「はあっ……」
一生の内でかなり重要であろう聖杯戦争、その一日を完全に無駄に過ごしてしまったことに凛は思わず溜め息を漏らしていた。
「どうしたんだ凛? 溜め息をもらしていたら幸せも一緒に逃げていくぞ」
それに対して削板は、前向きなのかそれともただの阿呆なのか分からないが、暢気な顔をしていた。
「どうしたってあんたねえ……はあ、もういいわたぶんあなたには何言っても無駄だろうし、その代わり戦いになったら頼むわよ」
「?? なんかよく分からないけど分かった」
「はあ……本当にこんなの大丈夫かしら……」
「心配するな! どんな困難四苦八苦がこようとも俺の根性に不可能は無い!」
「その自信はいったいどこからくるのよ……」
その時、凛の背中に向けて何かが飛んできた。
「!!!っ凛」
とっさに削板が飛んできた何かを拳で受け止める。
「大丈夫か!」
「ええ、なんともないわ」
突然のことに削板は驚いていたが、凛は何事もないようにしれっとした顔をしていた、まるで何かが飛んでくるのが分かっていたかのようだった。
「なんだ今のは!」
「決まってるでしょ・・・敵よ」
削板の拳が弾いた先にあったのは『ただ』の石ころだった。実は凛はその『ただ』の石ころが飛んでくるよりも前に敵の存在に気がついていた、だがあえてと無視していた。削板には敵の存在を教えていなかった。削板のことを信頼していないとかそういうわけではなく、削板が既に気がついていた可能性と削板には闇雲に敵に突っ込ませるより向こうから来たところを叩くほうが確実だと考慮してのことだった。削板の反応からみて前者は無かったようだが後者はおそらく正解だろうと凛は思った。短い時間ではあるが削板という人物の性格を摑んでいた。
「敵だと! どこだ凛!」
「落ち着きなさい、まだだいぶ離れているわ」
今は敵が襲ってくることより敵の攻撃が『ただ』の石ころだということだ。そう『ただ』の『魔術』などの力が付与されていない『ただ』のだ。もしも魔術的なも物が付与されているならば凛も気がつけたはずだ。それはつまり本気で攻撃する気は無いということだ。ということは……
「凛っ!!」
また一つ『ただ』の石ころが削板の拳に弾かれた。
「完全に挑発ね……いいわ受けて立とうじゃない」
同じ方向から続けざまに『ただ』の石ころが飛んできた。
「よっと、こっちに来いってことかしらね行くわよ」
「おう!」
削板はそれを拳で弾き、凛は難なくそれを避けて飛んで来た方向に向かって歩き出した。
敵に誘われて辿りついたのは凛もよく知る、というより現在進行形で通っている学校のグラウンドだった。
一ヶ月ぶりの投稿です。
自転車で80km走ったり、船で離島に行ったり、踊ったりしていたらなかなか時間がなくて遅くなりました。
さて次は士郎パートです、ちなみに大体3話ずつ交代で士郎パートと削板パートを上げていくつもりです。
ではまた次回。