ISアドベンチャー 聖騎士伝説   作:イナビカリ

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遂にお気に入りが1000件をいきました!!!

皆さんありがとうございます♪

これからも完結目指して頑張っていきます!!!


第048話:束の公表!その名はデジモン!!

 シャルル改めシャルロットが1年1組に女生徒として転入し直した次の日、学園の事後処理も漸く終わり、全ての準備が整った

 その日の朝、IS学園の全生徒と教師は体育館に集まっていた

 理由は勿論、束からこれまで起きた事…つまりはデジモンの事が発表される為であった

 束が再び来ると聞いて…

 

?1

(姉さんが来るのか…なら丁度いい!!)

 

?2

(束さんに頼んで俺にも!!)

 

 約2名、碌でも無い事を考えている者がいたのは言うまでも無かった

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 体育館に生徒と教師が続々と集まる中、館内には各国にも同時に説明する為、カメラも設置されていた

 この映像は各政府に繋がっていた

 そして全員が整列すると…

 

千冬

「ではこれより篠ノ之束からこれまで起きた事の説明をして貰う!!全員無駄口は叩かないように!!」

 

 千冬の進行の下、まずは騒がないように釘を刺してから始まった

 

千冬

「では束!頼むぞ!」

 

「はいは~い♪まっかせといて~♪」

 

 千冬が呼ぶと舞台袖から束が現れた

 その後ろに太一も続いていた

 生徒も教師も再び学園に現れた束に驚くが今度は静かにしていた

 

「さて、自己紹介はしなくてもいいだろうから早速本題に入るよ?」

 

全員

「ゴクリッ…」

 

 束がそう言うと全員が唾を呑み込んだ

 

「まずは以前束さんが説明した【SINウイルス】についてだけど…実はあれ…真っ赤な嘘なんだよ!」

 

全員

「………へ?」

 

 束の行き成りの暴露に生徒や教師は勿論、カメラを通してこの映像を見ている各国政府も束の言っている意味が理解出来なかった

 

「皆が何を言いたいのかは大体分かるよ?【SINウイルス】の話が嘘ならあの化け物は何だって話だよね?」

 

 束のその言葉にその場にいる全員が無言で頷いた

 

「あの化け物の正体…それは『デジモン』と呼ばれる生物だよ!!」

 

全員

「デジモン!!!」

 

 遂に束の口から明かされたデジモンの名前

 その名前にその場にいた全員が本来は黙って聞いていなければならないのだが、流石に声を揃えて反芻してしまった

 だが、束もこれは仕方ないと考え気にせずに話を続けた

 

「次に君達が知りたいのはデジモンとは何かってところだろうね?」

 

 束のその問いに全員が再び頷いた

 

「まあそうだよね、今までデジモンなんて聞いた事も無いんだから当然と言えば当然だね。ま、知らなくて当然だよ。だってデジモンはこの世界の生物じゃないんだからね。」

 

全員

「………え?」

 

「デジモンはこの世界とは違う世界、つまり別の地球からこっちの地球にやって来たんだよ!!」

 

全員

「ええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!!!」

 

 束の突拍子も無い暴露に全員が大声をあげて叫んだ

 それはこの映像を見ている人間も同じだった

 

千冬

「静まれえええええぇぇぇぇぇっ!!!」

 

 その場が騒然となる中、千冬が一括し全員を黙らせた

 

千冬

「話は始まったばかりだ!!この程度の話で驚いているようでは後が持たんぞ!!」

 

全員

「!?」

 

 千冬のその言葉を聞いて全員が気を引き締めた

 別の地球が存在するだけでも驚きの事なのにこれ以上に驚くような内容があるのだと言われたからだ

 館内が静かになるのを見計らうと束が話を続けた

 

「…じゃあ続きだよ。デジモンは向こうの地球では【デジタルワールド】って言う世界を構築してそこで独自の生態系を作り上げてるんだよ。つまりデジモンは私達人間と同じ知的生命体って言う事なんだよ。」

 

全員

「!?」

 

