呪われし血統と黒き竜   作:流星彗

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47話

 

 

 狂リオレイアがベガードたちに倒された頃、昴たちは次第に狂リオレイアを追い詰めていく。数分間切り結んできたことで、この狂リオレイアの動きを理解してきた。

 狂化したことで確かに甲殻は硬くなっている。しかし基本的な動きは通常のリオレイアと変わりはない。注意すべきはあの熱線。そして通常のリオレイアと異なり、よく滞空して空中からの攻撃を行おうとすることがわかった。

 だがやはり一撃一撃が重く、下位装備である昴と優羅にとって、狂リオレイアの攻撃は何としてでも回避しなければならない。

 

「グアアアァァァ!!」

「ちぃ……!」

 

 再びホバリングを始め、優位に立って攻撃を開始してくる。リオレウスと違い、足の爪には毒はないが、獲物を掴み、地面を踏みしめるその力は強い。滞空されれば太刀には不利。

 

「……麻痺らせるか」

 

 離れた場所で電撃弾を撃っていた優羅が呟く。以前戦闘した狂ディアブロスは狂化していても麻痺毒は効いていた。ならばこの狂リオレイアも通用するだろうと推測する。

 チップから麻痺弾Lv1を取り出して装填。胸に狙いをつけて引き金を引いていく。三発撃って再び装填。そしてまた三発命中した時、狂リオレイアが力が抜けたように墜落してしまい、体を痙攣させ始めた。

 どうやら麻痺毒は通用するようだ。ならばこのまましばらくは麻痺弾を撃っておくことにした。

 隣では翡翠がブラッドフルートを奏でており、今まさに新たなる効果を発動させようとしていた。緑・赤・緑・紫と四つの音による旋律を奏でることで、味方の自己治癒力が大きく促進され、傷の治りを速める効果を持つ。

 更にもう一度紫の音を奏で自身の強化を図る。

 

「そんじゃ、俺も行ってくらぁ」

「…………」

 

 一声かけると優羅が一瞬だけ翡翠に視線を向けることで応えた。無言だが、それは了解した、という反応。そして翡翠はブラッドフルートの構えを変えて緑の波紋を作り上げていく。これにより、周りのハンターたちの傷と体力を回復させていく。

 この旋律と、前者の回復促進の旋律は回復笛と同じような効果を持ち、音によって粒子に影響を与えることで回復効果を持たせているのだ。

 その様子を見送りながら優羅は新しく麻痺弾Lv1を装填する。だが墜落している狂リオレイアに三人が付いていることになったため、ここからでは少し狙いがつけづらい。

 

「……ちっ」

 

 思わず舌打ちして位置を変えることにした。その際に自分の張っているセンサーを確認し、そして視線を巡らせて現在の状況を確認する。最後に空を見上げてあの男を捜してみたが、どこにもいなくなっていた。どうやらここから移動したらしい。

 

「……あの男……まさか、な」

 

 離れていたためにその男、アキラの纏う気質や雰囲気は完全に察知は出来なかったが、妙な感覚が優羅に残っていた。まるで、どこかで見たことがあるようなそうでないようなもどかしさがある。

 しかしそれは置いておく。今はただ目の前の敵を狩る(ころす)ことを考えていればいい。

 

 自分は狩人(ハンター)。そして黒崎優羅は、狩る(ころす)者である。

 

 そして狂化竜は――全て殺す。

 紅い目に宿りしものは深い殺意。今はただ補助に回るが、最終的には殺してやる。

 無言でピンクフリルパラソルを構え、その意をこめて引き金を引いていく。

 

 

 ○

 

 

 さてこうしてドンドルマ東部へと入り込んだが、どうやらそれなりに暴れまわっているようだな。視界には今なお飛び回り、辺りを紅蓮の炎に包んでいくシエルRが一頭。恐らく地上はガイアGが走り回っていることだろう。我のセンサーに南北に一つずつ反応を感じる。

 そこで何気なくあの平原の状況を見てみることにした。

 ――ほう、どうやらもうガイアGが一頭討たれたようだな。なかなか優秀なハンターがいるようではないか。

 ではあの小娘はどうなっているか。

……ほう、なかなかいい感じに闇が深まっているようだな。こうして見ると、遠い昔の幼き頃のことを思い出せるぞ、黒崎優羅よ。

 あの日他人を全て憎み、敵と認識すれば自己を守るために抹殺していったそうだな。くっくっく……、いい殺人鬼候補ではないか。お前の体に流れる血には抗えぬ、ということよ。

 数年ぶりに直に見たが、最近のお前は腑抜けてしまったように闇が落ち着いていたな。それだけ白銀昴が愛おしいか?

 そのまま腑抜けるようでは白銀昴の抹殺も考えねばならぬな。お前にはそのまま闇に染まり、完全なる「殺人鬼」になってもらわねばならんからな、くっくっく……!

 それだけその血統は貴重なのだ。この世界が生み出した素晴らしき血統。我の血の中に流れぬその因子が、そしてそれがもたらす闇が、「計画」に必要なのだからな。

 

「……む?」

 

 そこで自分たちを狙う狙撃手の気配を感じた。見れば数十メートル先でギルドナイトの輩どもが我らを狙っていた。我らを挟み込むように建物の上でボウガンや弓を構えているのが見える。

 

「……ふん、甘いな」

 

 思わず苦笑が漏れ、我はそのままシエルBから離れる。

 そして二人のギルドナイトの背後に回りこみ、笑みを浮かべてみせた。

 

「ん、なっ……!?」

「いつのま……ぐあっ……」

 

 何か言う前にその首に手刀を当てて黙らせる。その顔を見れば改革派に属する者たちだった。ならば生かしておくことにしておこう。

 保守派ならば問答無用で抹殺だ。奴らは今まで充分働いてくれた。使えない駒ばかりだったが、悪くはない。ギルド、そしてハンターたちをいいようにかき回してくれたからな。奴らがいてこそ今まで裏で動いてこれたといってもいい。

 そして用済みとなった駒はここで消えてもらい、次なる段階へと進ませる。故にアヴェンジャー、スノー、朝陽によって処理していくことになる。そういう手筈にある。

 

「さぁ、踊れ、ハンターども。全ては『計画』通りだ。くっくっくっくくくく……!」

 

 低く笑い続けるアキラに呼応するように、空を舞うシエルBもまた咆哮を街に響き渡っていく。

 

 

 ○

 

 

 翼を振るって纏わりつく昴たちを振り払い、離れたところを口から火球を吐き出して狙い撃ちにする。その動きは手馴れており、昴たちは傷こそ負わせているものの決定打を打てずにいた。

 リオレイアだがリオレイアでない。ただ甲殻が硬くなっただけ、ならば下位リオレイアが上位リオレイア、そしてG級リオレイアになった、と思えばいい。

 だがこの狂リオレイアは上位リオレイアの中盤ほどの硬さを持つ甲殻に加え、強い殺気と鋭い攻撃を振るってくる。

 

「グアアァァ!!」

 

 離れた桔梗へと突進を仕掛け、それだけでなく頭を振り上げて桔梗を空へと打ち上げようとした。その反対側の地面へとヴァイスウイングを突き刺し、そのまま体を浮かばせて何とかやり過ごしたが、体を捻って襲い掛かる尻尾までは防げない。

