Fate/effortful spirit   作:車輪軸

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根性の初戦

 凛に見えたのは軌跡だけだった。

 

 深夜の学校、そのグラウンドにて二人の男が対峙していた。

 

 全身青いタイツのような服装でいかにもキザったらしい顔つきの男、その男の獲物は槍だった。しかし男が一度槍を振るい始めたとき、槍は散弾銃と化した。槍の形は無くなり、細長い残像だけが残った。

 

 削板はそれを自らの拳で相殺していた。速さは槍の男より幾分か遅い、ただ一発の殴打によって謎の衝撃が生じ一度にいくつもの槍の弾丸を防いでいた。例えるならそれは大砲だった、数では散弾銃には敵わないが撃力においては圧倒的だった。

 

 散弾銃と大砲、槍と拳の戦いは拮抗していた。

 

 「チッ!」

 

 先に痺れを切らしたのは槍の男だった。槍の間合いを活用するためか半歩ほど後ろに下がった。その隙を逃さず削板が男の懐に潜り込む。拳が目の前に来たところで男は槍を振り、柄で拳を弾く。体が揺らいだ削板に向かって男が突きを繰り出す、削板は反対の手の拳を下から振り上げ槍の軌道を逸らす。男は上に逸らされた槍をそのまま一回転させるようにして、柄を下から振り上げる。削板は少し体を浮かせ自ら足を柄に乗せ、男が槍を振る勢いを利用し大きく後ろに跳んだ。槍の男も後ろに跳び間合いを取る。

 

 「フンッ! やるじゃねえか」

 「お前もなかなかの根性だ!」

 

 二人の戦いを見ていた凛は唖然していた。英霊の力についてはある程度知っていたはずだった、しかし実際の戦闘は予想を遥かに上回るものだった。

 

 「拳で闘うクラスなんざあ聞いたことないが、いったいどこの英雄だあ?」

 「あら、わざわざ敵に情報を与えるとでも思っているのかしらランサー?」

 「ハンッ! ちげえねえ」

 

 高圧的な態度で接する凛だが、内心ではかなり恐怖していた。英霊の力を持ってすれば並の人間など相手にもならないことを実感していた。サーヴァントを使役していて初めてまともに並び立てる。さらに少しでも優位に立とうと思うなら、自らのサーヴァントの情報は極力知られないほうがいいと考えていた。

 

 「相手が誰だろうとかまわねえ! 行くぞッ!」

 「来いッ! お前の根性を見せてみろ!」

 

 両者が同時に地面を蹴る。再び人知を超えた戦いが始まった。

 

 

 

 

 

 

 

 削板が飛び出すと同時に、削板の周りで謎の爆発が巻き起こったが、そちらには目もくれず槍を振るうランサーを見て、「なんでランサーは何もツッコまないのよ!」と何故か一人で凛は怒っていた。どこからか「凛、男の約束にツッコミは不要だ」と赤い弓兵の声が聞こえた……ような気がした。




削板VSランサーついに開幕です。

ところで拳で闘う英霊がいたとしたら、さしずめボクサーといったところでしょうか。なんだか他のクラスに比べて貧弱に思えるのは私だけしょうかねえ。

それではまた次回。
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