「そして【デジタルワールド】には幾つかの勢力があってね…この世界に現れたデジモンはその勢力の一つ【七大魔王】って呼ばれるデジモン達なんだよ!!」

 

全員

「………」

 

「では何故彼ら【七大魔王】が態々こっちの世界に来たか?…それは実に簡単………この世界への侵略だよ!!!」

 

全員

「!?」

 

 こちら側への侵略…

 その言葉に生徒も教師もこの中継を見ている全員が驚きの表情をしていた

 

「【七大魔王】はこの世界を永遠の闇に閉ざし、支配する事が目的なんだよ!!」

 

全員

「………」

 

 【七大魔王】の目的を聞き全員が言葉を失った

 何しろあまりにも突拍子で信じられない内容だったからだ

 その時…

 

教師

「な、何故…何故この世界なんですか!!博士の言う事が事実だとして何故この世界が狙われるんですか!!私達が何をしたって言うんですか!!」

 

 教師の1人が束に問いかけて来た

 その問いに束は怒る事はせず…

 

「…この世界が侵略しやすいからだよ…」

 

全員

「…え?」

 

 以前太一が言った事と同じ答えで返した

 

教師

「侵略…しやすい!?」

 

「そうだよ!考えても見なよ?この世界は束さんが宇宙に行く為『だけ』に造ったISを使って馬鹿な女共が偉そうにふんぞり返って好き放題やってる世界だよ?こんな世界、後100年もすれば人類は滅びちゃうよ!」

 

全員

「!?」

 

「そんな腐った世界を支配するなんて簡単でしょ?だから【七大魔王】に目を付けられたんだよ。つまりこの世界に住む私達の自業自得ってわけ。」

 

全員

「………」

 

 束のその言葉に全員が何も言えなかった

 束の言う通り、この世界は束の作ったISが女にしか使えないと言う理由で女尊男卑と言う風潮が蔓延している

 まともな考えの出来る者なら腐ったと言われれば否定する事は出来なかったのだ

 自分達の世界が侵略される十分な理由があると聞かされ全員がショックを受けていた

 その時…

 

「でもね?そんな【七大魔王】を止める存在もいるんだよ。」

 

全員

「え?」

 

 束はもう一つの真実を話し始めた

 

「分からないかな?今迄現れた魔王を倒してきたのは誰だったかな?」

 

全員

「!?」

 

 その一言に全員の視線が束の後ろにいる太一に向けられた

 

太一

「………」

 

「そう、たっくん…八神太一だよ!」

 

生徒

「ど、どう言う事ですか!?」

 

 すると今度は生徒の1人が聞いて来た

 

「要するにたっくんもデジモンと同じで別の地球からこの世界に来たんだよ!」

 

全員

「ええええええええぇぇぇぇぇぇぇぇぇっ!!!!!」

 

 デジモンに続いて明かされた太一の正体…

 それに再び全員が驚きの声をあげた

 

生徒

「な、何でそんな事まで博士が知ってるんですか!!」

 

「ん?あ~それはね、たっくんがこの世界に来て最初に接触した人間…それが束さんなんだよ。」

 

全員

「な!?」

 

 太一と最初に接触したのが束だったと知り全員が驚くが、その中の何人かは同時に納得もした

 束の太一を擁護する言動は事情を聞かされ太一の協力者になっていたからだったと気づいたのだ

 

「そう言う訳で束さんはたっくんから色々聞かされたんだよ。それで話を戻すけど…たっくんは【デジタルワールド】を管理する神様、【イグドラシル】から【七大魔王】の討伐を依頼されてこの世界に来たんだよ。」

 

全員

「神様ああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!!!!」

 

 『神』と言う単語にまたもや全員が揃えて驚きの声をあげた

 だが、そんな状態でも束は話を先に進めて行った

 

「では何故たっくんが選ばれたのか?たっくんはこれでも向こうの世界では小さい頃からパートナーのデジモンと一緒に【デジタルワールド】を旅しながら凶悪なデジモンと戦って来た経験があるんだよ。それを【イグドラシル】に買われたってわけ。」

 