 

「ぐ、はっ……!」

 

 たまらずヴァイスウイングを離して宙を舞い、地面に落下して転がってしまう。

 この動きさえもが通常のリオレイアと違って素早く行われており、人との戦いにも慣れているような雰囲気を匂わせた。

 理性が飛ぶ「狂化」を掛けられていると推測されていたが、ただ闘争本能を刺激するだけなのか、とも思わせる。

 

「グルル……!」

 

 首を捻って地面に倒れる桔梗を睨みつけ、口元に火のエネルギーを集めていく。額の傷は未だに残っており、微かに血が流れている。

 彼女が最初につけた傷のことを根に持っているようであり、最初に殺す敵だと決めているようである。

 

「ちぃ……! やべぇ!」

 

 気づいた翡翠がブラッドフルートを構え、狂リオレイアの顔へと回り込んで一気に振りかぶる。その一撃は狂リオレイアの頭を揺らし、火球は桔梗の右側を通過していった。

 

「おらぁ!」

 

 それで止まる翡翠ではない。打ち付けたブラッドフルートを引き、跳躍して上から叩き落す。黒い甲殻に打ち付けられると同時に青白い光が走り、狂リオレイアが呻き声を漏らす。

 ブラッドフルートに内包された雷属性もまた、狂リオレイアにダメージを与える要因になる。

 元より鈍器タイプの武器は硬い甲殻を持つ相手には有効だ。ハンマーや狩猟笛の攻撃は、内部にある肉へと直に振動を与えてダメージを与える。故に、純粋なる力の強さとブラッドフルートの硬さ次第で相手に与えるダメージが決まるといってもいい。

 そして翡翠の一撃を受けて狂リオレイアが首を振って痛みを振り払い、すぐそこにいる翡翠を睨みつけて翼を振るう。

 少しだけ身を低くしてそれをやり過ごし、続いて迫ってきた尻尾を飛び越えて回避する。

 

「グルル……!」

 

 自分の攻撃が当たらないことに苛立ち、口から炎を吹き出しつつ翡翠へと向き直る。漏れ出た炎はそのまま火炎となり、翡翠へと迫っていく。

 

「うぉっと……」

「グアアア!!」

 

 引いた翡翠に踏み出して頭突きをして跳ね上げる。咄嗟に盾にしたブラッドフルートごと翡翠の体を打ち上げ、口を開いて火球を撃ち出す体勢に入る。

 

「やらせるか……!」

 

 体を斬りつけていた昴が、今度はカバーに入ろうとする。しかしもう撃ち出す体勢に入っている狂リオレイアを止めるにはどうすればいいのか。この鬼斬破を斬りつけるだけでは止まることはない。それは今まで攻撃していたことでわかっている。

 そこで自分が氷の魔法を行使できることを思い出す。この情報は優羅から聞かされていた。使い方はあまり思い出せなかったが、この危機状況に反応したのか頭が微かに痛んだ。

 

「っ、だが、やらねば……!」

 

 まだ違和感があるが、それでも記憶の狭間から魔法に関する知識が流れ込む。それに従って左手で鬼斬破を握り締め、右手を伸ばして意識を集中させる。すると一つの先端が尖った氷柱が形成される。

 それを握り締めて振りかぶり、狂リオレイアへと投擲する。空を切って飛行したそれは、昴の狙い通りに狂リオレイアの右目へと命中した。

 

「グアアアアアァァァ!?」

 

 その痛みにたまらず狂リオレイアが仰け反ってしまった。火球は撃ち出されず、狂リオレイアはがむしゃらに暴れまわってその痛みから逃れようとしている。

 狂化し、甲殻が硬くなろうとも、目などの急所は残っている。生物である以上、どこかに急所というものは存在する。そこに与えられる痛みは計り知れない。

 宙に舞っていた翡翠が何とか着地し、昴に軽く手を挙げて礼をする。それに昴も手を挙げることで応えたが、先ほどからくる頭痛が断片的に襲い掛かっていた。

 

「……なんだ、これは……?」

 

 思わず呟きながら鬼斬破を構える。

 記憶の隙間から流れる映像。

 

 燃える炎。

 襲い掛かる熱気。

 強い殺気。

 そして――黒いリオレウス。

 

 顔をしかめながらこれは何なのかを考えてしまう。その際に暴れまわっている狂リオレイアの尻尾が横から迫り、何とか反応して回避するが、続いて振り上げられた翼が下から昴を跳ね上げてしまう。

 

「ぬ、く……っ」

 

 迂闊だ。

 戦いの最中に余計なことを考えてしまったせいだ。狂リオレイアから数メートル離れたところまで飛ばされるが、受身を取って何とか着地する。

 だがまだ頭痛が続き、思わず頭に手を当ててしまった。

 一体何故だ、と微かに思ってしまったが、少し考えればわかること。

 この記憶によれば、狂リオレウスとは自分にとって因縁の相手。この場にはその狂リオレウスと、その番である狂リオレイアが同時に存在している。

 ならば、記憶を失っていようが何かの反応を示してしまうのは当然のこと。魔法を思い出そうとすると同時に、蓋をしていた所が反応して微かに隙間を作ってしまったのだろう。

 だからこうして抑えきれずに漏れ続ける。因縁の相手だということを、今の昴に教えるかのように。

 

「……昴っ!」

 

 狙撃を続けていた優羅がその様子がおかしいことに気づき、駆け寄ろうと走り出した。

 だがそれは離れた場所から発せられた轟音によって止められる。

 思わずそちらを横目で確認してしまう。

 轟音の主は、狂リオレウスの一頭の近くで発せられていた。

 

 

 ○

 

 

 数分前のことである。

 背後でシェリルがヘビィバグパイプを吹き続けてケビンたちを支援する中、ケビンは右翼、ガッツは左翼、そしてスズネが前から狂リオレウスを攻めていく。

 スズネが装備しているのはグラビモスシリーズであり、手にしているのは豪槍グラビモス。下位装備の中でも高い防御力を持つグラビモスシリーズに加え、重槍に入る豪槍グラビモス。その堅牢さを生かし、狂リオレウスの前にあえて立つことで敵意を一身に受ける役割を果たしていた。

 攻撃を請け負うのがギザミシリーズを装備し、鬼斬破を手にしているケビン。そしてモノブロスSシリーズを装備し、フルミナントブレイドを手にしているガッツ。

 二人はまず翼を傷つけることでリオレウスが共通して行う空中戦を潰す作戦に出ていた。通称「空の王」と呼ばれるほどのリオレウスは、その生態上空中戦を得意とする。

 このチームにガンナーが存在しない以上、飛ばれたりホバリングされたりすると、戦いづらくなってしまう欠点がある。加えて四人とも魔法を習得しておらず、生身の体と武器で戦う一般的なハンターでもある。

