ISアドベンチャー 聖騎士伝説   作:イナビカリ

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2学期編
第107話:2学期開始!


 

 

 夏休みが終了し、IS学園に生徒達が登校してきた

 本国に帰省していたセシリア、鈴、ラウラ、シャルロットも再会を喜んでいた

 そして…

 

アグモン

「おはよ~♪」

 

全員

「おはよ~~~~~っ♪」

 

 太一と一緒に登校して来たアグモンへの生徒達の反応はすさまじかった

 コロモンの時のインパクトが強すぎた為、今やアグモンはIS学園のマスコットと化していた

 その傍ら完全体のスカルグレイモンは学園では『恐怖の化身』のような扱いになっているので太一には進化させないよう念入りに注意が行われていた

 一方で…

 

一夏

「………」

 

 一夏に対しては普通に返事をするだけであった

 更に言えばセシリア、鈴、ラウラ、シャルロットの4人に至っては見向きもしなかったのは言うまでも無かった…

 こうして2学期は開始された…

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

「ねえ皆?平行世界って信じる?」

 

 昼休みになったので食堂に集まったマドカ、セシリア、鈴、シャルロット、ラウラの5人が食事を取っていると、突然鈴が質問してきた

 

ラウラ

「平行世界?」

 

シャルロット

「それって小説なんかに出てくるもう一つの世界とかの事だよね?」

 

「うん、そんな感じ。それで皆は平行世界があるって言ったら信じる?」

 

シャルロット

「う~ん…難しい質問だね…あるとは言われてるみたいだけど実証する方法が無いから何も分かってないんだよね…」

 

セシリア

「わたくしはあると思いますわ。」

 

ラウラ

「何故だ?」

 

 シャルロットは悩んでいたがセシリアはあると断言した

 

セシリア

「お忘れですか?太一様はこの世界とは違う世界から来たのですよ。太一様のいた世界もわたくし達からすれば平行世界と同じでは無いのですか?」

 

シャルロット

「確かにそうだね。」

 

ラウラ

「ウム!」

 

 太一と言う実例があるのでシャルロットとラウラもセシリアの話に頷いていた

 

ラウラ

「だが、何故そんな事を行き成り聞くんだ?まるで平行世界に行って来たみたいな質問だ、ぞ…」

 

セシリア

「…まさか…鈴さん…」

 

「うん!実は私は夏休みの時に太一やマドカ達と平行世界に行って来たのよ!」

 

セシリア&シャルロット&ラウラ

「はぁぁぁっ!?」

 

 鈴の突拍子も無い話にセシリア達3人は驚きの声を上げた

 それは彼女達の周りにいた他の生徒達も驚いた様子だった

 そのまま周りの生徒達も鈴の話に耳を傾けていた

 

シャルロット

「平行世界に行ったってどうやって!?さっきも言ったけど実証する方法が無いんだよ!!」

 

マドカ

「デジモンだ。」

 

セシリア&シャルロット&ラウラ

「え!?」

 

「ほら、私は夏休みの時に篠ノ之博士の所に行ったでしょ?」

 

シャルロット

「う、うん…暇だから太一やマドカ達に着いて行ったんだよね?」

 

マドカ

「…余計な奴も着いて来たがな…」

 

シャルロット

「余計な奴?」

 

「千冬さんよ…私が博士の所に行くって聞いて仕事を終わらせて一緒に着いて来たのよ。まあ、千冬さんなら構わないらしいから迎えに来たクロエさんも同行を許してくれたんだけど…問題は博士のアジトに着いた後でね…その時にデジモンに襲われたのよ…」

 

セシリア&シャルロット&ラウラ

「ええっ!?」

 

「そのデジモンの名前は【パラレルモン】…ウイルス種の究極体で突然変異(ミュータント)型のデジモンよ。」

 

マドカ

「私達はその【パラレルモン】の力で平行世界に飛ばされたんだ。」

 

セシリア&シャルロット&ラウラ

「えええぇぇぇっ!?」

 

マドカ

「【パラレルモン】はその名前の通りパラレルワールド…つまり平行世界を自由に移動出来る能力を持っている。その上、自分以外の者も平行世界に飛ばす事が出来るんだ。」

 

