ヴェルフ様とリリ様はルームの奥へ採掘へ向かいました。
残った命様と私は入口でモンスターの監視です。
私の耳で音を拾い、命様のスキルで確認です。
少数の敵なら私の薙刀で足止め、命様がとどめを刺す。
幸いに前の通路はそれほど幅が広くなく、多数のモンスターが通りがかることは無いようです。
ただ命様の話だと、パンドリーが近い事も有り周囲にはかなりの数がいるようです。
神経を集中させて索敵する。何回目かの奥からの音がやむ、そのタイミングで外から大きな音がする。
「命様。」鋭く言った。
春姫殿が鋭く叫ぶのを聞き、スキルを発動する。数十体のモンスターがパンドリーを目指して進んでいる。
気付かれることなく過ぎ去ってくれと祈りながら監視を続ける。
ようやく命様が息を吐きモンスターが離れたと思われた時、奥から採掘の音が響いてくる。
不味いと思った瞬間、モンスターの声が近づいてくる。
「春姫殿、魔法を。」と言い虎鉄を抜き、入り口前で待機する。
スキルでタイミングを計り入り口前で対峙する。初手で先頭数体を仕留める。
その死体をバリケードにしてレベルブーストの時間を稼ぐ。
かろうじて間に合うが、騒ぎを聞きつけてモンスターが集まってしまう。
奮戦するも多勢に無勢、痛恨の一撃をもらってしまう。
「しまっ…」思わず声が出る。
その時春姫の声が聞こえる。「命、スチール」
不思議なことに、一瞬にして傷が消える。朝には数回唱えないと回復しなかったのに。
その後も魔法をかけるたびに傷が消える。また重症のモンスターが相次いで倒れる。
それを見た命は良い方法を閃く。致命傷のみを避けて攻撃に専念する。
春姫も魔法の合間に薙刀で攻撃している。
その内春姫が魔法を唱えるごとにバタバタとモンスターが倒れていく。
一心不乱に虎鉄を振るう。
そのうち不意にモンスターが途切れる。スキルで確認しても辺りに居なくなっている。
その内にこんな声が奥から聞こえてきた。
「おーい、リリっち、ヴェルフっち、無事かー」
リザードマンとセイレーンが近づいてくるのが感じられる。リドとレイだ。春姫がレイに飛びついて言った。
「こちらに戻られていたんですねレイさん。」
この言葉にリリとヴェルフの硬直は解けた。
「リド、どうしてここに?」とヴェルフ。
「ダンジョンに残った仲間の再編に戻ったんだ。ヴェルフっち達の事はフェルズに頼まれていたからな。
だけど新人が多かったんで遅くなっちまった、済まねえ。」
「そうですか、フェルズ様が。ですが後始末が先です、春姫さん。」リリは戦闘の後始末を始めた。
レイは警備に就く。手持無沙汰になったヴェルフは言った。
「命、武器の整備をするぞ、寅弐郎を寄こせ。」
「虎鉄です。」と憮然としながら言いつつ渡す。
幸いそれほど傷んではいなかったのですぐに終わる。
「リド、前から気になっていたんだがお前の武器を見せてくれ。」
「いいぜ、ほらよ。」シミターを渡す。
ロクに整備を受けていないのでひどい有り様になっている。
「これはひでえな、少し待ってろ何とかしてやるから。」
リドはその様子を興味深げに見ている。そのうちリリ達が魔石とドロップアイテムを持って戻ってきた。
「彼ハ何ヲしてイるのデすカ?」とレイ。
「武器の整備をしているんですね、ヴェルフ様は鍛冶師ですから武器を治せるんです。」とリリ。
「そう言えばリリっち達は何でこんな所に居るんだ?」とリド。
「これを取ってました。」採取した鉱石を見せるリリ。
「こレハ、あれデハ無いですカ?」とレイ。
「そうだな、あれだ。」とリド。
「もしかしてこれが有る場所を知っているんですか?」とリリ。
「人間たちが入ってこない場所で、おれっち達が休憩に使っているルームに、こんな岩がごろごろしている所が有るんだ。」
「リド。」「分かってるぜ。おれっち達が取ってきてやるよ。」
「そこには一種類だけしかないんですか?」とリリ。
「いいや、いろんな種類が混ざってるぜ。だからそれらしいのを持ってきてやるよ。」
「じゃあリリが一緒に行きましょうか?」
「無理じゃないか。フェルズの話だと、お前らは水の中に長く居られないんだろう?」
「水の中なんですか。」とリリ。
「おーい出来たぞ、これでかなりマシになるはずだ。」とヴェルフが言った。
「まあそんなところだ、それじゃ行ってくるよ。」
「それでしたらも願いしたい事が有るんですが。」とリリ、そして頷くリド。
「珍しい石が有れば採って来て欲しいです。選択はそちらにお任せしますよ。」
「解ったリリっち、行ってくる。」と言ってリドは出て行った。
ここでレイがヴェルフに言った。
「ヴェルフさんハ、防具モ直せるンですカ?」
「ああ、俺は鍛冶師だ、武器も防具もお手のもんだぜ。」
「でハ、ワタシの防具ヲ見てくレませんカ?」
ヴェルフは快く引き受けレイから不具合箇所を聞き作業に入った。
実力者のレイが居るので、リリは命を誘って採掘場所へ向かった。
春姫とレイは入り口近くで哨戒に就く。
ただ哨戒と言ってもレイの実力はかなりの物だ、比較的気楽だ、そこでレイが春姫に話しかけた。
「春姫さン。初めテお会いしタ時と比べるトずいぶン雰囲気ガ変わりまシたネ。何カあったノですカ?」
「はい、自分の本当にやりたい事、やるべきことが見つかったんです。」嬉しそうに春姫が言った。
「そうデすカ、それハ良かっタですネ。それニ強クなっタようニ感ジますヨ。」
「はい、これは練習してますから。」薙刀を軽く振って言った。
その内、防具の修理が終わり、リドが帰ってきた。
チート……