 だがそれがどうした、と四人は己の出来ることを用いて狂リオレウスに当たっている。

 シェリルは常にヘビィバグパイプを吹き鳴らし、攻撃力強化【小】と、防御力強化【大】を発動させ続ける。

 狩猟笛にもたらされる効果は、重ねて使っても一回だけならば効果が上乗せされ、その効果が持続する時間だけが延び続ける、という法則がある。つまり一回上昇し、もう一度上昇する。その際に効果時間が延びるが、もう一度その旋律を奏でても効果は増えずに時間だけが延びる、というものである。

 これによって防御に関してはそれなりに安心できる状態になっている。不意を突かれる、または熱線さえ受けなければ死ぬようなことはないだろう。

 問題はこの狂リオレウスを倒せるか、という点。上位武器はガッツのフルミナントブレイドのみ。鬼斬破と豪槍グラビモスは下位武器なのだ。シェリルのヘビィバグパイプも上位武器だが、彼女の役割はケビンたちの支援にある。

 またもたらされる効果は周りのハンターたちも同時に支援しているため、彼女は前線に立つことは出来ないのだった。その点においては翡翠も同様だが、彼は持ち前の身体能力の高さにより、吹きながら立ち回るという離れ業を見せている。

 狩猟笛の扱いに慣れればそんな立ち回りが出来るが、あの歳でこの状況でもそんな風に立ち回る根性は感心する。シェリルも出来ないことはないが、自分もあの混戦に飛び込んでしまえば、振り回されるヘビィバグパイプでケビンたちまで殴り飛ばしかねない。

 

「グルルッ!」

 

 口を開いて目の前のスズネに噛み付くが、構えた盾がそれを防ぎ、反撃として喉元を豪槍グラビモスで突き上げる。喉というものは生物にとっての急所の一つだが、硬くなった甲殻がそれを守っている。しかし、完全に防いでいるわけではなく、少しだけならば先端が貫いていた。

 だがそんなものでは攻撃が通用しているとは言いがたい。でももしその際に毒を注入できればまだ何とかなるだろう。この豪槍グラビモスには毒属性を持ち、先端から染み出る毒を打ち込みつつ攻撃が出来る。

 喉などに打ち込み、体に異常を与えるのはもちろん、それに伴って火球を撃ち辛く出来れば儲けもの。とはいえその確率は低いものだろうとスズネは推測していた。

 狂化竜については道中で翡翠たちから聞かされていた。

 甲殻の硬質化に加えてそれぞれの耐性に対しても強くなっているという話だ。つまりは毒に対しても強くなっているのではないかと推測できる。

 だが何度も攻撃することが出来ればあるいは、と前向きに考える。盾を構えて狂リオレウスの攻撃をいなし、カウンターを放つように槍を突き上げる。

 そして両翼の周りにつきつつ二人の剣士が己の剣を振るう。だが硬くなった翼の鱗が翼膜へと刃を届かせることを防いでいる。ならばと鱗ではなく下から直に翼膜へと突き上げるが、暴れる翼が刃を時折弾いている。これでは翼を潰すには時間がかかりそうだ。

 しかし支援はある。シェリルの笛だけでなく、この場にはギルドで働いているアイルーもあちこちに散らばっている。状況報告、負傷したハンターの運搬だけでなく、自らも戦いに参加している。もちろん武器で戦うのではなく、爆弾を投げつけてダメージを与えているのだ。

 そしてこの狂化竜にもアイルーが二匹ついていた。狙うは二人が狙っている翼である。

 

「にゃにゃー!」

「オレたちだってやるときゃやるにゃ!」

 

 二人から少し離れた所から小型爆弾を投げつけている。もちろん二人に当たらないように気をつけており、二人が体勢を立て直すのを見計らって投げつけている。時折外れるときもあるが、それでも足元を爆発させて足などにダメージを与えていた。

 翼に命中した爆弾は鱗を剥がし、少しずつではあるが肉をむき出しにさせている。また二人の剣を弾かれてはいても、それはまったくダメージになっていないわけではない。二人の剣には雷属性がついており、そちらのダメージはしっかりと通っているだろう。

 更に斬りつけることで少しずつ爆弾によって傷ついた鱗を剥がしている。

 

「――よし、練気が溜まった!」

 

 右翼で鬼斬破を振るっていたケビンが鬼斬破を構えなおす。太刀には練気と呼ばれるものがあり、敵を切り続けることでそれが溜まっていくという特性がある。太刀に含まれる粒子が斬りつけた相手の生命力を溜め込み、練気に変えているという説があるが定かではない。この練気溜まれば気を扱えないハンターでも、気刃斬りを放つことが可能にしているのである。

 もちろん気を扱えるハンターならば、己の気を太刀に纏わせることで、自在に気刃斬りや刃から飛ぶ斬撃である気刃を放つことが可能である。

 しかしケビンは気を扱うことが出来ないため、こうして何度も斬り続けて練気を溜めなければ気刃斬りが放てないのだ。だがこうして何度弾かれようとも斬り続けたことで練気が溜まった。

 ケビンが手にしている鬼斬破には赤いオーラが揺らめいている。これが練気が溜まった証であり、気刃斬りが放てる準備が完了したと知らせるサインである。

 

「うおおおぉぉ!」

 

 その練気を解放して気刃斬りを放つ。一撃、ニ撃と袈裟斬りを放ち、そのまま連続的に斬りつけた後に一気に振り下ろす。その気刃斬りの応酬で今までその鬼斬破を弾いていた甲殻と鱗が次々と切り裂かれ、その奥の肉と翼膜を切り裂いた。

 

「グアアアアァァァ!?」

 

 血が舞い、切り裂かれた翼膜が少しだけ力を失ったように垂れ下がる。どうやらこの攻撃は通用しているようだ。

 

「よしっ、効いている!」

 

 硬い敵と相性が悪い太刀だが、気刃斬りさえ放てればそれなりに通用する。それに至るまでが苦労するだろうが、耐え切った後にこうやってダメージが与えられるのだ。

 だが代償はある。

 デリケートな武器といわれる太刀はそうやって硬い敵を斬っていると、すぐに刃こぼれしてしまう。見れば鬼斬破に欠けた部分があるのがわかる。練気を溜めている間もずっと斬りつけてきた上に、気刃斬りによって無理やり鱗に刃を通してきた。

 だからこうして刃が欠けている。このまま続けてしまえば折れる可能性もあるだろう。

 ならば砥石を研ぐか。

 そう考えていると、狂リオレウスがケビンへと振り返る。己の翼に強い一撃を与えたケビンへと標的を変えたようだ。

 

「グワアアアアァァァ!!」

「――チッ、すげぇ気迫だな……!」

 

 体の内側から来る恐怖にケビンの足が竦んでしまった。これほど明確な殺気を正面からぶつけてくるとは、金銀の番か風翔龍クシャルダオラ以来か。

 ――あるいはそれ以上か。

 狂化しているというのは、あながち間違ってはいないのではないだろうか。そんなことを考えながら、震える体に鞭を入れて体勢を整える。

 その様子を見た狂リオレウスが大きく息を吸い、ケビンへと火球を吐きながら宙へと舞い上がった。そのまま高度を上げることはなく、そのまま低空でホバリングする。

 対してケビンは目の前に落とされた火球から逃れるために後ろへとバックステップをした。そのまま狂リオレウスを見上げて流れた汗を軽く拭う。

 

