ISアドベンチャー 聖騎士伝説   作:イナビカリ

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第080話:心の奥底に潜む本質

太一

「『悪癖』の事を考えたか?」

 

 太一は以前、一夏が喧嘩を売って来た時に言った一夏の悪癖について聞いて来た

 だが…

 

一夏

「悪癖だと!?俺にそんなものがあるか!!」

 

 やはり一夏は自分に悪癖がある事を認めていなかった

 その為、当然の事ながらその事を考えてもいなかった

 

太一

「ハァ…やはりか…お前はそう言う人間だからな…」

 

一夏

「何だと!!」

 

 だが、そんな一夏の返答も太一の予想通りだった

 なので…

 

太一

「お前が認めたくなくてもお前には悪癖がある。それを認めて直さなければお前はこれからも前に進む事は出来んぞ?」

 

一夏

「ぐっ…じゃあ俺にどんな悪癖があるって言うんだ!!!」

 

 一夏自身も聞いて来たので教える事にした

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

セシリア

「織斑さんの悪癖ですか…」

 

「ハンッ!アイツの悪癖なんて数えだしたらキリが無いわよ!!」

 

 覗いていた4人も一夏の悪癖について考えていた

 だが、これまでの一夏の事を考えると候補が多すぎた

 特に昔の一夏も知っている鈴からすれば一夏の悪いところなどいくらでも出て来た

 

千冬

「そうだな…」

 

セシリア&鈴&ラウラ&シャルロット

「え!?」

 

 その時、不意に聞こえた声に4人は振り返った

 そこにいたのは千冬とオータムだった

 

「千冬さんにオータム先生!?」

 

シャルロット

「何故ココに!?」

 

千冬

「オータムから一夏が八神の所に向かったと聞いてな…アイツがまた何かやらかさないかと思って来たんだ。」

 

セシリア&鈴&ラウラ&シャルロット

「あ~…」

 

 2人がココに居る理由に4人は納得した

 そしてそのまま千冬とオータムも加わって太一と一夏のやり取りを見守る事にしたのだった

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

太一

「さて、お前の悪癖だが…正直に言うと挙げればキリがない。」

 

一夏

「何だと!?」

 

 鈴と同じような事を言う太一に早速一夏は噛みついた

 だが…

 

太一

「その中でも特に酷いのが3つある。」

 

一夏

「み、3つだと!?」

 

 太一は一夏の悪癖の中でも特に問題と言っていい悪癖を3つにまで絞っていた

 

太一

「そうだ、まず1つ目はその『プライドの高さ』だ。」

 

一夏

「プ、プライド!?」

 

太一

「そうだ、お前はプライド『だけ』は無駄にデカい。だが、そのプライドの高さにお前自身が着いて行けてない。」

 

一夏

「何、だと…」

 

太一

「お前は学園の他の生徒達と比べても…知識…実力…経験…その全てが劣っている。にも拘らずそのデカいだけのプライドのせいでその事に気付かず自分を常に過大評価している。」

 

一夏

「そ、そんな事…」

 

 一夏は違うと言おうとした

 だが…

 

太一

「なら、『入学初日のセシリアとのやり取り』は何だ?」

 

一夏

「え?」

 

太一

「あの時はセシリアの物言いも原因だが、お前はアイツが『女』と言うだけで『見下した態度』で返していたな?」

 

一夏

「そんな、事は…」

 

太一

「なら何故『ハンデ』何て言った?セシリアが謝っても『お前は謝らなかった?』」

 

一夏

「そ、それなら俺だって謝っただろ!!」

 

太一

()()()()()()()()()

 

一夏

「!?」

 

太一

「あの時、俺が何も言わなかったらお前は自分からセシリアに謝ろうとはしなかっただろ?」

 

一夏

「………」

 

 一夏は言い返せなかった

 あの時は太一に謝れと言われたので一夏は渋々ながら謝ったが、太一が口出ししなければ一夏は初めから謝るつもりが無かった

 そしてこれが一夏のプライドが高いという事にもなるのだった

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

オータム

「確かにそうだな?」

 

千冬

「だな…」

 

セシリア

「ううっ…あの時の自分が恥ずかしいですわ…」

 

 1つ目の悪癖を聞いて千冬とオータムは納得し、セシリアはその時の自分を思い出し凹んでいた

 

