ISアドベンチャー 聖騎士伝説   作:イナビカリ

72 / 133
第068話:卑劣なるルーチェモンの策略!!

セシリア

「何ですの…あのデジモン…」

 

「黒い…ウォーグレイモン!?」

 

 【ルーチェモン】が復活させた【Bウォーグレイモン】の姿にセシリア達4人も激しく動揺していた

 色が違うとはいえ今まで太一と共に自分達を守ってくれていたデジモンが敵として現れたのだ

 4人の動揺は当然の物だった…

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

千冬

「【Bウォーグレイモン】だと!?」

 

 指令室では現場のセシリア達同様、【福音】を依り代にして現れた【Bウォーグレイモン】に騒然となっていた

 

スコール

「太一の予想が当たったわね…」

 

オータム

「ああ、まさか【福音】にこんな使い道があったとはな…まさかデジモンを呼び出す為の依り代にしやがるとは…」

 

真耶

「ですが…何故こんな方法を取ったんでしょうか?」

 

全員

「え?」

 

真耶

「デジモンを呼ぶだけなら【バルバモン】の時の様に召喚すればいい筈なのに何故【福音】を生贄にするような方法を取ったんでしょう?」

 

全員

「あ!?」

 

 真耶の疑問に全員が気付いた

 ラウラに憑りついていた【バルバモン】は魔方陣で大量のデジモンを呼び出していた

 だが【ルーチェモン】はそんな事はせずに【福音】を依り代にすると言う方法を取った

 いくら呼びだしたのが究極体の【Bウォーグレイモン】とは言え、【バルバモン】も同じ究極体の【デスモン】を召喚していた

 それを考えると【ルーチェモン】は余りにも手間をかけ過ぎていたのだ

 

千冬

「言われてみるとそうだな…」

 

クロエ

「もしかして【ルーチェモン】は【バルバモン】みたいに簡単にデジモンを呼び出す事が出来ないのでは?」

 

千冬

「それなら納得出来るが…どうも腑に落ちんな…」

 

 クロエの言う事に納得しつつも千冬達は今一シックリ来なかった

 千冬達が悩む中…

 

「…【B…ウォーグレイモン】…」

 

 束はモニターに映る【Bウォーグレイモン】を見つめていた

 

(…ただの偶然?…でも…まさか【ルーチェモン】は…)

 

 呼び出し方に疑問を持っている千冬達と違い、束は【ルーチェモン】は数ある究極体デジモンの中から【Bウォーグレイモン】を選んだ事に疑問を持っていた

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

ウォーグレイモン

「【Bウォーグレイモン】…」

 

ルーチェモンFD

『フフフ…いかがかな?私のサービスは?』

 

太一

「悪趣味としか言えませんね…それで私達の動揺を誘う気ですか?」

 

 確かに2人も動揺はしていた

 だがすぐに気を取り直していた

 それはウォーグレイモンも同じだった

 だが【ルーチェモン】は【七大魔王】最強のデジモン…その嫌らしさは狡猾な【バルバモン】すら上回っていた

 

ルーチェモンFD

『フフフ…私がココまで手間をかけて呼び出したのが『ただ』の【Bウォーグレイモン】だと思うのかね?』

 

太一

「ただの…【Bウォーグレイモン】?」

 

 2人は【ルーチェモン】が何を言いたいのか分からなかった

 だが…

 

太一&ウォーグレイモン

「………まさか!?」

 

 2人は気付いた…

 自分達の目の前にいるデジモンの正体に…

 

ルーチェモン

『フフフ…そう、この【Bウォーグレイモン】は…『()()()()()()()』からわざわざ呼び寄せた『()()()()()()()』だ!!!』

 

太一&ウォーグレイモン

「何っ!?」

 

 【ルーチェモン】のその言葉に2人は目を見開いた

 太一とウォーグレイモンの世界で【Bウォーグレイモン】と言えば1体しか存在していなかったからだ

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 同じ頃、【ルーチェモン】から【Bウォーグレイモン】の正体を知った指令室では…

 

「やっぱり…あのデジモンは!?」

 

千冬

「どうしたんだ束!?お前あのデジモンを知ってるのか!?」

 

 【Bウォーグレイモン】の正体を知って束は激しく動揺していた

 

オータム&スコール&クロエ

「………」

 

 それはオータム、スコール、クロエも同じだった

 

真耶

「み、皆さんまでどうしたんですか!?」

 

スコール

「【ルーチェモン】…何て事を!?」

 

オータム

「死者を何だと思ってんだ!!」

 

千冬&真耶

「死者!?」

 

 千冬と真耶はオータムの口にした『死者』と言う単語に驚きの声をあげた

 

クロエ

「そうか…だから【福音】を…【Bウォーグレイモン】の体にする為に…」

 

 驚く二人を他所にオータム達は何故【ルーチェモン】がこんな手間のかかる方法を取ったのかが分かった

 

千冬

「お前達何を言ってるんだ!死者とは何だ!!」

 

 だが、【Bウォーグレイモン】について何も知らない千冬と真耶は束達に問いかけた

 