「低空飛行って、普通しないよな?」

「そうだな。だが、だからと言って不利になるわけじゃねェよ。こちらはまだ手は残されてンだ」

 

 近くにいたガッツが笛を吹いていたシェリルへと目配せする。それを受けてヘビィバグパイプを背にかけ、ポーチから閃光玉を取り出した。

 

「閃光玉を使うよぉ!」

 

 周りのハンターたちに聞こえるように叫んだ後、ピンを抜いて狂リオレウスの視界へと投げつける。

 狂リオレウスの下でスズネが盾を構えたまま再び引きつけて時間を稼ぎ、そして辺りを包み込む閃光が包み込んだ。

 次いで聞こえる墜落音と振動。視界を潰されたことで平衡感覚を失い、狂リオレウスはバランスを崩したのだ。この辺りは原種のリオレウスと変わりはない。

 

「よし、俺が顔へと一撃叩き込む! 嬢ちゃんは翼か尻尾に回って攻撃を加えてくれや!」

「わかったわ!」

 

 ガッツが墜落した狂リオレウスの顔の前へと回り込み、フルミナントブレイドを構えて力を溜め込んでいく。こういうチャンスが生まれれば、大剣の最大級の一撃である溜め斬りが放てる。

 ケビンはこのチャンスの間に欠けた刃を砥石で戻していく。この戦場ならばこういう時でなければ砥石を使っている暇はない。もちろん周りにも気を配って使用している。

 他の人はどうしているかと微かに視線を動かして確認してみる。

 ラオシャンロンはまだ足元を流砂によって絡め取られており、その場に留まったままハンターたちに攻撃を受けている。時折体を揺すったり首を動かして振り払おうとしているが、やはりそれでハンターたちが離れるはずはない。

 昴たち「雪花」はまだ狂リオレイアを仕留めてはいない。まだ均衡状態は解けていないらしい。

 では他のハンターたちはどうなっているだろうか。

 もう一頭の狂リオレイアは倒されている。そしてもう一頭の狂リオレウスはまだ戦闘中だった。ハンターたちと術者によって何とか瀕死に近しいまでには追い込んでいる。

 だが何か様子がおかしい。

 そう思っている間に、構えているフルミナントブレイドに溜め終えた力が伝わり、握り締められる力が強まった。

 

「さぁて、あの時以来だなぁ? この一撃を空の王者に食らわせるのは、よぉ!!」

 

 大剣最大級の一撃が狂リオレウスの頭に振り下ろされた。

 

「ガアアアアアアァァァ!?」

 

 硬くなった甲殻に守られている顔だが、その重い一撃は容易に甲殻を割って肉へと到達させた。瀕死の銀火竜もこの一撃がとどめとなる。まだまだ動ける狂化竜とはいえ、原種が上位の通常リオレウスならば瀕死に追い込めるだろうと推測した。

 狂化と汚染がかけられている狂化竜。そのポテンシャルは上昇させても、その生命力までもが上昇するわけではない。内包する生命力は狂化する以前と変わることはない。

 だから硬い甲殻や鱗、その立ち回り、放たれる殺気と狂気さえなんとかすれば、狂化竜を倒せるのである。

 そして今、ガッツの一撃を受けた狂リオレウスは痛みに悶えている。ふらつく足元と暴れるその体。流れる血は地面へと滴り落ち、その目元までも赤く染めている。

 

「……まだ落ちてねェのか。普通ならもう死んでるハズだが、やはりその硬さが命を繋いだか?」

 

 刃は肉へと届いてはいるが、浅めと深めの中間点を通り抜けていた。つまり致命傷に近いほどの一撃であり、致命傷に届いてはいないということになる。

 だがガッツが放った一撃は間違いなくガッツにとっては最大の一撃。加えてシェリルの奏でた旋律により、筋力が上昇している。普通のリオレウスならば間違いなく致命傷を与えられて瀕死の状態になっている。

 

「グ、グルル……! ゴルル……!」

 

 首を振り、体を捻り、それに従って尻尾も捻られてガッツに迫る。それをフルミナントブレイドを構えて防ぎ、暴れる狂リオレウスを見据える。放たれる気質は先ほど以上に高まっており、追い込まれた獣にしては強すぎる殺気を抑えきれていない。

 ビリビリと空気を刺激するそれは、修羅場を重ねてきたガッツでさえ苦笑を漏らしてしまうほどである。だがそんなものに臆するわけにはいかない。隙を見て斬り込まなければならない。

 踏み込もうとしたとき、振り払われた翼が横からガッツを襲い掛かる。

 

「チィ……!」

 

 咄嗟にフルミナントブレイドで再び防ぐが、思った以上に翼が払われてガッツが横へと滑るように吹き飛ばされる。追い討ちとして辺りを薙ぎ払っていた尻尾が背後から打ち付け、ガッツが地面に倒されてしまった。

 

「ぐ、はっ……」

「グルルル……!」

 

 ガッツの呻きを聞いて狂リオレウスがガッツに向き直る。それを防ぐようにスズネが回り込んで豪槍グラビモスを突き刺す。その場所はガッツが切り伏せた部分、つまりは剥き出しになった肉の部分。

 

「ガアアアァァァ!?」

「……ハア!」

 

 踏み込みながら豪槍グラビモスを突き、突き、更に突く。そこで狂リオレウスはスズネを睨みつけるように視線を動かした。元来青いその目は狂化竜となったことで赤く染まっている。

 正面から殺気丸出しで睨みつけられたことでスズネの中から恐怖心が湧き上がる。数ヶ月前まで下位で立ち回ってきたスズネ。上位になってからクイーンランゴスタなどと戦ってきたが、それでも上位のモンスターに慣れてきたわけではない。まだまだ上位の経験が浅いため、強い殺気には慣れていないのだ。

 その殺気に加えて真正面からの眼力。それはスズネの動きを止めてしまうには充分なものである。

 

「グルルルァァァ……!」

「……っ!」

 

 口が開き、その奥に火のエネルギーが集まっていく。数秒後にはそこから火球が放たれるだろう。

 ――いや、この狂リオレウスは火のエネルギーを集めながら大きく口を開け、そのまま噛み付こうとしていた。

 その動きが妙にゆっくりに見えた。それは自分が死にそうになっているからなのだろうか。そんなことを考えていると、横から人が飛び出してくることに気づくのが遅れてしまった。

 

「――スズネっ!」

 

 それはケビン。

 噛み付こうとしている狂リオレウスの前に己の左手を出し、己の体でスズネの盾になるように飛び出してきたのだ。

 当然ながらスズネに噛み付こうとしていた狂リオレウスの口は、出されたケビンの左手に喰らいつく。拳から腕へと飲み込まれていくように入っていき、喉元に溜めていた火のエネルギーは更に高まる。

 

「っ、ぐ、あぁ……!」

 

 痛みが走るが、それは同時にチャンスでもある。奴が溜め込んだ火のエネルギーごとダメージに変えてやる。

 歯を食いしばりながらケビンは更に左手をねじ込み、勝利を手にするために銃爪を引く。

 

 次の瞬間、轟音が響き渡る。

 

 それは狂リオレウスの口内で鳴り響き、更に喉元から大量の血が撒き散らされる。

 