鈴&ラウラ&シャルロット

「?」

 

 一方でその時の事を知らない3人は首を傾げるだけだった

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

太一

「2つ目は『視野の狭さ』だ。」

 

 1つ目の悪癖を否定出来ずにいる一夏に太一は2つ目を話し始めた

 それは一夏の視野の狭さだった

 

一夏

「視野…だと!?」

 

太一

「そうだ、お前のその眼は自分に都合のいい事しか映さない。自分の都合の悪い事、不利益になる事、知りたくない事は全て視界の隅に押しやって記憶からすぐに消去している。」

 

一夏

「そんな、事は…」

 

 一夏はまた否定しようとした

 しかし…

 

太一

「これまでの自分を振り返ってもそう言えるのか?」

 

一夏

「!?」

 

 否定を口にしようとする前に太一が口を開いた

 

太一

「これまでのデジモンとの戦い…俺や織斑先生達はお前では無理だと何度も言った。だがどれだけ言ってもお前は聞こうとしなかった。奴等の力を見ても次に現れたデジモンを見てすぐに自分に都合のいい考えをして行動していただろ?」

 

一夏

「………」

 

太一

「…まあ、そんな事を言ってもお前は『覚えていない』だろ?すぐに『忘れる』んだからな?」

 

一夏

「くっ…」

 

 結局一夏は2つ目の悪癖に関しても否定する事は出来なかった

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

「ホント、太一の言う通りアイツの目って一体どう言う作りをしてるんだろ?」

 

オータム

「『ガラス玉』かなんかじゃねえのか?」

 

千冬

「そこまで言わなくても…いや、そう言いたくもなるか…ハァ~…」

 

 明らかに失礼な事を言うオータムだが千冬は完全に否定出来なかった

 そう言われても仕方なかったからだ

 

セシリア&ラウラ&シャルロット

「アハハハ…」

 

 そんな千冬にセシリア達は乾いた笑いを上げるのだった

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

太一

「最後の1つだが…」

 

一夏

「………」

 

 3つ目の悪癖を太一が言おうとするが一夏はもはや何も言えなかった

 ただ太一を睨みつける事しか出来なかった

 

太一

「それは『自己完結思考』だ。」

 

一夏

「自己…完結?」

 

 3つ目の悪癖を聞いて一夏は首を傾げた

 先の2つと違い意味が分からないからだ

 

一夏

「何だよ…それ…」

 

太一

「お前の『思考パターン』とでも言うべきものだ。」

 

一夏

「…思考パターン…」

 

太一

「そうだ、自己完結…つまりお前は自分の中の考えに答えを出すとそれが絶対に間違っていないと決めつけている。」

 

一夏

「そんな事!?」

 

太一

「無いと言いたいのか?なら聞くが、お前の中で結論付けた事と現実が違っていた時、お前はどっちが正しいと思っている?」

 

一夏

「そ、それは…」

 

太一

「自分が正しいと思ってるんだろ?周りが何を言おうと、結果が出ていても、それが自分の考えと違えばお前はそれに納得していない。受け入れようとしない。お前は自分の考えこそが正解だと常に思っているんだろ?」

 

一夏

「ぐっ…」

 

 コレが一夏の最後の悪癖

 そして一番性質の悪い悪癖だった

 一夏は自分の考えが周りと違った場合、自分の方が間違えていると言う自覚が無かった

 周りが何を言っても間違っているのは自分では無く相手の方だと決めつけていた

 その為、周りがどれだけ注意をしても全く懲りないのだ

 

太一

「どうなんだ?」

 

一夏

「………ああそうだ!!俺は…俺は何も間違った事はやってねえ!!俺は今まで間違えた事なんかねえんだ!!間違ってんのはお前の方だ!!!」

 

 太一の確認の問いに一夏は逆ギレ気味に答えた

 だが、その答えを聞いて…

 

太一

「………」

 

 太一は内心驚いていた

 どんな人間でも大なり小なり間違いと言うものは必ず起こす

 その為、太一のこの質問に対しては流石の一夏も少しは否定し、自分も間違いは犯すと言うと思っていたのだ

 だが、一夏の顔を見る限り…

 

太一

(間違えた事は無い、か…この眼…本気で言ってるな…まさかここまでハッキリ言うとは…いっそ清々しく感じるな…)