シャルロット

「無茶苦茶なデジモンだね…」

 

セシリア

「本当ですわ!?」

 

ラウラ

「よく帰って来れたな?」

 

マドカ

「帰る方法は【パラレルモン】を倒せばよかったからな。だが…」

 

「ええ…問題は飛ばされた先って言うのが厄介だったのよ………」

 

 鈴とマドカは飛ばされた平行世界の事を簡潔に話した…

 平行世界の自分達に出会った事…

 IS学園にはマドカとオータムがいなかった事…

 マドカがそもそも一夏の双子の妹として存在しなかった事…

 自分達4人が一夏に惚れていた事…

 一夏の【白式】が二次移行(セカンドシフト)し【白式・雪羅】に進化していた事…

 箒が束から専用機を貰っていた事…

 自分達のいる世界との主な違いを説明した

 

シャルロット

「向こうの僕達って一夏に惚れてるの!?」

 

ラウラ

「何と言う悪趣味…」

 

 話を聞き終えてまず3人が気になったのはやはり自分達が一夏に好意を持っている事だった

 だが、3人はその話を聞いてあからさまに嫌そうな顔をしていた

 こちら側の一夏の数々の醜態を見てきた彼女達からすれば平行世界の事とは言え自分達が一夏に好意を持っているという事はとてもでは無いが受け入れられない事だった

 

セシリア

「あんな人に好意を持つなんて…あちらのわたくし達は彼の何処に魅力を感じたのでしょうか?」

 

ラウラ

「『顔』か?」

 

シャルロット

「それが一番可能性が高いね…もしかして彼が一皮剥けば口先だけの薄っぺらい人間って事に気付いてないんじゃないかな?それとも向こうの一夏は違うのかな?」

 

「確かにこっちほど酷くは無いけどやっぱりアイツはアイツだったわ。自分の気に入らない結果に難癖付ける小者だったわ。」

 

シャルロット

「そっか…でも…そんな男に何で僕達は好意を持ってるんだろ?」

 

「そこなのよね…でもさ?よく考えてみればアンタ達3人なら初対面のアイツの見た目と口車に騙される可能性はあるのよ。」

 

シャルロット

「言われてみるとそうだね…実際僕は引っかかってたし…お父さんが教えてくれなかったら彼の口車に乗って自滅したと思うよ。」

 

 シャルロットは父が一夏の行動の全てを否定した時の事を思い出していた

 

「でも私の場合は何で未だにアイツを好きなのか分からないのよね…」

 

セシリア

「確かに鈴さんはあんな事がありましたからね…もしかして向こうではこちらほど酷い事が起きなかったのでは?」

 

「う~ん…確かに私ほど酷くはなかったみたいだけど…それでも似たような事はあったみたいよ?」

 

セシリア

「それなのに織斑さんに好意を持っているのですか?失礼ですが正気を疑いますわよ?」

 

「私もそう思う。ホント…あんな男の何処がいいんだろ?向こうの私って男を見る眼が無いのは一緒だけど眼が曇ってるわよ。それとも腐ってんのかしら?あんな奴よりいい男なんてそこら中にいるのにそれに気付かないんだもん。そこは私と違ってたわね。」

 

ラウラ

「ふむ…やはり太一とデジモンと言うイレギュラーがいないせいか?」

 

マドカ

「恐らくな…向こうは太一兄さんとデジモンがいない世界として時間が進んだ世界だからな。それでもいくつかの違いがあったな。」

 

「マドカがそうだったもんね?…まあ私は今の方が良かったと思ってるわ。太一が来なかったら向こうの私みたいにあの朴念仁を相手に()()()()()()()()()()()を繰り返してずっと振り回される毎日を送っていたわね。」

 

セシリア

「…向こうのわたくし達はそんな日々を送っているのですね…憐れですわね…」

 

ラウラ

「あの男に言い寄る自分か…想像するだけで寒気がする…」

 

シャルロット

「そうだね…」

 

「私は実際吐き気がしたわよ…何度吐きそうになった事か…我慢するのが大変だったわ…」

 

 鈴の言う事にセシリア達も同意していた

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

一夏

「………」

 