「ガアアアアアアアァァァァァ!?」

 

 轟音の次は狂リオレウスの断末魔の悲鳴。喉だけでなく口から、ガッツに斬られた部分から血が噴き出し、見るも無残な顔は次第に生気を失っていく。

 ケビンが使用したのは義手に仕込んだ竜撃砲。かのクシャルダオラでさえこれを受けてしまい、逃亡せざるを得なかった一撃だ。

 相手の体内でなければ意味がない、という制限があるが、体内だからこその一撃を持っている。

 奇しくも己の左手を失った状況と似ている場面での使用になったが、それでもその一撃は狂リオレウスにとって致命的なものとなった。

 竜撃砲の一撃に加え、噛み付きから繋げようとしたであろう火球のエネルギーにも着火してしまい、己の喉を爆発させてしまうこととなってしまった。

 だがそれはケビンにとっても苦痛を味わうことになる。

 竜撃砲はガンランスに搭載された切り札。その一撃は当然ながら大きな反動を持つために巨大でなければならない。更にそれを行えば武器に熱が篭るために放熱を行わなければならない。しかし肘から先しかないケビンの義手では、放熱以前に木っ端微塵になっている。

 

「ケビン!」

 

 自分を庇って前に出たケビンにスズネが叫ぶ。狂リオレウスは既に事切れており、動き出す気配はなかった。

 ケビンは義手と共に張り付いたゴム質の皮を剥ぎ取っていくが、そこは焼け爛れた熱を持っている。その痛みに顔をしかめながらも剥ぎ取っていく。

 

「……あんたねぇ、どこまで無茶をするのよ!?」

「……いや、あそこは飛び出さねえと、お前やられてたかもしれねえからな」

「っ、だからって、だからって……また……」

 

 スズネも思い出したのだろう。

 金銀の番の戦いにてケビンが左腕を失った場面を。

 自分を庇うように飛び出し、己の左腕を食われながらも守り抜いたケビン。

 そして今回もまた同じように飛び出し、左腕を差し出すと同時に狂リオレウスを打ち倒した。

 

「失敗したら、とか思わなかったわけ?」

「いや、ねえな」

 

 あっけからんと言いながら残された皮を全て剥ぎ取り終える。

 

「失敗なんざ考えないさ。俺はお前を守るためなら命は賭けられる。報酬は絶対なる勝利。そしてお前を守れたという事実。それでいい」

「…………そのオッズの代償が自分が傷つく、という事実でも?」

「構いやしないさ。惚れた女を守ってこその男だろうが。その際に負った傷は勲章もんだぜ?」

「……馬鹿」

 

 顔を伏せながら呟くスズネに、ケビンは苦笑を漏らした。そしてそんな二人を離れたところで見守るガッツとシェリル。

 

「……ちっ、今の状況わかってンのか、あいつらはよぉ……」

「青春だね~♪」

「いや、青春で納めんなよ……。さっさとコッチに帰ってきてもらわねえと……」

 

 二人に近づこうとするガッツを止めるように首根っこを掴み、引き寄せて阻止する。

 

「だめだよ~ガッツ? ケルビに蹴られたいのかな?」

「……お前、楽しんでねえか?」

「当たり前でしょ~? こういうのは見守ってこそ、だもんね♪」

 

 何てことないように言うシェリルに溜息を漏らすしかなかった。

 

 

 ○

 

 

 狂リオレウスもケビンたちによって倒され、優羅は微かに目を細めた。ここから見えた限りではケビンの義手に仕込んだモノで倒されたらしい。

 竜撃砲が口内で発動してしまえば、いくら狂化竜とはいえどもひとたまりもないようだ。

 だがこれでわかる。

 硬いのは外だけ。中は相変わらず柔らかいということだ。この点においては狂化竜となっても変わることはない。

 かの狂ディアブロスもまた同じ。原種も狂化竜もその点は変わることはなかった。

 ならばやはり属性弾を撃ち込むよりは徹甲榴弾で甲殻を外し、貫通弾で一気にダメージを与えるべきか。だが今回はチーム戦。爆発が昴の邪魔をする可能性があったために今まで撃てずにいたが、ここは一気に決めるために仕掛けていくことにする。

 装填するのは徹甲榴弾Lv2。狙うのは狂リオレイアの顔。桔梗が貫いた傷を狙うにしては穴が小さい。その穴を広げるために徹甲榴弾で吹き飛ばす。

 そう決めながら昴へと近づいてその様子を確かめてみる。昴は未だに頭を押さえており、苦しげな顔をしていた。

 

「……昴、大丈夫ですか?」

「ああ、大丈夫、だ……」

「……頭、痛いのですか?」

 

 その様子に優羅は屈みこんで昴の様子を見てみる。頭が痛い、ということは記憶に何らかの影響があるのではないかと推測した。本で読んだ限りではそうなった場合、頭が痛むらしい。つまり狂化竜を、狂リオレウスや狂リオレイアを見たことで記憶に影響を与えたのではないだろうか。

 そんな風に考えたのだ。

 

「俺は……奴らに、会っているんだな?」

「……はい」

「村を滅ぼした……」

「……はい、そうです」

 

 否定はしない。その記憶が嘘だと言う訳にもいくまい。

 

「……そうか」

 

 昴は落ち着いた声で顔を振って立ち上がる。

憎しみの雰囲気はない。その点が不思議だったが、優羅も一緒に立ち上がる。

 

「……本来の俺は、奴らに復讐したいわけじゃないんだな。奴らによって泣く人を増やさないために戦っていた。……そうなんだろ?」

「……はい、そう言っていました」

「なら、俺はそのままでいく」

 

 変わらぬ眼差しでそう言うと昴は鬼斬破を構えて走り出した。その背を見送りながら優羅は少し考えてしまう。

 何故復讐心を持たないのか。

 何故あの記憶を思い出しながらも負の感情を持たないのか。

 憎くないのか。怒らないのか。

 普通は桔梗のような反応を見せるはずだ。あの変貌した桔梗を見たとき、優羅は落ち着いた目でその様子を見守っていた。

 ああ、こいつもそうなのか、と一種の同族意識を持ったものだ。

 敵を憎み、その対象へと殺意を向ける。

 自分もそうだったからわかる。

 敵と認識すれば斬る。あるいは、殺す。

 桔梗の場合は衝動的のようだが、優羅の場合はただ『そういうものだ』ということで行ってきた。

 敵=狩る(ころす)

 その図式が何故か自分の中に存在していた。あの日、二度目の狂リオレウスとの邂逅からそうなっていた。

 あの後赤衣の男、獅鬼に出会うことで多少緩和されたが、それでもまだその図式は生き続けている。

 だが時を経てその図式と同時に落ち着きも備わってきた。制御した、というのだろうか。敵と認識する範囲が狭まっているのを感じていたのである。

 そしてあの日の一件で、殺意は落ち着いた。歌には力がある、というのは本当らしい。

 あとは昴との出会いだろう。それが優羅の闇を少しずつ緩和していった。

 だがそれでも根本にはソレが残っている。だから考えてしまうのだ。

 

 因縁の相手に殺意は持たないのか、と。

 

