千冬
「こ、これは!?」
オータムから連絡を受け急いで戻ってきた千冬は中庭の惨状に言葉を失った
花壇などは殆どがあれ果てており、その中でも目を引いたのは地面に出来た巨大な手形だった
それは勿論スカルグレイモンの手形だった
千冬が現状に驚いていると…
オータム
「オ~、意外に早く戻って来たな?」
そこにオータムが現れた
千冬
「オータム!!一体何があった!!この手形は何だ!!まさかコレは…」
オータム
「ああ、コロモンの…いや、スカルグレイモンの手形だ。」
千冬
「ス、スカルグレイモンだと!?」
千冬はこの手形がコロモンの物だと言うのは気付いていたが、それがまさか以前太一から聞かされたコロモンの間違った完全体、スカルグレイモンの物だとは思わなかった
千冬
「だがスカルグレイモンは…」
オータム
「多少は暴走の危険が残ってるらしいが今は制御出来るそうだ。」
千冬
「そうか…それでここで何があった?電話では今一要領を得なかったんだが…布仏が暴行を受けたと言うのは本当か?」
千冬は落ち着くと詳細を聞いて来た
オータムは慌てていたのでかなり搔い摘んだ説明をしていたのだ
オータム
「本当だ。…詳しく話すとだな………」
そしてオータムはココで何があったのか説明した
オータム
「………ってぇ訳だ。布仏は太一とアグモンが医務室に運んで行った。」
千冬
「………そうか…布仏には…束の言葉が届いたんだな…」
話を聞き終わると千冬は太一とアグモン同様、本音が束の気持ちを理解していた事に喜んだ
だが…
千冬
「…それで…布仏に暴行した馬鹿共は何処だ!!」
今回の騒動の発端となった生徒達に対しては怒りを露わにしていた
本音とは逆にその連中には束の気持ちが伝わっていなかった
しかも束がアレだけ忠告したにもかかわらずコロモンに手を出し、コロモンを守ろうとした本音に暴行を働いたのだ
IS学園の教師として、一人の人間として連中の暴挙を千冬は許すことが出来なかった
オータム
「その馬鹿共なら懲罰房に放り込んでおいた。そろそろ目を覚ます頃だと思うが…行くか?」
千冬
「無論だ!!」
そして千冬はオータムと共に懲罰房に向かった
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リーダー格の生徒
「あ!!織斑先生!!」
懲罰房に入れられた生徒達はオータムの予想通り目を覚ましていた
だが全員が小刻みに震えていた
そして千冬を見ると…
リーダー格の生徒
「織斑先生!!ココから出してください!!何故私達がこんな所に入らないといけないんですか!!」
ココから出せと懇願してきた
自分達がやった事を棚に上げてそんな事を言うこの連中に千冬は呆れると同時に更なる怒りが込み上げて来た
しかも…
リーダー格の生徒
「あいつ等は化け物です!!この世界の異物です!!魔王って言うのを倒し終わるまでは待つべきだと思いましたけど今すぐ始末するべきです!!」
太一とアグモンを排除する様に言って来た
それを聞いた瞬間…
千冬
「黙れ貴様ら!!!」
女達
「!?」
千冬はキレた
【イグドラシル】から頼まれたとはいえ、自分達の世界を助けに来てくれた太一とアグモンに千冬は感謝していた
だからこそ千冬は自分に出来る可能な限りの支援を行おうとしていた
そんな2人に言ってはならない言葉をこの連中は言ったのだ
それが分からず自分勝手な事を言う目の前の連中に千冬の堪忍袋の緒が切れてしまったのだ
リーダー格の生徒
「お、織斑先生…」
千冬
「化け物だと…異物だと…始末するだと…貴様ら!!それが私達の世界を助けに来てくれた恩人に向かって言う言葉か!!!」
女達
「ヒッ!?」
千冬
「しかも貴様等…束の忠告を無視してコロモンに手を出したな!!その上、コロモンを守ろうとした布仏に暴行を加えておきながら自分達は無実だと!!貴様等のやった事の何処にそうなる理由がある!!!」
リーダー格の生徒
「あ…う…」
千冬
「私は貴様等を決して許さん!!一人の教師として…人間として…絶対に許さん!!!」
女達
「………」
千冬の怒鳴り声に女達は言葉を失った
千冬なら自分達の味方になると思い込んでいた為、余計にショックを受けていた
千冬
「お前達にはそれ相応の処罰を下す!!内容はまだ決まっていないが、自分達が許されると思わない事だ!!覚悟していろ!!!」
そう言うと千冬は懲罰房から出て行った
その後に続いてオータムも出て行こうとしたが…
オータム
「ま、お前らの処分は十中八九退学だな…尤も、それだけで済めばいいけどな?」
女達
「…え?」
一言言ってから出ようとした
だが、オータムの最後の言葉の意味が分からなかった
リーダー格の生徒
「ま、待って下さい!それはどう言う意味ですか!?」
その為、オータムを呼び止め問いかけたのだが…
オータム
「…お前等よ~…束を舐め過ぎだ!!」
女達
「!?」
オータム
「俺等が言わなくてもアイツが今回の事に気付かねえ筈ねえだろ?いいか?お前等は束を敵にしちまったんだよ!」
返ってきた言葉は束を怒らせたと言う物だった
オータム
「どんな地獄を見せられるんだろうな~?楽しみにするこったな?」
ある意味死刑宣告とも言える言葉を残して今度こそオータムは懲罰房を出て行った
残された女達は束を敵に回したと言う事実に恐怖し放心状態になってしまっていた…
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それから二日後…
月曜の朝、IS学園では再び全校集会が行われ先日のスカルグレイモンの一件の説明がされた
太一がコロモンをスカルグレイモンに進化させ数人の生徒を脅した事は既に生徒達は知っていたが、太一がこのような行動を取った理由も知っていたので太一を非難する声はそれ程なかった
だが、学園側も今回の騒動を問題視し、そもそもの発端となった生徒達に退学処分を言い渡し、前日の内に学園から退去させていた
そして学園を追い出された元生徒達はその日の内に姿を消した
彼女達がどうなったのかを知る者は誰もいなかった…
一方、太一の方も理由が理由とは言え流石にやり過ぎだと判断されお咎め無しとはいかなかった
その為、臨海学校までに反省文50枚と3日間の謹慎を言い渡された
自分への処分に太一は特に反論などせずに納得して処罰を受け入れていた
しかし、マドカやセシリア達が太一が処罰を受けるのはおかしいと反論したのだが、そんなマドカ達に太一は一言お礼を言うとこれ以上騒ぐなと言って黙らせた
太一にそう言われては彼女達も何も言えず大人しくなったのだが…
?
「………」
一方でマドカ達とは逆に太一が処罰された事を喜ぶ者もいた
その生徒の中の1人は太一が謹慎と反省文を言い渡されるとコッソリと笑みを浮かべていたのだが、その生徒はこれまで散々反省文を書かされているのだが当の本人はその事を綺麗サッパリ忘れていた
その後、太一は50枚の反省文をその日の内に提出し、謹慎中の3日間は部屋でアグモンとのんびり過ごしていた
こうしてタッグトーナメントから始まった騒動はようやく収束したのだった
そして数日後、遂に臨海学校当日となった
<予告>
青い海!白い砂浜!輝く太陽!
遂にやって来た臨海学校!
これまでの戦いの疲れを癒す為、各々は思いっきり羽を伸ばすのだった!
次回!!
ISアドベンチャー 聖騎士伝説
臨海学校
今、冒険が進化する!