ISアドベンチャー 聖騎士伝説   作:イナビカリ

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第067話:悲しき再会!蘇る漆黒の竜戦士!!

銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)

「La~♪」

 

 時間は少し戻って…

 太一とウォーグレイモンに抜かれた【福音】は2人を追撃しようとした

 しかし…

 

セシリア

「貴方の相手はわたくし達です!!」

 

 そこにセシリア達が【福音】に向かって来た

 

銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)

「La?La~♪」

 

 ドドドドドドドドドッ!!!

 

 その為、【福音】は【銀の鐘(シルバー・ベル)】で4人を迎撃しようとしたが…

 

ラウラ

「そんな物が効くか!!《ガルルバ―――スト》!!!

 

 ラウラが【メタルクロス・フェンリル】の一斉砲火…《ガルルバースト》で【銀の鐘(シルバー・ベル)】を全て迎撃した

 

 ドガガガガガガガガガッ!!!

 

 そこに…

 

シャルロット

「貰ったぁぁぁっ!!」

 

銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)

「La?」

 

シャルロット

「《フェンリルソ―――ド》!!!」

 

 ザシュッ!

 

 シャルロットが後ろに回り込み、《フェンリルソード》で【福音】の背中にある【銀の鐘(シルバー・ベル)】を含めたウィングスラスターを根元から斬り落とした

 

シャルロット

「やった!!」

 

 スラスターを斬り落とされた【福音】はそのまま墜落して行った

 

「よし!後は操縦者を引き摺り出せば…」

 

 カッ!

 

全員

「!?」

 

 だがその時【福音】が輝きだした

 

セシリア

「アレはまさか!?」

 

ラウラ

二次移行(セカンドシフト)の光!?」

 

 それを見て4人はこれが【福音】の二次移行(セカンドシフト)だと気付いた

 シャルロットに斬り落とされたウィングスラスターのあった背中を始め全身からエネルギーの翼を生やすと…

 

銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)

「La~♪」

 

 セシリア達に向かって行った

 【福音】はエネルギーの翼から【銀の鐘(シルバー・ベル)】の様なエネルギーの弾丸を打ち出してきた

 だがその数は今迄の比ではなかった

 

 ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドッ!!!!!!!

 

「セシリア!ラウラ!」

 

セシリア

「はい!!《デストロイスマッシャ―――ッ》!!!

 

ラウラ

「《ガルルバ―――スト》!!!」

 

「《ヘル・ハウリング》!!!」

 

 ドガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガッ!!!!!!

 

 【福音】の攻撃に対してセシリアは《デストロイスマッシャー》、鈴は《ヘル・ハウリング》、ラウラは《ガルルバースト》で迎撃した

 

ラウラ

「チィッ!私達3人の一斉砲火と同等だと!?」

 

シャルロット

「あの弾幕は厄介だね…僕の機体にはあの手数に対応出来る武器は無いし…アレを抜けるのは骨が折れるよ?」

 

 元々、広域殲滅戦を得意としていた【福音】だが二次移行(セカンドシフト)した事でその攻撃能力と機動力が飛躍的に上がっていた

 手数の多さだけなら従来のISの性能を越える【Dシリーズ】すら上回っており、セシリア、鈴、ラウラの3人を合わせた一斉砲火とほぼ同じだった

 更に言えばシャルロットの【ヴァルキリー・ドランザー】は他の3機と違い広範囲攻撃が可能な武装が無かった

 だからと言って【福音】の広範囲攻撃に対して手が無い訳でも無かった

 しかし…

 

「私の《メギドフレイム》ならあの弾幕も簡単に抜けられるけど加減を間違えたら搭乗者もただじゃ済まないのよね…」

 

 要するに一点集中攻撃で倒すと言うものだがその場合は下手をすれば【福音】に乗っているナターシャも無事では済まない事になる

 それは鈴の《メギド・ドラグーン》だけでなく他の3人の必殺技も同様だった

 その事を4人ともキチンと理解していた

 

銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)

「La~♪」

 

セシリア&鈴&ラウラ&シャルロット

「くっ!!」

 

 【福音】の攻撃を躱しながら4人は対策を話し合っていた

 

シャルロット

「【福音】の動きを止められれば一気にケリを付けられるのに…」

 

セシリア

「動き…!?」

 