 ちなみに優羅は落ち着いたものだ。因縁の相手というのはわかっているが、落ち着いた心は「因縁の相手」ではなく「狩るべき相手」と認識している。この点に関しては自分も驚いていた。

 実際に相対して心がざわつくだろうか、と身構えたのだが冷静だった。冷静に敵を分析し始めたのである。

 自分が異常だというのはあの日から何となくわかっている。それが先祖が魔族ということで何となく納得はしたが、魔族と聞かされなくても独りで過ごしてきた中で自覚していた。それだけ闇、という点に関して多少は考えるようになった今、因縁の相手を前にしてざわつかぬ心。

 これもまた昴と関わったことによる変化なのだろうか、と考える。

 昴は優羅に対して影響力が強い。それをまた一つ自覚すると同時に、優羅もまた走り出す。

 いつか自分もあんな風になれるのだろうか、と微かに考えながら引き金を引く。ピンクフリルパラソルは徹甲榴弾を二発装填可能。放たれた二つの弾丸は狙い通りに顔と首に着弾し、爆発を引き起こした。

 

「ガアアアァァァ!?」

 

 爆発は甲殻を傷つけ、あるいは吹き飛ばす。右目を負傷している狂リオレイアは、右から迫る弾丸に気づかずにそのまま着弾させてしまった。このまま徹甲榴弾を撃ち続け、甲殻を吹き飛ばし続ければ勝機はある。

 だが狂リオレイアは大きく息を吸ってそのまま後ろへと下がっていく。

 

「――ァァァアアア!!」

 

 それは怒涛の火球。正面にいる翡翠から右にいる優羅、昴まで薙ぎ払うかのように火球を連続して吐き出していく。

 

「うぉっ!?」

「くっ……!」

「……ちぃ!」

 

 翡翠と昴は横に跳び、優羅は足元を爆発させて上へと跳んで回避する。その際にも狙いをつけて再び徹甲榴弾Lv2を狙撃し、今度は首と横の腹に着弾する。

 吹き飛んだ部分を狙うように昴が鬼斬破を構えて斬りかかる。それは肉を切り裂き、更に傷を作っていく。

 その様子を見守りつつ徹甲榴弾から貫通弾Lv2へと切り替える。その際に離れたところにいる桔梗が視界に入った。何をしているのかと思っていると、砥石でヴァイスウイングを研ぎながら、何かをブツブツと呟いていた。

 

「……決める、決めてみせます。狂化竜は……殺す……。強化、腕力、脚力、視力。集え、風よ。私の槍に貫けぬものはなし……!」

「……またやるつもりか。というかまだ狂ってるのか。……ふん、まあわからなくはないけど」

 

 軽く鼻で笑いながら魔力が集まるのを感じつつ、自分は貫通弾Lv2を装填して狙いを定める。優羅としては桔梗が狂っていようが狂ってなかろうがどうでもいいことである。

 自分はただ狙撃を続けるだけだ。狙うは剥き出しになった肉。頬を狙って連続して引き金を引く。最初の貫通弾Lv2が頬を貫き、開いた穴を通るようにして次の貫通弾が入り込んでいく。

 使い切ると素早く次の貫通弾Lv2を装填していく。その時横を桔梗が走りぬけ、ヴァイスウイングを構えて跳躍する。そのままヴァイスウイングを振りかぶり、再びそれが投擲された。

 

「……ふん、甘い。防がれる。お伽噺にある紅い槍ならば終わるだろうけど」

 

 その様子を眺めながら昔読んだ戦争時代の物語を思い出してしまった。

 そして白い槍は狂リオレイアに命中するが、その場所は先ほどと違って庇うように構えられた翼だった。

 左目で桔梗の行動に気づき、どうやら自衛として翼を盾にしたのだ。つまり学習したということ。

 あの一撃は確かに重い。しかし呼び動作が見え見えだ。

 つまり、必殺の一撃として一つの戦いに一回しか使用してはならない技といえる。

 当然ながら投擲した後は無防備となり、着地するまでは隙だらけだ。

 

「ガアアアァァァ!!」

「っ!」

 

 翼が払われた後、狂リオレイアは火球を溜めて撃ち出した。だがそれが着弾する前に桔梗はローブに手を入れて盾だけを取り出した。ヴァイスウイングの盾をしまって取り出したのは、近衛隊正式銃槍の盾。ヴァイスウイングやダークでは火に弱い素材を使っているために不安があったのだろう。

 そして彼女は茉莉と同じくランスとガンランスの両方を扱うハンターだったようだ。だからこそ茉莉を師事していたのだろう、と何となく考えながら落ちていく桔梗を横目で見ながらピンクフリルパラソルを構える。

 冷静さを失えばああなってしまう。飛竜たちに劣る人族たちは己の体術、技術、魔法などを駆使して戦わなければならない。だからこそ冷静さを失えばそれで死が訪れる。

 狂気に走るのはいいが、ほどほどにしなければ自らの命を相手に差し出すようなものだ。

 

 自分も充分殺意をもった狂戦士、あるいは殺人鬼に近しいものだというのに、人のことをいえるのか。

 

 そんな風に心の中で自嘲してしまう。

 だがそんなことも一瞬。桔梗は自分で何とかするか、翡翠が手を差し伸べるだろう。銃口を狂リオレイアの肉部分へと向けて引き金を引いていく。

 しかし狂リオレイアも迫り来る弾丸にある程度慣れてきたのだろうか。少しずつ当たる箇所を硬い甲殻へと切り替えるくらいの反応を見せ始めている。

 同時に斬りかかる昴へと反撃するように翼と体をぶつけている。

 ここまで戦ってわかる。

 この狂リオレイアはあの狂ディアブロスよりも出来る。上位ということもあり、戦闘経験は豊富だろう。加えて狂化してもなお学習している。あるいはだからこそ感覚で戦っているのだろうか。

 反応が尋常じゃない。迫り来る弾丸の着弾地点を変えるなど、そんなものどれだけ鋭敏な感覚を持っているというのか。かわしきれないのはその体が巨大ゆえだろう。

 

「こ、の……!」

「ガアアアァァァ!!」

 

 昴も気刃斬りを絡めて斬り続けているが、それでも決定打は打てない。振り返った狂リオレイアの噛み付きをかわし、反撃として優羅が吹き飛ばした喉部分を切り裂く。そのあとに引き、打ち出される火球をギリギリでかわして下から顔を切り上げる。

 離れた場所では翡翠が音を奏でつつ足を殴りつけている。どうやら転倒させようとしているようである。しかしそれでも倒れる気配はない。

 昴たちが持つ武器は決して悪くはない。どれも性能がいい武器だ。

 では扱う腕が悪いのか。

 それもまた違う。狙っている場所は生物にとっても弱い部分であり、翼を狙ったのも飛べないようにするためという線で悪いわけではない。

 では桔梗が狂ったから?

