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時間は少し戻って箒が飛び出した直後の指令室では…
ドンッ!
千冬
「何事だ!?」
箒の無断出撃にパニックが起きていた
何が起きたのか確認しようとした時…
真耶
「た、大変です!!」
太一を呼びに言った筈の真耶が一人で戻って来た
オータム
「何があった!」
真耶
「し、篠ノ之さんが…」
束
「メガネっ子!!箒ちゃんがどうしたんだ!!」
真耶
「それが…【打鉄】で飛び出しました…」
全員
「何いいいいいいぃぃぃぃぃっ!!!」
箒が【打鉄】を持ち出した…
その事実に指令室の全員が驚きの声をあげた
真耶は太一を探している途中、【打鉄】で飛び出した箒を見かけたので慌てて戻って来たのだ
千冬
「まさかあの馬鹿!?」
クロエ
「はい!箒様の進行方向には【福音】がいます!!」
すると千冬が箒の目的に気付き、すでにクロエが箒の現在位置を調べていた
その結果、箒の目的は【福音】だった
オータム
「野郎…さては盗み聞きしてやがったな!!」
千冬
「クロニクル!!すぐに箒と連絡を取れ!!」
クロエ
「…駄目です!!回線を切ってます!!」
千冬
「チッ!!」
スコール
「千冬!追手は!!」
千冬
「…オルコットと鈴はまだ引き渡しから戻っていない…ラウラとデュノアの位置からではあの馬鹿が【福音】と接触する前に追い付く事は出来ん…となると………真耶!!!」
真耶
「はい!すぐに呼んできます!!」
通信も入れられず、追手を差し向けようにもセシリア達では【福音】との接触前に捕まえられないと考えた千冬は真耶を呼んだ
真耶も千冬が何を言いたいのか分かっているので再び部屋を飛び出していった
千冬
「あの馬鹿…何を考えてるんだ…いや、それ以前にどうやって部屋から出て来たんだ?一緒にいる生徒達はどうしたんだ?」
千冬の疑問も尤もだった
今回の事件が真耶から報告された時、千冬は専用機を持つ太一たち以外は全員をそれぞれが割り当てられた部屋で待機する様に言い聞かせていた
その生徒の中には当然箒も入っている
もし箒が勝手に出て来たのなら同じ部屋の生徒達が千冬達に報告するように言っておいたのだが箒が【打鉄】を持ち出すまでそう言った報告が無かった
その時…
教師
「織斑先生!!」
教師の1人が慌てて入って来た
千冬
「どうしました?」
教師
「はい!先程ISが飛び出したので生徒達の各部屋を見て回ったのですが…」
千冬
「篠ノ之の部屋で何かあったんですか?」
部屋を見て回っていたと聞き、ココに来た理由に思い当たった千冬達だった
教師
「は、はい!その部屋の生徒達なんですが篠ノ之さん以外の全員が眠っているんです!」
千冬
「眠っている?篠ノ之が気絶させたとかではなくて?」
教師
「違います!軽く見ただけですが外傷はありませんでした!それに彼女達を起こそうとしても起きないんです!!」
オータム
「起きないだと!?」
教師
「はい!強めに叩いたり揺さぶってみたんですが目を覚ます様子が無いんです!」
千冬
「………分かりました…とりあえずその生徒達は布団を敷いて寝かせたままにしておいて下さい。検査しようにも今はこの様な状況です。少し落ち着いてからにしましょう」
教師
「わ、分かりました!!」
千冬からの指示を受けその教師は指令室から出て行った
オータム
「おい千冬…コレってまさか…」
千冬
「八神の予想通りだったみたいだ…だがこうなるとこちらも可能な限り戦力を用意する必要があるな………オータム、オルコット達を呼び戻せ!」
オータム
「分かった!」
オータムがセシリア達に連絡を入れた直後…
ドンッ!