「…以前…たっくんとアッくんから聞いたんだよ…『デジモンじゃ無いデジモン』の話を…」

 

千冬

「デジモンでは無い…デジモン?」

 

 そして束は太一から聞かされた話を搔い摘んで説明した

 ちなみに現場にいるセシリア達4人も通信越しに話を聞いていた

 

「【デジタルワールド】には…一時期【ダークタワー】って言う塔が大量に建てられた事があったんだ…」

 

千冬

「【ダークタワー】?」

 

「うん………」

 

 一度頷くと束は説明を続けた…

 当時、【アルケニモン】と言うデジモンが大量に建てられた【ダークタワー】を使いデジモンを作り出し太一の後輩達と戦っていた…

 【アルケニモン】が作り出した【ダークタワーデジモン】はデジモンの姿や能力、技は本物と同じだがその実態は【ダークタワー】を作り変えた暗黒物質のデータの塊であり、所謂ロボットの様な物でしかなかった

 そんな戦いの中、太一の後輩達を倒す為に【アルケニモン】は【ダークタワー】を100本集めて1体の究極体クラスの【ダークタワーデジモン】を作り出した…

 そのデジモンこそが【Bウォーグレイモン】だった…

 

千冬

「そうか…だからデジモンでは無いデジモンなのか…」

 

真耶

「それで【ルーチェモン】は【Bウォーグレイモン】の事を『モドキ』って言ったんですね?」

 

「うん、それで生み出された【Bウォーグレイモン】何だけど………」

 

 束は話を続けた…

 本来ならロボットのように【アルケニモン】の命令を聞く筈の【Bウォーグレイモン】だが何故か【アルケニモン】の言う事を全く聞かなかった…

 その理由は【Bウォーグレイモン】には本来【ダークタワーデジモン】には存在しない『心』があった為だった…

 だが【Bウォーグレイモン】は自分に心がある事に苦悩し、【デジタルワールド】を暴れまわっていた…

 その途中でアグモンと出会い説得を受けたがその時は耳を貸さなかった…

 その後も暴れ続けた結果、とうとう【四聖獣】の1体…【チンロンモン】が動く事態になってしまった…

 

千冬

「【チンロンモン】…まさか【四聖獣】が動くとはな…」

 

「うん…【Bウォーグレイモン】は【チンロンモン】に戦いを挑んだけど手も足も出なくてね…【チンロンモン】からその正体を知らされたんだ…」

 

千冬

「【Bウォーグレイモン】の正体?」

 

「【Bウォーグレイモン】の元になった【ダークタワー】はね?【デジタルワールド】のバランスを崩し、【チンロンモン】達【四聖獣】の力を封じる効果があったんだ…それを100本も束ねて作り出された【Bウォーグレイモン】はただそこに存在するだけで世界のバランスを崩してしまう存在だったんだよ…」

 

千冬

「存在するだけで世界のバランスを崩すだと!?」

 

「うん、それこそ歩くだけで空間に歪みを作り出す程にね…」

 

真耶

「あ、歩くだけで…」

 

「でもね、そんな【Bウォーグレイモン】の存在を【チンロンモン】は否定しなかったんだ…存在する限りそこには必ず意味があるって言ってね…」

 

千冬

「存在する意味…【チンロンモン】はその意味を教えたのか?」

 

「ううん、それは【Bウォーグレイモン】にしか見つけられないってさ…でも、その言葉に【Bウォーグレイモン】の心は動かされたんだよ…」

 

千冬

「…流石は【四聖獣】の1体と言うべきか…そんな危険なデジモンを説教で止めるとは…」

 

 千冬は話の中で【Bウォーグレイモン】がいかに危険なデジモンかを知るとそんなデジモンを言葉で止めた【チンロンモン】を素直に尊敬した

 自分ではまずそんな事は出来ない事だからだった

 

「そうだね…それで【Bウォーグレイモン】は自分を受け入れてくれる世界を探しに【デジタルワールド】から姿を消したんだ…でも…」

 

千冬

「…見つからなかったのか?」

 

「…うん…それで戻ってきた【Bウォーグレイモン】は色々あってアッくんやたっくんの後輩君達のデジモンと戦って再び心を動かされたんだ…それからはどんなに無様でも我武者羅に生きようって決めたんだ…でも…その後…たっくん達と敵対していたデジモンの攻撃から人間を庇って…致命傷を受けたんだよ…」

 

千冬

「致命傷だと!?なら【Bウォーグレイモン】は…」

 

「もう助からなかった…それでも最後の力をふり絞って【デジタルワールド】と現実世界を繋ぐゲートの一つを封印して…消滅したんだ…」

 

千冬&真耶

「………」

 

セシリア&鈴&ラウラ&シャルロット

『………』

 

 束から語られた【Bウォーグレイモン】の話に千冬も真耶も、通信越しに聞いていたセシリア達も言葉を失った

 心を持った為に悩み苦しみ続け漸く自分の生き方を決めた矢先に敵の手にかかり命を落とした

 その余りにも悲しい一生に全員が心を痛めていた

 

