アナザー11   作:諸々

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ククリ28

何か大きな物が地面にうずくまっている。

こちらが気が付いた事を悟ったかうなり声を上げ威嚇を始めた。

ナイフを構えてにらみ合いになった。

不意にナイフが熱を持ったように感じた。

思わず「お前は何だ。」とククリのように叫んでいた。

すると何かは唸るのを止めた。

「しゃべった。…うなり声には思えん。」こう呟いた。

ベルはその言葉に驚いて問うた。

「もしかしてゼノス(異端児)ですか?」

「本当なのか、…すまない、その言葉は知らない。本当にお前は言葉を理解できるんだな。」

「僕はベルと言います。あなたの名前は?」

「話が通じるみたいだな。だが済まない、名前とは何だ?」

「他と区別するための物です。一人一人別に持つ呼び名です。」

「ずっと一人だった。だからそんな物は無い、必要無かったからな。」

ここでようやくベルの目が慣れ対峙する者が分かった。

ワイバーンの様だ、ただ翼が岩に挟まれて身動きできないでいる。

「どうしたんですかその翼。」

「わからない。目覚めたらこうなっていた。自分で暴れたんだろうか、と思っている。」

「『思っている』って?」

「最近、目覚めると狩った覚えのない獲物が有ったりする事が有る。

長く生きてきたがこんな事は初めてだ。」

「どのくらい長く生きているんですか?」

だが回答は要領を得なかった。どうやら1日の概念では動いていないらしい。

普段は寝ていて腹が減ったら起きて狩りをする、そんな暮らしだそうだ。

「ここで生まれたんですか?」

「いや、少し離れた所の深い深い穴の奥だ。」

様子を聞くとやはりオラリオのダンジョンの様だ。

だけどあそこから出てきたのなら大騒ぎになっているはず。

そう思って聞いてみると、どうやら黒竜が出てきた時らしい。

それを基準とすると50年以上生きている計算に、もしかすると100年かもしれない。

「とりあえず岩をどかしますね。」いきなり襲ってくることは無いだろうと判断して言った。

「済まない、妙な所が挟まったのと、腹が減って力が出なかったんだよ。」

その言葉を聞いて慌てて坑道に引き返し、倒したモンスターを持ってきた。

それらを食べると今度はベルの事を聞いてきた。

だがここでも良く解らない様だった。親と言う概念が無いから祖父は何の事か不明だ。

食べ物も植物を育てる事も何の事だか解らない様だった。

だが熱心に話を聞いていた。ただしダンジョンの事では少し話が盛り上がった。

話を進めるとやはりリドさん達とは会っていない様だ。

 

ひとしきり話をしているとぽつりと一言漏らした

「傷の直りが遅い、治っていればお前を外に運んでやろうと思ったんだが。

そろそろ眠くなってきたよ。今回は本当に楽しかった、次回が有れば良いんだが。」

その一言でベルは当初の目的を思い出した。

別れを告げて壁を見つめる。登攀ルートを見つける為だ。

若干オーバーハング気味だが、チョッカイをかけて来るのがいなければ大丈夫。

レベル3は伊達じゃ無い、するすると壁をよじ登っていく。

その時何かが天井の穴から落ちてきた。

 

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