 少し離れた所から鈴達の会話を聞いた一夏は顔を俯かせていた

 

一夏

「…平行世界…向こうの鈴はまだ俺を見てくれてるんだな………くそぉぉっ…」

 

 愛想をつかされた自分と違い、平行世界の自分に鈴がまだ好きでいてくれている事に悔しがっていた

 だが、何度も言うがこちらの鈴が愛想をつかしたのは一夏の行動と言動による自業自得である

 そもそもの話、仮に鈴がまだ一夏に好意を持っていたとしても肝心の一夏が受け入れるなり拒絶するなり何かしらの答えを出さなければいけないのだが、この男はそれが分かっていなかった

 『好意に対して応える』と言う事を考えていないこの男にはそもそもそんな事を言う資格は初めから無いのだ

 そして…

 

一夏

「…【白式】…何でこっちのお前は進化しねえんだよ…」

 

 自分の右手首を握り締めながら睨みつけていた

 そこには本来、待機状態の【白式】の白いガントレットが装着されていた

 だが、今の一夏の手首には何もなかった

 一夏はこれまでの失態が原因でISは使用する時以外は所持する事を学園によって禁止されてしまった

 その為、現在は一夏の手元に【白式】は無かった

 更に言うと実は【白式】の修理はまだ終わっていなかった

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 実は【白式】の修理を行っていた倉持技研は現在行っている研究をしながら可能な限り修理に時間を割いてくれていたのだが、夏休み中に終わらせる事が出来なかった

 その為、倉持の所長は2学期に入る前にその事を千冬と一夏に謝罪に来ていた

 すると…

 

一夏

「アンタ等の研究なんかより【白式】の修理の方が大事だろ!!さっさと直せよ!!」

 

 一夏は修理が終わっていない事に憤慨し文句を言いだした

 その為…

 

千冬

「この大馬鹿がぁぁぁっ!!!」

 

 バキッ!!!

 

 千冬にぶん殴られ黙らされた

 

千冬

「申し訳ありません!!この馬鹿が失礼な事を言ってしまいました!!」

 

 そのまま千冬に頭を押さえつけられ一緒に謝る事になるのだった

 しかも…

 

千冬

「コイツの言う事は気にする必要はありません!どうか無理せずそちらの研究を優先して下さい!むしろ【白式】の修理にそちらの時間を割いてしまって申し訳ありません!!」

 

 と言って更に所長に謝っていた

 

一夏

「ぐっ…ううっ…」

 

 結局、【白式】が一夏の…と言うより学園に戻って来たのは更に2週間経過した後になるのだった…

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 一夏が平行世界の自分との違いに葛藤している頃…

 

ラウラ

「もう向こうの織斑一夏の事はどうでもいい。元から興味も無かったしこれ以上聞くと頭痛が酷くなる…」

 

 これ以上向こうの一夏の話を聞くと気分が悪くなるとラウラは言いだした

 それはセシリアとシャルロットも同じ様で頷いていた

 

ラウラ

「奴の事よりも【パラレルモン】だ。どうやって倒したんだ?」

 

 その為、ラウラは話題を【パラレルモン】に変えた

 

マドカ

「兄さんは【ジエスモン】と言う新しい聖騎士で応戦したんだが…」

 

「【パラレルモン】の奴…援軍にとんでもないデジモンを連れて来たのよ…」

 

セシリア&シャルロット&ラウラ

「とんでもないデジモン?」

 

 そのままマドカと鈴は平行世界での戦いの事を話した

 太一達の前に再び現れた【パラレルモン】が連れて来たもう1体のデジモン…【メタモルモン】の事を…

 【メタモルモン】の話を聞き終わると…

 

セシリア

「コピーしたデジモンの強さに自分の強さを加算する能力ですって!?」

 

シャルロット

「それって相手より必ず強くなるって事じゃないか!?インチキにもほどがあるよ!?」

 

ラウラ

「確かにな…私のISの【AIC】も1対1では反則級の能力と言われているが【メタモルモン】の能力に比べれば可愛いものだな…」

 

 案の定【メタモルモン】の持つ厄介極まりない変身能力に驚きの声を上げていた

 

「全くよ!1対1じゃ絶対に勝てないって事だもん!」

 