真耶

「心があるだけで…そんなに苦しむなんて…」

 

 真耶などは半泣きするほどだった…

 

スコール

「そうね…何故心があるのかなんて考えた事も無い私達には【Bウォーグレイモン】の苦しみを理解する事は出来ないでしょうね…」

 

千冬

「ああ…だが、そんな話を聞いては…【ルーチェモン】!!静かに眠っていた【Bウォーグレイモン】をわざわざ此方の世界で呼び起こすとは…何て奴だ!!!」

 

 それと同時に【Bウォーグレイモン】を無理矢理復活させた【ルーチェモン】に激しい怒りを燃やしていた

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 千冬達が束から【Bウォーグレイモン】について説明を受けている頃、太一とウォーグレイモンは…

 

太一

「【ルーチェモン】!!!」

 

ウォーグレイモン

「キサマァァァッ!!!」

 

 【ルーチェモン】への怒りに体を震わせていた

 

ルーチェモンFD

『ククク…そうそう、その顔が見たかったのだよ…わざわざ時間をかけて用意した甲斐があると言うものだ。』

 

太一

「何…だと…貴様っ!!それだけの為に【Bウォーグレイモン】を蘇らせたのか!!!」

 

 太一は怒りから【ロイヤルナイツ・ロードナイトモン】の影響を打ち消していた

 そしてウォーグレイモンは…

 

ウォーグレイモン

「【Bウォーグレイモン】!!俺だ!!アグモンだ!!」

 

 【Bウォーグレイモン】に呼びかけた

 しかし…

 

Bウォーグレイモン

『………』

 

 【Bウォーグレイモン】からの返事は無かった

 

ウォーグレイモン

「どうしたんだ!!俺が分からないのか!!」

 

 尚も呼び掛けるウォーグレイモンに…

 

ルーチェモンFD

『クククッ…ハハハハハハハハハハハハハハッ!!!』

 

 【ルーチェモン】の高笑いが響き渡った

 

太一

「何がおかしい!!」

 

ルーチェモンFD

『クククッ…何…この人形に必死に呼びかける君が面白くてね?』

 

ウォーグレイモン

「人形だと!?【Bウォーグレイモン】は人形でもモドキでも無い!!俺達と同じ『心』を持ったデジモンだ!!!」

 

 【Bウォーグレイモン】を人形呼ばわりする【ルーチェモン】にウォーグレイモンは憤慨した

 それは太一も同様だった

 

ルーチェモンFD

『心?あぁ、そう言えばコレにはそんな物があったね?フッ…たかが人形風情に心などと言う不必要な物があるとはな?』

 

太一

「そんな物だと!?不必要だと!?…まさか…貴様!!!」

 

 【ルーチェモン】の言葉を聞いて太一は気付いた

 【Bウォーグレイモン】が今どういう状態なのかを…

 

ルーチェモンFD

『…心…そんな邪魔なもの…とっくに『消去』しておいたよ!!!』

 

太一&ウォーグレイモン

「!?」

 

 そう、【ルーチェモン】は【Bウォーグレイモン】を復活させる過程で心を消去し、自分の命令に忠実に動くようにデータを書き換えていた

 

太一&ウォーグレイモン

「【ルゥゥゥゥゥチェモォォォォォンッ】!!!」

 

 それを聞いた瞬間、2人の怒りが爆発した

 2人は怒りのまま【ルーチェモン】へと飛び出した

 だが…

 

ルーチェモンFD

『【Bウォーグレイモン】。』

 

Bウォーグレイモン

『………』

 

 2人の前に【Bウォーグレイモン】が立ち塞がった

 

太一

「【Bウォーグレイモン】!?」

 

ウォーグレイモン

「退いてくれ!!俺達はお前とは戦いたくないんだ!!!」

 

太一

「頼む!!目を覚ましてくれ!!」

 

Bウォーグレイモン

『………』

 

 2人は必死に呼びかけた

 しかし…

 

ルーチェモンFD

『【Bウォーグレイモン】…行け。』

 

Bウォーグレイモン

『オオオオオオオオォォォォォォォォォォッ!!!』

 

 【Bウォーグレイモン】は【ルーチェモン】の命令しか聞かなかった

 【ルーチェモン】の命令を受け、太一とウォーグレイモンに襲い掛かる【Bウォーグレイモン】に…

 

太一

「クソオオオオオォォォォォッ!!!」

 

ウォーグレイモン

「【Bウォ―――グレイモ――――――ン】!!!」

 

 2人の叫びが響くのみだった…

 

 




 <予告>

 ルーチェモンによって心を消され襲い掛かるBウォーグレイモン

 ウォーグレイモンはルーチェモンを太一に任せ、Bウォーグレイモンとの戦いに挑む

 戦いの中、Bウォーグレイモンの心を取り戻そうと叫び続けるウォーグレイモン

 果たしてウォーグレイモンの声は届くのか



 次回!!

 ISアドベンチャー 聖騎士伝説

 心を取り戻せ!目覚めろブラックウォーグレイモン!!

 今、冒険が進化する!

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。