ISアドベンチャー 聖騎士伝説   作:イナビカリ

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第087話:2つの世界の会合

 

 

全員(平行)

「………」

 

 ココは【月花荘】近くの海岸…

 昼間は臨海学校出来ていた生徒達が遊んでいた場所だが、夜明け前の今はココに居るのは並行世界の専用機持ち6人と千冬、真耶、そして束の9人のみだった

 平行世界の面々は仲間を連れてこちらに向かうと言う別世界の鈴からの連絡を受けてココで待っていた

 

鈴(平行)

「向こうの私…一体誰を連れてくるのかな?」

 

ラウラ(平行)

「さあな?」

 

シャルロット(平行)

「案外僕達の誰かだったりして?」

 

セシリア(平行)

「あり得そうですわね…」

 

 その間、鈴の他に誰が来るのか話していた

 

箒(平行)

「意外な所で姉さんや千冬さんが来るかもな?」

 

一夏(平行)

「…それは…一番怖い組み合わせだぞ?千冬姉(平行)と束さん(平行)が2人になるからな?」

 

専用機持ち(平行)

「うんうん!!」

 

 …実は箒(平行)が正解だったりする…

 そんな話をしていると…

 

真耶(平行)

「き、来ました!!!」

 

 真耶(平行)は持っているタブレットを見ながらそう叫んだ

 タブレットには現在レーダーの画面が表示されており何かがこちらに向かって来る反応をキャッチした

 

真耶(平行)

「ISの反応は2つ…1つはもう1人の凰さんです!後、ISでは無い大型の飛行物体が1つあります!!」

 

千冬(平行)

「ISはともかく大型の飛行物体?飛行機か何かか?」

 

真耶(平行)

「分かりません…レーダーに映っているだけで何の識別も無いんです…」

 

 この大型飛行物体とは言わずと知れたメタルグレイモンの事である

 メタルグレイモンに識別信号などある訳無いので分かる訳無かった

 

真耶(平行)

「もうじき視認出来る距離に入ります…」

 

 真耶(平行)がそう言うと全員が水平線の先を見た

 すると…

 

全員(平行)

「!?」

 

 全員(平行)の視界に巨大な影が映った

 

千冬(平行)

「な、なんだアレは!?」

 

真耶(平行)

「きょ!きょきょきょ恐竜!?」

 

一夏(平行)

「ティ、ティラノサウルス!?」

 

シャルロット(平行)

「空を飛んでる!?」

 

ラウラ(平行)

「いや!よく見ろ!!一部が機械になってるぞ!?」

 

 案の定デジモンの事を知らない平行世界の面々はメタルグレイモンの姿にパニックになっていた

 そんな平行世界組を無視し、まずは鈴とマドカが地上に降りて来た

 だが、何故かマドカは仮面をつけて素顔を隠していた

 そして…

 

 ズシィィィィィンッ!!

 

 2人に続く形でメタルグレイモンも降りて来た

 

全員(平行)

「………」

 

 地上に降りて来たメタルグレイモンを平行世界の全員が見上げていた

 束(平行)に至っては目をキラキラさせていた

 そして、メタルグレイモンは左腕の《トライデントアーム》を地面に突き刺した

 

全員(平行)

「!?」

 

 メタルグレイモンの突然の行動に千冬達(平行)は身構えるが別にこれは攻撃では無かった

 単に背中に乗った太一達を下ろす為の行動だった

 そして、太一達が《トライデントアーム》を伝って降りると…

 

全員(平行)

「え!?」

 

 平行世界組が驚きの声をあげた

 それもその筈…

 

一夏(平行)

「ち、千冬姉!?」

 

箒(平行)

「ね、姉さん!?」

 

 鈴に続いて千冬と束まで現れたからだ

 

鈴(平行)

「箒(平行)の言った通りになっちゃった…」

 

真耶(平行)

「あああ、あの人達が2人になるなんて…ガクッ!」

 

 千冬と束が2人になった事で真耶(平行)は気絶してしまった

 

ラウラ(平行)

「しかし、一緒にいる仮面をつけた奴等は何者だ?」

 

 ラウラ(平行)の言う通り、メタルグレイモンから降りて来た一行の中にマドカと同じ様に仮面をつけた人が2人いた

 この2人はオータムとスコールだった

 何故この3人だけが仮面なんか着けているかと言うと…

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 時間は遡って平行世界の面々と別れた鈴はすぐにこの事を太一達に連絡した

 その後、同じく偵察に出ていたマドカも戻り全員が合流した

 そして鈴は事後報告と言う形になったが平行世界の千冬達と合う事になった事を話したが、これに関しては全員が問題無いとの事なので鈴は咎められる事も無く、行く事は大丈夫だった

 だが、それとは別の問題が浮上していた

 マドカと鈴が偵察に出ている間、束の方でも調査を行っていたのだが、その結果、スコール、オータム、マドカがかつて所属していた国際テロ組織【亡国機業(ファントム・タスク)】はこちらの世界では今だ健在で、その為平行世界のこの3人も【亡国機業(ファントム・タスク)】に所属したままだった