 シャルロットの台詞を聞いてセシリアはラウラを見た

 

ラウラ

「ん?どうした?」

 

セシリア

「ラウラさん、その機体は確か冷凍兵器を積んでいましたよね?」

 

ラウラ

「ああ、必殺技もそうだが、それがどうした?言っておくが弾薬を冷凍弾に変えて《ガルルバースト》を撃っても迎撃されるだけだぞ?それに必殺技も鈴の言った通り搭乗者が危険になるぞ?」

 

セシリア

「分かってます。要は【福音】を動けなくすればいいのでしょう?」

 

シャルロット

「確かにそうだけど、まさかラウラの攻撃で氷漬けにする気?」

 

セシリア

「そうですわ。」

 

シャルロット

「ええっ!?」

 

「アンタ何言ってんのよ!ラウラも必殺技を使えば搭乗者が危険だって言ったじゃない!」

 

ラウラ

「ああ、下手をすれば中の人間ごと本当に凍らせてしまうぞ?」

 

 セシリアの提案に3人は驚きの声をあげる

 

セシリア

「ええ、ですから『ISだけ』を凍らせます。」

 

 だが、セシリアは至って平然と答えていた

 

「ISだけって…そりゃそれが一番いい方法だけどそれをどうやるのよ?」

 

セシリア

「わたくしの技と合わせれば恐らく可能です。」

 

「…アンタの技?………あぁっ!?あの技ね!!」

 

 それを聞いて鈴は思い出した

 セシリアの【クロスウォー・ドレイク】にはこの場所にうってつけの技があった

 その事を思い出した鈴はセシリアが何を考えているのかに気付いた

 

ラウラ&シャルロット

「?」

 

 だが、それを知らないラウラとシャルロットは首を傾げていた

 

「そっか…『直接』じゃなくて『間接的』に凍らせるのね!!」

 

ラウラ&シャルロット

「間接的?」

 

セシリア

「その通りです。この【クロスウォー・ドレイク】には『大量の水』がある場所でしか使えない広範囲技があります。」

 

シャルロット

「え?大量の水って言ったら…」

 

ラウラ

「そうか…『海』か!!」

 

 大量の水と聞いてラウラとシャルロットは下を見た

 彼女達の下にあるのは広大な『海』が広がっていた

 眼下に広がる海を見て2人もセシリアの狙いに気付いた

 

ラウラ

「成程、要するにお前が海水をかけてそれを私が凍らせるという事だな?」

 

セシリア

「はい、それなら搭乗者までは影響を受けない筈です。それに暴走状態とは言っても絶対防御は機能してますから直撃でも無い限り大丈夫な筈です。」

 

シャルロット

「いいね、ならそれで行こう!」

 

 セシリアの作戦に全員が賛同した

 

セシリア

「ですがこの技は撃つのに少し時間を必要とします。申し訳ありませんが…」

 

「みなまで言わなくてもいいわ!準備が終わるまでアンタには手を出させない!行くわよ!!」

 

ラウラ&シャルロット

「了解!!」

 

 鈴の合図で3人は【福音】に向かって行った

 残ったセシリアは攻撃準備に入った

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 ドガガガガガガガガガガガガッ!!!

 

 鈴、ラウラ、シャロットの3人が時間稼ぎの戦闘を始めると、残っているセシリアは一人海面すれすれの高さまで降りていた

 

セシリア

「それでは始めますか…」

 

 そう言ってセシリアは両手を頭上で広げた

 

セシリア

「はぁぁぁぁぁ…」

 

 すると、周囲の海水が水柱の様に立ち上りセシリアの頭上に集まり球体となって行った

 球体は次第に大きくなっていきセシリア以上のサイズとなった

 

セシリア

「…出来ましたわ…」

 

 セシリアは頭上にある完成した巨大な水球を見ると…

 

セシリア

「皆さん!!離れて下さい!!!」

 

 【福音】と戦っている3人に離れるように叫んだ

 それを聞いた3人は【福音】から距離をとった

 だが…

 

銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)

「La?La~♪」

 

 【福音】は3人が離れると1人離れていたセシリアに向かってエネルギー弾を放った

 向かって来る【福音】の攻撃に…

 

セシリア

「好都合ですわ…ラウラさん!行きますわよ!!」

 

ラウラ

「オウッ!!」

 

 セシリアは微笑むとラウラに声を掛け、上体を逸らし大きく振りかぶった

 

セシリア

「喰らいなさい!!《ポセイドンフォ―――スッ》!!!

