ドラクエ探偵倶楽部   作:ドラ麦茶

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番外編その2・究極の推理 #01 ~ 解決編 ~ Road to 1246

「で、今度は何のゲーム? ファンタジーじゃないみたいだけど?」

 

 辺りを見回し、あたしは美咲に訊いた。今までのドラクエ的世界から一転し、現代風の普通の街並みが広がっている。

 

「ポートピア連続殺人事件。エニックスがファミコンで発売した2本目のゲームで、ファミコン初のアドベンチャーゲームです。ドラクエの生みの親、堀居雄二氏が、ドラクエ前に手掛けたゲームとしても有名ですね。ちなみに今作の他に、『オホーツクに消ゆ』と、ファミコンでは未発売ですが、『軽井沢誘拐案内』という作品もあります。いわゆる、『堀居ミステリー三部作』です。ドラクエ以上の名作と言う人も少なくないです。関係ないですが、今はメタルギア・ソリッドシリーズで有名な小嶋秀夫氏も、『スナッチャー』と『ポリスノーツ』というアドベンチャーを手掛けています。あたし的には、この2作品はメタルギアシリーズより――」

 

 長々とウンチクを語る美咲はいつも通り放っておこう。どうやら今回は、本格ミステリーのようだ。ゲームの世界に巻き込まれるのはいい加減うんざりだけど、なんとなく今回は、心が踊る。

 

 事件はここ、花隈町で起こった。サラ金会社・ローンやまきんの社長、山川耕造が、自分の部屋で自殺したというのである。この山川耕造という人物は、前科こそないものの、かなりあくどい商売をしていたようで、多くの人から恨みを買っていたらしい。その死に不審を抱いた主人公(あたしたちだけど)は、山川は他殺の可能性もあると見て、捜査を開始することになった、というわけである。

 

「僕があなたの部下の真野康彦です。ヤスと呼んでください」

 

 あたしたちに挨拶したのは、七三分けにスーツ姿の若い男だ。設定によると、ひょうきん者で、若い女に弱いが、なかなかやり手の刑事らしい。あたしたちのパートナーというわけだ。

 

「ここが事件のあった花隈町です。どういうふうに捜査を始めますか?」

 

 ヤスに言われ、あたしは考える。なんせ、初の本格ミステリーだ。今度こそまともな推理ものになるぞ。まずは現場検証? それとも聞き込み? いえ、人間関係の把握が最優先ね。うーん。ワクワクするわ。

 

「犯人が判りました」突然美咲が宣言する。

 

 ……何言ってんだ、コイツ。まだ何も調べてないのに。

 

「ボスもせっかちですね。そんな性格だと、女の子に嫌われますよ」

 

 ヤスに突っ込まれるけど、美咲は動じない。

 

「犯人は――」

 

 

 

 

 

 

 ……と、本来ならここで章が変わるのだが、残念ながら必要文字数を満たしていないので、このまま続くことになった。

 

 

 

 何の捜査もしていないのに犯人が判った宣言をした美咲。ホントに、大丈夫か?

 

「犯人はヤス、あなたです」ヤスを指差し、そう宣言した。

 

「あんた……何言ってんの? 何を証拠にそういうこと言うのよ」あきれた口調で言うあたし。

 

「証拠? そんなもの必要ありません。犯人はヤス。これは間違いないんです。何故なら――」

 

 ふう、と、大きく息を吐き出し、美咲は空を見上げた。

 

「――何故なら、『ポートピア連続殺人事件』は、古今東西全ての推理ゲームの中で、最も犯人が知れ渡ってるゲームだからです」

 

 …………。

 

 ま、そんなことだろうと思った。確かにあたしも、ネット上でよく「犯人はヤス」という表現を見かける。ネタバレのことを意味するネット用語だけど、アレ、このゲームが語源だったんだ。

 

 ヤスは、ガックリと膝をつき、

 

「そうです……僕が犯人です。ボス、見事な推理でした」

 

 涙を流し、罪を認めたのだった。

 

 

 

 てか、お前もこんなんで罪を認めるんじゃない。

 

 

 

 

 

 

 

 ピカ! 眩しい光に包まれ、あたしたちは現実の世界に戻って来た。

 

「……ふう。さすがにファミコン末期の作品だけあって、なかなか綺麗なグラフィックでした。初期のスーパーファミコンにも負けてません。さすが6メガカードリッジ。ファミコンも侮れませんね」

 

 ポートピア連続殺人事件を究極の推理で解決したあたしたちは、その後、ドラクエ1、ドラクエ2、ドラクエ4で起こった事件も次々と解決し、そして今、エニックス最後のファミコンソフト、ジャストブリードから帰って来たのだ。大容量ということもあり、捜査はなかなか難航したけど、美咲の名推理(?)により、事件は全て解決した。

 

「さて、エニックスのゲームはコンプリートしましたし、次はどのゲームにしましょうか?」

 

「まだやる気? もうやめようよ」

 

「やめるわけないじゃないですか。全作品コンプリートするまで、帰しませんよ?」

 

「全作品って、何本?」

 

「1246本です。まだまだ先は長いですよ!」

 

「そんなにあるの? てか、まさかあんた、全部持ってるの?」

 

「当たり前じゃないですか! さあ、次はこれです!」

 

 美咲は新しいカセットを本体に挿し込む。ピカ! 部屋が眩しい光に包まれる。

 

 

 

 あたしたちの冒険は、終わらない。

 

 

 

 …………。

 

 誰か助けて……。

 

 

 

(ドラクエ探偵倶楽部・終)

 

 

 

 

 

 

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