アナザー11   作:諸々

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アナザー11その3

紅の何かはグロスの尾に刺さる。その痛みに反射的に尾を振った。

その拍子にその何かは抜けて今度はウィーネ突き刺さった。

するとウィーネがはもがき苦しみ、空いている連絡口から外へ出てしまった。

すぐにフィアとレットが後を追う。続けてレイが追おうとするがフェルズに呼び止められる。

フェルズは何かを手渡し小声で指示を出した。レイはその言葉に頷き、急いで後を追った。

フェルズは紅色の何かが飛んできた、見た目何もない方向を見つめながら言った。

「そろそろ出てきたらどうだね。」だが返事はない。

「この場所を知っているのはごく少数だ。それに神ヘスティア達にはそんな物を作り出すことは出来ない。」

「ご慧眼、恐れ入るね。」アスフィーに守られながら神ヘルメスが姿を現す。

 

ベルの受けたクエストは神ヘルメスからの物だ。

守秘義務がどこまで及ぶのかは不明だ。

激しい議論の後、それを確認するまで細かな話をする事は止めておこうという事になった。

その為、今度はリリ達の状況をベルに報告することにした。

不懐属性の片手剣と盾はメンテの準備のため工房に。

その最中、ヘスティアの部屋からけたたましい音がし始めた。

慌てて駆けつける。するとフェルズの置いて行った箱の一つの蓋が開き音を立てている、

中を覗くと一冊の本と折りたたんだ大きな紙が入っている。

ヘスティアが本を取り出すと音が止んだ。その本を読み終えると別の箱が開いた。

「どうやらウィーネ君が逃げ出したみたいだ。」ヘスティアの言葉に一同騒然とする。

「どういう事ですか?」とリリ。

「フェルズ君はいくつか危機的状況を予測して対策を講じていたんだよ。

この箱はその予想の内、ウィーネが隠れ家から飛び出した時の為の物だね。」

「この上、更に面倒をかけるんですか。」リリはうんざりした口調で言った。

「いやフェルズ君からのお願いは裏方だよ。捜索隊への指示と時間稼ぎだ。

それを踏まえて皆に問おう、彼らを助けるのか?」

「リリスケ諦めろ。ベルの事は分かっているんだろう。」とヴェルフ。

「…リリはそれでも反対です。折角評判が持ち直してきたところなんですから。」

「リリスケ、悪者になる必要はねえ。で、ヘスティア様、俺たちは何をすれば良いんだ。」

リリはぷいっと横を向いた。

「ちょっと待ってくれ。」ヘスティアは箱の中の物を取り出し何か操作をした。

「どうやらウィーネ君はダイダロス通りの地下に居るらしい。ここじゃ遠すぎるからまずは移動しよう。」

ダイダロス通りと聞いてベルが言った。

「あそこにはロキファミリアが陣取っています。彼らはどう動くと思いますか?」

「…一応ある程度は事前に調べて有ります。リリと命様とで現状を確認してきます。」

他の箱に入っていた本を読んでいたヘスティアがマントと水晶を全員に渡して言った。

「これでどこでも連絡できるし、姿を隠して行動できるぜ。」親指を立てて言った。

 

少し前にさかのぼる。ロキファミリアのホームへ招集がかかった、俺は急いで向かう。

フィンを除く幹部が集まっている。レフィーヤは帰ってきたはずだがホームでは見なかった。

俺はアイズの様子をうかがった。安定している様でほっとする。

あの野郎が帰ってきたはずだから心配だった。

リヴェリアからフィンが帰ってくるまで待つようにと話があった。

いよいよ何かが始まるのかとみんな緊張して待つ。

その内にフィンが帰ってきた。

奴の判定は黒、ただ騙されて囮として使われるというのがフィンの見解だ。

アイズが志願して抑えに回ることになった。他の誰かに任せてもアイズは干渉してくるだろう。

だからその事にだれも異論を唱えない。

だから俺はバックアップに回ろうと決めた。

各自指定場所に散っていく。奴が現れて来てからが本番だ。

部隊はリヴェリアとラウルを起点として、俺とアマゾネスたちが遊撃。

ガレスは黒い奴の抑えに待機、フィンはリヴェリアとラウルに指示する為に自由に動く。

「よし、いつでも来い。」俺は気合を入れた。

 

フェルズから受け取ったレイはフィア達を追う。

臭いをたどりようやく追いついた。たがフィア達はウィーネを見失っていた。

飛んで追うことが出来ない穴に入り込んだ様だ。

ウィーネは全速力で逃げているのでレットでは追えないと判断したらしい。

フェルズのアドバイス通り、神ヘスティアに助けを乞う。

「助ケてクださイ。」

「レイさんですか?ベルです。ウィーネはどうしたんですか?」

「分カりマせん。突然暴れダしテ地下水道へ行キましタ。場所ハ分かリませン。」

「少し待ってください。準備ができ次第此方から連絡します。」

 

「お待たせしましたレイさん。今ヘスティア様に替わります。」

「早速の所済まない、地上に出るか下水道の幹線、つまり大きな道に出てくれないかい。」

「分かリマした。」

「…そこで良い。ウィーネ君はそこから北へ3ブロック、東へ8ブロックのあたりに居るらしい。」

「その地図は居場所がわかるんじゃないんですか?」とベル。

「そうなんだが地下水道は復旧工事の真っ最中なんだ。おまけに住人が勝手に穴を開けまくるもんだからカオス状態らしい。

1週間でがらりと様子が変わってるなんてことが有るんで地図に書いてないんだよ。」

「今ノ時間そこヘ行くにハ時間ガかかりまス。時間ヲ稼いデくださイ。」

地図を見るとフィア達は地下を大回りして向かい、レイは地上の路地裏を慎重に進んでいる。

「ロキファミリアに動きが有ります。地下水道入り口に部隊が集結しつつあります。」と命。

「不味いな、ウィーネ君の事がバレたみたいだ。何とか逸らさないと。」

「こっちも動きが有ります。…リリに考えが有ります。ヴェルフ様、規制線の張られた取り壊し予定地で魔剣を使ってください。」

「街中でか?」

「どうせ夜の規制線の中にはろくな人間はいません。構わずやっちゃってください。」

「おう。」と言って走り出した。

「僕は何をすればいい?」とベル。

「フィン様との話でベル様は目を付けられました。囮となっていただくにも時間が足りません。

居場所が確定したら保護してレイさん達に引き渡してください。」

「命様はそちらの部隊の妨害をお願いします。」

程なくして大爆発が起こる。リリからこっちの部隊のかく乱に成功との報告が有った。

 

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