 

 水球を【福音】目掛けて投げつけた

 これこそが【クロスウォー・ドレイク】の必殺技の一つ…炎の《ガイアフォース》と対を成す、水の《ポセイドンフォース》だった

 

 ドゴオオオォォォンッ!!!

 

 《ポセイドンフォース》が【福音】のエネルギー弾とぶつかった瞬間、水球はエネルギー弾諸共弾け飛び、【福音】ごと周囲は水で覆われた

 その瞬間をラウラは見逃さず、右腕の狼の口を開くと…

 

ラウラ

「《コキュ―――トスッブレスッ》!!!」

 

 口から冷凍ビーム《コキュートスブレス》を放った

 

 バキバキバキバキバキバキバキバキッ!!!

 

 《コキュートスブレス》によって、《ポセイドンフォース》の水は一瞬で凍り付き、巨大な氷塊となった

 【福音】は逃げ出そうとしたが間に合わず体の半分以上が氷塊の中に捕らわれていた

 

セシリア

「成功ですわ!」

 

ラウラ

「ああ!生体反応もある…絶対防御で守られているな!」

 

 セシリアの作戦は成功した

 ラウラがセシリアの放った水を凍らせた事で、【福音】は動きを止められ、スキャンしたところ搭乗者の無事も確認された

 

セシリア

「後は頼みますわ!」

 

 セシリアがそう言うと…

 

鈴&シャルロット

「了解!!!」

 

 鈴とシャルロットが【福音】に向かって行った

 

銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)

「La…La…La…」

 

 【福音】は迫りくる2人を迎撃しようとするが、体が殆ど動かずエネルギー弾を撃つ事が出来なかった

 

「《クリムゾンブレイド》!!!」

 

シャルロット

「《フェンリルソ―――ド》!!!」

 

 そして2人の攻撃が【福音】に当たろうとしたその時…

 

 ガキガキィンッ!!

 

鈴&シャルロット

「!?」

 

ルーチェモンFD

『コレは危なかった…悪いがまだこの玩具を壊される訳にはいかないのだよ。』

 

鈴&シャルロット

「【ルーチェモン】!?」

 

 2人の攻撃は突如現れた【ルーチェモン】によって受け止められていた

 

ルーチェモンFD

『フッ…』

 

 ブンッ!

 

鈴&シャルロット

「グッ!?」

 

 【ルーチェモン】は腕を振るい2人を弾き飛ばした

 

ルーチェモンFD

『折角用意した私の玩具をよくも傷つけてくれたね?』

 

 【ルーチェモン】はそう言うと一瞬で鈴とシャルロットの前に移動すると拳を振り上げた

 

鈴&シャルロット

「え?」

 

 突然の事に2人は反応出来ずにいた

 【ルーチェモン】はそんな2人に向かって拳を突き出した

 だが…

 

 バキンッ!!

 

ルーチェモンFD

『ほう?』

 

セシリア

「ぐっ…ぐぐっ…」

 

鈴&シャルロット

「セシリア!?」

 

 2人の前にセシリアが巨大な盾《ブレイブシールド》で【ルーチェモン】の拳を受け止めていた

 

ルーチェモンFD

『手を抜いたとはいえ私の拳を受け止めるとは大した盾だ。』

 

セシリア

「な、何を言ってますの!!たった一撃で《ブレイブシールド》をこのようにしておいて!!」

 

 《ブレイブシールド》は拳を受けた場所が陥没しておりそこを中心にひび割れていた

 セシリアの言う通りたったの一撃で《ブレイブシールド》は半壊してしまったのだ

 

ラウラ

「コレが魔王の力のほんの一端なのか…凄まじいな…」

 

 そこにラウラも合流した

 4人が合流すると【ルーチェモン】から距離をとった

 

「クッ!?何であんたがココにいるのよ!!…まさか太一とウォーグレイモンは…」

 

 そして、鈴はこの場に【ルーチェモン】が現れた事から2人が倒されたのではないかと思った

 それはセシリア、ラウラ、シャルロットも同様だった

 

ルーチェモンFD

『それが出来ればよかったのだがね…』

 

