ISアドベンチャー 聖騎士伝説   作:イナビカリ

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第109話:千冬の説教

 

 

 太一の部屋から追い出された楯無は千冬と虚に連れられて廊下を歩いていたが…

 

千冬

「この辺でいいか…更識…ココに正座だ!」

 

 突然立ち止まり正座しろと言われた

 

楯無

「え?ココって…ココ廊下ですよ!?まだ他の生徒も通る時間ですよ!?」

 

千冬

「だから何だ?何をそんなに慌てている?」

 

楯無

「だって…恥ずかしいじゃ…」

 

千冬

「そんな恰好する奴に羞恥心なんて物があるのか?」

 

楯無

「そ、それは…」

 

千冬

「今からココで説教だ!!それとも『私は変態です』と書いた看板を掛けて一晩廊下で正座するのとどっちがいい?」

 

楯無

「うっ!?(ど、どっちも嫌あああぁぁぁっ!?)」

 

千冬

「説教なら終われば部屋に戻れるぞ?」

 

楯無

「…説教でお願いします…」

 

 千冬の与えた二択に楯無は大人しく説教を受ける事にした

 まだ部屋に戻れる分マシだと思ったからだ

 

千冬

「よかろう。それから布仏…悪いが八神の部屋に戻ってコイツの服を部屋に放り込んでおいてくれ。」

 

「分かりました。」

 

 虚は返事をすると太一の部屋に戻って行った

 だが…

 

楯無

「え!?ココに持って来てくれないんですか!?」

 

 この場ではなく部屋に戻せと言われ楯無は慌てた

 

千冬

「それでは罰にならんだろ?」

 

 残った千冬は楯無の言葉を無視して目の前で正座している楯無を睨みつけると長い説教を始めるのだった

 楯無が説教されている場所は廊下なのでその間も当然他の生徒達が通っていた

 廊下を通る生徒達は水着エプロンの格好で廊下に正座させられ千冬に説教されている楯無の姿を見てほくそ笑んだりドン引きしたりと色々なリアクションを取っていた

 それを見るたびに楯無は自分の今の姿に後悔するのだった

 それから千冬の説教が終わると安心する楯無だが、今度は虚からの説教が始まるのだった

 結局、楯無が解放されたのは千冬の説教が始まって3時間後だった

 

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

千冬

「さて更識?お前も馬鹿な事をしたな?よりにもよって八神に手を出すとはな?織斑ならここまでにはならなかっただろうにな?」

 

 廊下での説教が終わると千冬は楯無の部屋に移動し再び説教を始めた

 

楯無

「…彼は…一体何者なんですか…デジモン何て未知の生物を連れているなんて…」

 

千冬

「束の公表の通りだ。アイツはこの世界とは違う世界からやって来た異世界人だ。」

 

楯無

「それを信じてるんですか?」

 

千冬

「ほぉ?つまりお前は束の話を信じていないという事か?」

 

楯無

「それは…その…余りにも突拍子過ぎる話ですから…すんなりとは…」

 

 束から説明されたとはいえ楯無は中々信じられずにいた

 だが、別に楯無のこの反応も当然の事なので千冬はそれに関してはこれと言って何かを言うつもりは無かった

 あくまで異世界に関する事に関してではあるが…

 

千冬

「確かにお前の言う事にも一理あるな。それを自分で確かめる為に接触しようとしたか?だが方法を間違えたな、アイツにハニートラップは効かんぞ?」

 

楯無

「え?」

 

千冬

「アイツからすれば今のお前の恰好はただの変態としてしか映らない。私の弟なら反応しただろうが八神にはそもそも色仕掛けは効かん。」

 

楯無

「まさか彼…女に興味が無いんですか?」

 

千冬

「そう言う意味ではない。アイツはある理由から性に関する感情が殆ど無いんだ。性欲が無いと言ってもいい。」

 

楯無

「そんな…(それじゃあ完全に色仕掛けが効かないって事じゃない…あの年で何でそんな事になってるのよ!?)」

 

 性欲が無いと聞かされ楯無は自分の持ちネタの一つが潰された事に動揺した

 だが、それと同時に太一が何故そんな事になっているのか疑問に思ったが、これは太一の実年齢ゆえの事だった

 だが、そこまで知らない楯無は頭を悩ませるだけだった

 

千冬

「それで、何故八神の部屋に侵入した?ただアイツの正体を知る為だけではあるまい?」

 

 話題を変え、本題とも言うべき質問を千冬がしてきた

 