 それも少し違う。彼女の最初の一撃は普通ならば必殺の一撃だ。しとめ損なったのは硬くなった甲殻ゆえに。あの一撃は通常の上位リオレイアだったら一発で瀕死に追い込めたかもしれない。先ほどの件に関しては彼女のミスと言えるが、大まかな戦況に関わっているわけではない。

 ではなぜ今になっても仕留められないのか。

 

 それはこの場にいる四頭の中で、いや、アキラが率いた八頭の中で一番上に位置する実力者だからだ。

 

 一番の年長者であり、一番場数を踏み、一番戦いに関して対処できるものだから。だからこそ今まで昴たちに決定打を打たせず、ここまで立ち回っている。

 あとは昴たちのスタミナが切れるのを待てば、後は狂リオレイアの勝ちが自動的に決まる。

 そのことに翡翠と優羅が気づき始めた。

 つまりこのまま続けていては負ける。

 

「くそ、どうする……」

「…………」

 

 二人は考える。

 勝負を決めるために己が隠している力を使うか、ということを。

 翡翠は己の血統ゆえに会得した技術を。

 優羅は己の闇ゆえに会得した武術を。

 優羅に関しては昴がいるから使いたがらなかったが、この状況では出し惜しみしている暇はないか、と考え始める。

 実際狂リオレイアは自分の狙撃に反応し始めている。爆発で加速度を上げても、またいずれは反応されない、といいがたい。

 

「……」

 

 試しに撃ってみる。それは狙い通りに肉に吸い込まれたが、微かに反応されていたのが見えた。となれば、このまま狙撃を続けてもいずれは思い通りにいかなくなるだろう。

 ならばローブの中にしまっているアレを使うか。そんなことを考え始めた。

 

 

 狂リオレウスの一頭はベガードたちによって押さえつけられている。ラオシャンロンについているハンターも近くにおり、二つの戦況が同時に存在している。

 ラオシャンロンが近くにいるために魔族などの術者も近くに待機しており、時折魔法による支援がある。また補給線も狂リオレウスの攻撃が及ばないだろう場所に待機させているため、回復や爆弾の支援も存在していた。

 故にベガードたちが参戦する頃にはある程度傷は負わせていた。

 そんな中に一匹のアイルーがギルドナイトに報告を行った。

 

「ドンドルマ東門がほぼ壊滅状態にゃ! バリスタと大砲はほとんど使い物ににゃっていにゃいにゃ!」

「……そうか。わかった」

 

 先ほどドンドルマに向かった狂リオレウスたちが壊滅させたのだろうと容易に推測できる。これが意味することは一つ。ラオシャンロンが歩き出した際に、バリスタと大砲の援護が望めないということだ。

 今もなお流砂に囚われているラオシャンロンだが、いずれ魔法使いたちの精神力も尽きるだろう。またはラオシャンロンが自ら流砂から這い出る可能性もある。つまり、足止めは所詮足止め。いつまでも持つようなものではない。

 となればドンドルマからのバリスタと大砲の援護もあってこそラオシャンロンは討伐、または撤退に追い込める。この場所はまだバリスタの射程外だ。だからバリスタの弾が飛んでこないのはわかっているが、よもや狂リオレウスたちによって壊滅させられるとは。

 これが意味することは一つ。

 自分たちはこれらの戦力でラオシャンロンを追い込め、ということである。

 ドンドルマでは援護のハンターが待機しているが、狂リオレウスたちが侵入したことで彼らにも当たっていることだろう。その辺りはどうなのだろうか。

 

「にゃ! 東門だけでにゃく、西門、南門からも侵入されているにゃ!」

「……なん、だと……」

 

 絶望感がギルドナイトに襲い掛かる。

 それでは……それでは追加のハンターも望めないのだ。この場にいるハンターは狂リオレウスたちの戦闘の疲労もあるだろう。ここにいる戦力は、さらに削がれる形になる。

 

 絶望。

 

 その言葉が頭の中に響き渡る。

 力が抜けていくのを感じるが、無理やりそれを押さえつける。ここで諦めているようでは、本当に終わってしまう。勝利は最後まで諦めなければやってくることはない。

 

「報告、ご苦労。持ち場に戻っていいぞ」

「にゃ!」

 

 敬礼したアイルーが地面を掘って去っていく。己の武器を握り締め、ラオシャンロンと狂リオレウスを見据える。

 

「諦めてなるものか……! 我々人族を舐めるな、竜どもよ!」

 

 そしてギルドナイトはラオシャンロンへと向かっていく。

 

 

 狂リオレウスに当たっているベガードは手ごたえを感じていた。この狂リオレウスは確かにつわものだろうが、周りにいるハンターと術者によって持ちうる力を発揮出来ていない。

 実際に呻き声を漏らしながら憎らしげにハンターたちを見据えている。暴れようにも纏わりつく魔法の効果によって押さえつけられ、力を削がれている。

 それを好機にハンターたちが攻撃を仕掛け、自らを傷つけていく。

 そんなことがずっと続けば限界がやってくる。狂リオレウスは大きく息を吸い始めた。ブレスがくるのか、とハンターたちが警戒し、それを抑えようと魔法使いが魔法を行使する。

 だがそれでもまだまだ吸い続け、喉の奥に火花が発生していく。

 

「い、いかんっ! 皆の衆、離れるのだ!」

 

 ベガードが慌ててそう叫び、自分も狂リオレウスから離れていく。ハンターたちもただ事ではないのだろうと察し、ベガードと同じく狂リオレウスから離れ始めた。

 しかしその頃には既に力が集まっている。数歩後ろに下がり、狂リオレウスの口から熱線が放たれる。

 

 

 決定打を打てず、気刃斬りを放って何とか対処するが、それでも狂リオレイアは止まらない。二撃与えたところで反撃の翼が襲い掛かり、それを身を引いて回避する。

 すると足に力をこめてサマーソルトをする体勢に入った。その射線から逃れるために左後ろへと一気に下がり、襲い掛かる漆黒の尻尾から逃れる。

 

「ん、なっ……!?」

 

 だが同時に横から発せられた殺気に気づき、更に後ろへと一気に跳んで下がる。

 それから2、3秒後、サマーソルトによって滞空している狂リオレイアへと凄まじい熱量を持った熱線が命中した。

 

「ガアアアアアァァァ!?」

 

 悲鳴と同時に地面に墜落する狂リオレイア。熱線はまだ狂リオレイアを焼いているが、元から火に対して耐性があるため、命を奪うまでにならない。しかしそれによって右翼と胸がダメージを被っている。

 見れば熱線はもう一頭の狂リオレウスが発したらしい。巻き込まれたハンターもいるようだが、それは狂リオレイアさえも巻き込んでしまったようだ。

 これはチャンスだろう。翡翠と優羅がすかさず攻撃を開始した。

 優羅が使用するのは徹甲榴弾Lv3。この爆発で一気に致命傷を作り出せる状況を作り上げる。翡翠も熱線を受けた場所に回りこみ、追い討ちをかけるように殴りつけていく。

 

「グルル……! ガアアアァァァ!!」

 

 そこで頭に完全に血が上ったのだろう。狂リオレイアが翼を広げて咆哮をあげる。それに耳を塞ぐ翡翠に目もくれず、そのまま走り出して狂リオレウスへと向かっていった。

 

「……は?」

 

