2学期になっても太一は変わらずマドカ達を鍛えると言う毎日を送っていた
そんなある日、訓練を終えた太一は自分の部屋に戻ろうとすると不意に【デジヴァイス】の中のアグモンが話しかけて来た
アグモン
『太一…』
太一
「ん?どうしたアグモン?」
アグモン
『僕たちの部屋に誰かいるよ?』
太一
「何?」
アグモン
『どうする太一?』
太一
「………確か部屋に盗聴器が仕掛けられていたな?それを使って中にいる奴の声を拾えないか?」
アグモン
『あ!その手があったね!ちょっと待ってて…』
アグモンはすぐに太一に言われたように盗聴器で部屋の中の声が【デジヴァイス】から聞こえる様にした
すると…
?
『んふふ~♪予定通りならそろそろ帰ってくる頃ね♪扉を開けた瞬間、裸エプロンに見せかけたドッキリを仕掛けてあげるわよん♪』
どうやら侵入者は太一にドッキリを仕掛けようとしているようだった
太一
「…何だコイツは?」
アグモン
『太一…裸エプロンって?』
太一
「ん?全裸の上にエプロンだけ着る変態のする格好の事だ。だが、この場合は恐らく下に水着でも着ておいて俺が狼狽えたら下は水着でしたって言ってからかうつもりなんだろ…」
アグモン
『それでどうするの?その変態がいると部屋に入れないよ?』
太一
「そうだな~…「八神?」ん?」
どうするか悩んでいると丁度そこに千冬がやって来た
千冬
「どうしたんだ廊下の真ん中に突っ立ったままで?」
太一
「ああ、実はな………」
太一は千冬に今部屋にいる不法侵入者の事とその侵入者がしようとしている事を話した
千冬
「…アイツ…また馬鹿な事を…」
太一の話からその侵入者が誰か分かったのか千冬は頭を抱えていた
太一
「誰か分かるのか?」
千冬
「そんなアホな事をする奴はこの学園には一人しかいない…
太一
「生徒会長?そんなのがいたのか?」
千冬
「ああ、奴はアレでもロシアの国家代表でな…今までそのロシアに行ってたんだが先日帰って来たんだ。」
太一
「ロシアの国家代表?名前から日本人だと思ったんだが…ロシア人なのか?」
千冬
「いや、アイツはれっきとした日本人だが自由国籍を持っていてな、そのお陰でロシアの代表にも就任出来たんだ。」
太一
「なるほどな…それでどうすればいい?あんなのに居座られたら部屋に帰れないんだが?」
千冬
「そうだな…」
千冬が悩んでいると…
太一
「いっその事《ガルルキャノン》で部屋ごと吹き飛ばしてやろうかな…」
太一はいきなり物騒な事を言い出した
千冬
「ちょっと待て!お前本気か!?」
太一
「冗談だ。」
千冬
「お前が言うと本当にやりそうで怖い!!…仕方ない、私も一緒に行こう。それから布仏も連れて行くか…今頃あの馬鹿を探しているだろうからな…」
太一
「布仏?俺達のクラスの布仏本音か?」
千冬
「いや、アイツの姉だ。名を『布仏虚』と言ってな、更識のお目付け役で『専属メイド』でもあるんだ。」
太一
「メイド?」
千冬
「何でも布仏の家は代々更識の家に仕える一族らしい。」
太一
「………と言う事は本音もそうなのか?」
千冬
「ああ、1年4組に変態の妹がいる。確かそいつのメイドだった筈だ。」
太一
「あの本音がメイドとはな…そんな風にはとても見えないんだが…」
千冬
「確かにな…」
そして二人は本音の姉を探しに向かった
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
一方、太一の部屋でドッキリを仕掛けようとしている変態生徒会長は…
楯無
「お!帰って来たわね♪足音が3つするけど…まあいいわ♪」
楯無は太一以外に二人いると気付いたが何時も訓練をしているマドカ達の誰かと思いあまり気にもしていなかった
だが、この時もっと用心すればよかったとすぐに後悔する事になるのだった
そして…
ガチャッ…
ドアが開いた
楯無
「お帰り~♪ご飯にする♪お風呂する♪そ・れ・と…も………」
楯無は最後まで言い切る前に固まった
何故ならそこにいたのは…
千冬
「それとも何だ?…更識楯無?」
虚
「生徒会の仕事を放ったらかしにしてココで何をしてるんですか?お嬢様?」
楯無が最も苦手とする二人がドアの前に立っていたのだ
楯無
「お、織斑先生…う、虚ちゃん…な、何でココに…」
千冬
「八神から部屋に不法侵入者がいると聞いてな、話から正体がお前だろうと思って布仏を連れてココに来たんだ。」
楯無