全員

「………」

 

 太一の正体について説明する束だが、太一の住んでいた世界と【イグドラシル】の管理する世界が別の地球だという事は面倒だったので割愛していた

 このIS世界の人間からすればどちらも別の世界なのは変わりは無いのでこれ以上は余計な混乱になるだけと思い束はその辺りの事は省いていた

 

「たっくんのパートナーはこの間の戦いでココの生徒も何人かは見てるよね?」

 

 束がそう聞くと覚えのある生徒は頷いた

 

「あの子の名前はアグモン!たっくんの最高のパートナーだよ!もしアグモン、アッくんに手を出せばその時はこの束さんが死んだ方がマシ級の地獄を見せてやるから覚悟しておけよ!!」

 

全員

「は、はい!!!」

 

 アグモンに手を出せば束から地獄を見せてやると殺気を向けられ生徒は全員がその場で頷いた

 

「次にたっくんのIS【ロイヤルナイツ】はその【イグドラシル】がこの世界に合わせて造った物…つまり神様お手製のISって事だよ!」

 

全員

「!?」

 

 脅した後そのまま太一のISについて説明したのだがそれが実は神の造ったISだったと言う言葉に今度は全員が絶句していた

 

「だからってアッくん同様奪おうなんて考えない事だね!そもそも【ロイヤルナイツ】はたっくんにしか使えないように【イグドラシル】が造った物だし、束さんでさえ殆ど解析出来ない代物なんだよ。世界中の研究員を総動員しても解析する事も造る事も1000年かけても出来ないよ!」

 

全員

「!?」

 

「それにそんな事すれば勿論束さんが黙って無いからね!!この束さんを敵に回す度胸のある馬鹿は遠慮なくかかってくるといいよ!!もう一度言うけど地獄を見せてやる!!!」

 

全員

「………」

 

 束のその言葉に全員が黙り込んだ

 このIS世界において束を敵に回す程の怖いもの知らずはそうはいなかった

 それは大概の人間には分かりきっているこの世界の常識の一つになっていた

 しかも束が地獄を見せてやるなんて言えば一体どんな事をするのか想像するのも恐ろしかった

 

「この際だから教えてあげるよ。ISとデジモンの力の差をね。」

 

全員

「!?」

 

「耳の穴かっぽじってよ~く聞けよ!デジモンの前じゃ束さんの造ったISは玩具同然なんだよ!!」

 

全員

「なっ!!!」

 

 玩具同然…その一言に全員が驚きの声をあげた

 ISの生みの親がデジモンには敵わないと断言したのだ

 実際、この場にいる生徒や教師、更に中継を見ている人達の中には束の話を聞いてもデジモンよりISの方が上だと考える者も少なからずいた

 だがそれも束自身によって否定されてしまった

 

「信じられないって顔だね?」

 

生徒

「あ、当たり前です!ISを超える力が存在するはずありません!!」

 

 束の説明に納得できない生徒の1人が言い返してきた

 そんな彼女に賛同する他の生徒や教師を見て束は目を細めると…

 

「ISを超える力は無いねぇ…何でそう言い切れるの?」

 

 その根拠を聞いて来た

 

生徒

「い、今まで現れたそのデジモンと言う生物はそこにいる八神君が倒してきたんですよ!神のISの前ではデジモンなんて…」

 

「プッ!…アハハハハハハハハハハハハハハハハハッ!!!」

 

 理由を聞くと束は突然大声で笑いだした

 

生徒

「な、何がおかしいんですか!!」

 

「いや~君が余りにも頓珍漢な事を言うからついね…」

 

生徒

「私が変な事を言ったって言うんですか!!」

 

「だってそうでしょ?たっくんの【ロイヤルナイツ】を引き合いに出すんだもん…クククッ…」

 

生徒

「そ、それの何がおかしいんですか!!」

 

「あのさ~、君は自分で【ロイヤルナイツ】は神の造ったISって言ったんだよ?」

 

生徒

「それの何処に笑う所があるんですか!!」

 

