ですら何も言えなかった

 しかし、千冬は今迄の太一の言葉から太一に対して疑問を持っていた

 

千冬

「…八神…お前は一体…何者だ?」

 

太一

「ただの人間ですが?」

 

千冬

「そう言う意味じゃない!…お前がさっきから言っている事は15の子供の考えでは無いぞ!!」

 

マドカ

(15の子供ね…生憎太一兄さんの中身は人生経験豊富な95の老人なんだよ。馬鹿姉。)

 

オータム

(コイツはお前や【亡国機業(ファントム・タスク)】にいた俺達よりも遥かに激しく濃い経験を積んでいる。コイツから見れば俺達なんて生意気なガキにしか見えないだろうな。)

 

太一

「俺は俺ですよ。まあ貴方達にはこのくらい言っておけばいいでしょう。これからも胸を張って教師を名乗りたいなら何が自分に足りないか、何が間違っているのか、よく考えた方がいいですよ。貴方達が()()を名乗るのならね?」

 

千冬&真耶

「………」

 

太一

「さて…次は生徒の皆に聞きたい。」

 

生徒達

「!?」

 

 千冬ですら反論出来なかった太一の正論と言う名の説教が今度は自分達に向けられた事にクラスの生徒達は激しく動揺した

 千冬はともかく真耶は既に立つ事すら出来ず蹲りながら半泣きするほどに太一によって教師としての自信を粉々に打ち砕かれていたからだ

 

太一

「君達はココに何しに来たんだ?何を目的にココにいるんだ?」

 

生徒達

「………」

 

太一

「君達はココに男を見下す為に来たのか?面白そうだから来たのか?便利な道具を使って見たくて来たのか?織斑千冬に会いたくて来たのか?」

 

生徒達

「!?」

 

 太一の言った理由に殆どの生徒が反応した

 しかし、誰も言い返せなかった

 彼女達が入学した理由が正しく太一の言った通りだからだ

 自分達の入学した動機を言い当てられ、苦虫を噛み潰したような顔をしていた

 

太一

「何か言ったらどうなんだ?黙ってると言う事は俺の言う事を認める事になるぞ?あれだけ大笑いして、偉そうな事を言っておいて、何も答えられないのか?」

 

生徒達

「………」

 

太一

「俺はココに入る時、この学園には世界中の優秀な人材が集まると聞いたが、君達がそんな逸材にはとても見えないんだがな?」

 

生徒達

「!?」

 

太一

「君達はココが学校だと言う事を忘れたのか?ココは学ぶ場所であって遊びに来る場所じゃない。アイドルに会いに来る場所でもない。君達はそんな事も分からないのか?」

 

生徒達

「………」

 

太一

「ココに入学した以上退学にでもならない限り3年は外に出られない。君達は3年もの時間をそんな不純な考えで使ったのか?ハッキリ言って捨てる様な物だが?」

 

生徒達

「………」

 

オータム

「そのくらいにしておけ。太一、コイツ等はお前の言う通り下らない理由で入学した奴等が殆どの様だ。」

 

太一

「その様だな。誰か一人くらい言い返してくると思ったが…所詮は口先だけのつまらん奴等ばかりのようだ。力を持つ事の意味も分からん只のガキだったようだな。」

 

生徒達

「!?」

 

セシリア

「…今…何と言いました…」

 

太一

「ガキと言ったんだが?」

 

セシリア

「貴方は…どれだけ馬鹿にすれば………いいですわ!」

 

太一

「ん?」

 

セシリア

「織斑さんの前に…八神太一!貴方に決闘を申し込みます!!わたくしを馬鹿にした事を後悔させて差し上げますわ!!」

 

 怒りが頂点に達したセシリアは太一に決闘を申し込むが…

 

太一

「断る。面倒臭い。」

 

 太一はアッサリ断ってしまった

 

セシリア

「め、面倒臭いですって!?」

 

千冬

「待て八神…お前はクラスの代表の候補に選ばれている…候補が複数いたら試合で決めるつもりだった…一週間後に試合を行うからその時に決着を付けろ。」

 

セシリア

「分かりました!!」

 

太一

「そう言えばそうだったな…面倒だが仕方ないな…『()()』の言う事は聞かないといけませんからね?」

 

千冬

「ぐっ!?」

 

 太一はわざと『先生』という言葉を強調して答えた

 それを聞いた千冬は苦い顔をしていた

 

セシリア

「必ず貴方を倒し、わたくしの前に跪かせて差し上げますわ!!」

 

オータム

「…オルコット、意気込むお前に一ついい事を教えてやる。太一は恐ろしく強いぞ。コイツからすればこの学園にいる奴等は教師も含めてケツの青いガキでしかないからな。」

 

セシリア

「何ですって!?」

 

マドカ

「その通り。織斑先生だって勝てないぞ。あの【白騎士】だって太一兄さんの前じゃただの雑魚だからな。」

 

千冬

「!?」

 

 マドカは間接的に千冬では太一には勝てないと2回続けて言っていた

 

一夏

「待てよマドカ!太一はそんなに強いのか!?」

 

マドカ

「そうだよ。この世界に太一兄さんに勝てる人間はいないよ。」

 

一夏

「…そんな…嘘だろ…」

 

 一夏を含めクラスの全員がマドカとオータムの言う事が信じられなかった

 だが、マドカの言う事は本当の事だった

 太一は生前、パートナーのアグモンと共にIS以上の強さを持つデジモンと生身で今まで戦って来たのだ

 この世界で太一以上に戦いの経験を積んだ人間は存在しないのだ

 

オータム

「…では話は纏まったな。一週間後、織斑、オルコット、太一の試合を行うぞ。」

 

一夏

「………え?俺も?」

 

オータム

「お前も候補に選ばれていただろ?それに、自分で自分を腐った人間と言ったのを忘れたのか?」

 

一夏

「あ…」

 

オータム

「その試合で自分が腐っていないと証明するんだな。」

 

一夏

「………はい…」

 

 太一によって徹底的に追い込まれ何も出来なくなった千冬と真耶に変わってオータムがその場をしめた

 こうして一週間後に、クラスの代表を決める試合が行われる事になった

 




 <予告>

 試合は一週間後に決まった

 そんな中、太一とアグモンはマドカ、オータムと共に七大魔王の情報を集めていた

 そこに千冬が現れ太一に勝負を挑んで来るのだった



 次回!《ISアドベンチャー 聖騎士伝説》

 最強からの挑戦!

 今、冒険が進化する!


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