「それで、あなたクラスは?」
「クラス? レベルのことか?」
「なんで疑問系なのよ、あなた聖杯に呼ばれたならそのくらい分かるでしょ、それにレベルって何のことよ」
削板は頭に手を当てて考え込んだ。
「……おお! そういえばここにくる時にそんなことも言われた気がするぞ!」
英霊達は呼び出される際に聖杯によって、現世の一般的な常識や聖杯戦争に関する知識を与えられる。削板とて例外ではない。
「で、どうなの?」
「知らん!」
「はああ!? 知らないってどういうことよ、そんなわけ無いでしょ」
「知らんものは知らん!」
はっきりとそう断言する削板をみて凛は、召還ミスによるなんらかの不具合か、ただ単に削板が根性バカすぎて忘れてしまったのだろうと考える。
「あなた聖杯戦争って何か分かっているのかしら?」
「分かっているぞ! 強いやつらが自分の根性を試すために集まって戦うことだ!」
「違うわよ!」
「なにっ! 違うのか!」
本気で驚いている削板の様子から、召還ミスにより記憶が曖昧になったところに適当な解釈をつけて納得していたのだろうと凛は思った。
「いいわ、聖杯戦争っていうのはね……」
そこから小一時間、凛の『猿でもわかる、聖杯戦争講座』は続いた。
「……というわけ、わかったかしら?」
「つまり俺の根性がどこまで通用するかということだな」
「分かってないみたいね」
「いいや大丈夫だよく分かった、凛は何も心配しないでくれ後は俺の漲る根性でなんとかしてやる!」
「……」
正直これ以上説明するのは面倒になってきたのでもう放って置こうと凛は思った。
「もういいわ、クラスが分からないならせめてどこのどんな英雄かだけでも教えてくれるかしら? さすが自分がいたところくらいわかるわよね?」
「よく聞いてくれた! 俺は学園都市の『
「学園都市っていうのは聞いたことが無いわね、それとさっきからあなたが言っているレベルというのはなんなのかしら?」
「凛は日本人だろ? 学園都市を知らないのか?」
「知らないわね、そんなに有名なところなのかしら」
削板は?と!が混ざったような複雑な表情をしていた。
「そうか、学園都市というのはだな……」
そこから今度は削板による『根性無しでもわかる、学園都市講座』が続いた。
「……つまり根性の結晶というわけだ!」
「えっ、ええ……」
削板の説明は途中でよく分からない効果音が入ったり、根性を連呼したりで聞いているだけならおもしろいかもしれないが、理解しようとすると難しいものだった。ただその中でもいくつか際立った情報は嫌でも凛の耳に入ってきた。一つは科学で作られた『超能力』の存在である。初めは驚いていた凛だったが、魔術に比べたら科学に裏づけされた『超能力』のほうが普通であるような気がしたのであまり気にしなかったし、すこし大げさな手品みたいなものだろうと思った。
それよりも重要なのはその『超能力』を研究する『学園都市』という街の存在だった。削板の話ではそこは世界的にも有名すぎる場所らしいのだが、凛はその存在を知らなかった。『超能力』なんて力が本当にあるのだとすれば魔術側もなんらかのアクションを取っているはずなのだが、そんな話は聞いたことがない。
「まさか! 第二魔法!?」
魔法とはこの世界に五つしか存在が確認されておらず、使い手も数人しかいない神秘を超えた奇跡である。その中で第二魔法『並行世界の運営』ならば、『学園都市』や『超能力』の存在を凛が知らないのは削板が別の世界の存在だからと説明できる。削板の話から推測して凛はその結論に至って唖然とした。実際、『根源の渦』へと辿り着くために生み出された聖杯に、それほどの力があってもおかしくは無い。ただ実例も無い。仮そうであるなら、召還ミスがありクラスも分からず並行世界から来た削板は異質中の異質である。
「うおおおおおお、漲ってきたぜ!」
ただ、この事態を知ってか知らずか、削板は今にも飛び出して行きそうなくらいにはしゃいでいた。
今回でバトルとか入りたいとか言っていたのはいったいどこのどいつだっただろうか。……私ですねはい、すいませんでした。
ところでfateの舞台のモデルになっている神戸市には学園都市駅なる駅があるらしいです。
次こそはきっとバトルを入れたい。