「ま~だ分からないかな?それって『この世界のIS』ではデジモンに勝てないって言ってるのと同じ事だよ?」

 

生徒

「!?」

 

 束にココまで言われて漸くその生徒は自分の言葉の矛盾に気付いた

 

「ついでだから教えてあげるよ。さっき束さんは【デジタルワールド】には幾つかの勢力があるって言ったよね?」

 

全員

「………」

 

「その勢力の一つに【デジタルワールド】の平和を守り、秩序を維持する組織が存在するんだよ。…その組織の名前は…【ロイヤルナイツ】!!!」

 

全員

「!?」

 

「たっくんのIS【ロイヤルナイツ】はその組織に所属するデジモンを【イグドラシル】がISとして造った物なんだよ。そしてたっくんの【ロイヤルナイツ】は本物の【ロイヤルナイツ】の姿、武装、技、能力、その全てが全く同じなんだよ!まあ流石にサイズだけは人間のたっくんに合わせてあるけどね。」

 

全員

「………」

 

「コレで分かった?たっくんのISがデジモンに勝てるのは当たり前なんだよ!何しろISと言う名のデジモンそのものなんだからね!それも【ロイヤルナイツ】は【デジタルワールド】を守護する最強の聖騎士軍団!【七大魔王】を倒すのに彼らほど相応しい存在はいないよ!!」

 

 束の【ロイヤルナイツ】の説明に全員が言葉を失った

 先程の生徒の反論もこの説明によってISの方が上と言う理屈は通じなくなってしまったのだ

 だが、同時に納得も出来た

 【ロイヤルナイツ】は既存のISに比べて余りにも異質過ぎていた

 だがそれも束の説明で辻褄が合った

 デジモンと全く同じ能力を持たせた神によって造り出されたIS

 それが【ロイヤルナイツ】の正体だったのだ

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

「さ~て、これで基本の話はお~わったっと!」

 

全員

「!?」

 

 束のその言葉に全員が動揺し冷や汗を流した

 今迄の話だけでも頭の処理が追いついて行かないのにこれ以上何を聞かされるのかと思ったのだ

 

「この世界に来た【七大魔王】…その正体だよ!」

 

全員

「!?」

 

 デジモン、太一、アグモン、【ロイヤルナイツ】の正体を説明し終わると今度は【七大魔王】について話し始めた

 だが、その言葉に最も反応したのがセシリア、鈴、ラウラ、シャルロットの魔王の依り代になった4人だった

 【七大魔王】の事を説明するという事はそれぞれが司る大罪についても話さなければならない

 それはつまり自分達が取り込まれた原因も話されるという事に他ならなかった

 だからこそ4人は気を引き締め身構えていた

 そして壇上にいる束もそんな4人を見て小さく頷くと…

 

「【七大魔王】…彼等はその名の通り全部で7体の魔王型デジモンの事だよ。」

 

 【七大魔王】について話しだした

 

「【七大魔王】はそれぞれが【七つの大罪】って言う人間の持つ7つの原罪を司っているんだよ!」

 

 【七つの大罪】と聞いて全員がそれが何かを考え始めた

 名前は聞いた事があっても殆どの生徒や教師がそれがどんな罪かまでは分からず首を傾げていた

 

「【七つの大罪】…それは【憤怒】【暴食】【色欲】【傲慢】【強欲】【嫉妬】【怠惰】…この7つの事だよ。」

 

 それに気付いた束は7つの罪を教えてあげた

 そして【七つの大罪】を教えるといよいよ本題の【七大魔王】について語り出した

 

「まず、今まで現れた【七大魔王】は実はISじゃなくて人間の心に憑りついて力を蓄えてるんだよ。」

 

全員

「………」

 

 【七大魔王】について束が話しだしたので全員が黙って聞いていた

 

「奴等はこっちの世界に来た時どういう訳か力の大半を失ったらしくてね、その失った力を回復させる為に自分達の力の源でもあるそれぞれの大罪を持つ人間を探しだして憑りついたんだよ。」

 

全員

「!?」

 

 その言葉に全員の視線が束からセシリア達4人に変わった

 

