原作沿いではないけれど大きな変更点はなし
短編で話を紡いでいきます
主は太宰と同い年の女性探偵社員
一応異能力者
訳あって太宰狂気味
主についての詳細は徐々に明らかにします
敦が入ってからのほのぼの探偵社メイン
時々シリアス
それに巻き込まれる形で弄ばれるオリ主、薫です。
平和な時期の、平穏な午後の一幕。
異能を使いこなせていない敦くんがかわいい。
※薫の能力について触れている部分がありますが、詳細はまたいつか…。
探偵社に新人が入った。
私たちもすっかり先輩になって、そして久しぶりの新人くん。
しかも。
しかも、もちろん異能力者で、それがまた可愛らしい異能で。
「あ…あの、」
「なあに、敦くん」
新人の彼、中島敦は上目遣いで私を見上げた。
そのおどおどした態度からは到底想像つかないような異能を持つ彼。
ていうか、私もそんな身長が高いわけじゃないのに、それだけ猫背で身を縮込めているということだ。
「え、ええと…あ、の」
正式に社員となってからも彼はずっとこの調子で、どこか遠慮しているというか、あわあわしている。
私は昔の自分を思い出した。
太宰がいなければ、私もきっとこうだった。
初対面の人たちばかりに囲まれて仕事をする。
いや、太宰がいても周囲からはこう見えていたかもしれない。
「敦くーーーん。ちょっと助けておくれよぅ」
間延びした太宰の声が聞こえた。
国木田は無視を決め込んでいる。
助けろと言う割に、切羽詰まった様子のない声色。
ああまたか、と私は声のしたほうを振り返った。
「もー太宰さん。ほどほどにしてくださいよー。敦くんが面白いからって」
「だだだだ太宰さんん⁉」
所謂ところの手品だ。
太宰の腕が切断されているように見えるが、あれはよくできたレプリカか何か。
面白いくらいに慌てる敦をからかって遊んでいるのだ。
この人は日ごろからこんな風に、興味のない仕事はしない主義なのだ。
「…敦くん、落ち着いて」
「あ!ひどいよ薫~」
腕を取り上げた私の方を不満げな顔して見てくる。
薫。それが私の名前だ。
探偵社の一員で、太宰と同時に此処へ入った。
だから彼のことは…誰よりよく知っているのだ。
「罰として、敦くんの百モフモフの刑だ!」
「ちょ…!ええ⁉」
「それ、罰になってません…なってませんから…!」
太宰は私と敦の腕を掴み、強引に引き寄せた。
太宰に触れられれば、すべての異能は発動しない。
しかし例外があった。
敦と手が触れあった途端に、私の手が真っ白くなった。
「あ、あわわわわわ…」
もう一度言う。
真っ白くなって、そして、虎の手になった。
「うふふふ。いいじゃない、これでモフり放題だよ薫!」
敦の異能は消えていた。
そりゃあそうだ、太宰の無効化に例外はない。
だが。
私の方に例外があった。
「すみませ…薫さん…」
「…太宰さん」
虎になったのは腕だけだというのに。
体中の神経が研ぎ澄まされたかのように鋭い。
逸る神経に任せて、私は腕を薙ぎ払った。
それをひらりとかわしながら「甘いね~」なんて呑気に言う彼は笑顔だ。
「お前たち!!!いい加減に仕事に戻れ!」
「…はい…すみません…」
「くーにーきーだーくーーーん、敦くんが怖がってるじゃあないか」
「誰のせいだと思って…」
怒りに震える国木田に少し同情しつつ、火に油を注ぎまくる太宰に口元が緩んだ。
楽しそう。
この日常の光景を見て浮かぶのはそれだけで。
こうやって日の下で太宰が笑う毎日がずっと続けばいいだなんて思う。
「薫さん…その、手は、」
「あー…早く治してもらわなきゃね…」
果たして、国木田に追いかけまわされる太宰を捕まえることができるのか。
私は曖昧に笑って、未だ青ざめる敦の背を撫でた。
苦労人国木田さんというポジションと自由奔放太宰さん、そして振り回される敦と薫。
もちろん谷崎兄弟や乱歩さんなどのキャラも今後関わらせていく予定です。
ああ、文スト沼が深い…。