千冬
「…ん?」
平行世界の自分との話を終えた千冬が一足先に戻って来ると…
ワイワイガヤガヤ…
千冬
「…何を騒いでるんだ?」
2人の束を中心に起きている騒ぎに首を傾げた
太一
「千冬か…そっちはもういいのか?」
千冬
「あ、ああ…大丈夫だ。」
太一
「…今更遅いが…余り言い過ぎるなよ?」
千冬
「!?」
太一のその言葉に千冬は目を見開いた
太一は千冬がもう1人の自分を連れて何を話したのか大体想像が出来ていたので敢えて止める事はしなかった
千冬
「スマナイ…どうしても知りたかったんだ…自分が…織斑千冬がどんな存在なのかを…」
太一
「そうか…」
太一はそれ以上追求しなかった
千冬のこの行動も理解出来るからだった…
千冬
「そ、それでコレは何の騒ぎだ?」
太一
「それがな………」
話題を変えてきた千冬に太一は何も言わず、何故このような騒ぎが起きたのかを説明した
千冬
「そう言う事か…確かにあの束(平行)が妹のISを用意しなかったと知って黙っている筈は無いか…」
太一
「俺はその辺りがよく分からないんだが…束が篠ノ之にISを用意しなかったのがそんなに問題なのか?」
千冬
「いや、普通に考えれば箒に専用機を持つ資格はそもそも無いからこちら側の束のあの判断は何も間違ってはいない…いないんだが…」
太一
「だが?」
千冬
「束は基本、自分の認めた人間以外は道端の石ころ程度にしか感じない極度の人間嫌いでな…アイツが心を許しているのは私と一夏、妹の箒の3人だけなんだ。そのせいで束はこの3人に対しては異常なほど甘い。それこそISが欲しいと言ったら無条件に用意するほどにな。」
太一
「しかし、こちらの束は…」
千冬
「ああ、そんな事をしていない。まあ、その理由はお前にしこたま説教されたからだが、そのお陰で今の束は真人間と呼べるほど迄に変わった。喜ばしい事だ。」
束が真人間になった事に関しては千冬は文句など一切無かった
千冬としても束のあの極端な人間嫌いをどうにかしたいと常々思っていたので今の束を見て喜んでいたのだ
太一
「…成程…つまりあっちの束(平行)は変化が起こらなかった場合の姿って事か…」
千冬(平行)
「…そうだ…」
太一&千冬
「ん?」
2人が振り向くとそこには平行世界の千冬がいた
千冬(平行)は戻って来ると、丁度二人の会話が聞こえて来たので千冬の代わりに答えたのだ
そして、いい方向に変わった幼馴染の姿を羨ましく見ていた
太一
「そっちももういいのか?」
千冬(平行)
「…ああ…」
太一
「そうか…さて、どうするかな…この状況…」
平行世界の千冬に対しても太一はそれだけ答えるだけだった
これはあくまで織斑千冬の問題である為、太一はこれ以上口出ししようとは思わなかった
千冬(平行)
「それでその…一体何が起きたんだ?」
太一
「…実はな………」
平行世界の千冬にも同じ事を説明した
すると…
千冬(平行)
「ハァ…そう言う事か…あの馬鹿…」
束(平行)が喧嘩を売った理由を聞き、同じ世界の人間として千冬(平行)は恥ずかしさから俯いていた
その時…
W束
「あっ!ちーちゃん!!」
2人の束が2人の千冬が戻って来た事に気付いた
束(平行)
「聞いてよちーちゃん(平行)!!コイツってばさ!箒ちゃんのISを…」
千冬(平行)
「さっき教えて貰った…それで向こうのISと勝負したいそうだな?」
束(平行)
「そうだよ!!箒ちゃんを蔑ろにする奴の造ったIS何てぶっ壊してやるんだよ!!!」
千冬(平行)
(蔑ろと言うが話を聞く限り、向こうの束の判断は何処も間違っていないんだがな…コイツに言っても無駄か…はぁ、恥ずかしい…)
