鈴
『私は
元の世界の臨海学校で太一達が止まった旅館【月花荘】の一室…そこに臨時で設けられた指令室では平行世界の千冬と真耶が困惑していた
こちらの世界では先程、暴走したIS【
本来ならそのまま全員を休ませるところだったのだがその直後に現れた新しい未確認ISの反応に千冬(平行)は一夏達(平行)をそのまま再出撃させ、自分は未確認機に通信を送った
そして一夏達(平行)が接触した未確認機からの返答が先程のものだった
千冬(平行)
「………平行世界の…鈴だと…」
真耶(平行)
「そ、そんな…平行世界だなんて…そんな事ある筈が…」
真耶(平行)は『平行世界』と言う言葉を信じられなかったがそれは千冬(平行)も同じだった
しかし、一夏達(平行)から送られてきた未確認機の映像に2人は言葉を失ってしまった
その映像に映し出されていたのは使用しているISは違っていたがそれは確かに自分達の知る『凰鈴音』と瓜二つの人間だったのだ
ココまで全く同じだと平行世界から来たと言う向こうの鈴の言い分を信じた方が納得出来てしまうのだった
千冬(平行)
「馬鹿な…」
すると…
鈴
『そっちの千冬さん、聞こえますか?』
千冬&真耶(平行)
「!?」
鈴が指令室にいる平行世界の千冬に呼びかけた
それにより混乱していた2人は正気を取り戻した
千冬(平行)
「お、お前は本当に…鈴…なのか?」
鈴
『そうですよ、ちょっと事情があってこっちの世界に来てしまったんですよ。』
千冬(平行)
「…事情…」
鈴
『それについて話しをしたいんです。いいですか?』
千冬(平行)
「わ、分かった!!私のいる場所は…」
鈴
『【月花荘】ですよね?』
千冬(平行)
「!?…そ、そうだが…何で知っている!?」
鈴が自分のいる場所を言い当てた事に千冬(平行)は驚いていた
だが、鈴からすればこの場に一夏達(平行)が現れた時点でこの世界の時期が何時頃か大よそだが見当が付いていたのだ
鈴
「その辺も会った時に話します。じゃあそこに『皆』で行きますね。」
千冬(平行)
「み、皆だと!?まさか…お前以外にもいるのか!?」
真耶(平行)
「ええっ!?」
鈴の『皆』と言う一言に千冬(平行)は鈴の他にも同じ人間がいる事に気付いた
鈴
『当り前じゃないですか、私一人でこんな所に来るわけないですよ。』
千冬(平行)
「そ、そうか…」
今の千冬(平行)にはこれが精一杯の返事だった…
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
鈴
「じゃあ私は他の人達に事情を話しに戻るからアンタ達は先に帰ってて。」
全員(平行組)
「え!?」
先に帰れと言われ平行世界の一夏達は驚きの声をあげた
ラウラ(平行)
「ま、待て!!1人で戻るつもりか!!」
鈴
「そうよ、皆にもアンタ達と会った事を話さないといけないし、そもそもこっちの人間に話せない事だってあるだろうからその辺も先に確認しないといけないでしょ」
ラウラ(平行)
「うっ…」
鈴の言い分に平行世界のラウラは黙り込んだ
鈴が言っている事は別に間違ってはいないからだ
セシリア(平行)
「一夏さん…どうしましょう?」
シャルロット(平行)
「このままもう1人の鈴を行かせていいのかな?」
一夏(平行)
「う~ん…」
その一方で互いに話し合う平行世界の一夏達を見て鈴は…
鈴
(何これ?『一夏さん』ですって?セシリア達がコイツを名前で呼んでる!?それに皆のこの態度…コイツ等あの朴念仁に頼ってるの!?…うっ…見てて気持ち悪くなってきた…吐きそう…)
一夏(平行)を中心に話している平行世界の自分や仲間達の姿を見て気分を悪くしていた
余りにも一夏に対する態度の違から鈴は込み上げてくる吐き気を必死に抑えていた
その為…
鈴
「(これ以上コイツ等を見てるとホントに吐くわ!早いところ戻ろう!)…そう言う訳で私は一度戻るわ。」
一夏(平行)
「あ!待てよ!!」
鈴
「そうそう…もし追って来たら…その時は
全員(平行)
「!?」
