ISアドベンチャー 聖騎士伝説   作:イナビカリ

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パラレルワールド編
第084話:新たな敵!パラレルモン襲来!?


 夏休みに入ったIS学園では生徒達が続々と帰省して行った

 セシリア、ラウラ、シャルロットもそれぞれの国に戻った

 一方で束のアジトで休みを過ごす事にしている太一とアグモン、マドカの3人はすぐには戻らず、オータムの仕事が終わるまで学園に残っていた

 それは太一達に同行する鈴も同様だった

 そして、夏休みの大半が補習漬けとなっている一夏は千冬の監修の下、休み初日からこれまでの復習を始めるのだった

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 それから数日が経過し、オータムの仕事が終わった

 忘れているかもしれないがIS学園でのオータムの立場は『教育実習生』なので彼女の仕事は他の教師達に比べて遥かに少ない

 なのでオータムはこの数日の間に自分の仕事を全て片付けた

 そして、束のアジトに向かう当日、太一達は校門前に集まっていた

 束からクロエが迎えに行くと言われているのでここで待っていたのだ

 クロエが来るのを待っていると…

 

「オ―――――イ!!!」

 

全員

「ん?」

 

 振り向くと荷物を持った千冬がやって来た

 

千冬

「良かった!まだいたか…」

 

太一

「どうしたんだその荷物は?」

 

千冬

「ああ、私も連れて行ってくれ!!」

 

全員

「は?」

 

千冬

「束の所で話し合いをするそうだな?私もそれに参加させてくれ!」

 

 いきなりやってきた千冬は鈴と同じような事を言って同行を求めて来た

 太一達は互いの顔を見合わせると…

 

太一

「学園の仕事は?」

 

 代表して太一が聞いて来た

 オータムと違って千冬はれっきとしたIS学園の教師なので夏休みの間もきっちり仕事があるのだ

 その為、家に帰るならまだしも束のアジトに行くなど出来る筈無かった

 

千冬

「数日なら離れても大丈夫な様にして来た。」

 

太一

「一夏の監視は?」

 

千冬

「真耶と他の教師の2人でやって貰うようにしておいた。見張りが2人ならアイツも早々サボることは無い筈だ。それに、アイツには私が数日学園を離れると伝えたが、戻って来た時に経過を確認するから怠けていたら残りの休みも補習で潰すと言っておいた。」

 

太一

「ふむ…」

 

千冬

「他にも急ぎの仕事が来ても真耶に対応する様に頼んである。それに真耶と理事長にも束に会いに行きたいと頼んだら今の事情を察してくれてな、許可をくれた。それに鈴?」

 

「は、はい!?」

 

千冬

「お前も夏休みの間ずっと束の所にいる訳では無いだろ?」

 

「…長くても1週間くらいのつもりですけど…」

 

千冬

「その時に私も戻ればいいだろ?」

 

全員

「………」

 

 千冬の話を聞きどうするか全員が悩んだが…

 

太一

「まあ…それならいいか…」

 

 轡木の許可もすでに貰っていると言うなら連れて行く事しにした

 それに千冬なら束も帰れとは言わないからだ

 

千冬

「感謝する!」

 

 同行を許可された千冬がお礼を言うと…

 

 ドォォォォォォォンッ!!!

 

 丁度いいタイミングで束からの迎えが到着した

 

クロエ

「お待たせしました!!」

 

 人参ロケットのハッチが開くと中からクロエが現れた

 

オータム

「オウ!ご苦労さん!」

 

クロエ

「ハイ♪…アレ?何故千冬様がいるんですか?」

 

太一

「鈴と同じで一緒に行きたいそうだ。構わないか?」

 

クロエ

「ハイ、千冬様でしたら問題ありません。」

 

千冬

「良かった…」

 

 クロエも同行を了承したので千冬は安堵の溜め息を吐いた

 そして、早速ロケットに乗り込もうとした時…

 

「それじゃあクロエさん、【メガロ・ドラグナー】を渡しますね。」

 

