オリジナルなキャラ・設定は少なくしたいのですが、作者の一方的な都合上、結構入っています。ご注意を。
俺たちの再会は、一発の銃声によって果たされた。
そして二発目の銃声は、俺たちの決別を告げた。
◆ ◆ ◆
「―――こちらを向け。ゆっくりとだ」
後ろから投げかけられたその声に、舌打ちする。
今、やつに構っている暇などない。一刻も早く、この扉の先に行かなければならないというのに。
だが、逡巡は一瞬。すぐさま、この状況に対応するために頭を巡らせる。
ここに奴がいる意味、どうやって俺の後を追ってこれたのか? 銃口を向けられている不利な戦局、わざわざ後ろから声をかけてきたやつの狙いとは? この状況を即座に打開するために必要な行動、利用できるものは何がある? どうやったら敵に捕まったナナリーを、無事に助け出せるのか―――。
「聞こえなかったのか、ゼロ。こちらを向け」
再度放たれた忠告。その声は、今までの奴からは想像するのが難しい、重々しさを持っていた。
怒気。無理やり押さえつけられた声音の奥に、それが黒く押し固められていた。爆発する一歩手前の、ギリギリの場所で踏みとどまっていた。それを目の前の俺にぶつけたくて、煮えたぎっていた。
それもその筈だろう。奴には俺に、それを向ける理由がある。
頭の中で一通りの作戦は組み立てられた。細部はアドリブで調整可能だ。
戦闘になれば俺に勝ち目などないが、ここは引くわけには行かない。この先にナナリーが待っているのだ。彼女をさらった不届きな輩とも戦わなくてはならない。それに俺は、別に力試しをしたいわけではない。銃や身体能力以外にも、力はある。それ等よりはるかに効果的なものが。
重要なのは情報と分析だ。冷静さを装っているがやつのことなどお見通しだ、行動パターンなど決まっている。俺でなくても読めるほど、単純明快な論理と感情で動いているのが奴だ。それが正しいと勘違いしている、大馬鹿野郎だ。昔から何も変わっちゃいない。―――先さえ読めれば、目的遂行など俺には容易い。
振り返り、奴と相対した。
俺に銃口を向けている男、枢木スザクに。
「ユーフェミアは罪なき日本人を一方的に殺した。君も見たはずだ彼女の本性を! それなのに君は―――」
「便利な力だな、ギアスとは」
その一言で組み上げた作戦は、重大なダメージを負わされた。
なぜ奴が、ギアスのことを知っているんだ!?
動揺し次の言葉を繋げられないでいる俺に、奴は続けた。
「自らは影に隠れ、責任は全て他者になすりつける―――」
洞窟の暗がりから、かつて俺たちが開けた竪穴から降り注ぐ日の淡い光の中に、やつは歩いてきた。俺たちが開けた石造りの伽藍に。
ゆっくりと正確に。構えている銃口は、決して俺から離さないようにして。
「傲慢にして卑劣。それがお前の本質だ」
静かに、それでいて断罪するように言った。
現れた奴の顔には、何の感情も読み取れない。固く冷たく、かつては綺麗な瞳だと思っていたそこは、暗く黒く染まっていた。日本人である奴がそうすると、それが一層際立つ。
だがそれを見ても俺は、何ら動揺することはない。それは想定の内にあるものだからだ。
そんな表情など俺は、とっくに浮かべていたから。鏡を見て驚くような馬鹿ではない。
「―――カレン! ゼロの正体を知りたくないか」
視線と銃口はそのままに、スザクが叫んだ。
放たれたその声に、ビクリと、暗がりの中で動く気配がした。
「……何を今更!」
ほんの少しだけためらうも、すぐさま強気に声を張り上げた。
スザク同様にこの俺の後を追ってきた少女、紅月カレンが、潜んでいた暗がりから顔を出した。
そして手に持った銃を、スザクへと向けた。
だがスザクは、向けられたそれに構うことなく、腰だめにしていた銃を肩の高さまで持ち上げた。
「君にも立ち会う権利がある」
引き金に指が掛かる。
「あ……、待てぇーーッ!!」
(パァンッ!!)
彼女の叫びは、銃声によってかき消された。
ピシリッと、近くで音が鳴った。放たれた銃弾は、俺の心臓でも喉元でもなく額にぶつかって、どこかへ消えた。
暗い視界に、白い亀裂が走った。上から下、衝撃を受けた額から縦に顎の先まで、真っ直ぐに走り落ちた。
そして突然、暗いそれが割れた。
◆ ◆ ◆
こんなことになるなんて、誰が予想できたのだろうか。……俺には、わからなかった。
だけどあの時、ユフィに虐殺を命じてしまった時から。いや、この力を手に入れたその時から、俺は、求めていたのかもしれない。この瞬間を。今までの全てが壊れる、この時を……。
そうだ! 創造の前には破壊が必要だ。一度すべてを0にしないといけない。そのために心が邪魔をするなら、―――消し去ってしまえばいい。
「だから―――」
俺はもう、立ち止まれないんだよ。スザク。
短かったですが、第一期の有名な「あの時」をルルーシュ視点で描いてみました。ご視聴ありがとうございました。
この話のタイトルは、改めて見直すとスザルル的(あるいはルルスザかな?)なモノになっていますが、そっち方面にはできるだけ行かず原作の雰囲気を壊さないようにしていこうと思っております。今作ではあくまで、ふたりの間にあるのは、愛憎含めた友情までとしています。
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