村に戻ったベル達だが、レフィーヤは大層ご立腹の様子。
エイナはベルに困惑の表情を浮かべている。
取敢えず村長にエルフたちの事を話す。
滞在の許可は直ぐに下りたが、現れたモンスター達の事が気になっている様だ。
男をベッドに寝がせてから、残り3人にリューが詳しい事情を聴く。
その間ベルはレフィーヤ達に尋問されていた。
「…何故あんな条件のクエストを引き受けたんですか?」怒りを纏ってレフィーヤが言った。
「えっ」とベル。
「どんなつもりなのかは私も聞きたいな。」とエイナ。
「こいつはもう立派な雄なんだから、そんな事は決まっているだろう。」とアイシャ。
その言葉にレフィーヤは顔を真っ赤にしてごにょごにょ言ってる。
「えーっとその条件てなんですか?」と恐る恐る聞くベル。
「「えっ」」エイナとレフィーヤ。
「何だい聞いてなかったのかい。だけどエルフの呪いの条件は満たしたぜ。」とアイシャ。
「呪いではありません。代々エルフ族に伝わる神聖な物なんです。」とレフィーヤ。
「聖木の誓い、ね。今では行う人は殆どいないわ。
だいぶ簡略したものを結婚式でたまにやる事が有るくらいね。」
「そ、それでその条件なんですが。」とびくびくしながらベルは聞く。
「簡単な話さ、家族を助けてくれたら何でも言う事を聞きます、つまりは奴隷になりますってぇ事だよ。」
「そんな事って。」とベル。
「私たちも何とか条件を変えさせようとした所だったの。ベル君覚えてるかな、ラキアの件でのエルフの事。
ファミリアに入る時願いをかなえる為自由を犠牲にした事を。それが変な風に伝わっているみたいなの。」
「変な風じゃないよ、大きな勢力を持ってる神のファミリアに入るってことはそう言う事だ。
神の命令は絶対、脱退は基本認められない。奴隷とどこが違うんだい。」
「厄介なことにあの子儀式を終えちゃってるのよ。よっぽど助けたかったんだと思うんだけど。」とエイナ。
「そう言うこった、諦めてあの子のご主人様になりな。で、もう一人はどっちにするんだい。」とアイシャ。
レフィーヤはそっぽを向いている。
「何とか今から条件を変えることは」とベルは言いかけた。
「聖木の誓いはエルフにとって犯すべからざる神聖な物、それを軽々しく変えるなんて。
あなたはエルフの事を愚弄するのですか。」と怒りながらレフィーヤ。
「エルフは融通が利かないからな。それに条件を変えるとは言うが、何に変えるつもりなんだい?
金かい、あの子の人生分の金とすると、それは売り飛ばすのと同じじゃないかい?」とアイシャ。
「それで困ってベル君を交えて話し合おうと呼んだんだけど、何も聞かずに飛び出しちゃったから。」とエイナ。
ベルは綺麗に固まってしまった。
そこへリューが戻ってきて聞き取った内容を話した。
「あの男は彼女たちの父親ですね。母親はすでに亡くなっています。
そして森のエルフでは大変珍しい事ですが一家族だけで暮らしている様です。
今度の経緯は、突然父親が血だらけになって駆け込んできたそうです。
一緒に逃げようとしたが間に合わず近くの大木に上った。
そして体重の軽いあの子だけが枝を渡り逃げ出すことに成功した。
そしてあの子なりに考えたんでしょう、我々に助けを求めた、と言う経緯の様です。
父親が目を覚まさない事にはこれ以上のことは判りませんね。
肝心の父親の容体ですがかなり失血、おまけにマインドダウンを起こしている様です。
しばらく目を覚ますことは無いと思われます。」
この日はそのまま有耶無耶になった。
次の日、あの子がベルのベッドで発見されてお決まりの追いかけっこ。
それが済んで集会場に戻ると、あの子の姉二人に世話を焼かれる。
何かと言うと手伝いたがるのだ。
不思議に思ってリューさんに確認すると2人とも自分を選んでほしいらしい。
自分が選ばれると他の姉妹が残れるからだそう。
理由を聞いて落ち込む。
アイシャさんはご主人様の振舞い方の練習だと言ってからかってきた。
「ご主人様。」と言ってすり寄ってくる。流石にリューさんも対応に困っている。
復活したレフィーヤさんの視線は凍っていたが。
午後はリューさんとアイシャさんが近くの町へ姉妹を連れて行った。
家は壊されているので生活用品の買い出しだ。ちなみにここでの食費を含めてベル持ちだ。
一番下のあの子は僕の傍を離れない。まるでククリの様だ。
表情は非常にうれしそうだ。家族を見る目で判ったが生きて話が出来る、そのことが嬉しいらしい。
お祖父ちゃんが生きていたら僕もそう思うのかな。