魔法少女リリカルなのは×銀魂~侍と魔法少女~   作:黒龍

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第四十四話:怒っている時ほど口数が少なくなる

「あの天パどこ行ったァァァァァアアアアアアアアアア!!」

 

 海鳴公園に管理局執務官――クロノ・ハラオウンの叫び声が天に向かって響く。

 

 

 銀時がアルフを連れて、「じゃ」という短い一言でアースラの転送ゲートを使い海鳴公園へと一瞬にして移動した。

 まさかの展開に一瞬の思考を停止していたクロノではあったのだが、すぐさま我に返って転送ゲートに入り銀時の後を追いかけたのだが、海鳴公園のどこにもその姿は確認できなかった。どうやらアルフを抱えたままどこかへと向かってしまったらしい。

 銀時のとんでもない行動の素早さにクロノは呆れ半分怒り半分といった感情をない交ぜにしながら思考を切り替えた。

 銀時の行動は予測できなかった。つまり、彼がなんのためにアルフを連れ、どこに向かったのかは分からない。これからクリミナルたちと接触するのか? なんのために? フェイトに直接問いただしに行くのか? さすがに彼らと協力関係を結ぶなんて考えを銀時が持っていると思えない。

 銀時の真意を探る為にアースラに戻ってすぐさま新八に問いただした時も、

 

「銀さんの行動理由はわからないし……たぶんロクなことじゃないかもしれないけど……。こういう時のあの人は意味のない行動はしないと思います」

 

 といった言葉を受け取っている。

 銀時の行動理由の有無はとっ捕まえた後にじっくり問いただすとして、問題は現場(海鳴公園周辺)の調査。最重要の確保対象であるクリミナルたちを追う為の手がかりを手繰り寄せる為の何かを発見することの方が先決だ。

 それに銀時を見つけるのにも時間はかからないだろう。なにせフェイトは十中八九この海鳴市のどこかに拠点を構えていたに違いない。そして銀時がその拠点に向かって行った可能性が高い。

 それならば、アースラを探査機器で結界魔法が敷かれている場所もすぐに特定できる。早急に銀髪侍と使い魔を確保しに行きたいところではあるのだが、こればかりは焦ってどうこうできることはでないので、ただ待つほかない。

 

 

 そして、時間と共に現場周辺の調査は進んでいく。

 クリミナルの面々に返り討ちにされた局員たち十数名――そしてパラサイトの言う通り、傷ついた局員の一人が持たされていたプレシア・テスタロッサであろう生首。頭の方は鑑識に回すとし、本格的な現場の調査を始めた。

 魔法世界に無関係の人間を寄せ付けない封鎖結界を周りに張った後、自分は指示を出しながら局員たちに現場検証為に世話しなく動き回っている。

 だが、いくら時間をかけても一向に他の目ぼしい手掛かりは出てこない。分かっていたことだが、あんな大仰な振る舞いをしていながらクリミナルたちは自分たちに繋がるような痕跡を残してなどいなかった。

 ただ一つ、気になる点は。

 

「この液体は……」

 

 海鳴公園の一か所。砂利の地面にはまるで持っていた飲み物を溢したかようになにかの液体が不快な異臭を放ちながら広がっている。

 クロノは近づき、片膝を付いて鼻につく不快な匂いを我慢しながら地面に広がる液体を眺める。

 

「やはり……これは……」

 

 一応、詳しく検査しないことには正体は断定できないが、一目見て目の前の液体の正体には心当たりが付いている。だが、問題は〝どうして乾いていないこの液体が地面に広がっている〟かと言う点だ。

 立ち上がり、液体に視線と顔を逸らしながらクロノが腕を組んで思考し、推理を始める。

 すると、

 

「ふむふむ……これは有力な手掛かりアルな」

 

 ――……アル?

