千冬
「あの馬鹿者があああああっ!!!」
見回りをしていた千冬は先程の楯無の放送に怒鳴り声を上げた
オータム
「ま~た下らねえ事始めやがったな?」
一方のオータムは呆れていた
そして…
束
「何なのコイツ?」
束も首を傾げていた
実はこの学園際には千冬の招待で束も来ていた
但し、いつものウサ耳、エプロンドレスではすぐにバレてしまうので今の束はカツラを被った地味な服装になっていた
更に…
スコール
「更識楯無って…太一が【色欲の七大魔王】として怪しいって睨んでる子じゃなかった?」
クロエ
「確かに違う意味で怪しさ全開の人ですね…」
当然の事ながらクロエとスコールも来ていた
但し、束と違ってこの二人は変装する必要が無いのでいつもの格好で来ている
それはさておき…
千冬
「あの馬鹿!!まさかこんな手を使って八神に接触を図るとは…」
真耶
「え?どう言う事ですか!?」
千冬
「ゲームの内容は分からんがどうせアイツが一人勝ち出来るように仕組んであるに決まっている!!アイツは悪知恵だけは良く働くからな!!!」
楯無の企みに千冬は怒りで鬼のような形相になっていた
束
「あ~…主催者の一人勝ちって奴か~…」
スコール
「ありそうね…」
千冬
「オータム!真耶!束達の面倒は任せる!!私はあの馬鹿を止めてくる!!!」
オータム
「お~…分かったぜ~。」
束
「こっちは気にしなくていいよ~…」
後をオータムと真耶に任せると千冬は楯無がいるであろう生徒会室に向かった
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千冬
「更識いいいいいいぃぃぃぃぃぃっ!!!」
虚
「ヒッ!?」
生徒会室に怒鳴り込んだ千冬の凄まじい剣幕に部屋にいた虚は小さく悲鳴を上げた
そんな虚を放っておいて室内に入った千冬は部屋の中を見渡したが、いるのは虚だけで楯無の姿は無かった
千冬
「布仏!!あの馬鹿何処行った!!!」
虚
「お、お嬢様は既に会場に向かわれました…」
千冬
「チッ!!入れ違いになったか…布仏!!お前何故あの馬鹿を止めなかった!!!」
虚
「と、止めました!!何度も止める様に言いました!!ですがお嬢様は私がどれだけ言っても聞く耳を持たなかったんです!!!」
千冬の剣幕に虚は怯えながら答えた
その姿は嘘を言っているようには見えなかった
千冬
「そうか…」
虚
「そ、それに…」
千冬
「ん?それになんだ?」
虚
「…最近のお嬢様の様子がおかしいんです…」
千冬
「アイツは元からおかしな奴だっただろ?」
虚
「それはそうなんですが…先日、八神さんとの決闘の後から更におかしくなってるんです…」
千冬
「更におかしくなっただと?1周回って真面になったとでも言うのか?」
虚
「それならどれだけ良かったか…」
千冬
「だよな…と言う事は逆に悪化したのか?」
虚
「…はい…」
2人揃ってかなり酷い事を言っているのだが当の2人はそれに気付いていなかった
だが、そんな事よりも虚の言う楯無が『更におかしくなった』と言う話が千冬は気になっていた
千冬
「それで…どうおかしくなった?」
虚
「何と言いますか…元々周りの事なんて考えずに好き勝手にやる傍迷惑な人でしたが…妙に『色気』を振りまき始めたと言うか…自分の『欲望』に忠実になったと言うか…自制が効かなくなっているんです…」
千冬
「フム…『欲』に『色気』か…」
今一要領を得ない説明だったが心当たりのある千冬はそのまま考え込んだ
そして…
千冬
「布仏…お前に一つ可能性の話をしておく。」
虚
「可能性?」
千冬は虚に楯無が【色欲】を司る6体目の【七大魔王】の宿主である可能性を話した
虚
「お、お嬢様が【七大魔王】!?…いえ…でも最近のお嬢様のあの行動は…」
否定しようとする虚だがここ最近の楯無の奇行を思い浮かべるとあながち間違っているとも思えなかった
虚
「………」
千冬
「ところで布仏…あの馬鹿今から何をする気だ?ゲームと言っていたがどんな内容か知ってるか?」
虚
「あ、ハイ!それはですね…」
今度は虚が楯無の企てを説明した
すると…
千冬
「クククク…」
虚
「織斑先生?」
千冬は笑っていた
千冬
「ククク…布仏…お前気付かなかったのか?」
虚
「え?」
千冬
「こんな馬鹿な遊びに付き合う奴がこの学園にいると思ってるのか?」
虚
「………ああっ!?」
笑いながら話す千冬に虚も気づいた
そして、二人はこれから始まる楯無の悪企みが100%失敗する光景が思い浮かぶのだった…
<予告>
遂に始まる楯無のイベント
それはシンデレラの演劇だった
だが、楯無がただのシンデレラをやる筈は無かった…
次回!!
ISアドベンチャー 聖騎士伝説
シンデレラバトル
今、冒険が進化する!