 つまりマドカとオータムはIS学園の生徒と実習生としてはおらず、スコールも束の助手では無いという事だった

 更に言えば【亡国機業(ファントム・タスク)】に『織斑マドカ』と言う名前の少女はいるが、こちらの織斑姉弟は戸籍の上では千冬と一夏の2人のみでマドカと言う名前が存在していなかった

 この事に千冬は混乱し、完全にパニックを起こしてしまったのだが太一が拳骨をかまして何とか正気に戻したのだが完全に元に戻るまでの少しの間は使い物にならなかった

 そして、この調査報告で鈴にマドカ達の正体がバレたと言う問題も出来てしまった

 中国の代表候補生の鈴は当然【亡国機業(ファントム・タスク)】の存在を知っており、どう言う組織かも知っていた

 だが…

 

「マドカもオータム先生もスコールさんも今は違うんでしょ?だったら私は気にしませんよ。私の知ってるマドカはテロリストじゃなくて『友達』ですから♪」

 

 鈴はセシリアと同じで全く気にしていなかった

 鈴が笑いながらそう言うと全員が笑顔で頷いた

 しかし、それはあくまで向こう側の世界の話で合ってこちら側ではそうもいかなかった

 その為、これから会う平行世界の千冬達の前にこの3人が出て行くのはマズいと考え、正体を隠す事しにしたのだ

 特にマドカは千冬と瓜二つなので顔も隠した方がいいという事になり、それならばと3人とも仮面で顔を隠す事にしたのだった

 そして仮面をつけている間は名前を言う訳にもいかないので…

 マドカを『アルファ』…

 オータムを『ベータ』…

 スコールを『ガンマ』…

 とコードネームの様にして呼ぶ事にした

 こうして準備を終えた太一達はメタルグレイモンに乗って目的の場所へと向かったのだった

 

 

 

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 

 

 

 元【亡国機業(ファントム・タスク)】の3人の正体を隠して接触に成功した太一達は平行世界の千冬達と対面した

 そして…

 

 カッ!!

 

全員(平行)

「!?」

 

 メタルグレイモンが光だし小さくなっていった

 光が消えるとアグモンが現れた

 そして、現れたアグモンの姿に…

 

一夏(平行)

「な、なんだアイツは!?小さくなったぞ!?」

 

箒(平行)

「あんな生物見た事無いぞ!?」

 

 ココも予想通りの反応だった

 平行世界組が騒ぐ中…

 

太一

「アグモンはこの中にいてくれ。」

 

アグモン

「うん!」

 

 太一は【デジヴァイス】の中にアグモンを入れた

 それを見て…

 

束(平行)

「あああああぁぁぁぁぁっ!!!」

 

 束(平行)が騒ぎ出した

 

束(平行)

「オイお前!!今の生き物出せ!!束さんに寄越せ!!!」

 

 更にあろう事かアグモンを寄越せと言い出した

 それを見てこちら側の束は…

 

「うわ~…何て自分勝手な言い草…」

 

スコール

「少し前の貴方もあんな感じだったわよ?」

 

「え!?まっさか~?」

 

 平行世界の自分にドン引きしていた

 だが、スコールの言う通り以前の束もあんな感じの人間だった

 

オータム

「それだけ今のお前が変わったって事だろ?それともあんな風に戻りてえのか?」

 

「パス!!!」

 

 オータムの言葉を束は速攻で否定した

 太一にしこたま説教されたお陰で今の束は人並の人格者になっていた

 日本には『人の振り見て我が振り直せ』と言う諺があるが、平行世界の自分と言うある意味一番悪い見本を見た事で絶対にあんな風にはならないと束は誓ったのだった

 だが、それは別にしても平行世界の束が騒いでいては話を始める事も出来ないので…

 

W千冬

「いい加減にしろ!!!」

 

 バゴゴンッ!!!

 

束(平行)

「ンギャアアアアアァァァァァッ!!!」

 

 2人の千冬の拳骨がさく裂した

 それを見てその場にいる太一以外の全員が青褪めていた

 

束(平行)

「グオアアアアアァァァァァッ!!!ち、ちーちゃんの拳骨が2発同時に!!あ、頭が割れるうううううぅぅぅぅぅっ!!!」

 

 W千冬の拳骨を喰らった束(平行)は余りの痛みにのたうち回っていた

 

千冬(平行)

「喧しい!!!このままだと話も碌に出来ないだろうが!!!」

 

千冬

「そうだ!!!今から話す事にアイツの事も入ってる!!これ以上騒ぐなら私達はこの場を去るぞ!!!」

 

束(平行)

「うぐぐ…わ、分かったよ…う~…本気で痛い…」

 

 2人の千冬に怒鳴られ漸く束(平行)は大人しくなったのだった

 

 





 <予告>

 色々な事がある中、太一達は自分達が平行世界に来た経緯を説明した

 互いの状況を説明し終わると千冬は平行世界の自分を連れだした

 千冬はもう1人の自分に何を問いかけるのか?



 次回!!

 ISアドベンチャー 聖騎士伝説

『パラレルワールド編』

 世界の違い:千冬編

 今、冒険が進化する!


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