全員
「!?」
再びISが飛び立つ音が響いた
千冬
「今度は誰だ!?」
クロエ
「…コレは…い、一夏様です!!」
全員
「何いいいいいいぃぃぃぃぃぃっ!!!」
今度は一夏が無断出撃した
千冬
「謹慎と言っていたのにアイツまで…まさか箒を止めに?…いや…違う!!!」
オータム
「ああ、間違いなく【福音】に再戦を挑む気だ!」
千冬達は一夏の無断出撃が箒を連れ戻す為では無く【福音】を倒す為だという事にすぐに気付いた
千冬
「あの馬鹿…何の為にマドカが体を張ったと思ってるんだ…」
自分の体を張ってまで兄の間違いを正そうとした妹の行動を兄は理解せず無駄にしてしまった
千冬
「…マドカの姿を見て何も感じなかったのか…アレが…『守る』と言う事なんだぞ…何故それを理解しないんだ…お前は…自分の見栄を張る事しか考えていないのか…一夏…」
その事に千冬は嘆いていた
全員
「………」
そんな千冬の姿に誰も声を掛けられなかった
その時…
アグモン
「どうしたの?」
全員
「!?」
真耶に連れられて太一とアグモンが現れた
真耶
「先程ISが飛び立つ音が聞こえたんですけど誰か篠ノ之さんを止めに向かわせたんですか?」
太一
「…アレは一夏だな?」
真耶
「ええっ!?」
今来たばかりの3人は一夏の事をまだ知らなかったが、千冬の様子と今の音…そこから一夏が飛び出したのだと太一は推測した
太一のその問いに全員が頷き推測が当たっている事を告げた
すると…
太一
「アイツ学習せんのか…」
太一とアグモン、そして真耶は全く反省していない一夏の愚行に呆れて溜息を吐いた
千冬
「………」
太一
「はぁ…まあ一夏の事は今は置いておくとして…問題は篠ノ之の方だ…アイツ【福音】と『
全員
「!?」
太一は箒が【福音】に『向かっている』では無く『合流』と言った
その言葉に全員が目を見開いた
オータム
「合流って…お前まさか!?」
太一
「今回の【福音】の暴走…アレは篠ノ之に憑りついている【傲慢の魔王】が引き起こしたものだろ?」
千冬達と同じように太一も既にこの事件の真相に行きついていた
千冬
「八神…【福音】の暴走理由に気付いていたのか?」
太一
「まあな…マドカの治療が終わるのを待っている間に今回の一件を色々と考えていたんだ…その直後に怪しいと睨んでいた篠ノ之の無断出撃だ…【福音】との合流が目的と考えるのが自然の流れだと思ったんだが?」
全員
「………」
太一の推測に全員が頷いた
千冬達も太一の推測に同意した
太一
「そもそも今回の一件を『事故』ではなく『事件』と考えると色々と辻褄が合う…」
そして太一は自分の考えを話し始めた
始めに疑問に思ったのは【
次に【福音】の暴走だった
新型のテストなら暴走の可能性もあるが、問題は暴走を起こした【福音】の行動だった
太一達の近くを通過すると言うのは余りにもタイミングが良すぎたのだ
そう考えた時、太一は事件の裏にデジモンの影を見つけ、さらに箒が飛び出したと聞き、箒に憑りついていると思われている魔王が動き出したのだと思い至ったのだ
太一がそう説明すると全員が頷いた
千冬達も太一達が来る前にそう結論付けていたからだ
そして千冬達は【福音】へのアクセスが出来ない事を話し、太一の推測が当たっている事を伝えた
太一
「お前が弾き出されたのか…ならデジモンが裏にいるのは間違いないな?」
束
「うん!間違いないよ!」
千冬
「それにさっき連絡があったんだが………」
千冬は先程教師の1人が報告してきた事を説明した
箒の割り当てられた部屋の生徒が全員眠りについたと知り、太一とアグモンは表情を険しくしていた
太一
「…アイツにはもう自我が無いのかもしれんな…」
束
「!?」
太一のその言葉に全員が目を見開いた
中でも箒の姉の束が一番の反応をしていた
箒に自我が無い…それはつまり箒の体は憑りついた魔王の傀儡となっているという事に他ならないからだ
だが納得も出来た
何故なら…
太一
「何の外傷も与えずに昏睡状態にするとなると薬か何かを使うしかない…だがあの篠ノ之がそんな都合のいい物を持ってるとは思えん…となると魔王がやったと考えた方が理解出来る…」
こう言う事だからだ
アグモン
「ねえ太一…もしかして…」
太一
「ああ、既に復活目前まで来ている…いや、いつでも篠ノ之を依り代にして復活する事が出来る状態になっていると考えるべきか…それも昨日今日じゃ無いな…恐らく数日前には…」
千冬
「可能になっていたと言うのか!?なら何故すぐに動かなかったんだ!!」
千冬の疑問も尤もだった
もし太一の言う通りならすぐに復活をして太一とアグモンに襲い掛かればよかった
