アナザー11   作:諸々

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ククリ31

レフィーヤはあの山のモンスターは粗方退治したと報告してベットで爆睡中だ。

そのことにベルは感心したが、他の人達の思いは一つだった。

「迷ったな。」「迷ったんだろうな。」「迷ったんでしょうね。」

 

村長とエルフの家族を交えて結果を報告する。

「という訳であの山のモンスターが原因だろう。退治したからもう安心のはずだ。」とリュー。

「分かりました、ありがとうございます。」と村長。

「で、どうするのか決めたのかい。」とベルを見ながらアイシャが言った。

エルフの男はそこ言葉に居住まいを正した。

「それなんですが、その前に聞きたいことが有るんですが。」とベル。

「聞きたいこととはなんだ。」

「なんであなたたちはあそこにいたんですか。たった一家族だけで。

なぜあなたは共通語が話せるんですか?あの家は都会暮らしが染みついているみたいですね。」

「……それは話せない。たとえ殺されようとも。」

「それは娘さんと引き換えにしてもですか?僕はその答えを貴男の娘さんと交換に要求します。」

「そういう事かい、ならあたしは出ていくよ。」とアイシャ。

エイナと村長もそれに続く。

「私はここに残ろう。込み入った話になりそうだ、通訳は必要だろう。」とリュー。

「だが…」

「わしが見届けよう。これからの事はここに居る物だけの秘密じゃ。

それともおぬしの抱える秘密とやらは娘より重要なのか?」と神。

「……わかった。だが何から話そうか。」

「だったらなぜこの場所に住んでいるんですか?一家族だけで。」

「ここが俺の故郷だからだ。」

「昔に村を飛び出して、里心が付き舞い戻ったという事ですか。こんな少人数では無茶でしょう。」とリュー。

「違う。初めから話そう。ここの先今は黒い谷に俺の故郷の村は有った。

そこで俺は前族長の孫だった。つまり次期族長候補の一人だった。」

緊張の糸が切れたように男はラキアとエルフの始まりの物語を語りだした。

「あの当時俺は族長候補と言っても主流からは外れていた。叔父が当時族長だったからな。

そしてある時人間が村を訪ねてきた。酷い訛りの通訳を連れて。

奴らの目的は100人規模の人間をここへ滞在させろという事だった。

村の男たちを超える人数、当然断った。だが彼らは力を誇示し脅してきた。

だがそれでも我々は断った。すると不思議なことを聞いてきた。」

ここで男は考え込んだ。リューがエルフ語で話しかける。しばらく話し合っていたがやがてリューが言った。

「分かりましたクラネルさん。ここでラキアと認識の齟齬が出ました。覚えていますか、領域の話を。

ラキア軍はエルフの森の外に夜営をするつもりだったようです。

だけどそんな物は有りません。ただ困ったことに似たものは有りました。

ここのエルフは亡くなると森の外に木を植えます。分かりやすく言うと墓標ですね。

その木が自然に枯れるとその人は村に帰ってくるそのように考えでの様ですね。

その木の生えている場所はエルフの森とは違います。」

「…まさか、ラキアの人達は…」

「その通りです。ラキア軍はそこで夜営をし、おそらく攻城兵器などを作ったのでしょう。」

「我々が気付いたときはすでに手遅れだった。奴らは去った後だった。」男が続けて言った。

「当然我々は怒った。悲しみに暮れていると奴らが同じ場所で宴会を開いていると知らせが有った。

当時の族長は奴らの力を恐れ、話し合おうとしていたが村のみんなは報復を望んだ。

俺が先頭に立ち族長に直談判をし復讐することになった。

だが奴らの力は侮れない。魔法で奇襲をかけて襲い掛かった。」

「神聖な場所で戦ったんですか?」とベル。

「すでに修復不可能なほどだった。奴らの血で贖ってもらうのが総意だった。

俺は先頭に立ち勇敢に戦った。だが奴らは強かった、ついに傷を受け戦えなくなった俺は族長に言われ後方に下がった。

族長の座を狙っていた俺は、戦場に復帰するため薬草を求め妻とともに近くの山へ向かった。

その時だ、大きな力を感じとっさに妻をかばい地に伏せた。次に気が付いたのは何日も後の事だ。」

あまりの事にベルは唖然としている。男の告白は続いた。

「気づいた場所は村から離れた備蓄倉庫だった。妻が運んでくれて看病していたんだ。

動ける様になると、村の生き残りを求め何日もあたりを探し回った。

が、誰もいなかった。逃げ延びた者が帰ってくるかもと、一年ほど留まったが誰も帰らなかった。

それで仕方なく近隣のエルフの村へ行った。驚く事に荒れ果て誰もいなかった。

いくつか回ったが変わらず、途中人間の町にも立ち寄ったが言葉が通じず石を投げられたよ。

当てもなくさまよっていた俺たちはある集団と合流する事になった。」

「その集団とは?」とベル。

またリューと話し合いになり、リューが答えた。

「どうやら反ラキア連合の戦力としてスカウトされたようです。共通語はそこで覚えたみたいですね。

それと同時に自分達のやった事の結果を知ることになりました。」ここでリューは言葉を区切った。

「村での事を教訓としてラキアは近隣のエルフに絶対服従を要求、聞き入れられなければ容赦なく滅ぼしました。

村での戦いで将軍をはじめ上の者はみんな打ち取られました。生き残った兵士たちは魔剣をもって逃亡。

ラキアの面子は丸つぶれです。それを隠すためにも強硬策に出たようです。」

「俺はその事が恐ろしくなった。やがてラキアが崩壊してもしばらくあたりをフラフラとしていた。

負い目が有るせいか一所にはとどまることが出来なかった。それで妻と相談して故郷へ戻ることにした。

その時にはすでにこの村は出来ていた。だから見つからない様にあの場所に住む事にした。」

「良く解りました。辛い事を話していただきありがとうございます。この事は誰にもしゃべりませんから。」

 




12巻と設定が掠っている気がするがこの程度は大丈夫だ、問題ない。
こっちはオリジナルですから。

いよいよ村でのエピソードも終わり、オラリオへ。
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