起きたら八雲だったけど、姓が貰えないんだが…   作:柱の男の娘

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ほのぼのを書いたり、百合百合しい何かを書いていきたいなぁ…

まぁ、ゆっくり書いていく~


道を示す者、選ぶ者

ㅤ今日も今日とて剣を振る。風を斬る音が心地よく、腕に乗る剣の重みに身が引き締まる。妖夢との剣戟を経て幾許か日を捲った。

 

ㅤその間も手合わせはしたが、単純な技術では妖夢には勝てないと黒無には自覚があった。故に、舞う様に剣を振り続け、極めてやっと妖夢と対等な位置に立てると言い聞かせた。

 

ㅤそうでないと落ち着かなかった。

 

ㅤ黒無には悩みがあるのだから。

 

 

『もっと自分の身体を痛めつけろ!』

『何事も反復練習だ!』

『身体を痛めつけるとか意味深ですな』

 

「最後のは余計なんだよなぁ…」

 

ㅤ今のが黒無の悩みの種である。

 

ㅤ黒無を形成する際に紛れ込んだあらゆる意志が黒無に語りかける。その言葉は殆どが年齢不詳の男女であるが、どれもクセが強い。更に、語りかける意志力が強ければ強い程、強制力を持ち、実行に移さなければならないという。

 

ㅤだが、この選択肢も悪い所だけではない。時に、正しく、役に立つ選択肢がある為である。それに全てが全て強制力を持つものではなく、寧ろ強制力を持つ程の意志力は少ない。

 

ㅤまぁ、それを差し引いても迷惑な物なのだが…

 

「黒無、話があります。 一度剣を戻して茶の間に来てちょうだい」

 

「分かった、すぐに行きますよっと」

 

ㅤまだ昼食の時間には早かった。黒無は紫に呼ばれた事に疑問を覚えたが家へと戻って行った。

 

 

 

ㅤ汗を流し、着替えを済ませた黒無は言われた通りに部屋に入った。既にそこには白と濃紺の衣服を着た紫が居り、湯呑みに入った茶を啜っていた。

 

ㅤ藍が居ないところを見ると台所だろうと思い至り座布団に座った。

 

「それでどうしたんだ?」

 

「まぁ待ちなさい。 そう急かすことでも無いのだから、藍が戻ってくるまでゆっくりしていましょ」

 

ㅤその言葉に了承の意を示し、急須の残りを確かめて自分の湯呑みに注いで飲んでいたところ、紫の上半身が消えていた。

 

ㅤスキマを展開し、消えているように見えるのだが。それの意味する事を理解した黒無は回避行動をとる。

 

「ハーイ残念でしたぁ〜」ガバッ

 

ㅤ残念、黒無は回り込まれてしまった。

 

「毎度いきなり抱きしめるよな母さんは」

 

ㅤ紫はいきなり黒無を抱きしめ、額にキスをする。これが、ほぼ日常化しつつある。

 

「紫様、黒無が面倒くさそうにしていますよ。 離れた方が良いのでは?」

 

「面倒!? 面倒なの黒無!!? お母さん邪魔じゃ無いわよね?」

 

「面倒、邪魔、暑苦しい、若作り」

 

「若作りじゃ無いわよ!!!」

 

ㅤこのやり取りもまた日常であり、この後紫が拗ねて黒無に甘えるまでセットである。

 

ㅤ結局は、今回も紫は黒無に甘えることになり、幼い娘の膝に頰擦りしている。

 

「紫様、そろそろ本題に入った方が良いのでは?」

 

「そうだったわね」

 

ㅤ紫は黒無の膝から離れる事に名残惜しさを感じつつ、定位置へと移動する。

 

ㅤ咳払いを一つ、紫は話を切り出す。

 

「黒無、貴女には此処を出て暮らして貰います。 ずっとではないし、時々は戻ってきてもらうけれど、長い時間過ごすことになるわ」

 

「ちょい待ち。 そいつぁ何時からだ?」

 

「今から」

 

「は?」

 

「今から」

 

「幾ら何でもいきなり過ぎじゃないか!? もっと前から言うもんだろそういうのってよ!!?」

 

ㅤ紫はスキマから荷物を取り出し、黒無に手渡す。中身は、ロリィタファッション一色で染められた衣服、完全に紫の趣味である。他には、日常品一式に薄紫色宝石が付いたペンダントがあった。

 

「本当に行くのかよ…」

 

「観念した方が自分のためだ、大人しく準備をした方がいいぞ。それに、この件には私も賛成意見を出していてな、全く助ける気は無い」

 

ㅤ現実は非情であると痛感しつつ、藍を恨めしそうに見る黒無。藍もこれには苦笑し「すまないな」と謝辞の言葉を述べる。

 

ㅤ部屋を移り、渡された服を着る。黒ロリ、白ロリ、ゴスロリ、メイド服、バニー、動物パジャマと言う見事に逃げ場の無いレパートリーを眺めると意思たちが騒ぐ。

 

『ゴスロリ一択だろ常考!!』

『金髪には白ロリ! これは譲れない!!』

『よく見ればボンテージスーツがあるジャマイカ!?』

 

「最後の選択肢を聞くと上二つがマシに見えてきちまったよ…」

 

ㅤ最終的にはゴスロリを選んだ。黒無曰く、「限界だった」との事だ。

 

「あら、それを選んだのね。 似合ってるわ」

 

「それは、ご自身にも帰ってくる言葉では?」

 

「私はどんな服でも似合うもの」

 

「どうでもいいから、速くしてくれると助かる」

 

ㅤ紫はどうでもいいと言う言葉に反応し、しょんぼりするが、スキマをヒト一人入れるくらいに展開する。

 

「初期位置は博麗神社だから、霊夢と会うもよし、会わずに立ち去るも良しよ」

 

「見聞を広め、自分の糧にするといい。 またな」

 

「じゃあ、行ってきます」

 

「「行ってらっしゃい」」

 

ㅤ目を閉じスキマにダイブ。若干の浮遊感を感じ、目を開けると鳥居とその奥に社が見える。無事に博麗神社に転移出来たらしい。

 

『巫女はよ!!』

『腋巫女はよ!!』

『脇を眺めよ!!』

 

「全員一致で巫女に会う、か。 まぁ最初からそのつもりだったけど」

 

ㅤ神社の敷地を見渡してみると紅い巫女服が見える。記憶違いが無ければ博麗霊夢だろう。黒無は話し掛けようと側に寄る。

 

「最近来ないと思っていたら…それで今度は何よ紫? 小さくなってるし、何を企んでんのよ」

 

ㅤどうやら紫と間違えているらしい。黒無は紫の言われようを不憫に思ったが、すぐに自業自得と断じた。

 

「いや、俺は紫じゃないよ。 まぁ見てくれは同じだけどね」

 

「はぁ? アンタ何言って… 嘘じゃあないみたいね。 見た目も妖力も同質だけど気配とかは似ても似つかない、胡散臭さが全くないもの 」

 

ㅤ紫の印象に苦笑しつつも誤解が解けたことに安堵する。

 

「黒無だ。 身元については気にするな」

 

「面倒そうだから聞かないでおくわ。 だけど取り敢えず─」

 

 

──「お賽銭して行かない?」

 

 

ㅤ黒無は、いい笑顔をした霊夢にドス黒い何かを感じたため、お金をそっと賽銭箱に投げ入れておいた。

 

 

 

 

 

 




何か、選択肢が酷いことになっとるなぁ(遠い目)

まぁ次回も期待せず待っててくれよな。
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