セシリア&鈴&ラウラ&シャルロット

「え?」

 

 【ルーチェモン】はそう言って視線を鈴達から外した

 そして【ルーチェモン】の視線の先から…

 

太一

「皆さん!!!」

 

セシリア&鈴&ラウラ&シャルロット

「太一(様)!!ウォーグレイモン(さん)!!」

 

 太一とウォーグレイモンが全速力でやって来た

 2人はそのままセシリア達に合流した

 

ウォーグレイモン

「全員無事だな!!」

 

セシリア&鈴&ラウラ&シャルロット

「はい!!」

 

 そして、太一は視線を【ルーチェモン】に向けたまま自分達の方の現状を簡単に説明した 

 4人は一夏がどうなったのかを聞くと…

 

ラウラ

「あの男、やはり返り討ちにあったか…」

 

セシリア

「予想通りの結末ですわね。」

 

シャルロット

「まあ命があるだけ良かったよ…」

 

「そうね、でも【雪片】が折られたのなら今度こそあの馬鹿も自分の力が通用しないって分かったでしょ。」

 

セシリア

「だといいのですけど…今迄が今迄ですからね~…」

 

 余りにも予想通り過ぎた結果の為、一切驚く事は無かった

 それどころか一夏の安否に関しても生きているならそれでいいと言う感じでまるで気にしていなかった

 そのまま太一はその後の事も話した

 太一とウォーグレイモンが【ルーチェモン】と戦っていると突然【ルーチェモン】がセシリア達が戦っている場所に向かって行った為、2人も慌てて追いかけて来たという事だった

 

シャルロット

「でも、何で【ルーチェモン】はあそこまで【福音】に拘るんだろう?」

 

 シャルロットの疑問と同じ事を全員が考えていた

 【ルーチェモン】は2人との戦いを中断してまで【福音】を助けに来た

 そこまでする理由が思いつかなかったのだ

 その時…

 

 バリィン!!

 

全員

「!?」

 

 何かが砕かれる音がした

 4人が音のした方を向くとそこには【ルーチェモン】が氷を殴って砕き、中にいる【福音】を助け出していた

 

ラウラ

「!?…《コキュートスブレス》で凍らせた氷が!?」

 

 ラウラは自分の氷を【ルーチェモン】がいとも容易く砕いた事に驚いていた

 【メタルクロス・フェンリル】の作り出した氷はその辺にある氷の数倍の強度がある

 並のISでは砕く事自体簡単には出来なかった

 それを【ルーチェモン】は簡単に砕いた

 これだけでもデジモンとISの力の差を理解するには十分だった

 

ルーチェモンFD

『フフフ…何故私がこの玩具に拘るのか…それが知りたいのかね?』

 

全員

「!?」

 

 先程のシャルロットの言葉が聞こえていたのか【ルーチェモン】が聞いて来た

 

ルーチェモンFD

『君達も知っているだろうが私達【七大魔王】は憑りついた人間を依り代にして復活する。』

 

 すると【ルーチェモン】は自分の目論見を話し始めた

 

ルーチェモンFD

『だが…実は『人間だけ』では復活する事は出来ないのだよ。』

 

全員

「!?」

 

 憑りついた人間を依り代にするだけでは復活出来ない…

 【ルーチェモン】はそう言っているのだ

 

太一

「…そうか…ISですね?」

 

全員(太一以外)

「え!?」

 

 突然の【ルーチェモン】の暴露に太一は気付いた

 復活に必要な他の要素…それはISだった

 

太一

「今迄は復活に必要なのはそれぞれの魔王が司る大罪がエネルギー源になっていると思っていましたが…どうやらそれだけでは足りなかったようですね…思い返してみれば貴方達4人は全員が専用機持ち…常にISを所持しています…ですが篠ノ之は持っていません…【ルーチェモン】がこのタイミングで復活したのも量産機を纏っていたからですね?」

 

ルーチェモンFD

『正解だ!!こうして復活した後は必要無いのだがね?ISは私達魔王が復活する時の起爆剤として必要なのだよ。』

 

 太一の推測を【ルーチェモン】は認めた

 

ルーチェモンFD

『尤も他の魔王と違い、私の依り代はこの【傲慢の魔王】が認める世界一【傲慢】な人間…そのお陰で私は完全復活せずとも依り代を使ってある程度は自由に動けたのだ。』

 