 

 一夏が本心から言っているのだと分かった

 だが、この言い分は一夏は自分の間違いを決して認めないと言っている事と同じ事だった

 

太一

「間違いを犯した事は無い、か…それは本気で言ってるのか?人間は誰しも必ず間違いを犯すものだ。それでもお前は今の今まで間違えた事はしていないと、自分は常に正しい事をしてきたのだと言うんだな?」

 

一夏

「そうだ!!!」

 

 再度の確認でも答えは変わらなかった

 その為、太一は…

 

「(仕方が無い…この手はやりたくなかったが…コイツに分からせるにはあの方法しかないか…)()()()()()()()()()()()()()

 

一夏

「り、鈴だと!?」

 

 一向に自分の過ちを認めず、正当化する一夏に自分の間違いを分からせるため荒療治をする事にした

 

太一

「お前が学園で鈴にした事…これまで他の女の子達にしてきた事…それは人として、男として、正しい事だったと胸を張って言えるのかと聞いてるんだ?」

 

一夏

「…そ、それは…」

 

 一夏は何も言えなかった

 一夏が鈴にした事はどう考えても一夏の方に否がある問題だった

 

太一

「鈴!!隠れて無いで出て来い!!」

 

一夏

「!?」

 

 そんな一夏に今度は本人の前で同じ事を言わせると言う最後の手段を取った

 太一に呼ばれると覗き見していた鈴が千冬達と出て来た

 

一夏

「ち、千冬姉!?」

 

千冬

「………」

 

 鈴と一緒に千冬も出て来た事に一夏は激しく動揺した

 今迄の太一とのやり取りを鈴だけでなく千冬達にも聞かれていたからだ

 だが、現れた千冬は近くに来ても一言も喋らなかった

 今は自分が口出しする時ではないと千冬は分かっていたからだった

 そして、太一に呼ばれた鈴は一夏の前に来ると…

 

一夏

「り、鈴…」

 

「もう一度言いなさいよ。自分は正しい事をしてきたって…間違えた事が無いって…間違ってるのは私の方だって…私に言いなさいよ!!!」

 

一夏

「あ、ぁぁ…」

 

 一夏は何も言えなかった

 流石の一夏も本人を前にして同じ事が言えなかった

 

「フンッ!太一にはアレだけハッキリ言っておいて私には言えない訳?ホントアンタっていい加減な奴ね?」

 

一夏

「うっ…」

 

「まあアンタの言ってる事もあながち間違いでも無いからね?」

 

一夏

「…え?」

 

「確かに間違ってたのは私の方だったわ…アンタの様な()()()()()()()()()がそもそもの間違いだったわ!!!」

 

一夏

「!?」

 

「フンッ!!」

 

 鈴は何も言えない一夏を一瞥するとそのまま下がった

 その際、太一の横を通る時…

 

太一

「(傷を抉る様な事をしてスマナイ…)」

 

「(いいわよ…私も言いたい事が言えたし気にしないで♪)」

 

太一

「(…スマン…)」

 

 引き合いに出してしまった事を太一は謝った

 だが、鈴の方はまるで気にしておらず、寧ろスッキリしたような顔をしていた

 

太一

「…さて一夏?これでもまだ自分が間違いを起こさない人間だと言い切れるのか?」

 

一夏

「………」

 

太一

「まあ、そう思っているからこその『自己完結思考』なんだろうな…」

 

一夏

「ぐっ…」

 

太一

「これまで挙げたお前の3つの悪癖…デカいプライド…狭い視野…自己完結思考…それを理解したか?」

 

一夏

「………」

 

 太一がそう聞くと一夏は目を逸らした

 

太一

「ハァ…やはり認めないか…」

 

一夏

「ぐっ…」

 

 太一の言う通り一夏は自分の悪癖を認めていなかった

 一夏からすれば太一の言う事はただの言いがかりにしか聞こえていなかった

 そんな一夏に周りの千冬達は呆れ果てた

 何故なら、これまで一夏は太一に悪癖の事を言われてもまともに言い返す事が一度も出来ていなかった

 それはつまり太一の言う一夏の悪癖は正しくその通りという事なのだが、この男はそれを理解していなかった

 

太一

「………一夏…一つ聞く…お前に好きな奴はいるか?」

 