「な、何で分かったの!?」
太一
「俺の部屋には誰が仕掛けたのか知らないが盗聴器があるんだよ。今までは回線を切断してたがそれを使って部屋の中のお前の話し声を聞いてたんだよ。」
カシャカシャカシャカシャカシャ
太一は理由を話しながら手に持ったカメラで楯無の写真を撮りまくっていた
楯無
「って何してるのよ!?」
太一
「人の部屋に勝手に入り込んで裸エプロンなんて馬鹿の事をする変態の写真を学園中にバラまこうと思ってな。」
楯無
「え?」
太一
「それともお前が代表をしているロシア政府に送り付けてもいいな。」
楯無
「やっ…」
太一
「いっその事ネットにばら撒いた方が手っ取り早いか?『ロシアの代表は実は変態だった!』とあっと言う間に広まるだろうな?」
楯無
「やめてえええええぇぇぇぇぇ―――――っ!!!」
楯無は太一の持つカメラを奪い取ろうとしたが、二人の間にいる千冬と虚がそれをさせなかった
太一
「断る!どうせ実は水着エプロンでしたとでも言ってからかうつもりだったんだろ?そんな下らん事をする奴に慈悲は無い!」
楯無
「ギクッ!バレてたの!?」
アグモン
「へ~これが裸エプロンって言う格好か~?」
すると今度はアグモンが出て来た
楯無
「!?…あ、貴方がデジモンね!?」
アグモン
「そうだよ~。ところでさ~君そんな恰好してて恥ずかしく無いの?」
楯無
「うぐっ!?」
アグモンの真っ直ぐで綺麗な目に見詰められ楯無は自分の今の姿がとても恥ずかしくなりだした
千冬
「クククッ…どうやらコイツはアグモンの純粋な目が苦手な様だな。」
虚
「そうでしょうね。普段から人をからかう事を生きがいにしている腹黒い人ですからね…お嬢様のどす黒い心にはアグモンさんの綺麗な瞳は毒でしかないんでしょう。」
楯無
「あ、貴方達言いたい放題言って…」
アグモン
「コレが変態って言う人なんだね!」
楯無
「ぐふっ!?」
太一
「ああ、それにこういう奴は他にも痴女って言うんだ。」
アグモン
「痴女って?」
太一
「自分の恥ずかしい姿を相手に見せて喜ぶ人間だ。今目の前にいる奴がまさにそうだ。」
アグモン
「へ~、つまりこの人は変態の痴女なんだね?」
楯無
「げはっ!?」
太一
「そうだな、変態の上に痴女…人として色々と終ってるな…」
千冬
「同感だ。」
虚
「お嬢様…人前に出てこんなに恥ずかしい人になるなんて…私は嘆かわしゅうございます…」
楯無
「あ、貴方達いい加減に…」
太一
「いい加減に何だ?人の部屋に勝手に入り込んでそんなアホ丸出しの格好をする奴の言い分を聞く必要あるのか?お前自分の今の格好を見てもそう言えるのか?なんなら鏡を貸してやるぞ?」
楯無
「うっ!そ、それは…」
太一
「それにそれは俺の台詞だ…いい加減部屋から出て行け!いつまでも変態に居座られると中に入れなくて迷惑だ!!」
楯無
「ぐっ!?」
太一
「織斑先生、布仏先輩、この変態の処置はお願いします。それからこのカメラは渡しておきます。コイツがまた下らない事をした時にでも使ってください。」
千冬
「ああ、ありがたく使わせて貰おう。コイツがまた馬鹿やったら私の手でばら撒いてやる!!」
虚
「ご迷惑をおかけしました…」
太一
「いえ…布仏先輩の苦労…お察しします…」
虚
「!?…分かってくれますか!!」
太一
「はい…」
虚
「ううっ…ありがとうございます…そう言ってくれる人がいるなんて…」
太一
「これからも大変でしょうが頑張って下さい…俺でよければ愚痴くらいは付き合いますよ…」
虚
「はい!!その時はお願いします!!」
楯無
「………」
太一に自分の苦労を労って貰い虚は涙を流して喜んだ
そんな虚の姿に楯無は何も言えなかった
楯無が虚に苦労を掛けているのは本当の事なので太一の言葉を否定する事も虚の態度に文句を言う事も出来なかった
太一
「さて………オイ変態!さっさと出て行け!!」
楯無
「………分かったわよ…」
出て行く為に自分の服を着ようとした楯無だが、その前に千冬が力づくで水着エプロンの格好のまま引き摺り出されてしまった
慌てて服を取りに戻ろうとしたがその前に太一が部屋の鍵を掛けてしまった
そしてそのままの恰好で楯無は千冬に連れて行かれたのだった
<予告>
太一の部屋から閉め出された楯無
そのまま千冬の説教を受ける事になった
果たして楯無は反省するのだろうか?
次回!!
ISアドベンチャー 聖騎士伝説
千冬の説教
今、冒険が進化する!