それもIS学園は先の2体の魔王との戦いから始まる度重なる混乱の只中にあった
その上、太一とアグモンも戦いによるダメージが抜けきっていなかった
2人を倒すのに絶好の機会にも拘らず箒に宿る魔王は動かず、今になって動き出した
全員がそう思い至ると一斉に首を傾げた
太一
「………準備をしていたんじゃないのか?」
全員
「準備!?」
そこに太一は自分の考えを口にした
オータム
「それってつまり…」
アグモン
「僕達を倒す準備だよね?」
太一
「ああ、恐らくその準備が出来たから【福音】を暴走させ俺達をおびき寄せようとしたんだろう。だが、いざ俺達を呼び寄せようとしたら向こうにとって想定外な事が起こってしまった…」
千冬
「【福音】の迎撃にお前ではなく一夏を出した事だな?」
真耶
「それに密漁船もですね?」
太一
「多分な…」
オータム
「だがそうなると何故あの時【福音】は引いたんだ?お前を誘き出すのが目的ならそのまま戦えばよかったじゃねえか?」
オータムの口にした疑問に再び全員が考え込んだ
確かにオータムの言う通り、太一が現れたあの時点で餌としての役割は既に果たしていた
にも拘らず【福音】は太一と戦わずに逃げてしまい今に至っている
太一
「確かにな………もしかしたら…【福音】には餌以外にも役割があるのかもしれんな…」
スコール
「他の役割?それって一体…」
太一
「分からん…ただの思い付きだからな…仮にそうだとしても【福音】にどんな使い道があるのか見当もつかない…」
クロエ
「ですよね…」
結局【福音】の役割については何も思いつかなかった
千冬
「それで篠ノ之についてはどうしようもないが…アイツを追いかけて行った一夏はどうする?」
すると千冬が今まで横に置いておかれていた一夏の事を聞いて来た
太一
「どうするもこうするも奴が現れたら避難させるしかないだろ?」
千冬
「だが今の一夏が素直に引くのか?」
無断で飛び出した一夏が魔王が復活したからと言って素直に避難するとは千冬は考えられなかった
ましてやあれだけの失敗を仕出かしながら何の反省もしていない一夏なら【福音】よりも魔王を倒して手柄を立てようと考えかねなかった
太一
「その時は殴って黙らせるだけだ。まあ、確実に殴る事になるだろうな…」
千冬
「だな…私もそうなると思う…」
魔王が復活した時の一夏の行動が目に浮かぶ一同は太一の言った事になるだろうと確信していた
そして、一夏への対処も決まった時…
セシリア
「ただいま戻りました!!」
引き渡しをしていたセシリアと鈴が戻って来た
さらに…
ラウラ
「教官!急いで戻れとは何かあったのですか!!」
警戒に出ていたラウラとシャルロットも戻って来た
千冬がそのまま4人に現在の状況を説明すると…
鈴
「あんの馬鹿男!!!」
シャルロット
「どうしようもないね…」
ラウラ
「篠ノ之も魔王の宿主だったのか…」
セシリア
「ですが言われてみると納得出来ますわ。」
一夏の愚行による文句と箒が魔王を宿していた事による意見をそれぞれ言っていた
千冬
「まあそう言う訳だ…だがお前達、いい時に戻ってきた。お前達はこれより八神の指揮に入れ!魔王が復活した際は八神の指示のもと動け!」
代表候補生達
「了解!!!」
千冬
「そして…必ず生きて自分の足で帰って来い!!マドカの時の様な事はもうごめんだ!!!」
代表候補生達
「はい!!!」
千冬の指令と願いに4人は力強く返事をした
その光景に太一やアグモン、束たちは笑みを浮かべていた
千冬
「八神、アグモン…コイツ等の事を…頼む!」
アグモン
「任せておいて!!」
太一
「ああ!では行くぞ!!」
代表候補生達
「はい!!!」
太一とアグモンと共に4人は指令室を出て行った
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
浜辺に移動するとセシリア、鈴、ラウラ、シャルロットはそれぞれのISを展開した
そして太一はアグモンに【デジヴァイス】を翳すと…
太一
「アグモン!進化だ!!」
[BGM:brave heart]
アグモン
「アグモン!ワープ進化ァァァッ!………ウォ――グレイモ――ンッ!!!」
アグモンはウォーグレイモンへと進化した
ウォーグレイモンの姿を始めて見るラウラとシャルロットは驚きの顔をしていた
だが太一はそんな2人に構わず【デジヴァイス】を再び掲げると…
[BGM:With The Will]
太一
「<デジタル・セレクト>…【モード:ロードナイトモン】!!!」
新たな聖騎士を纏った
それは細身の体にピンクと紫の鎧を纏った姿だった
この聖騎士こそ【ロイヤルナイツ】の中でも2体いるウイルス種の1体…【ロードナイトモン】だったのだが…