楯無

「………日本政府からの指示です…彼を護衛しろと…」

 

千冬

「そんな事だろうと思った…あのタッグ戦以来デジモンの存在が公になってしまったからな…そのデジモンの事を唯一知る八神の護衛をしろと指示された訳か?」

 

楯無

「…はい…」

 

千冬

「…本音はデジモンの情報を他の国に渡したくないだけだろうに…護衛と称して八神に媚びでも売ってデジモンの情報を手に入れようと考えているんだろ?」

 

楯無

「!?」

 

千冬

「フンッ!図星か?」

 

 楯無のあの行動理由の本質を千冬は見抜いていた

 

楯無

「…はい…ですから彼の部屋に移動しようと思って…」

 

 その為、楯無も観念して正直に答えて行った

 

千冬

「そのアホな姿で不法侵入したのか?」

 

楯無

「うっ!…そう…です………織斑先生…今回の様な事はもうしません。私を彼の部屋に変えて下さい。彼を護衛すると言うのは情報収集は別としても必要な事だと…」

 

千冬

「必要無い!」

 

楯無

「え?」

 

千冬

「お前の護衛などアイツに必要無い!」

 

楯無

「な、何でですか!?」

 

千冬

「何でだと?お前が同じ立場ならどうする?自分の事を嗅ぎまわる怪しい奴を傍に置けるのか?」

 

楯無

「うっ!?」

 

千冬

「それに政府の奴等の事だ、他にも隙を見てアグモンを攫えとでもお前に言ったんだろ?」

 

楯無

「!?」

 

 その言葉に楯無は目を見開いた

 千冬が今言った事こそ楯無が日本政府から指示された『密命』だったのだ

 

千冬

「やはりそう言う指示も受けていたか…」

 

楯無

「………」

 

 楯無は答えなかった

 だが何も答えない事が千冬の言った事を認める事になっていた

 

千冬

「もう一度言う…そんな指示まで受けた奴と知って護衛を許す馬鹿が何処にいる!!」

 

楯無

「………」

 

千冬

「それにアイツの背中はアグモンが守っている!誰もあの二人の間に入る事は出来ん!!」

 

楯無

「…で、でも彼がどんなに強くてもただの一般人です!…彼を狙って裏の者が来る事も…」

 

千冬

「生憎とアイツは裏の世界如きの連中では手も足も出ん。」

 

楯無

「そ、そんな…(裏の世界が『如き』ですって!?)」

 

千冬

「当然だろ?八神はアグモンと一緒にISなんかとは比べ物にならない凶悪なデジモンと戦って来たんだぞ?デジモンに比べれば裏の世界の人間など一般人と大差ない。」

 

楯無

「………」

 

千冬

「それにアイツはお前は勿論、私でさえ足元にも及ばない程に強い!国家代表の実力などアイツから見ればド素人と一緒だ!!」

 

楯無

「わ、私がド素人と同列って言うんですか!!」

 

 国家代表である自分がその辺の素人と同じだと言われ楯無のプライドに傷がついた

 

千冬

「そうだ!!」

 

楯無

「!?」

 

千冬

「それと更識家の事は私も知っている。日本直属の対暗部組織だそうだな?お前はその現当主らしいな?」

 

楯無

「…知ってたんですね…」

 

千冬

「ああ、お前の名…『楯無』が代々更識家の当主が名乗る名前だという事もな…」

 

楯無

「…そこまでご存知でしたか…」

 

千冬

「以前束から日本で警戒する連中について聞かされてな…その一つに更識家の名前があった。」

 

楯無

「篠ノ之博士が…(確かにあの博士ならその位調べるのは簡単か…)」

 

千冬

「そうだ。そして更識家の事を知った上で言わせて貰うが………裏の世界に関係している更識の当主だろうとお前は所詮16の小娘だ!八神からすればお前の方こそ一般人だ!お前の護衛などアイツには邪魔以外の何者でも無い!!」

 

楯無

「わ、私が邪魔!?」

 

千冬

「そうだ!言っておくが私を始めこの学園にいる連中は全員八神から見ればおしめも取れていない青二才同然だ!当然お前もな!」

 

楯無

「私も…織斑先生も…青二才!?どう言う事ですか!?」

 

千冬

「お前が知る必要は無い!!だがこれはまごう事無き事実だ!!仮に護衛についてもお前では弾避けの盾くらいにしかならん!!デジモンとの戦いでは盾にすらならん存在だ!!!」

 

楯無

「くっ…」

 