鈴はさっさと戻る事にし、一緒に釘を刺しておいた
その際、軽く威嚇しておいた
鈴
「こっちにも事情があるって言ったでしょ。アンタ達がいると出来る事も出来なくなるのよ。」
全員(平行)
「………」
鈴
「じゃあね、こっちの準備が出来たら連絡するわ。」
最後にそう言って鈴は太一達の元に戻って行った
残された平行世界の一夏達は…
鈴(平行)
「…アレ…ホントに私なの…」
ラウラ(平行)
「撃ち落とすと言った時のあの迫力…アレは本気だ…」
鈴の威嚇が効いた為、追う事が出来なかった
セシリア(平行)
「そうですわね…それにあの鈴さんの纏っていたISはこちらの鈴さんの物と違いました…全くの未知数のISを相手にするのは危険ですわ…」
そして、一同が鈴を追いかけなかったのは鈴の纏っていたISも理由の一つだった
鈴(平行)
「確かにそうね…何で【
平行世界の鈴は自分のIS【
だが、平行世界の鈴は元より他の者達もまさか【
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
鈴が太一達の元に戻った後、指令室の方では…
真耶(平行)
「…先輩…この後どうします…」
千冬(平行)
「少し待て…少し落ち着く時間をくれ…」
真耶(平行)
「あ、はい…」
混乱する頭を千冬(平行)は必死に抑えていた
その時…
?
「ヤッホ~ちーちゃん♪」
千冬(平行)
「た、『束』!?」
平行世界の篠ノ之束が指令室に現れた
千冬(平行)
「お前帰ったんじゃないのか?」
束(平行)
「そうなんだけど途中で大きな『空間の歪み』を観測してね?気になって戻って来たんだよ。」
千冬(平行)
「空間の歪み…それは本当か!!!」
束(平行)の戻ってきた理由を聞き千冬(平行)は詰め寄った
平行世界からの来訪者の事を信じられなかったが束(平行)の言う事が本当なら信憑性が増すからだった
束(平行)
「ちょっ!落ち着いてよちーちゃん!?どうしたのさ?」
千冬(平行)は落ち着くと先程の出来事を話した
それを聞いて束(平行)は…
束(平行)
「フッ…フフフッ…平行世界?何それ?凄く面白そうな話じゃない!!!」
千冬(平行)の突拍子の無い話を束(平行)はアッサリ信じた
束(平行)
「って事は束さんが観測した歪みはそいつ等がこっちに来た時のものだね!!」
千冬(平行)
「恐らくな…」
束(平行)
「それでこの後そいつらと会う事になってると?ねえちーちゃん…それ…束さんも行っていいかな?ダメって言っても行くけどね♪」
千冬(平行)
「ハァ…だろうな…好きにしろ…」
束(平行)がココに戻って来た時点でこうなるだろうと千冬(平行)は早々に諦めていた
束(平行)
「それにしても平行世界の同一人物か~…今から会う奴の中にちーちゃんも居たりして?」
元の世界と平行世界の鈴の映像を見て束(平行)はそんな事を言って来た
千冬(平行)
「考えたくも無いな…そう言うお前が来ているかもしれんぞ?」
束(平行)
「ニャハハハ!そうなったら面白そうだね♪」
千冬(平行)
「お前が2人とか悪夢としか言えん…そうなったら世界の終わりだ…」
束(平行)
「ムカッ!そう言うちーちゃんだって2人になったら大怪獣バトルの勃発だよ!!」
千冬(平行)
「誰が怪獣だ!!!」
そう言って冗談交じりで話す2人だが…
真耶(平行)
「ガクガクブルブル…」
その光景を思い浮かべたのか真耶(平行)は震えていた
そして戻って行った鈴が連れてくる人達の中にこの2人がいない事を願うのだった…
だが…
その願いは届かない…
何故なら…
どちらもこの世界に来ているからだった…
<予告>
鈴の案内で平行世界の一夏達と接触を果たした太一達
平行世界組は鈴だけでなく束と千冬までもこちらに来ていた事に驚いていた
周りが驚く中、太一達は互いの情報交換を始める
次回!!
ISアドベンチャー 聖騎士伝説
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