 どうやら攻撃を続けた翡翠たちより、あの状況で熱線を当ててきた狂リオレウスにキレたようだ。番である狂リオレウスはケビンたちによって倒されているので、また別の雄なのだろうが、それでも狂リオレイアは怒りを露にしている。

 

「こいつぁチャンスだな」

 

 あのまま狂リオレウスと潰し合ってくれれば、自分たちは楽に討伐できるかもしれない。体力を回復させる元気ドリンコを飲み、武器を砥石で切れ味を戻しておくことにした。

 準備を完了させ、桔梗を回収し、四人は狂リオレイアへと向かっていく。

 

 それは共演にして狂演。

 狂リオレイアが狂リオレウスへと火球を撃ち出し、それが命中して狂リオレウスが唸り声を上げる。

 それからは二頭の狂化竜による戦闘が始まった。ハンターたちは巻き込まれないように離れてその流れを見守ることになる。

 狂化しているからこそ、その怒りは膨れ上がるばかり。同族だろうが想定外の攻撃を受ければ怒る。それが熱線であり、今まで順当に戦いを行っていた狂リオレイアは、この異分子を排除しようと行動を起こしたのだ。

 そして今まで抑えられていた狂リオレウスは、向かってきた狂リオレイアへと力を振るおうと迎え撃つ形になった。

 狂リオレイアの放った火球は狂リオレウスにかわされるが、離れたところにいるラオシャンロンへと命中する。どうやらラオシャンロンも巻き添えを受ける形になっている。ある意味哀れなことだ。

 お互いに喰らいつき、尻尾と体をぶつけ合う。火球を打ち出せば同時にぶつかり合い、そして更に踏み込んで体当たりをする。

 狂化して身体能力が上がっているため、お互いの攻撃は強いものだ。加えて怒りによって更に高まっている。お互いがお互いの命を削りあう戦いがそこにある。

 だが軍配は狂リオレイアに上がる。傷は狂リオレウスのほうが多い。熱線を受けた狂リオレイアだが、狂リオレウスよりは体力が残っていた。

 

「グワアアアァァ!!」

「ガアアアァァァ!!」

 

 何とか反撃しようとする狂リオレウスを翼でねじ伏せ、頭突きを与えて怯ませる。そして数歩引いてサマーソルトを食らわせて狂リオレウスを仰け反らせてやる。そのまま滞空状態に入り、更にサマーソルトを放つことで頭を揺さぶってやる。

 これがハンターたちにとってもチャンスとなった。

 一人が閃光玉を準備し、声を上げて周りのハンターたちに知らせて投げつける。光が辺りを包み込み、狂リオレイアが墜落した。

 一気にハンターたちが周りを囲んで攻撃を開始し、狂リオレウスがそれで倒された。狂リオレイアも抵抗したが、視界を奪われて墜落したことと、ハンターの数の力で討たれることとなった。

 

 

 これにより、狂化した火竜たちは全部討たれることとなった。

 だが被害は大きい。普通に倒されたもの、熱線を受けたものなど死傷者が多い。

 そして何より、一番の目的であるラオシャンロンがまだ残っている。

 しかし狂化竜との戦いでハンターたちは疲労している。元気ドリンコなど体力を回復させる道具を使用しても、そんなにすぐ回復するようなものではない。

 戦いに復帰できないものは休むしかない。

 またケビンは最後の一撃で義手を失っている。予備の義手はガッツが持ってきているローブにあるが、竜撃砲を撃ったことによってすぐに装着できるわけじゃない。

 回復魔法で火傷を少し癒されてはいても、色々と手間がかかるのである。つまりケビンはしばらく戦線に戻れない。

 

「グオオオォォォ……!」

 

 そこでラオシャンロンが唸り声を上げる。少しずつ流砂から足が浮き上がり、今も動き出そうとしている。

 

「くそっ……! 魔法使いたち、何とか押さえ込んでくれ!」

 

 ギルドナイトが声を上げて指示し、ラオシャンロンの腹を斬り続けている。アイルーたちも爆弾を投げてダメージを与えているが、疲労の色が見えている。

 さらに素材も無限ではなく有限だ。いずれ爆弾も尽きるだろう。ドンドルマから新しい補給隊を寄越さなければならない。色々と問題が山積みとなっている。

 中にはもうダメだ、と絶望するものもいる。

 疲労と心労。

 これらがハンターたちを包み込んでいた。

 だがその中で立ち上がるハンターも存在する。

 昴たち「雪花」、スズネたち「隻腕」、そしてベガードと双子の姉弟。他にも戦意を残しているものもいる。

 ハンターたるもの、モンスターを前にして退くことなど出来ない。そこに勝機が残されていると信じたならば、それを掴み取るために戦わねばならない。

 呼吸を整えると昴たちはラオシャンロンへと駆け出した。

 優羅もピンクフリルパラソルからカンタロスガンへと切り替え、滅龍弾を装填してラオシャンロンの背後へと回り込む。滅龍弾もまた貫通性を持つため、巨大な体をしているラオシャンロンならば背後、あるいは前から体を貫くように撃ったほうが効率がいい。

 爆発の応用を使用し、腰から胸へと貫くように滅龍弾を撃ち込んでいく。一発撃てばすぐに装填し、すぐに撃っていく。

 そうやって狙撃を続けていたが、ふとセンサーに妙な気配が入り込んだことを感じた。

 

「……?」

 

 何事かと感じた方へと視線を向けてみる。方角からして北の方だろうか。そちらから何かが迫ってきているのである。

 この感覚には覚えがあった。それも、最近感じた気配……。

 

「……バカな」

 

 思わずそんな言葉が漏れてしまう。

 空に浮かんだ黒点、いや、鈍色の影。少しずつ近づいてくるあの影は間違いない。

 それは口元に力をため、射程内に入った瞬間にそれを射出した。

 空を切って迫り来る一つの弾丸は、ラオシャンロンの背中に命中して甲殻や鱗を吹き飛ばす。

 

「グオオオオオォォォ!?」

「……な、な、なな……」

「おいおい……」

 

 周りのハンターたちも騒然としている。

 当然だろう。

 誰もがその乱入者に驚きを隠せない。そして更なる絶望が襲い掛かったことを自覚するのだ。

 

「マジかよ……」

「ちょ、ちょっと……嘘でしょ?」

 

 ガッツとスズネもそんな声を漏らす。数ヶ月前に雪山で切り結んだ相手か、それともまた別の存在なのか。それはわからないが、その登場に驚いている。

 

「……っ!」

 

 昴も頭を押さえて顔をしかめている。その存在があったからこそ、記憶を失ってしまったのだから反応するのは当然だろう。

 

 その存在は風を纏って空から戦場を見下ろしている。低く唸って倒れている狂化竜たちを見つめ、そしてラオシャンロンを睨みつけている。そのままドンドルマを見つめ、目を細めた。

 街を暴れている狂化竜に苛立ち、唸り声を上げている。

 

「……グルル、グォォァァァアアアアアアア!!!」

 

 だが今はそこにいるラオシャンロンを標的としたようで、大きく息を吸って咆哮を上げた。

 体は鋼の甲殻に覆われ、鈍色の翼をはためかせて空を翔る龍。

 

 今再び、風翔龍クシャルダオラが昴たちの前に現れたのである。

 

 

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