千冬

「分かったら政府とお前の家に言っておけ!余計な事をするなとな!!そしてこうも言っておけ!命が惜しかったらアグモンに手を出そうとするなとな!!」

 

楯無

「…どう言う意味ですか…」

 

千冬

「そのままの意味だ!万が一お前がアグモンを攫いでもしたら八神はお前とお前の後ろにいる更識家、そして日本政府を『完全消滅』させかねんぞ!!」

 

楯無

「なっ何でそんな事を…」

 

千冬

「当然だ!アイツにとってアグモン以上に大事な存在はいないからだ!」

 

楯無

「そ、そんな…人間よりデジモンの命の方が大事だって言うんですか!?」

 

千冬

「正確に言えばアグモンの命だがな…アイツがアグモンとこの世界の人間の命を天秤にかけた場合、100%アグモンに傾く。」

 

楯無

「なっ!?」

 

 人間よりもアグモンの方が大事だと断言する千冬に楯無は目を見開いた

 

千冬

「いいか!アグモンを奪う様な事をすればアイツは相手が誰であろうと一切の躊躇はしないぞ!例え日本政府が相手だろうと潰しにかかるぞ!!」

 

楯無

「…く、国を…自分の生まれた国を潰すって言うんですか!!」

 

千冬

「…自分の生まれた国?お前は何を勘違いしている?」

 

楯無

「…え?」

 

 日本すら潰すという千冬に楯無は反論するが楯無はまだ太一がどう言う立場の人間か完全に理解していなかった

 

千冬

「八神はこの世界の人間ではないと言っただろ!つまりこの世界にアイツの故郷は存在しない!たとえ同じ日本と言う名の国でも八神にとっては別の国だ!アイツにはこの日本に対して愛国心の様な物は存在しない!!」

 

楯無

「!?」

 

 楯無は千冬の言葉に再び目を見開き絶句した

 アグモンの命の方が人間よりも太一は大切だと千冬は言っているからだ

 そして、そのアグモンに手を出せば人を殺す事も日本の中枢を潰す事も躊躇わないと言っているのだ

 勿論これは千冬の脅しではあるが、実はある意味当たっていた

 太一は人の命を奪う様な事は勿論しないが、アグモンに手を出されて黙っていられるかと言われれば出来る訳が無い

 しかもそうなった時、太一がどう言った行動に出るのかは千冬はもとよりマドカや束ですら実のところ分からないのだ

 だが、千冬の言う通り太一はそもそもこの世界の人間では無い為、愛国心は一切無かった

 その為、国の中枢が潰れ様と全く気にしないので敵対すれば一切の容赦をしないのだ

 

千冬

「それからお前も今回は説教と忠告程度で済ませるが今度同じような事をすれば然るべき対処を取る!!今の地位を失いたくなかったら余計な事をするな!!この意味は分かるな!!!」

 

楯無

「!?………はい…」

 

 千冬の言葉に楯無は頷く事しか出来なかった

 『然るべき対処』…それは日本政府だけでなくロシア政府、更には更識家にまで抗議を入れると言う事だった

 …太一とアグモンに手を出せば篠ノ之束の逆鱗に触れる…

 そんな事を表立って公表されれば楯無は日本とロシアの両国政府に睨まれ厄介払いされるのが目に見えていた

 ロシアの代表の地位を失い、日本政府の後ろ盾も失くし、更識家当主としての地位も失いかねなかった

 

千冬

「それからもう一つ言っておく!生徒会長の立場を利用してアイツに取り入ろうとしても同じように対処するからな!!」

 

楯無

「!?…(バレてた!?)」

 

千冬

「お前程度の考えならすぐに分かる!………相手が八神ならその真意は分からないがな…」

 

楯無

「なっ!?」

 

 千冬はそれだけ言うと部屋を後にしていった

 

楯無

「私程度…ですって…」

 

 千冬の最後の言葉に楯無のプライドは大きく傷付いた

 千冬は太一と楯無を比べ太一の方が上だと言い続けていたからだった

 

楯無

「私が彼より下ですって…ならそれが本当か確かめてやるわ!」

 

 




 <予告>

 千冬の説教によってプライドを傷つけられた楯無

 楯無は自分の力を見せつける為、太一に勝負を挑んだ

 国家代表として…更識家当主として…そして学園最強として…

 プライドの全てを賭けるのだった



 次回!!

 ISアドベンチャー 聖騎士伝説

 学園最強の果たし状

 今、冒険が進化する!

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