アナザー11   作:諸々

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ククリ11

……あの神(ひと)の代わりにボクが助けるはずなのに。

……その後も扱いは変わらない。

……次のピンチの時、大剣を奪うと見向きもされない。

……前回と同じく壊れたが、今度の決め手は何と素手。

 

レフィーヤはエイナにペコペコ謝っていた。

「ホントにすみません。すみません。すみません。」

「ベル君に助けてもらいましたし、怪我も有りませんでしたからもう良いですよ。」

そうエイナは答えながらベルに対する態度を不思議に思った。

「レフィーヤさん、ベル君に関してもう少し詳しく聞かせてもらえませんか?」

レフィーヤさんもベル君も良い人なのに対立している。何が原因が有るんじゃないかと思った。

「分かりました、みなさんあの男(ひと)の事を良いように誤解してます。…

初めての出会いは、早朝に人を探していた時でした。交差点でぶつかったんです。

その時は普通に見えたのですが、話の途中で突然逃げ出したんです。」

エイナは思った。(うわー、ベル君この人にもやったんだ。あんなことして怒らないのはアイズさん位だよ。

普通は怒るよね。これが初印象なら最悪だわ。)

「その後何度か町やダンジョンで見かけましたが、あちらからは話かけては来ませんでしたね。」

(ベル君、恥ずかしいのは判るけど挨拶ぐらいはしないと駄目だよ。)

「だから次に話したのは、遠征の帰り18階層でパーティが劇毒で苦しんでいる時でした。」

(報告書であった件ね。たしかサポ-ター達の多くが毒にやられたんだったわね。)

「レフィーヤさんのレベルはいくつですか?また毒には犯されなかったんですか?」

「レベルは3です。幸い毒には犯されませんでした。だから18階層では結構大変でした。」

(深層遠征でレベル3ならサポーターだわね。毒にやられなかったならいろいろ仕事をやらないといけなかったはずね。)

「そこへ、ボロボロになって転がり込んできたんです。幹部の人たちは、快く引き受ける事にしてしまいました。

それでこちらの厚意によって治療、テント、食事の提供をしたのに、沐浴を覗いたんです。」

「神の悪戯だったとリューさんは仰ってましたが。」

「たしかにそれもあってアイズさん達は許しました。でなければ戦争になってます。」怒りで拳を握りしめて言った。

(今までの話を総合すると、ベル君の世話係の一人はレフィーヤさんになるわね。だから責任を感じているんだわ。

でもアイズさん達ってなんだろう。レフィーヤさん本人には?)

巨大ファミリアナンバー4のアイズが、弱小ファミリアのベルの世話をしたとは常識的に考えられないだろう。

「その件でレフィーヤさんにベル君は何か言いましたか?」

「近づいたら、『ごめんなさいーー』と叫んで逃げました。」

(……幹部の皆さんが許したので、レフィーヤさんは文句を言えなかったんだわ。

うーん、ベル君、これは対応が悪い。何とか関係を改善できないものかな。)

「よく判りました。ですがこのままでは調査が出来ませんよ。」

(まずはどんな理由であれ近づくことが第一、それから徐々に改善していこう。)

「そうなんですよねー」がっくりとうなだれた。

「私に考えが有ります。明日ベル君と気軽なお茶会をしましょう。探せばお茶になるハーブが有る筈です。」

 

いろいろ話をしようと言われたが、じっさいは話せなかった。

僕と共に成長するみたいだけど、生まれて2か月にもならない相手に話題は無かった。

力になりたいと言う情熱は痛いほど判るけど、具体性が全くない。

何をさせるべきなのか、そして何が出来るのかが全く分からない。

そういえば僕は、神様から詳しい説明を聞いてなかった。

初めは神様のいただき物で(B級品?)、こんな不思議な物だと思わなかった。

その印象が強すぎ、2億は高すぎると言うことに思い至らなかった。

今は傍に居てお互い観察し合っている。何をさせるのが良いのか考えるために。

異端児の事も、まったく如何すればいいのか判らない。

孤児院裏のバーバリアンの事、もしダンジョンで出会ったら…

どうやって見分けるのか?怒り狂っている彼らを如何するのか。

リドさんは『躊躇うな』と言ってくれたけど、あのゴーグルの男の言葉が浮かぶ。

『共にモンスターを糧にしている。お前と俺は何も変わらねえ、ただお前が偽善者なだけだ。』

悩みだけが増えていく、ただ村での生活はのんびりしたものでその点は助かっている。

ククリは僕の傍で黙って常に見て、いや観察している。何が出来るかを見つけるために。

 

今日は、昨日薬草が見つかり新鮮なうちに薬の調合をする為、村で待機となった。

今は畑仕事を手伝っている。大根に似た根菜の収穫を手伝う。

僕の村のそれより2倍以上大きい、それとランクアップによる力の上昇もあって慣れているはずが

上手くいかない。四苦八苦しながら手伝っていった。

 

エイナがレフィーヤに言った。

「そろそろお茶会の準備が出来ます。ベル君を呼んできてくれませんか。」

「はーー、わかりました。」と言って杖を片手にベルを呼びに行く。

ベルに向かって歩き出したレフィーヤだが、何と呼ぼうかと考え込むことに。

それ程親しい関係ではないので、姓のクラネルだが、自分の事は名のレフィーヤ呼びをさせている。

ちぐはぐだし、自分の方が姓呼びだと格下の様で気に入らない。

考えながら歩いているとすぐ近くまで来ていた。ちょうどベルは腰を曲げて野菜を収穫している最中のようだ。

肩でも叩いて呼べば良いかと思い、そのまま後ろから近付いた。なぜか杖は淡く光っていた。

 

ベルは村長の妻に時々指導されながら収穫していく。だがなぜか一本抜けない物が有った。

何回か試すがなかなか抜けない。少し力を入れて引き抜こうとする。

だが今度はあっさり抜けて後ろにひっくり返る。なぜかゴンと硬い音がする。

ベルの目にはカーテン状の布とその奥の桜色が見える。

 

レフィーヤがベルに近づいた時、何かで顔面を強打する。反射的にに足を広げて踏ん張る。

何が起こったのか全く分からない。ふと前を見るとさっきまでいたはずのベルが居ない。

いや視界の下部に足だけが見える。嫌な予感を感じて視線を下に向ける。

足の間にベルの顔が有る。あわててスカートを抑え後ろに飛び退く。

 

ベルはあわてて飛び起きぎこちなく振り返りながら言った。「レフィーーー」

爆風の様な殺気と共にレフィーヤさんがゆっくり近づいてくる、右の拳を握りしめながら。

その剣幕にベルは思わず後ずさる。それを合図に追走劇が始まる。

 

レフィーヤが疲労でダウン、一部始終を見ていた村長の妻とりなしも有り

お茶会は平謝りするベルと看護されるレフィーヤで締まらない物に。

エイナは、先は長そうだと嘆息した。




原索ののベル君は、モンスターを殺して稼ぐのに抵抗が有るみたいでしたが
これからのダンジョン、どうするんでしょうね?
『強くなる』の一点張りで強行突破するんでしょうか。

ステータスからすると、レベル4になるんでしょう、適正階層は下層。
レベル1では、サポーターとしてでも付いて行くのはきつそうなんですが。
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