セシリア&鈴&ラウラ&シャルロット

「………」

 

 しかし、そんな視線を受けてもセシリアと鈴は平然としていた

 二人はこうなるだろうと予想していた上に、批難される覚悟も出来ていたので視線を向けられる程度では揺らぐことは無かった

 一方、ラウラとシャルロットの二人は前日に千冬から聞かされた為、まだ心の準備が完全には出来ていないので少なからず怯んでいた

 周囲がそんな状態になったので…

 

千冬

「全員集中しろ!!まだ束の話は終わって無いぞ!!」

 

 千冬が一喝し、視線を束に戻した

 全員が束に向き直ると…

 

「…続きを言う前に先に全員に言っておくよ?まず、その4人を批難するのはお門違いだよ?」

 

全員

「え?」

 

 束は【七大魔王】の説明を中断しセシリア達を擁護し始めた

 

「確かにその4人は魔王の依り代になったよ?でもね?もしかしたら君達だって憑りつかれていたかもしれないんだよ?君達だって【七大魔王】に憑りつかれる要素を持ち合わせてるんだよ?勿論この束さんだって例外じゃないよ?」

 

全員

「!?」

 

生徒

「な、何で私達まで!!」

 

「当り前じゃん。この世界はただでさえ女尊男卑何て言う腐った思想が蔓延してるんだよ?そんな世界がまともだと思うの?まともじゃ無いから【七大魔王】に目を付けられたんじゃ無いの?まともだったら狙われないと思うけどね?」

 

全員

「………」

 

 束のその言葉に反論した生徒は勿論、誰も言い返せなかった

 否定しようにも【七大魔王】が来てしまっているので否定する事が出来なかった

 その為、束の言う通りこの世界に住む人間の多くは【七大魔王】に憑りつかれる資質を持ち合わせていた

 

「ま、そう言う訳で君達も憑りつかれる要素は十分あるってこと!」

 

全員

「………」

 

「それにさ~…君達何か忘れてない?」

 

全員

「?」

 

 束のその問いに全員が首を傾げた

 

「さっき言ったよね?【七大魔王】は全部で『()()』いるってさ。」

 

全員

「!?」

 

「そう…まだ3体残ってるんだよ!【暴食】【色欲】【傲慢】の3つの大罪がね!!」

 

 【七大魔王】はまだ3体残っている…

 その言葉にその場にいる全員の顔が青褪めた

 

「ついでだから今まで現れた4体と残りの3体についても教えてあげるよ。」

 

 すると束は【七大魔王】それぞれのデジモンの説明を始めた

 

「まずは1体目、【嫉妬の魔王リヴァイアモン】!!」

 

セシリア

「………」

 

「2体目が【憤怒の魔王デーモン】!!」

 

「………」

 

「3体目は【強欲の魔王バルバモン】!!」

 

ラウラ

「………」

 

「そして4体目が【怠惰の魔王ベルフェモン】!!」

 

シャルロット

「………」

 

 今迄の魔王の名前を挙げて行くのを4人は静かに聞いていた

 

「コレが今まで現れた4体の名前だよ!!そして残りの3体が【暴食の魔王ベルゼブモン】!!【色欲の魔王リリスモン】!!【傲慢の魔王ルーチェモン】!!」

 

全員

「………」

 

「この3体も今までの事を考えると人間に憑りついている可能性が非常に高いよね~?」

 

全員

「!?」

 

 残りの3体も誰かに憑りついている

 もしかしたらそれは自分かもしれない…束はそう言っているのだ

 それに思い至った生徒や教師達はえも知れぬ不安に襲われた

 そんな中…

 

太一

(………【傲慢】、か…)

 

 束の後ろに控えている太一は視線だけを一人の生徒に向けた

 

太一

(…やはり…アイツがそうなんだろうか…)

 

 残りの大罪の一つ…【傲慢】の魔王を宿していると以前から考えていた生徒を見ていた

 その生徒は周りが恐怖で怯えたり青褪めている中、何食わぬ顔で束を見つめていた

 

太一

(この学園にいる人間ではアイツが一番可能性が高いからな………ん?この学園?)