マドカ

「幸いだったのが太一兄さんの【ロイヤルナイツ】をコピー出来なかった事だな…」

 

「太一の【ロイヤルナイツ】は本物の【ロイヤルナイツ】と全く同じ能力を持っているとはいえISだからね。デジモンじゃ無いから【メタモルモン】もコピー出来なかったのよ。」

 

マドカ

「それでも苦戦はしたけどな…」

 

シャルロット

「何で?【ロイヤルナイツ】をコピー出来ないなら簡単に倒せるんじゃないの?」

 

ラウラ

「確かに…アグモンを戦わせなければ【メタモルモン】もコピー対象は【パラレルモン】だけだからな。」

 

 【メタモルモン】に苦戦したと言うマドカに、何故苦戦するのか分からないラウラとシャルロットだった

 すると…

 

セシリア

「………まさかとは思いますが…【メタモルモン】には過去にコピーしたデジモンにも変身出来る能力まである…なんて言いませんわよね?」

 

 セシリアはその理由に気付いた

 

シャルロット&ラウラ

「え!?」

 

マドカ&鈴

「………正解…」

 

シャルロット&ラウラ

「えええええっ!!!」

 

セシリア

「…思い付きで言いましたのに…当たってましたの…」

 

マドカ

「本当だ…【メタモルモン】にはコピー機能の他にメモリ機能もある。」

 

「そのメモリにある究極体デジモンの姿になって襲って来たのよ。」

 

セシリア

「一体どんなデジモンでしたの?」

 

「それは………」

 

 マドカと鈴は太一と【メタモルモン】の戦いについて話した

 【デスモン】【ゴッドドラモン】と変身して行き、【インペリアルドラモン】との戦いを聞いた時には全員の冷や汗が止まらなかった

 そして、太一の《鉄拳断罪》によってコピー機能が破壊された【メタモルモン】が最後に変身した【アーマゲモン】について話したが…

 

セシリア

「【オメガモン】様を倒したデジモンですって!?」

 

 2人から【アーマゲモン】が【オメガモン】を倒した事があるデジモンと聞かされ全員が自分の耳を疑った

 【オメガモン】の強さは太一のこれまでの戦いから全員がよく知っているからだ

 

「ええ、でも【メタモルモン】はもうコピーが出来ないから太一の方も切り札を出したのよ。それが何か分かるでしょ?」

 

セシリア&シャルロット&ラウラ

「エンシェントグレイモン(さん)!?」

 

「正解!!ホント、【メタモルモン】にコピーされなくて良かったわよ…」

 

ラウラ

「確かにな…あのデジモンが敵として向かって来られたら勝ち目なんて無いからな…」

 

「そうよ…アンタ達もエンシェントグレイモンの規格外の力は知ってるでしょ?太陽がドラゴンの形をしている様なデジモンなんだから…」

 

 鈴のその言葉に3人は頷いた

 

シャルロット

「伝説のデジモン【十闘士】…『最初の究極体』って言われてるんだよね?」

 

ラウラ

「『始まりが最強』と言う言葉もあるらしいが【十闘士】に相応しい言葉だな…」

 

 今度はラウラの言葉に全員が頷いた

 そして話を続けたが…

 

マドカ

「まあ、その後は簡単だ。兄さんとエンシェントグレイモンの力を合わせて今度こそ【パラレルモン】と【メタモルモン】を倒して、私達はこっちに戻る事が出来たんだ。」

 

 この後の展開は簡単だったのでマドカは簡単にまとめて話を締めくくった

 そして、マドカと鈴の話が終わるとセシリア達欧州組も【イグニッションプラン】の事を話し互いの夏休み中の近況を報告しあった

 だが…

 

「へ~…そんな事があったんだ?…フフフフ…」

 

 マドカ達の話を陰から聞いていた少女がいた…

 この少女の存在が太一とアグモンにどのような影響を与えるのかはまだ分からない…

 だが、一つ言えるのは…

 太一とアグモンの新しい戦いが始まろうとしていた…

 

 




 <予告>

 2学期となり、数日たったある日

 太一の部屋に水着エプロンの姿をした謎の少女が現れた

 その正体は一体誰なのか?



 次回!!

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