全員

「………」

 

 箒への皮肉は全員が聞き流していたが、セシリア達代表候補生は【ルーチェモン】が何を言いたいのか分からなかった

 

ラウラ

「クッ…結局お前は何が言いたいんだ!!」

 

 その為、ラウラは本題を言えと怒鳴り声をあげた

 

ルーチェモンFD

『オッとスマナイね、話が逸れてしまったよ。まあそこの2人は既に分かっているようだが?』

 

セシリア&鈴&ラウラ&シャルロット

「え?」

 

 【ルーチェモン】がそう言うと4人は太一とウォーグレイモンを向いた

 太一は顔が覆われているので分からないがウォーグレイモンも分かりづらいが険しい表情をしていた

 

セシリア

「太一様、ウォーグレイモンさん、どういう事ですか?」

 

太一

「簡単です…要するに【ルーチェモン】は【福音】を使ってデジモンを呼び出そうとしているんですよ。」

 

セシリア&鈴&ラウラ&シャルロット

「デジモンを!?」

 

ウォーグレイモン

「そうだろ?」

 

ルーチェモンFD

『フフフ…その通り!またもや正解だよ!!』

 

 太一の答えは正解だった

 【ルーチェモン】が【福音】を守ったのもこれから呼び出そうとしているデジモンの依り代にする為だったのだ

 

「そうだとしてもアンタがココまで【福音】に固執する理由が分からないわね!」

 

 だが、鈴は【ルーチェモン】が数あるISの中から何故、新型のそれも他国で稼働実験中の【福音】に目を付けたのかが分からなかった

 

ルーチェモンFD

『ん?別に固執していた訳では無いのだがね?私がこの玩具を選んだのは単に『名前』が気に入ったからだよ。』

 

「な、名前ですって!?」

 

 その理由は【銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)】と言う名前だった

 

ルーチェモンFD

『そう、【銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)】…いい名前だと思わないかい?』

 

シャルロット

「そんな…ただ名前が気に入っただけでこんな事を…それだけの理由でナターシャさんは巻き込まれたって言うの…」

 

 ただ名前が気に入ったと言う理由だけでこれほどの事件を引き起こし、更には関係の無いナターシャを巻き込んだ

 その余りにも身勝手な【傲慢】さに全員が怒りを露わにしていた

 

ルーチェモンFD

『フ…何を怒る?私は【傲慢の魔王】だぞ?自分の思い通りにやってこそ【傲慢】と言うものだろう?』

 

 だが、【ルーチェモン】はそんなセシリア達に開き直りの様に言い返してきた

 

ラウラ

「屁理屈を!!」

 

ルーチェモンFD

『フッ…何とでも言いたまえ。それに人間などそこらにいくらでもいる。1人2人消えた所で問題あるまい?』

 

「何ですって!!」

 

ルーチェモンFD

『違うのかね?この世界はそういう世界だろ?そのISと言う玩具で自分の欲望の赴くまま、自分勝手に同族を陥れ、命を奪い、滅びの道を進んでいるのは君達人間だろ?』

 

シャルロット

「それは…」

 

ルーチェモンFD

『そんな世界に生きる君達に私のやる事をとやかく言われたくはないね?まあ、言う資格があっても私は止めないがね?なにしろ私は…【()()()()()】だからね?』

 

 【傲慢】の名の通り、自分勝手に好き放題言う【ルーチェモン】だが、セシリア達は言い返したくても【ルーチェモン】の言う事のいくらかは本当の事なので中々否定の言葉が出てこなかった

 その時…

 

太一

「言いたい事はそれだけですか?」

 

セシリア&鈴&ラウラ&シャルロット

「!?」

 

 今まで黙っていた太一が口を開いた

 

ルーチェモンFD

『ふむ、確かに君はこの世界の人間ではない。私に物申す事も出来るね?それで何か言う事があるのかな?』

 

太一

「別にありませんね。」

 

セシリア&鈴&ラウラ&シャルロット

「えっ!?」

 

ルーチェモンFD

『ほう…』

 

 【ルーチェモン】の言う事を否定しない太一にセシリア達は驚きの声をあげた

 否定しない太一にセシリア達は少なからずショックを受けたのだ

 対する【ルーチェモン】はそんな太一を興味深そうに見ていた

 