一夏

「は?」

 

全員

「…へ?」

 

 そんな一夏に太一はいきなり変な事を聞いて来た

 太一の突拍子の無い質問に一夏は勿論、千冬達も間の抜けた顔になっていた

 

太一

「どうなんだ?いるのか?いないのか?」

 

一夏

「…いねえよ…」

 

 だが、再度聞いて来る太一に一夏は渋々ながら答えた

 

一夏

「それが何だよ!!俺に好きな奴がいるかどうかが何の関係があるんだ!!言っとくが俺はお前の言う悪癖なんて絶対に認めねえからな!!!」

 

全員

「………」

 

 千冬達も一夏の言う通り、一夏の好きな人と悪癖に何の関係があるのか分からなかった

 だが、それと同時にその後に一夏が言った悪癖がある事を認めないと言う言葉を聞いて千冬達は呆れを通り越して一夏が哀れに見えて来ていた

 

太一

「…そうか…やはり気付いてないか…」

 

一夏

「は?」

 

 そんな中、太一が口を開いた

 太一の言葉を聞いて一夏は首を傾げた

 

一夏

「気付いてないだと?何言ってんだ?俺にそんな奴はいねえって言っただろうが!!!」

 

太一

「いや、いる。…それも『ココ』にな。」

 

全員

「はぁ?」

 

 いないと言い張る一夏に太一して太一はいると断言した

 それも今、この場にいると言ったのだ

 太一にそう言われ一夏は周囲を見渡した

 周りにいるのはセシリア、鈴、ラウラ、シャルロット、千冬、オータムの6人

 まず一夏は同年代の代表候補生4人を見たが…

 

セシリア&鈴&ラウラ&シャルロット

「えぇぇ~…」

 

 4人は明らかに嫌な顔をしていた

 

一夏

「ぐっ…」

 

 そんな顔をされた一夏は顔をしかめるが…

 

太一

「その4人じゃないぞ。」

 

一夏

「え?」

 

セシリア&鈴&ラウラ&シャルロット

「ホッ…」

 

 違うと言われ4人は心の底から安堵していた

 一方で一夏は今度は千冬とオータムを見た

 だが、オータムも4人と同様いやそうな顔をしており、千冬の方もそんな筈は無いと言った顔になっていた

 一夏は鈴達が違うならこの2人のどちらかと思ったが…

 

太一

「その2人でも無い。」

 

 千冬とオータムでも無かった

 

一夏

「なら誰だって言うんだ!!まさか…お前だって言うのかよ!!!」

 

 この場にいる女性達では無いと言われた一夏は残っているのは目の前にいる太一だと思った

 しかし…

 

太一

「俺でもねえよ。勿論コロモンでも無い。」

 

一夏

「はぁ?」

 

 太一とコロモンでも無かった

 自分の周りにいる人間の誰でも無いと言われ一夏は混乱し始めた

 

一夏

「じゃあ誰なんだ!!ココに他に誰がいるって言うんだ!!!」

 

太一

「…()()()()()()()()()

 

一夏

「だから何処にいるんだよ!!!」

 

 まだこの場にいると言う太一に一夏は更に混乱して行った

 その時…

 

千冬

「…そう言う事か…」

 

一夏

「え?」

 

千冬

「確かにこの場には『後1人』いるな…」

 

 千冬はそれが誰なのか気付いた

 

一夏

「千冬姉…一体誰なんだよ!?」

 

千冬

「八神…私が言ってもいいのか?」

 

太一

「構わん。」

 

千冬

「分かった………それはお前だ…」

 

 そう言って千冬が指差したのは…

 

一夏

「………俺?」

 

 そう、一夏自身だった

 

太一

「その通り、一夏、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 太一の言う一夏の『好きな人』と言うのは他でも無い、一夏自身だったのだ

 太一の指摘を聞き、その場にいる一夏以外の全員が納得したように頷いた

 

一夏

「俺が…自分を愛してる…だと?…どう言う意味だよ!?」

 

太一

「そのままの意味だ。そう考えればお前の悪癖やこれまでの行動全てに納得出来る。」

 

一夏

「何!?」

 

太一

「鈴を始めとした女の子達へのその異常なまでの鈍感さも自分にしか興味を持っていないんじゃ彼女達の気持ちがお前に伝わる筈は無い。」

 