セシリア&鈴&ラウラ&シャルロット
「…薔薇?」
その手には何故か赤い薔薇が握られていた
4人は【ロードナイトモン】の姿よりも薔薇の方に目が行っていた
薔薇の存在を4人が疑問に思っていると太一は突然その薔薇を上に放り投げた
セシリア&鈴&ラウラ&シャルロット
「?」
太一の突然の行動に4人は首を傾げながらも薔薇を目で追っていた
すると、薔薇が4つに増え、それぞれがセシリア達4人の髪に刺さった
セシリア&鈴&ラウラ&シャルロット
「え!?」
それはまるで髪飾りの様だった
セシリア&鈴&ラウラ&シャルロット
「あ…」///
突然の薔薇の贈り物に4人は戸惑いながらも頬は赤く染まった
だが…
太一
「さ、行きますよ…皆さん…」
セシリア&鈴&ラウラ&シャルロット
「ブッ!!」
口を開いた太一の喋り方を聞いた瞬間4人は吹いた
太一の口調が変わっていたのだ
ウォーグレイモン
「どうしたんだ太一?その口調は一体…」
そんな太一にウォーグレイモンがツッコんだ
ウォーグレイモンのツッコミに4人も頷いた
一連の太一の行動にはさすがのウォーグレイモンも頭の処理が追いつけずにいた
太一
「『私』にも分かりません。」
全員
「『私』!?」
更に一人称まで『俺』から『私』に変わっていた
突然の太一の奇行に全員が完全にパニくっていた
太一
「恐らくですが、この【ロードナイトモン】が原因でしょう。」
全員
「え?」
太一
「どうやらこの姿になると口調が変化してしまうようですね。困ったものです。」
太一は自分の今の状態をそう推測した
実は太一自身も今の自分の行動と口調に困惑していたのだ
シャルロット
「口調は分かったけど何で薔薇なの?…その…嬉しかったけど…」///
セシリア&鈴&ラウラ
「………」///
太一
「それですが…どうやら【ロードナイトモン】は常に薔薇を持ち歩いているようなのです。」
シャルロット
「そ、そうなんだ…」
太一
「もし皆様が私の送った薔薇がお気に召さないのでしたら捨てて頂いて結構ですよ?」
セシリア&鈴&ラウラ&シャルロット
「そんな事ありません!!!」
太一
「!?」
太一が薔薇を捨ててもいいと言うと4人は物凄い形相で否定した
それは太一でさえ狼狽える程の迫力だった
セシリア&鈴&ラウラ&シャルロット
「一生の宝物にします!!!」
と言って太一から送られた薔薇を嬉しそうに見つめていた
だが、今から戦いに赴く事を思い出し、全員がその薔薇を
太一
「そ、そうですか………あ!そうだ鈴さん…この【ロードナイトモン】ですが、以前話したウイルス種の聖騎士ですよ。」
すると太一が思い出した様に【ロードナイトモン】の属性の事を話しだした
鈴
「え!?それウイルス種なの!?」
セシリア
「てっきり【クレニアムモン】がウイルスだと思ってましたが…」
太一
「【クレニアムモン】はワクチンです。」
セシリア&鈴&ラウラ&シャルロット
「ええっ!?」
【ロードナイトモン】がウイルスで【クレニアムモン】がワクチンと聞いて全員が驚きの声をあげる
太一
「ですから思い込みで判断しない様にと忠告したでしょう?」
セシリア&鈴&ラウラ&シャルロット
「すみません…」
4人が揃って謝った
彼女達は【クレニアムモン】を見た目でウイルスと思い込んでいた
セシリアと鈴は以前束に【Dシリーズ】の説明を受けた時にデジモンの属性による区別をそれぞれの勢力で判断していた
要するにアレと同じで今回は見た目で判断してしまったのだ
ラウラ
「なあ太一…この戦いが終わった後でいいんだが、デジモンについて詳しく教えてくれないか?昨日のアグモンの進化についても今一分からないんだ。」
するとラウラが後日、デジモンの説明をして欲しいと求めて来た
それに同意する様にシャルロットも頷いていた
太一
「…構いませんよ?ですが、それもこれからの戦いを無事に乗り切れた場合になります。よろしいですね?」
ラウラ
「ああ!頼むぞ!!」
太一
「ではそろそろ参りましょう。皆様の準備はよろしいですか?」
ウォーグレイモン
「おう!!!」
セシリア&鈴&ラウラ&シャルロット
「はい!!!」
太一
「結構です!では…出撃します!!!」
そして太一達は飛び立った
【福音】がいる海域へと…
それは今迄で最も激しい戦場となる海だった…
<予告>
命令違反を犯した一夏と箒を追う太一達
到着した6人が見たものは福音と戦う2人の姿があった
その時、箒に起きる突然の異変
遂に傲慢の魔王が復活する瞬間だった
次回!!
ISアドベンチャー 聖騎士伝説
最強の魔王!傲慢の罪ルーチェモン!!
今、冒険が進化する!