オラリオ北門朝6時少し前、当然ミイシャとラウルの姿はなく代わりにエイナとレフィーヤが居た。
二人はすでに簡単に挨拶を済ませていた。
そこへベルが駆け込んできた。エイナが目ざとく発見し近づいて言った。「おはようベル君、これからよろしく。」
ベルはその勢いにタジタジになったが、後ろにただならぬ雰囲気を持った森の亡霊もとい妖精を見つけて、
思わず後ろに数歩下がると後ろの人に当たった。
後ろから半回転、がばっと抱きしめられ顔を胸に埋められた。「お前さんの方から来てくれるなんて嬉しいね。」
アイシャだ、ベルがじたばたしていると、覆面の人物(リュー)が近寄ってきて言い争いになった。
「前にも言ったが彼にはすでに伴侶の先約がある。」とリュー。
「すでに妹分がよろしくしてるよ、それでそっちはもう手は繋いだのかい?」とアイシャ。
エイナはその言葉に眉を顰め、後で問い詰めようと強く思った、
レフィーヤは、やはり奴は色魔で変態、これ以上アイズさんに近づけさせない様に、何としても秘密を暴こうと決心した。
しばらくして解放されるとベルはオドオドと「レフィーヤさんお久しぶりです。」とレフィーヤに挨拶すると、
「今度は不埒な行いが無いように、しっかり監視しますからそのつもりで。」と冷たく言った。
その横でエイナがアマゾネスに少し怒ったように声をかけた。
「ギルドの者です。お見送りならそろそろ離れてもらえないでしょうか?」
このように少々騒がしく開門を待っていると、リリがものすごい勢いで駆け込んできた。
そしてベルの背中に手を突っ込むと何かを引っぱり出した。なんとそれはヘスティアだった。
リリが怒って言った。「ギルドに睨まれているのに、なんて事をするんですかヘスティア様、さあ帰りますよ。」
リリはヘスティアの首根っこを掴んで引っ張っていった。「ベル君には僕が必要なんだー。」と言う言葉が空しく響く。
後にはベルが持っていくはずだった荷物が、小さなバッグに入って残されていた。
その光景にエイナとレフィーヤはあっけにとられて、毒気を少し抜かれた。
コホンと咳を一つしてアイシャが言った。「ヘルメスファミリアからのアイシャ・ベルガーだ、今回の件の仲介を任されている。
でこっちは案内人だ。ただし仕事については秘密で頼むよ。」この時に門が開いた。
アイシャが言った。「そろそろ行こうか。」みんなはヘルメスが口添えしていたために一番で門を出た。
先ずは馬車に乗って昼前に村に着いた。道中は終始無言、エイナとレフィーヤはベルの正面に座りジト目で睨んでいた。
ベルはその視線に終始落ち着きなくそわそわしていて、アイシャとリューはベルの両隣であさっての方向を向いていた。
昼食を終えて周囲を散策、周りに人がいなくなるとベルがアイシャに言った。
「つけられてますね。あんまりレベルは高くなさそうですが、どうしますか。」
アイシャがエイナをちらっと見て言った。「ちょっと不味いね、ヘルメス様からはナイショにしろと言われてるんだが。」
ベルが言った。「エイナさんは僕が運びます。」「どうやって?」とリュー。
「神様の代わりに。」と言ってベルは背中を指差した。アイシャが言った。「それじゃ走って撒くか。」
エイナを背中に乗せベルたちは走りだした。ただヘスティアとの身長差で少々不安定、このためエイナはベルの首にしがみついた。
レベル3でも上位にあたるスピードにエイナはギュッとしがみついた。
首から肩にかけて感じる柔らかな双丘、耳に押し当てられるほっぺたの感触、ベルはその感触に頬を染めながら走り続けた。
この夜は山の中で野営になった。食事中に今後の話をした。
「追手はどうやらまいたようだね。」とアイシャ。
「後は目立たなければ大丈夫じゃないでしょうか。」とベル。
「それで目的地までのルートなんだが。」リューを見てアイシャが言う。
「今日のようなスピードで直線踏破すると4日か5日、ただしすべて野宿、間にはろくな町は有りません。」
「そりゃきついね、追手の心配はないんだ街道に沿って行けないかい。金はあるんだふかふかのベットで寝たいもんだ。」
「目的地は街道からはかなり離れているからずいぶん遠回りになる。フカフカを希望するなら10日以上かかるぞ。」
「それに街道を今日のようなスピードで走ると目立つんじゃないですか。」とベル。
「そんなに遠いんですか。目的地はどんなところなんですか、ギルド支部は近くにありますか。」とエイナ。
「山裾の自給自足の小さな村だ。ギルド支部のある町へは私の足で直線ルートなら2日、山道を通ると4日かかる。」
「ヘルメス様から近く、と言っても一般人で2日ほどの所に町が有るって聞いてるんだが。」とアイシャ。
「ある、ただ小さな町だ、最低限の者はそろうが流石にギルド支部は無い。」
「ではなるべく宿を使う方針で最短ルート、ただし最寄りのギルド支部に寄りたいです。最後は直線で構いません。」とエイナ。
他のみんなも頷いた。「ではそのように。」
アスフィーはヘルメスに報告した。「彼等は無事出発したようです。」「そうか一安心だな。」
「彼をオラリオ外に出して良かったんですか?」
「構わない、むしろ都合が良いんだ。彼はあのモンスター達に少しのめり込み過ぎているから、距離を取った方が良い。
それにギルドもさすがにオラリオ外では、あのモンスター達と関わらせる事は出来ないだろう。
そして彼は、良きに付け悪しきに付け目立ち過ぎた。今はオラリオ中どこでも彼の話題で持ち切りだよ。
自身で問題を撥ね退けられる第1級になるまで、もう少し大人しくしていた方が他の神にちょっかいを掛けられないよ。」
アスフィーはため息をついて言った。「では彼に関して私は何かする必要が有りますか?」
「ダイダロス通りは調べておいてくれ、後は適切な時期に前に調べた資料をギルドに出せば良い。
仕上げは帰ってくる頃を見計らえば良いだろう。」
ここでまたザッピング。アスフィーさんよかったね4完徹は無いよ。