 鈴が自分のISをクロエに預けた

 ぞれが鈴が同行する際の条件の為、鈴はクロエに渡したのだ

 

クロエ

「ハイ、確かにお預かりしました♪それではどうぞ。」

 

 クロエが受け取ると鈴はロケットに乗り込んだ

 そして全員が乗るのを確認すると…

 

クロエ

「それでは出発します!!」

 

 ロケットを発進させた

 尚、移動中は鈴に目隠しをして貰うつもりだったが流石にそれはかわいそうという事で事前にロケットの窓を塞いで外の景色が見えないようにしておき、モニター類を見ない様に言っておいた

 鈴もその辺りは分かっているようで操縦しているクロエにずっと背中を向けながら太一達と談笑していた

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

クロエ

「つきましたよ~♪」

 

 暫く飛んでいると目的の場所に到着したようでロケットが着陸した

 そこは小さな家が一軒建っているっだけの小さな島だった

 全員がロケットから降りるとクロエはロケットを拡張領域(バススロット)に仕舞い、目の前の家に向かった

 家の中に入ると…

 

「いらっしゃ~い♪」

 

スコール

「お帰りなさい。」

 

 束とスコールが出迎えた

 

オータム

「お~、戻ったぞ~…」

 

「およ?何でちーちゃんがいるの?」

 

 予定にない人物がいる事に束は首を傾げた

 

太一

「直前になってついて行くと言って来てな。まあ千冬なら問題無いと思って連れて来た」

 

千冬

「そう言う事だ。いきなりで悪いがお前達の話し合いには私も参加したいと思ってな。」

 

「そうだね♪」

 

 予想通り千冬が来ても問題は無かった

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 それから荷物を置いて少し休んだ後、全員が集まると早速【七大魔王】についての話し合いを始めた

 

太一

「先ずはおさらいだ。現在、この世界には別世界から来た【七大魔王】と呼ばれるデジモン達が侵略に動いている。そして、その【七大魔王】を止める為にデジモンの神【イグドラシル】によってこの世界に送り込まれたのが俺とアグモンだ。」

 

アグモン

「それで、今の所【七大魔王】は【嫉妬】【憤怒】【強欲】【怠惰】【傲慢】の5体までを倒したね。」

 

太一

「そしてこの5体は人間に憑りついていた。その事から残りの2体も人間に憑りついている可能性が高い。…ココまでで何か間違いがあるか?」

 

 太一がそう聞くと全員が首を横に振った

 そしてそのまま、残る魔王についての話を始めた

 

千冬

「…残りの2体か…名前は確か…」

 

クロエ

「【暴食のベルゼブモン】と【色欲のリリスモン】になります。」

 

オータム

「【暴食】と【色欲】か…要するに『大食い』と『色ボケ』って事か?」

 

「簡単に言えばそうなるね。」

 

スコール

「あのね…簡単にしすぎよ…身もふたもない言い方しないで…」

 

「ア、アハハハ…」

 

 残る2つの大罪についてオータムがぶっちゃけた言い方をしてきたので全員が苦笑いしていた

 だが、その通りなので何も言えなかった

 

太一

「言い方はあれだが問題はその2体が誰に宿っているかだな…」

 

「誰って言っても…私を含めた5人以外の人間って事でしょ?」

 

マドカ

「ああ、【暴食】と【色欲】…『世界中』からこの2つの大罪に当てはまる人間を探すなんてほぼ不可能だぞ?」

 

全員(マドカ&鈴以外)

「………ん?」

 

 残りの2体を宿す人間について話すマドカと鈴の会話に2人以外の全員が首を傾げた

 2人の会話に太一達は違和感を感じたからだ

 

マドカ&鈴

「へ?」

 

 一方のマドカと鈴も太一達の反応を見て自分達がおかしな事を言ったのかと首を傾げた

 

全員

「………」

 

 それから暫く沈黙が続くと…

 

太一

「あ!そうか!」

 

 太一が違和感の正体に気付いた

 

アグモン

「どしたの太一?」

 

太一

「マドカと鈴の会話の違和感が分かった。」

 

