アナザー11   作:諸々

29 / 71
春姫07

ヴェルフ様とリリ様はルームの奥へ採掘へ向かいました。

残った命様と私は入口でモンスターの監視です。

私の耳で音を拾い、命様のスキルで確認です。

少数の敵なら私の薙刀で足止め、命様がとどめを刺す。

幸いに前の通路はそれほど幅が広くなく、多数のモンスターが通りがかることは無いようです。

ただ命様の話だと、パンドリーが近い事も有り周囲にはかなりの数がいるようです。

神経を集中させて索敵する。何回目かの奥からの音がやむ、そのタイミングで外から大きな音がする。

「命様。」鋭く言った。

 

春姫殿が鋭く叫ぶのを聞き、スキルを発動する。数十体のモンスターがパンドリーを目指して進んでいる。

気付かれることなく過ぎ去ってくれと祈りながら監視を続ける。

ようやく命様が息を吐きモンスターが離れたと思われた時、奥から採掘の音が響いてくる。

不味いと思った瞬間、モンスターの声が近づいてくる。

「春姫殿、魔法を。」と言い虎鉄を抜き、入り口前で待機する。

スキルでタイミングを計り入り口前で対峙する。初手で先頭数体を仕留める。

その死体をバリケードにしてレベルブーストの時間を稼ぐ。

かろうじて間に合うが、騒ぎを聞きつけてモンスターが集まってしまう。

奮戦するも多勢に無勢、痛恨の一撃をもらってしまう。

「しまっ…」思わず声が出る。

その時春姫の声が聞こえる。「命、スチール」

不思議なことに、一瞬にして傷が消える。朝には数回唱えないと回復しなかったのに。

その後も魔法をかけるたびに傷が消える。また重症のモンスターが相次いで倒れる。

それを見た命は良い方法を閃く。致命傷のみを避けて攻撃に専念する。

春姫も魔法の合間に薙刀で攻撃している。

その内春姫が魔法を唱えるごとにバタバタとモンスターが倒れていく。

一心不乱に虎鉄を振るう。

そのうち不意にモンスターが途切れる。スキルで確認しても辺りに居なくなっている。

 

その内にこんな声が奥から聞こえてきた。

「おーい、リリっち、ヴェルフっち、無事かー」

リザードマンとセイレーンが近づいてくるのが感じられる。リドとレイだ。春姫がレイに飛びついて言った。

「こちらに戻られていたんですねレイさん。」

この言葉にリリとヴェルフの硬直は解けた。

「リド、どうしてここに?」とヴェルフ。

「ダンジョンに残った仲間の再編に戻ったんだ。ヴェルフっち達の事はフェルズに頼まれていたからな。

だけど新人が多かったんで遅くなっちまった、済まねえ。」

「そうですか、フェルズ様が。ですが後始末が先です、春姫さん。」リリは戦闘の後始末を始めた。

レイは警備に就く。手持無沙汰になったヴェルフは言った。

「命、武器の整備をするぞ、寅弐郎を寄こせ。」

「虎鉄です。」と憮然としながら言いつつ渡す。

幸いそれほど傷んではいなかったのですぐに終わる。

「リド、前から気になっていたんだがお前の武器を見せてくれ。」

「いいぜ、ほらよ。」シミターを渡す。

ロクに整備を受けていないのでひどい有り様になっている。

「これはひでえな、少し待ってろ何とかしてやるから。」

リドはその様子を興味深げに見ている。そのうちリリ達が魔石とドロップアイテムを持って戻ってきた。

「彼ハ何ヲしてイるのデすカ?」とレイ。

「武器の整備をしているんですね、ヴェルフ様は鍛冶師ですから武器を治せるんです。」とリリ。

「そう言えばリリっち達は何でこんな所に居るんだ?」とリド。

「これを取ってました。」採取した鉱石を見せるリリ。

「こレハ、あれデハ無いですカ?」とレイ。

「そうだな、あれだ。」とリド。

「もしかしてこれが有る場所を知っているんですか?」とリリ。

「人間たちが入ってこない場所で、おれっち達が休憩に使っているルームに、こんな岩がごろごろしている所が有るんだ。」

「リド。」「分かってるぜ。おれっち達が取ってきてやるよ。」

「そこには一種類だけしかないんですか?」とリリ。

「いいや、いろんな種類が混ざってるぜ。だからそれらしいのを持ってきてやるよ。」

「じゃあリリが一緒に行きましょうか?」

「無理じゃないか。フェルズの話だと、お前らは水の中に長く居られないんだろう?」

「水の中なんですか。」とリリ。

「おーい出来たぞ、これでかなりマシになるはずだ。」とヴェルフが言った。

「まあそんなところだ、それじゃ行ってくるよ。」

「それでしたらも願いしたい事が有るんですが。」とリリ、そして頷くリド。

「珍しい石が有れば採って来て欲しいです。選択はそちらにお任せしますよ。」

「解ったリリっち、行ってくる。」と言ってリドは出て行った。

ここでレイがヴェルフに言った。

「ヴェルフさんハ、防具モ直せるンですカ?」

「ああ、俺は鍛冶師だ、武器も防具もお手のもんだぜ。」

「でハ、ワタシの防具ヲ見てくレませんカ?」

ヴェルフは快く引き受けレイから不具合箇所を聞き作業に入った。

実力者のレイが居るので、リリは命を誘って採掘場所へ向かった。

春姫とレイは入り口近くで哨戒に就く。

ただ哨戒と言ってもレイの実力はかなりの物だ、比較的気楽だ、そこでレイが春姫に話しかけた。

「春姫さン。初めテお会いしタ時と比べるトずいぶン雰囲気ガ変わりまシたネ。何カあったノですカ?」

「はい、自分の本当にやりたい事、やるべきことが見つかったんです。」嬉しそうに春姫が言った。

「そうデすカ、それハ良かっタですネ。それニ強クなっタようニ感ジますヨ。」

「はい、これは練習してますから。」薙刀を軽く振って言った。

その内、防具の修理が終わり、リドが帰ってきた。

 




チート……
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。