幕間 世界の裏側
薄暗く天井に蝙蝠たちがぶら下がる中、足音が響き渡る。
ランタンを手に持つ包帯の男―――シュバルツバルトだ。
彼は世界各地の遺跡や遺産を調べていた。
ピラミッド、ペルセポリス、マチュピチュ、イースター島、ストーンヘンジ、モン・サン=ミシェル、ケルン大聖堂などだ。
彼が調べているのはMr.Eと同じく"災厄"についてだ。
今まで調べた遺跡は、遺されていた代物を集め回収していた。
そして……ここは名前が無い遺跡で有力な情報を得て調査していたのだ。
「なるほど……太古の昔もそうやって災禍が起きたのか」
明かりを設置したシュバルツバルトは大きな壁画を調べていた。
―――恐るべき竜の姿をした存在と無数に配下を持つ竜の軍団。
―――文明が滅び、竜たちは生きる者全てを貪り喰らう。
―――人間も神も悪も老若男女、問わず喰われていくその光景が描かれていた。
「破壊が終わり、再生したが……腐った神々どもがイレギュラーを次々と生ませて世界の寿命を縮めて、"災厄"が起きる」
それこそMr.Eとシュバルツバルトが言う"災厄"の正体。
「そうなれば……少しでも世界に飼われている連中を解放してやるとしよう」
影から、刀剣が飛び出しシュバルツバルトの周りに漂う。
「さぁ、他の世界へと行き……力を得るのだ!!」
刀剣は遺跡の天井を破壊し、流星の如く飛んでいき、消えた。
「さぁ……劇の幕開けだ」
ニヤリッと白い歯を見せて、両手を広げてこれから起きる事に楽しむ。
◆◆◆◆
Mr.Eは執務室で作業していたとき、幾つものの天体儀の針が激しく揺れていた。
「これは……次元の振動?この世界から別へと跳んだのか?」
飛んで行った世界を調べると―――――ヴラドが屑転生者を始末した偽物の赤龍帝がいた世界だ。
もう一つの針を見ると……動いていない。
「もう一つの針が動いていないとなると……転生者ではない。だが、危険な事が起きる」
Mr.Eはベルを鳴らす、すぐさまに処刑人たちが集まり姿を現す。
「我々が呼び出されたという事は緊急の事なのですね」
「うむ……この世界から次元の跳躍が起きた」
反応した天体儀を皆に見せるMr.E。
装置を使えば何も問題は無いのだが、単身による次元の跳躍はMr.Eや六聖魔人でなければ跳べない。
しかし、一体誰が……?
そう考えているとヨハンが部屋に入ってきて、資料を持ってきた。
「跳躍した正体がわかったよ。……とんでもない奴だよ」
Mr.Eが資料を受け取り、じっくり読むと驚愕する
「"イペタム"!?これは間違いないのですか?」
「何度も解析して反応を調べたら……それが出たんだよ。呪われた妖刀がね」
(……できるとなれば、シュバルツバルトか?幾つも神話の遺跡を発掘して命を吹き込んだ彼なら……)
Mr.Eは考察するが、直ぐに討伐編成の指令を下す。
「イペタム討伐作戦を行います。行ける者は……三人です。
ジュノ・オルカ、皇蓮、アルエリア・インサウラム。
――――お願いします」
呼ばれた三人は前に出て、片膝を突き、承諾した。
「OK、任せておきな!!」
「必ず遂行したしましょう」
「行ってきます、マスター」
三人は異世界へ向かう、準備をする。
Mr.Eは座標指定して、ゲートを開き、三人は飛び込んだ。
「……頼みますよ」
三人が無事に帰ってくることを祈るMr.E。
願わくばその異世界の人たちも共闘できることも……。
Mr.Eとシュバルツバルトが調べて、訪れるだろう"災厄"の話。
太古の時代が遺したメッセージ……ロマンがあるが現代に対する警告の表れとも。