ベル様とお別れしてから約2か月が過ぎた。
異端児との取引は順調だがそろそろ相手に渡すものが無くなりつつある。
それとリヴィラの連中が気付き始めているらしい。
異端児たちによると18階層から後をつけてくる連中がいるそうだ。
幸いと言っていいのか次回は取引を休む予定になっている。
これを利用してうるさそうなやつらを黙らせる事にしよう。
先ずりりとヴェルフがリヴィラに行きボールスにつけて来ている事に文句を言う。
春姫さんはカーゴの中で待機、命様はその護衛だ。
19階層に入ると、案の定ボールス自らつけて来ている。
適当なところで声をかける。
「おい、つけてくるなと言ったはずだが。」とヴェルフ。
「ちぃ、ばれたか。なら物は相談だ。なんか儲け話が有るんだろう、俺も混ぜてくれよ。」
「どうするよ。」
「警告してもダメ、ここまでついてこられたら誤魔化すのも難しいです。
仕方ありません、その代わり目一杯働いてもらいますからね。」
「おう、俺にまかせろや。」
「武器やポーションは大丈夫か。」とヴェルフ。
無言で武器を取り出してみせる。
「ならついて来い。」とヴェルフ。
19階層のあのルームに着いた。
「それじゃあ最初は俺からだ、よく見てやり方を覚えろ。」とヴェルフ。
その言葉に命が飛び出す。ヴェルフは入り口で仁王立ちで待ち構える。
「ボールス様、よく見ててくださいね。次はあなたの番ですから。」と試験管を手に持ちリリが言った。
二度も言われて不快そうにリリを見た。
命がヴェルフの横をすり抜ける。ボールスは訳が分からずにきょとんとしている。
一瞬の後、モンスターの大群が現れる。ボールスはその光景に思わず怯む。
ヴェルフは傷を負うのもかまわず戦っている。
「いきます。」大声でリリが言い、持っていた試験管の中身をヴェルフにぶちまける。
それと同時に傷が消える。それを見てボールスが言った。
「その効果、ハイポーションじゃないのか。」
リリはにっこりと微笑むだけで何も言わない。その後タイミングを見て繰り返す。
ますますモンスターの勢いはひどくなる。
「乗ってきたーー」とヴェルフ。
それを聞いて命がボールスに言った。
「次はあなたなんですから、もっとよく見てください。」巧みにヴェルフの2M以内に誘導する。
モンスターの勢いにボールスは震え上がった。
やがて立って居られなくなり尻餅をつくことでスチールの範囲をを外れる。
やがてモンスターがいなくなる。ヴェルフは肩で息をしている。
モンスターの勢いに惑わされて、攻撃を受けていないモンスターが倒れている事にボールスは気づかない。
「次、お前だ準備しろ。」息を整えてヴェルフがボールスに言った。
「へっ」尻餅をついたまま呻く。それを見たリリが軽蔑したように言い放つ。
「怖気づいたんですか?仕方ありません命様次お願いします。ですがその次こそはよろしくお願いしますね。」
ヴェルフはカーゴから予備の武器を取り出す。それを見てボールスが言った。
「一回ごとに武器を交換するのか。それにハイポーションをあんなに使ったら赤字だろうが。」
「私は儲かるとは一言も言ってませんよ。群れてる個体は強いのが多いみたいでドロップアイテム分は儲かりますが。」
後始末をしながらリリが言った。モンスターが強いと聞いてギョッとするボールス。
しばらく休んだからなのかボールスが立ち上がった。
後始末が終わって命がまた飛び出す。今度は入り口で刀を抜き振り返る。
命に代わって同じことの繰り返しだ。ただボールスは完全に及び腰だ。
「乗ってきました。」命の言葉を受けてヴェルフがボールスに言った。
「おい、今度こそ次はお前の番だ。しっかり見とけ。」2M以内に引っ張り出す。
前回より早く尻餅をつく。それと同時に臭いがあたりに充満する。
ボールスの股間に水たまりが出来ている。
モンスターが途切れるとボールスは叫びならら逃げ出す。
「キチガイだー。お前らみんなキチガイだーー」
「春姫さん、もう出て来てもかまいませんよ。」
鼻をつまみながら春姫はカーゴから出てくる。
二人で後始末をしている内に臭いは少し薄れてきた。
「いったん帰りましょうか。カーゴの空きはそこら辺の植物を適当に詰めましょう。」
カーゴを交換して戻ってくる、さすがに臭いはもうしない。
「念のため繰り返しておきましょう。これでリヴィラを黙らせることができると思います。」
「あの水は戦っているとき正直気持ちがいい。時々で良いから掛けてくれ。」とヴェルフ。
「ただの泉の水なんですがそんな効果が有るんですか。」とリリ。
時間いっぱい繰り返して念のためリヴィラに寄ってみる。
リリ達を見るたびギョッとする人達が何人もいる。
何とかうまくいきましたね、とリリは思った。
ちなみに取って来た植物はミアハファミリアにお土産としてあげた。