 

 その時、太一はある事に気付いた

 

太一

(…そう言えば今迄の魔王は全てこの学園に集まって来ていたよな…何故この学園なんだ?1体目の【リヴァイアモン】を宿していたのは初めから入学していたセシリアだったから気にもしていなかったが…よく考えれば後の3体は宿主が後からこの学園に来ている…まるでこのIS学園に集まるような行動だ………この学園に奴等を引き付ける何かがあるのか?)

 

 それは今迄の【七大魔王】の現れ方からこの学園に何かあるのではないかと言う物だった

 

太一

(…後で束と千冬に相談してみるか…俺には心当たりは無いがあいつ等なら何か分かるかもしれないしな…)

 

 太一が【七大魔王】の行動について考えを巡らせている間に…

 

「以上がこの学園で起きた事の顛末だよ。この話を知って君達が少しはマシな考えが出来る事を願うよ。」

 

全員

「………」

 

 束は説明を終えたのだが…

 

「そうそう、もう一つ言っておく事があったよ。この世界って()()()()()()()()()()()だからね。」

 

全員

「………え?」

 

 束が最後に付け加えた言葉に全員が首を傾げた

 束の言う意味が理解出来なかったのだ

 

「たっくんをこの世界に送り込んだのはデジモンの神様【イグドラシル】って言ったよね?その【イグドラシル】がたっくんに言ったらしいけど、【イグドラシル】がたっくんを送り込んだのは侵略とは言えデジモンが関わっているからなんだよ。つまりデジモンが関係しなければ【イグドラシル】はこの世界が滅びようとどうなろうとどうでもいいって事なんだよ。」

 

全員

「!?」

 

 束のその言葉に全員の顔が再び青褪めた

 自分達は神に見捨てられていると宣言されたようなものだからだ

 

「でもそんな世界にしたのはこの世界に生きる私達なんだよ。まあその切っ掛けになったのは束さんの造ったISだから束さんはその責任を取る意味でも男女両方使えるISの研究をしてるんだよ。でもだからって責任の全てを束さんに押し付けるなよ!」

 

全員

「!?」

 

「ISは確かに束さんが造った物だよ?でも、この世界を腐らせて行ったのはそのISを使って好き放題している馬鹿共だ!最近で言えばフランスのデュノア社だね。あそこで逮捕された奴等がいい例だよ。身に覚えのある奴はココにもいるんじゃないのか!」

 

全員

「!?」

 

 束が睨みながらそう聞くと何人かが反応した

 

「束さんはこの世界を腐らせた責任を取る!自分に出来る方法でね!分かったらお前達も自分がどうすればいいか考えるんだね!」

 

全員

「………」

 

「それからこの映像を見ている各国の偉そうな奴にも言っとくけど、これはお前達にも言ってるって事を忘れるなよ!それと先に言っておくけどたっくんが【七大魔王】を全部倒したら今度は全世界にデジモンの事を公表するつもりだから今回の事を隠そうとか自分達に都合のいい様に内容を捻じ曲げようとか考えない事だね!そんな事をすれば束さんが黙って無いし、場合によってはたっくん自身が相手になるからね!聖騎士の粛清を受けたくなかったらそれを覚えておけよ!!」

 

 束は最後に殺気交じりに各国政府にそう釘を刺すと檀上裏に戻って行った

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

千冬

「………以上で説明は終わりだ!全員速やかに教室に戻るように!今日から授業を再開する!!」

 

全員

「………」

 

 千冬が教室に戻るように指示を出すが誰もその場を動こうとはしなかった

 束から次々に語られた話が余りにも常軌を逸し過ぎたものばかりだったので殆どの生徒や教師は頭がパンクしてしまっていた

 

千冬

「はぁ…全員戻れと言ったのが聞こえんのかぁぁぁっ!!!」

 

全員

「!?」

 

 千冬が怒鳴り声をあげると全員が正気に戻り急いで教室に戻って行った

 だが…

 

