約束通りフェルズがやってきて状況を報告した。
要約すると、グロス達対立派はひとまず矛を収めることを了承したこと。
合流できていない者たちの捜索をガネーシャの助けを借りて始めること。
残してきた仲間たちを再編する為、リド達を一時ダンジョンに返すこと。
報告を終えてフェルズは言った。
「ここの監視も無くなった様だ。これであまり気にせず動けると思う。」
リリが言った。「フェルズ様にお願いしたい事が有ります。ギルドを動かして欲しいのです。」
「アーデ、それは難しいぞ。ファミリアへの悪評は消えたが決して良くなってはいない。
この状態で贔屓するような事をしては悪評がぶり返す恐れがある。」
「そんな事は頼もうと思っていません。ダンジョン19階層に行きたいのです。」
「何故そんなところに?」
「ファミリアの評価を上げるためにクエストを受けています。そのため19階層へ行きたいんです。
安全確認のためとして今18階層が閉鎖されてますから。」
「そう言う事ならギルドのクエスト受注者は通れるようにしておこう。一日待ってくれないか。
ただ言うまでもないがダンジョンは自己責任だ。その辺りは大丈夫なのか?」
命が言った。「クエスト受注者だけと言う事は、桜花殿の援助は期待出来ません。大丈夫でしょうか?」
「何とかするしかありません。19階層なら命様のスキルが使えるはず。それに期待しています。」
フェルズはヘスティアの部屋を見回し本棚にそれを発見する。
「神ヘスティア、これは魔道書ですか?」
「そうベル君の魔法を発現させた奴だよ。役に立たなくなったガラクタだけど記念に取って置いたんだ。」
「あの魔法か。そう言えばこの中に魔法の空きスロットが有る人はいるのですか。」
「狐人の春姫君がまだ有ったはずだよ。何故そんなことを。」
「今回のお礼に魔道書を進呈しましよう。余っているものが1冊あるので。」
「魔道書なんてものが余っている事に疑問が有るんだが、くれるんなら大助かりだよ。」
「神ヘスティア、魔道書の使い方は御存じですか?」
「読むだけじゃないのかい?」
「その通りですが、そうではなく発現させる魔法をコントロールする方法の事です。」
「それは知らないな。発現する魔法をコントロールする発想は無かったな。」
「発現させたい魔法のイメージをハッキリ持つ事。魔法は万能では無い事をわきまえ調整する事。
等によりある程度決めることができるのですよ。」と言って詳しい方法を語った。
「では明日夜にでも届けさせましょう。」と言ってフェルズは出て行った。
ヘスティアが言った。「魔法があんな風に決められるなんて思わなかったな。『魔法はその者の願望をかなえる』
確かにスキルがそうなんだから魔法も同じで良い訳だ。」他の皆はその言葉に身じろぎした。
(自分が嫌いで変えたい、魔法が嫌い、対象を束縛したい、強く変わりたい)
リリが咳払いをして言った。「春姫様の魔法を決めましょうか。」
ヴェルフが勢いよく言った。「攻撃魔法だ、魔剣を使わなくて済む攻撃魔法だ。」
「リリは回復魔法が良いです。ポーション代が節約出来ます。」
「私はこのファミリアには期間限定なので、他の皆さんで決めてください。」と命。
「みんなの力で戴いた魔道書ですから、みんなで決めましょう。」と春姫。
リリとヴェルフが対立したが、結局リリの『今足りない、ベルが帰ってきても重複しない。』が優勢に。
ただ限定せず、その方向で明日情報を集めることに、具体的には先ず治療を扱うミアハの所に行くことになった。