束(平行)は憤慨しているが千冬(平行)からすれば妹の我儘を全て許している平行世界の束(平行)の方こそ問題があると千冬(平行)は思っていた
千冬(平行)
「(だが丁度いいか…私も気になっていたしな…)流石に壊すのは承服出来んが勝負をしたいと言うのは分かる。そっちの私はどうだ?」
千冬
「ふむ…八神、どうする?」
千冬(平行)
「え?」
太一
「いいんじゃないか?面白そうだしな。」
千冬
「確かにな…そう言う訳だ。この勝負受けよう。」
千冬(平行)
「あ、ああ…」
別世界の千冬が太一に確認を取っているのを見て千冬(平行)は困惑した
この集団を率いているのは千冬か束のどちらかだと思っていたからだ
千冬
「それでそっちから出せるのは…あの6人か?」
千冬(平行)
「そ、そうだな…それでそっちから出せるのは…」
千冬
「こちらで行けるのは鈴とアルファ…後は…八神だが…」
束
「鈴ちゃん1人でいいよ。」
W千冬&束(平行)
「え!?」
誰を出すか千冬が悩んでいると束が決めてしまった
束の人選を聞いて…
千冬(平行)
「鈴1人か…ならこっちも鈴に「そっちは6人全員でいいよ。」何っ!?」
全員(平行)
「!?」
千冬(平行)も鈴(平行)を出そうとしたが束は6人全員でかかって来いと言って来た
束のこの提案に千冬(平行)だけでなく平行世界の面々全員が驚いた
だが、こんな提案をされて…
千冬(平行)
「そっちの束!!6体1で戦うとはこちらを馬鹿にするのもいい加減にしろ!!!」
千冬(平行)が黙っていられる筈無かった
それは束(平行)や6人がかりで来いと言われた一夏達(平行)も同様だった
束
「別に馬鹿にしてないよ?単にその6人が相手ならこっちは鈴ちゃん1人で十分って判断しただけだよ?たっくんはどう想う?」
太一
「そうだな…コイツ等なら鈴1人でお釣りがくるな。」
全員(平行)
「!?」
鈴1人でお釣りがくる…それはつまり6人を相手に鈴が勝つと太一は言っていた
千冬
「お前もそう言うならそうするか…鈴、6体1だが構わないか?無理ならアルファもつけるぞ?流石に八神は出せないけどな。」
鈴
「問題ありません。私1人で大丈夫です。」
千冬
「なら準備に「ふざけんな!!!」ん?」
鈴も了承したので試合の準備に入ろうとした時、一夏(平行)が怒鳴り声を上げた
一夏(平行)
「1人で俺達全員に勝てるだと!!馬鹿にすんじゃねえ!!!」
一夏(平行)の言葉に他の5人も頷いていた
一夏(平行)
「こっちが全員って言うならそっちも全員で来い!!その2人も出せ!!」
しかも、マドカだけでなく太一にまで出て来いと言い出した
だが、千冬は始めから太一だけは出す気が無かった
太一が出れば文字通り一瞬でケリがついてしまうからだ
それが分かっているので…
千冬
「悪いがアルファはともかく八神は出せん。」
一夏(平行)
「何っ!?」
千冬
「八神は鈴どころか私でさえ手も足も出ないほど強い。」
一夏(平行)
「ち、千冬姉より強いだと!?」
千冬
「ああ、コイツが出たら初めから勝負にならん。文字通り一瞬で終わる。」
一夏(平行)
「俺達が…一瞬で負けるだと!?」
千冬
「そうだ…この際だから教えておいてやる。私は入学2日目に八神に勝負を挑んだが簡単にあしらわれてアッサリ負けた。」
全員(平行)
「………」
千冬の話に平行世界の全員が言葉を失った
『世界最強』の2つ名を持つあの織斑千冬が手も足も出せずに負けたと断言したのだ
それは驚いて当然の事だった
千冬(平行)
「…本当なのか?」
同一存在である平行世界の千冬は特に信じられなかった
千冬
「本当だ。ISではなく生身での勝負だが結果に嘘は無い。そこのアルファとベータの2人も立ち会っていた。そうだな?」
