今日は私の魔法の再検証で再びダンジョンに来ている。
いつも通りリリ様が主導だ。ダンジョンの経験がずば抜けている為だが少し悔しい。
有効なスキルが発現したとはいえ何もかもが足りていない。
3階層の奥のルームであの19階層の再現をする様だ。
今度の被験者はリリ様、何かあった時は命様とヴェルフ様がサポートに入る予定。
今日はいつものゴライアスのローブではなくただのローブを着ている。
「ではここは私が行きます、これで階層の影響を検討できます。
命様、この階層では数が揃えにくいでしょうが、モンスターをなるべく多く連れて来てください。
後何かアドバイスが有ればお願いします。」とリリ。
「分かりました。傷が直ぐ治る様なら、致命傷だけを避けて攻撃に専念してください。その方が早く倒せます。」
「ヴェルフ様、春姫さん後はよろしく。」と言って入口に右手に片手剣、左手に短剣を装備して立った。
数時間かけて検証は終了した。階層差ではなく範囲内の対象数の影響が大きいみたいです。
リリ様は肩で息をしている。まだまだやりたそうだが武器の整備が必要なようだ。
そんなリリ様を見て、私もと思い交代をお願いする。
だが入口に立つと急に恐怖がこみあげてくる。前回は必死だったことも有りモンスターをよく見ていなかった。
今回は複数回行ったことも有り、怒りの表情で押し寄せるのがハッキリ見えていた。
思わず体が震える。その時リリ様が声をかけてくださった。
「春姫さん、私たちが後ろに控えています。危ないと感じたら逃げてもかまいませんよ。」
この言葉で震えが止まる、そうリリ様は自分よりも小さいのに見事にやってのけている。
こんな自分の魔法を信じてだ。自分も負けていられない。
思い浮かべる英雄を、エルフの大魔道士からドワーフの大戦士に切り替える。
とたんに体の震えが止まる。武装を短槍に切り替えて待ち受ける。
やがて命様が通り過ぎる。後ろにモンスターを引き連れて。
殺到してくるモンスターに思わず怯む。
その時横から後ろから薙刀、大剣、矢が飛んでくる。
逆にモンスターたちが怯む。後ろに皆が居る、それに勇気づけられて槍で突きまくる。
モンスターの爪や牙が傷を生む。実際かなり痛いし辛い、だけどベル様とお別れするのはもっと辛い。
隙をついて魔法を発動する。検証通り傷が全て消える、それと共になぜか気分が高揚してくる。
しばらく戦ってモンスターを殲滅する。自分の時間では一瞬で終わッた気がした。
「命様次、お願いします。」
「春姫殿、マインドは?」と命。
「…すみません。」ポーションを飲む。
「回復魔法は生命線です。マインド切れには細心の注意を。」と魔石を取り出しながらリリは言った。
「すみません、よく分かりました。」
気合を入れなおし、今度は相手を良く見る。すると相手は連携しておらずそこかしこに隙が有る。
なるべく数多く傷つける様に心がける。すると魔法を唱えるたびにバタバタと倒れる。
繰り返す事約10回、武器を整備したリリ様と交代。
終日これを繰り返した。
魔石とドロップアイテムでバックがパンパンだ。
結局ヴェルフ様にも持ってもらいホームへ帰った。
ヘスティア様に今日の事を話し、ステータス更新をしてもらう。
「どうやら範囲内なら複数から奪い取っているみたいだね。うまく使えばかなり君たちの力になるだろう。」
「リリ様はそれ程ではなさそうでしたが、モンスターの群れがとても怖かったです。
今でも思い出すと胸がドキドキします。」胸を抑えながら言った。
「うん、この方法は勇気が必要だ。ただそれだけじゃなく冷静さも重要だがね。
それがこの方法を使うための代償だよ。くれぐれも無茶をしないでおくれ。」
あすの異端児達との取引に備えてみんな自分の部屋へ戻る。
「あっ、春姫君ちょっと良いかい?」
「はい、何でしょうか?」春姫だけが部屋に残る。
「…今日は経験値の偏った進捗は無いね。スキルの効果は思った通りだったみたいだ。」
「ありがとうございます。この調子で頑張ります。」
「そうキミは『ダンジョン』でこそ輝く、『ダンジョンで』ベル君を助けてくれたまえ。」ダンジョンを強調して言うヘスティア。
「そ、そうでございますか。…」口調が変になる春姫。
「そうだ、これを使えば日常のトレーニングでも、メイドの仕事中でも経験値を得られるかもしれない。
ベル君において行かれない様に、『余計なこと』は考えずに頑張るんだ。」今度は余計なことを強調。
「はい、がんばります。」と言って退出した。
春姫が出て行ってからヘスティアはガッツポーズをした。
この章で春姫は終了となります。
正統的に(?)魔法とスキルで強化してみました。
これでこの物語もようやく終わりが見えてきました。
もともとこの物語は前作が行き詰った(原作者様が…)為やむなく書いたものでした。
お気楽な短編でもっと早くに終わる予定でしたが、作者の力の無さでこんなに長くなってしまいました。
読者の方々、もう少しだけお付き合いください。
前作、影響の少なさそうなところは進めるべきなんだろうか?