一夏

「!?」

 

太一

「そしてさっき上げた3つの悪癖もそうだ。お前は自分自身が大好きだから自分を甘やかして周りが何を言おうと聞こうとしない。周りの言う事よりも大好きな自分の考えこそが一番正しいと常に考えている。お前が自分が一番大事ならそれも当然だ。」

 

一夏

「………」

 

 一夏の悪癖と鈍さ…その理由を聞いて一夏は言葉を失った

 その一方で太一から聞かされた理由を聞いて千冬と鈴は謎が解けたような顔をして頷いていた

 太一の言う通り一夏が自分を愛しているならこれまでの行動全ての辻褄が合うのだ

 

太一

「一夏…お前は今の女尊男卑の風潮には染まってはいない。だからと言って『男尊女卑』でも無ければ『男女平等』でもない。」

 

一夏

「何!?」

 

 すると今度は一夏の見解について言い出した

 一夏も自分が女尊男卑主義を認めていなかったが、逆の男尊女卑どころか男女平等の考えも無いと言われ再び太一を睨みつけた

 一夏は自分は男女平等だと考えていたからだ

 だが…

 

太一

「お前は言うなれば『自分至上主義』だ。自分の事しか考えず、世界で最も尊い存在だと考えてるんだよ。」

 

一夏

「自分…至上主義…だと…」

 

 太一はこれまでの事で一夏の上部ではない内面にある本質を正確に見抜いていた

 一夏の本質…自分こそが最も優れた存在と言う考え…それは正しく『自分至上主義』と呼べる物だった

 そして一夏の悪癖や行動はこれを根幹としたものからだった

 

太一

「そう言った人間は他にもいるがお前の場合は他の連中よりも幾らか性質が悪い。」

 

一夏

「性質が悪いだと!?」

 

太一

「ああ、お前はこの世界でただ1人の男のIS操縦者…そのせいでお前をより増長させている。」

 

一夏

「ぞ、増長だと!?」

 

太一

「違うのか?これまでもお前はISを使えると言うだけで出来もしない事を出来ると言ってきただろ?マドカと組んだ【福音】との戦いがそのいい例だろ?」

 

一夏

「!?」

 

 太一のその言葉に一夏は言葉を詰まらせた

 千冬にも言われたが瞬時加速(イグニッション・ブースト)すら使えないのに作戦を成功させると息巻いていて見事に失敗させた

 千冬は一夏が作戦を楽観視した結果ああなったと言っていたが、コレは一夏がISを使える事でつけあがった結果ともいえるのだ

 

太一

「一夏…俺が言ったくらいでお前が自分の主義主張を変える事なんて出来ないだろう。何よりお前はその自覚を持っていないんだからな。」

 

一夏

「………」

 

 一通り悪癖から始まった一夏の問題点を話し終えると最後の問題を言った

 それはこれまで言った事に対する自覚が一夏に無い事だった

 何より、一夏はこれまで今まで太一に言われた事を全て無意識に行って来たので口で言われたくらいで理解出来るとは太一も思ってはいなかった

 

太一

「だがな?それでも自分の周りに目を向けろ!耳を傾けろ!声を聞け!自分の考えばかり押し付けるな!!相手の考えも理解して受け入れろ!!」

 

一夏

「!?」

 

太一

「それが出来なければお前には誰もいなくなるぞ…」

 

 太一は最後にそう叱責するとコロモンを連れて旅館に戻って行った

 最初はBウォーグレイモンの冥福を祈っていたが一夏の乱入で続ける気にはなれなかった

 2人が戻ると千冬達も何も言わずに同じように戻って行った

 そして、1人残された一夏は…

 

一夏

「周りに誰もいなくなるだと…ふざけるな…ふざけんじゃねえええええぇぇぇぇぇぇっ!!!」

 

 1人叫んでいた

 やはりこれまでと同じで一夏には太一の言葉は届いていなかった

 

 




 <予告>

 一夜明け、一日延びた臨海学校も遂に終わりを迎えようとしている

 そんな中、遂に目覚めるマドカと箒、そしてナターシャ

 福音の暴走から始まった一連の報告を聞いて3人はそれぞれ何を想うのか



 次回!!

 ISアドベンチャー 聖騎士伝説

 目覚めた3人

 今、冒険が進化する!


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