太一

「この世界の未来はあくまでこの世界に生きる者達が決める事…余所者の私がとやかく言う資格はありません。それは【ルーチェモン】…お前達【七大魔王】もそれは同じです!!」

 

ルーチェモンFD

『…成程…それが君の答えか…』

 

 太一は【ルーチェモン】の言う事を否定はしなかった

 それはこの世界は【ルーチェモン】の言う通りの世界だったからだ

 だが、だからと言って別世界から来た自分や【ルーチェモン】達【七大魔王】がこの世界で好き勝手にやっていい理由にはならない

 太一はそう言い放った

 

ルーチェモンFD

『やはり魔王と聖騎士では意見が合う事は無いね?』

 

太一

「そんな事初めから分かっていた事でしょう?私は自分に与えられた使命を果たす…お前達【七大魔王】を倒し、この世界の未来をこの世界の人々へと返す為に…戦うだけです!!」

 

 そして対峙する両者…

 片や世界を魔王の魔の手から救う為…

 もう一方は世界を闇に染める為…

 太一達と【七大魔王】…その間にあるのは戦いだけだった…

 

セシリア&鈴&ラウラ&シャルロット

「太一(様)!!」

 

 2人のやり取りに口を挟めなかった4人だったが、この世界の未来の為に戦うと言った太一の言葉に表情が明るくなった

 セシリア達もそして指令室の束達も太一の言いたい事を理解したのだ

 

ルーチェモンFD

『成程…君の言う事にも一理ある…だが、私達がココに来た以上…もはやこの世界の未来は闇に染まる事のみ!!!』

 

全員

「!?」

 

 【ルーチェモン】がそう言った瞬間、太一達はすぐさま身構えた

 

ルーチェモンFD

『クククッ…ではそろそろ始めるとしようか!!』

 

 その時、周囲の空気が変わった

 

ルーチェモンFD

『さあ、【銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)】よ!!その名の如く今こそ復活の福音を鳴らすのだ!!!』

 

銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)

「Laaaaaaaaaaaaaa!!!」

 

 そして【ルーチェモン】の言葉に反応する様に【福音】から黒い光が溢れ出し、そのまま【福音】を包み込むと今まで現れた魔王と同じように卵の形になった

 

太一&ウォーグレイモン

「【デジタマ】!?」

 

 【デジタマ】はそのまま膨らんでいき【ルーチェモン】の時と同じくらいのサイズで止まった

 そして…

 

 ピシッ…

 

 【デジタマ】がひび割れて行った

 

ルーチェモン

『クククッ…さあ蘇るがいい!!『漆黒の竜戦士』よ!!!』

 

太一&ウォーグレイモン

「何!?」

 

 バリイイイィィィ―――ン!!!

 

 全員の目の前で【デジタマ】が割れた

 だが、そこから現れたのは…

 

セシリア&鈴&ラウラ&シャルロット

「…え?」

 

太一 

「まさか!?」

 

ウォーグレイモン

「お前は!?」

 

『オオオオオオオオォォォォォォォォォォッ!!!!!』

 

 全員の目の前に現れたデジモン…

 鈍く輝く鋭い爪…光を写さない冷たい眼…【勇気】の紋章を持たないその姿…

 それは、黄色の鬣に漆黒の肌と鎧を身に纏った『()()()()()()()()』…

 即ち…

 

太一&ウォーグレイモン

「【ブラックウォーグレイモン】!?」

 

 ウイルス種のウォーグレイモン…【ブラックウォーグレイモン】(以後、Bウォーグレイモン)だった…

 

Bウォーグレイモン

『オオオオオオオオォォォォォォォォォォッ!!!!!』

 

 




 <予告>

 ルーチェモンが蘇らせたのはかつて太一達の世界でアグモンと心を通わせ自らの命を犠牲にしたデジモン…Bウォーグレイモンだった

 束からBウォーグレイモンの話を聞き、その生涯に心を痛める千冬達

 そして、そんなBウォーグレイモンを利用するルーチェモンに怒りを燃やしていた

 だが、ルーチェモンは太一とウォーグレイモンを苦しめる為に更なる手を打っていた




 次回!!

 ISアドベンチャー 聖騎士伝説

 卑劣なるルーチェモンの策略!!

 今、冒険が進化する!

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