千冬

「…織斑、篠ノ之…何か用か?」

 

 一夏と箒の二人は体育館から出ようとせず束の下がった檀上裏に行こうとしていた

 

一夏&箒

「………」

 

千冬

「お前達、以前も私の指示を無視して束に会いに来たな?また同じ事をする気か?」

 

一夏&箒

「うっ!?」

 

 千冬の言う通りだった

 二人は束に自分たちの要求を言おうとしていたのだ

 しかも…

 

千冬

「織斑、まさかお前また束に【白式】を強くしろとか言う気じゃないだろうな?以前束に言われた事をもう忘れたのか?」

 

一夏

「!?」

 

 千冬の言葉に一夏は動揺した

 一夏は千冬の言う通り【白式】を改造…いや、【Dシリーズ】に改造して貰おうと考えていた

 だが一夏は以前束が学園に来た時に言われた言葉を忘れてしまっていた

 

千冬

「図星か…なら聞くがお前は【白式】を完全に使いこなしたのか?使いこなせる様になったから束に会おうとしてるのか?」

 

一夏

「そ、それは…」

 

 一夏は答えられなかった

 それは一夏は未だに【白式】を使いこなせていないからだ

 しかもあれから2カ月以上経過したが殆ど成長していないのだ

 

千冬

「今迄のお前を見る限りどう考えても使いこなしているようには見えないんだがな?」

 

一夏

「ううっ…」

 

 使いこなせていないと指摘され何も言えず、俯く事しか出来ない一夏だった

 

千冬

「…次に篠ノ之…お前の用件は何だ?」

 

「………」

 

 千冬は次に隣にいる箒に同じ事を聞いたが、こちらも何も答えなかった

 

千冬

「世間話でもしたいのか?これから授業だと言った筈だぞ?授業をサボる気か?それ以前に今の現状が分かっているのか?それとも分かって無いのか?」

 

「………」

 

 こう聞く千冬だが…

 

千冬

(大方束に専用機の催促でもするつもりだろ…コイツじゃ手に入れた途端に暴走しそうだな…)

 

 箒の用件に察しがついていた

 そしてそれは正解だった

 箒は今迄の太一と【七大魔王】の戦いから何も出来なかった事から姉の束に専用機を用意させようと考えていた

 尤も専用機を手に入れても太一とデジモンの戦いに介入する事は出来ないのだが、箒は一夏と同じようにそれが分かっていなかった

 更に言えば、千冬から見て箒のISの技術はどれだけお世辞を言っても高いとは言えず、むしろ実力は一夏並みに低かった

 その上、ISの勉強面の成績も低く総合的に見れば箒は1組どころか学年の中で見ても最底辺の位置だった

 

千冬

「今すぐ教室に戻れ!!アイツは今忙しい!!お前達の下らん話を聞く暇はない!!」

 

一夏&箒

「!?」

 

 全く取り合わない千冬に怒鳴られた二人は渋々ながら体育館を後にしていった

 尤も用件を言わない以上千冬は取り合う事は無いし、また用件を伝えてもこの二人の内容では元から取り合う気は無かったのだが…

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 二人が体育館から出て行くと千冬は大きな溜息を吐いた…

 その時…

 

太一

「………千冬…」

 

千冬

「ん?」

 

 いつの間にか来ていた太一が話しかけて来た

 

太一

「今日の夜、少し時間を作ってくれ。束や理事長も交えて相談したい事がある。」

 

千冬

「分かった…理事長には私から話しておく。時間が出来たら連絡する。」

 

太一

「頼む。」

 

 そう言って太一も教室に向かって行った

 




 <予告>

 太一やデジモンの正体が明かされ混乱も収まらぬ中、ラウラがこれまでの事を謝罪してきた

 だが、ラウラは謝罪以外にもおかしな行動を取り始めた

 そんなラウラを止めたのは何とコロモンだった

 隠れる必要の無くなったコロモンは学園にどのような波乱を巻き起こすのか



 次回!《ISアドベンチャー 聖騎士伝説》

 コロモンパニック!!

 今、冒険が進化する!


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