ラウルは朝食時に今日の出発を盛大に祝われて上機嫌で自室に向かった。
当然食堂を後にするのはほぼ最後、館の中は人気がなくがらんとしていた。
自室のドアを開けた途端に当身を受けて昏倒、縛り上げられベットの下に押し込められた。
犯人はがさごそと荷物をあさり目的の書類を手に入れると一目散に館を後にした。
とたんに鳴り響く警報、ファミリア総出の追跡劇が始まった。
相手はベートやテイオナ、テイオネを易々と躱して逃げ回る。
ただ守りの堅いと思われる南、南東、南西には近づかなかった。
ただし門番には袖の下を渡して、先に出発するように頼んであった。
一方、館ではロキがあまり使われていない部屋を中心に探し回っていた。探し物はラウルである。
「うーんアイズたんどこに隠したんやろ、隠せそうなとこは粗方探したんやけど。
アイズたんは天然やからそんな複雑なところではあらへんはずなんやけど。」ここでロキはピンときた。
ラウルの部屋に直行、直ぐにベット下に発見し、戒めを苦労して解きラウルを起こそうとした。
だがラウルはなかなか起きなかった。ロキは少し考えて邪悪そうな笑みを浮かべた。
ベット下に張り付けてあった彼の日記(自作ポエム)を引っ張り出して大声で読み始めた。
ラウルは飛び起きて言った。「なんて物を読んでるんすか。」
ロキが日記を閉じて言った。「おはようラウル、そろそろ時間やで。」
ラウルは時計を見てあわてて支度をして出て行こうとした。その時ロキが声をかけた。
「リヴェリアからの伝言や『このことも併せて罰だ、しっかり頑張って来い。』だそうや。」
ラウルは脱力して言った。「それなら予め言っておいてほしかったっす。」
途中で昼食を済ませ南門へ向かった。すると北の方で花火(狼煙?)が上がり、程なくして団長と出会った。
フィンはラウルに一声かけて足早に立ち去った。「やあラウル、お勤め頑張ってくれよ。」
門で待っていたが二時になっても三時になってもベルクラネルは来ない。門の警備員にギルドまで行ってもらった。
分かったことは、出発が明日朝に延期された事、ただロキファミリアには連絡済との事。
朝のバタバタで自分に届かなかったんだと思い、ため息をこぼした。
今更戻ったところでばつの悪い思いをするだけと思い館へは戻らず近くの宿で一泊することにした。
翌朝南門に行くとチョッとした騒ぎになっていた。話を聞くと、ベルクラネル一行は昨日のうちに出発していることに。
仕方なく館に帰るとそこで大騒動に。憐れ『超凡夫』……
オッタルが跪き報告した。「申し訳ありませんフレイヤ様、追跡に失敗したとのことです。」
フレイヤが言った。「構わないわオッタル。手引きした相手は判ってるもの、3か月たっても戻ってこなければ…」
「はっ」「それよりあれは本当なの?」「あれからずっと観察しましたがどうやら間違いないようです。」
「なら保存しておいて。しかるべき時に使いましょう。」「ではその様に。」
アステリオスはオラリオの外れの廃墟の地下で一人たたずんでいた。漠然と夢が遠くに行ったと感じたからだ。
その時近くに強大な力を感じ振り向いた。その隙をついて水を大量に掛けられた。驚いたことに傷が少しずつ治っていく。
その水にはポーションが混ざっていた。素早く傷が治るのを確認してから四方から凍結魔法がかけられた。
体中凍りついたアステリオスは、なぜか聞きなれた声に耳を傾けた。
「お前の望みはいずれかなえてやろう、暫し眠れ。」