千冬がそう聞くとマドカとオータムは頷いた
立会人もいると言われ…
千冬(平行)
「…本当なんだな…」
千冬(平行)は漸く認めた
そして、千冬(平行)が認めたので他の面々も何も言えなくなった
だが、それでも納得いってない者が何人かいる様だった
千冬
「それと八神はISを使っても強いぞ。それこそ世界中のISを全て相手にしても圧勝するほどにな。」
全員(平行)
「ええっ!?」
千冬
「当り前だろ?八神は今までIS以上の力を持つデジモンと戦って来たんだぞ?それも【七大魔王】と言う化け物共と戦って倒してきたんだ。そんな奴にお前達ひよっこがいくら束になってかかっても敵う筈無いだろ?」
一夏達(平行)
「………」
千冬
「それにこちら側の鈴はアルファや向こうのオルコットと一緒に八神を相手に日々訓練を続けている。私から見ても今の鈴の実力は国家代表クラスになっているだろう。」
全員(平行)
「国家代表!?」
鈴
「千冬さん…私そんなに強くなってるんですか?」
平行世界の面々は驚いているが、当の鈴は自分の実力がそこまで上がっている事に気付いていなかった
しかし、鈴が気付かなかったのも仕方なかった
そもそも鈴は太一以外に訓練する場合、同じように太一に鍛えられたマドカやセシリアと言った面々としかしていなかった
その為、他と自分の実力がどの程度の差が出来ているのか最近分からなくなっていたのだ
千冬
「当り前だろ?お前は何時も誰と訓練してると思ってるんだ?」
鈴
「誰って太一ですけど…私その太一に毎回ぶっ飛ばされてるだけだし…」
千冬
「八神を基準に考えるな!!もっとレベルを下げて考えろ!!」
鈴
「………すいません…太一より下の基準が今一分かりません…(最底辺のレベルなら丁度いい見本がいるから分かるんですが…)」
鈴は言われた通りに考えて見たがここ最近太一と訓練したせいかその辺りの基準がマヒしてしまっていた
但し、鈴が小声で千冬に言った最底辺の基準と言うのは言わずと知れた『あの男』の事である
千冬
「はぁ…そうか…この様子じゃオルコットも同じ状態だな…向こうに戻った時に一度その辺りを教えておく必要があるな…(確かにアイツは最底辺にいるからな…情けない…)」
鈴
「…お願いします…」
セシリアも同じ状態である可能性を考え千冬は元の世界に戻ったら鈴とセシリアに一般的な基準を教え直そうと決めた
尚、鈴の言う最底辺の見本が誰を差すのか千冬も良く分かっているので溜め息が出るのだった…
千冬
「話が逸れたな…そう言う訳で八神と戦いたかったらまずは鈴を倒してみろ。」
専用機持ち(平行)
「………」
千冬(平行)
「…分かった…お前達、準備に入れ!!」
専用機持ち(平行)
「………はい…」
千冬の話を全て信じた訳では無いが平行世界の千冬は一応納得し、束の提案通り、一夏達(平行)6人でまずは鈴1人と戦う事にした
千冬(平行)からの指示を一夏達(平行)は渋々頷くと模擬戦の準備を始めた
だが、平行世界の誰もまだ分かっていなかった…
自分達が今から戦おうとしている鈴の実力に…
鈴が使うISが従来のISと根本的に違うという事に…
【メガログラウモン】のデータを元に生み出された『暴走竜騎兵』の力を…
【四大竜】で最も凶暴な【メギドラモン】の因子を受け継いだ『真紅の煉獄竜』の力を…
これからその身をもって知る事になるのだった…
<予告>
遂に始まった2つの世界のIS勝負
6人を相手にこれまで培ってきた経験を使い果敢に挑む鈴
そんな鈴を相手に平行世界の一夏達はどこまで渡り合えるのか
次回!!
ISアドベンチャー 聖騎士伝説
異世界対決!
今、冒険が進化する!