起きたら八雲だったけど、姓が貰えないんだが… 作:柱の男の娘
練習みたいな感じで書いたけど少し落ち込んだ作者である。
ㅤ八雲紫を母とし、
「修行パートに入るわ!!」
ㅤビシッ、と指を差された。その後は流されるがままという訳だ。
「何やんの母さん?」(結局母さんで定着した)
「私に任せなさい。 まずはやっぱり」
ステップ1:通常弾幕を打ってみよう
ステップ2:結界を貼ってみよう
ステップ3:剣術を修めよう、の豪華三本立てである。
「最初の二つは分かりますが。 最後の剣術って何ですか? アレは能力に依存するものだと思うんですが」
「まぁそうね。 でも私だって幽々子の所みたいに剣術をね」
「要は羨ましかったと?」
「そうとも言うわ。 藍はもう完成しているし、橙は藍のものだし、霊夢には世話を焼けないもの」
ㅤ紫が遠回しに言っていることを代弁すると『暇』という一文字に収まる。
「母さん出来たぞ」
「まだ何も教えてもないのに出来るわけが……わけが」
「ありましたね」
ㅤ藍と紫が教育方針で悩んでいる間に黒無は、宙に浮いて結界を貼り、その中に弾幕を張り巡らせていた。
──スキマも併用して
「まぁ、私の子だもの。 出来ない道理何て無いわよね」
「紫様、涙拭きましょう」
ㅤ見事に完成された弾幕を見て紫は涙した。
その涙の意味はわかりかねるが。
ㅤ黒無は弾幕と結界を霧散させ、紫達の元に向かった。
「んで、次は剣術だったよな?」
「…うん」
「幼児退行してる場合じゃ無いですよ」
「思ってたのと違う!! 何かもう、もっと1Lvからスタートみたいな? 育成ゲーム的な展開を期待してたんだもん。 蓋を開けたら強キャラとかチートよ!?」
「えぇ… 『だもん』て、母親がコレってどうなん?」
ㅤこの後に、紫のキャラ崩壊は加速したとかしなかったとか。
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ㅤ場所は移り変わって冥界、白玉楼。そこには主の西行寺幽々子とその庭師兼剣士の魂魄妖夢、そして
「と言うことで幽々子、妖夢借りていい?」
「いやいや、どういう事ですか?」
「いいわよぉ」
「ちょっと幽々子様!? 私の了承は「必要だと思うの?」…いいえ」
ㅤ紫と幽々子の主コンビに勝てる妖夢では無く、結局訳も分からない願いを聞き入れることになった。
「母さん得物は?」
「これよ」
ㅤそう言ってスキマから取り出されたのは剥き出しの西洋剣だった。見た目だけならば普通の剣のソレは、明らかに黒無の身長には合わないと分かる。
ㅤだがしかし、持ってみると適度な重さで振りやすいと感じられ、確証は得られないが魔法的、又はそれに髄するモノが施されていると思えた。
ㅤ妖夢は自分のすべき事が察せられたのか縁側から離れ始める。黒無も妖夢に続き剣の具合を確かめながら追った。
「所で紫、あの娘。 黒無だったかしら、剣は扱えるの?」
「教えたことも無いし、持たせるのも初めてね」
「こんなこと言うのもアレなんだけど…大丈夫なの?」
ㅤ紫が返事を返そうとするが、金属音にて阻まれる。
ㅤ正面へ視線を戻すと、黒無が西洋剣を弧を描く様にして妖夢に叩き込んでいた。妖夢も刀で受け流しつつ肉薄する。単純な力だけでは押し切れないと判断した黒無は距離を取り、担ぐ様に構える。
「鋭い一撃でした、受け止めていたら無駄な体力を持ってかれていたでしょう。 本当に初心者ですか?」
「持ったこともねぇよ…ただ、創作物で見た物を摸倣しているってだけだよっと!!」
ㅤ黒無は思ったより剣が軽い事を利用して小さく振り下ろした。遠心力による強化はされていなくとも、黒無の腕力だけで十分に攻撃力が底上げされた一撃は刀へと吸い込まれ、妖夢へと若干のダメージを通した。
「くぅ…」
ㅤ受け流しきれなかった妖夢は手足の痺れを感じた、黒無の一撃が重かった証拠だろう。妖夢はフッと息を吐き、右へと刀で剣を誘導した。剣はそのまま地面に叩き付けられる、予想が付く結果であった。
だが、黒無はその枠に当てはまらない結果を叩き出す、文字通りに。
黒無は西洋剣に妖力を込め、思いっきり地面に打ち付けた!
「シャラァ!!」
「なっ!?」
ㅤ飛び散る砂利は散弾の様に妖夢に打ち付けられる。
ㅤ黒無はその隙を見逃さず横一閃!
ㅤ妖夢も咄嗟に防御の構えをとるが勢いまでは殺しきれず、燈籠めがけて吹き飛ぶ。
「そこまで!」
ㅤ紫の静止があり止められる。
ㅤ妖夢の首元に刃を向けていた黒無は剣を引きスキマへと放り込む。妖夢はと言うと─
「負けた? 初心者に? 私が……」
──ガチで落ち込んでいた。
ㅤ黒無もばつが悪いのかフォローを入れる。
「いやいや俺が卑怯なまねしただけだし、二度目は通じない小細工だから! ちょっ!? 泣かないで、お願いだから!!?」
「泣いてなんていませんし!! 気にも、ヒック…してませんからァ!」
ㅤ妖夢が泣くのも仕方が無いだろう。
ㅤまだまだ未熟の身であれど剣術を志したのだ、初心者、それも幼女に負けた屈辱感と劣等感は計り知れないことになっている。
「良かったじゃない妖夢。 いい競争相手って案外居ないものよ? 冥界なら尚更、ね?」
「むぅ…言われてみればそうですが。 私にもプライドという物がありまして途轍もない歳の差がですね」
「そんなくだらない物は私が食べちゃうわ」
「くだらな!? と言うかプライド食べるって何ですか!!? 訳が分からないよ…」
「ほら、揚げ物にでもしたら美味しそうじゃない?」
「プライドをフライドに……て!? 誰がうまいこと言えと!!?」
「平和だわぁ……」
「ですねぇ……」
「俺空気だなぁ…」
ㅤ結局その後滅茶苦茶稽古した。黒無は小狡い事を封じられ、ボコられたという。
ㅤ一方、紫と幽々子はプチ女子会を開いていた。話の内容は可愛らしいものではないが…
「それで、黒無ちゃんをどうするつもり?」
「どうするって、あの娘は私の子よ? やることは最初から」
「嘘ね。 普通自分の娘をそんな目で見ないわ… 見極める、そうね?」
ㅤ毎度ながら鋭い幽々子に紫は苦笑する。
「やっぱり隠し事は通じないのね。 でもそうね、もしあの娘が幻想郷を脅かす存在ならば」
「──殺すわ、私の手でね…」
ㅤ紫の背にいる藍は複雑そうな、悲しげな顔をする。だがそれに主二人は気付かない。
ギャグにしたかった…
シリアスにしたかった…
結局なんにもなんなかった