「違和感って…私達変な事言って無いわよ?」

 

マドカ

「ああ。」

 

太一

「確かにそうだな。だが、お前達にはあの『仮説』を話してなかった。」

 

全員(マドカ&鈴以外)

「ああっ!?」

 

マドカ&鈴

「仮説?」

 

 コレが違和感の理由だった

 2人は太一の立てた仮説…『IS学園に【七大魔王】が集まる』と言う仮説を知らなかったのだ

 その事を2人に話すと…

 

マドカ

「成程…確かにその通りだな…」

 

「何でこんな簡単な事に気付かなかったのかしら?」

 

 2人はアッサリ納得した

 これまで現れた【七大魔王】の出現に法則があるのだとしたら太一の立てた仮説が一番納得出来たからだ

 

「じゃあ、残りの2体を宿す人はIS学園にいるって事ね?」

 

太一

「いや、『学園にいる人間』ではなく『学園に関係のある人間』だ。お前の様に後から学園に来た例もあるからな。」

 

「あ、そっか!?」

 

マドカ

「しかし、この仮説の通りなら人数は一気に絞れるがそれでも数百人はいるぞ?」

 

太一

「そうだな…残りの2体の宿主もシャルロットや篠ノ之の様に分かり易いといいんだが…」

 

千冬

「あいつ等みたいなのが早々いる訳無いだろ?」

 

全員

「うんうん!」

 

太一

「だよな~…」

 

 シャルロットと箒の2人は他の3人と違い、事前に【七大魔王】が憑りついていると予測が出来ていた

 それは2人の大罪、【怠惰】と【傲慢】の感情が分かり易い程に表立って出てきた為だった

 だが、流石にあそこまで露骨に分かり易い人間はいないと言う千冬に太一を含めた全員が頷いていた

 

太一

「…そうなると…探す方法が無いんだよな………ムッ!!!」

 

アグモン

「太一!!!」

 

太一

「ああ!!!」

 

 その時、太一とアグモンは突然外に飛び出した

 束達もそんな2人を慌てて追いかけた

 外に出るとそこには…

 

千冬

「な、なんだコイツは!?」

 

? 

『ジジジジッ…』

 

 一つ目の巨大なデジモンが立っていた

 

「どうやってココに!?この島は束さんの特製シールドで隠してあるのに!?」

 

 束達が慌てる中、目の前のデジモンを見て太一とアグモンは大きく焦り出した

 

太一

「いかん!コイツは!?」

 

アグモン

「早く倒さないと!?」

 

 太一はすぐに【デジヴァイス】を取り出した

 だが…

 

『ジジジジッ!!』

 

 カッ!

 

全員

「!?」

 

 デジモンの目が光ると…

 

《アブソーベント・バン!!!》

 

 腕の形をした光線が放たれた

 放たれた《アブソーベント・バン》は太一達の前で弾けると、その時の光が太一達を呑み込んだ

 

全員(太一&アグモン以外)

「キャアアアアアアアアァァァァァァァァッ!!!」

 

太一

「くっ!?【()()()()()()】!!!」

 

 そして、光が消えると…

 

パラレルモン

『ジジジジッ!!』

 

 そこには太一達の姿は無く太一が消える瞬間に叫んだ【パラレルモン】と呼ばれたデジモンだけが立っていた

 

パラレルモン

『ジジジジッ!ジジジジジジジジッ!!』

 

 【パラレルモン】は笑うような声をあげると…

 

 フッ…

 

 【パラレルモン】自身も消えた

 一体、【パラレルモン】は太一達に何をしたのか…

 そして、消えた太一達何処に行ってしまったのか…

 

 




 <予告>

 パラレルモンの力により、別の場所に飛ばされた太一達

 だが、太一達はその場所に見覚えがあった

 そこはルーチェモンと戦った海だった

 現状の確認をする中、そこで太一達が出会ったのは!?



 次回!!

 ISアドベンチャー 聖騎士伝説

 もう一つのインフィニット・ストラトス

 今、冒険が進化する!


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