 

 突如として耳に聞こえてきた聞き覚えのある声に反応してパッと液体の方へと目を向けると、右ひざを地面に付きながら地面に広がる異臭を放つ液体を見つめる神楽の姿があった。

 

「……なにをやっているんだ……? 君は……」

 

 捜査の邪魔にならないように新八たちと一緒にアースラの食堂で待機しているよう指示したはずなのに、いつの間にかやってきて探偵さながらに現場の検証を始めている神楽にクロノはジト目を向ける。つうか、魔法も使えないのにそもそもどうやってアースラから公園までやって来たのか謎だ。

 クロノの言葉を無視して神楽は左手の親指と人差し指で顎を挟みながら、空いている手の人差し指で地面に広がる液体に触れすくい上げる。

 

「ちょッ!? 勝手に触れるんじゃない!」

 

 いきなり素手で証拠の一つになりそうなモノに触れる神楽に注意するクロノ。いやクロノ的には正体は予想が付いているから触った事自体もビックリなのだが。

 だが、神楽にとっては執務官の言葉はまったく眼中にないようで指に付いたネチョっとした液体の匂いをスンスンと嗅ぎ始め、眉間に皺を寄せて「むッ!」と意味ありげに声を漏らして目を見開く。

 

「なにか分かったのか?」

 

 まさか本当に何か手掛かりになそうな答えを話してくれるのではないか? と期待してしまったクロノは真剣な表情で問いかければ、神楽はゆっくりと立ち上がりこちらの顔を見つめる。

 そして口を開き……、

 

「グボロシャァァァァアアアアアアアアアアアア!!」

 

 クロノの顔面に向かって盛大にゲロをぶっ掛けた。

 そして吐しゃ物を出した神楽は色んな意味でスッキリしたようなキリっと表情で告げる。

 

「――どうやら、これはゲロのようネ。貰いゲロがその証拠アル」

 

 顔面ゲロ塗れのクロノは、

 

「…………あぁ……だと思ったよ……」

 

 

 

 

 海鳴市の一角に建てられた高層マンション。

 いくつもある部屋のうちのワンルーム――フェイトがジュエルシード回収の為の拠点の玄関の鍵がカチャリと回され、扉が開く。

 扉をくぐり部屋へと入るのは銀髪天然パーマの男――坂田銀時。その肩にはフェイトの使い魔であるアルフが抱えられている。既にクロノがかけていた拘束用のバインドは解けているが、表情は深く影がさし完全に意気消沈している。

 てっきり銀時としてはアースラ抜け出した時点で暴れるかもと思っていたが、マンションに来るまでの間はまるで動く様子がなかった。

 銀時は静まり返った部屋に目を細めながら乱雑に靴を脱ぎ、リビングへと続く廊下を歩く。

 リビングと廊下を隔てる扉のドアノブを回して開き、部屋をぐるっと見渡すが誰もおらず、何者の気配も感じられない。ため息を吐きながら頭を掻く。

 

「さすがにいるわきゃねェ……か」

 

 ゆっくりと廊下を歩きながら辺りを見渡していき、ドアを開けてリビングまで入ると肩に抱えたアルフをゆっくりとソファーへと降ろす。

 銀時はアルフを乗せていた肩を撫でながら首を回す。

 

「さてと、お役所の連中が来る前にさっさとなんか手掛かりねェか探しますかね」

 

 と言いながら銀時はアルフをリビングに残して別の部屋へと繋がる扉を開き、歩いて行く。

 ガチャリと扉を閉め、洋服ダンスなどがおかれた部屋へと入った銀時は今しがた閉じた扉の前に背中を預け、ポケットの中に入っている物を取り出し見つめる。

 

 

 

 一方のアルフは、ソファに座ったまま床を俯いていたが、銀時が扉を閉めるとすぐに顔を上げて彼が出て行った扉へと横目を向ける。

 

「…………」

 

 少しの間、待っても銀時が出てこない事を確認したのであろうアルフはゆっくりと立ち上がり、玄関へと繋がる廊下に出る為の扉へと歩き出し、ドアノブへと手を掛ける。

 

「――なんだ。散歩か?」

 

 声が聞こえ、ドアノブを回そうとするアルフの手が止まる。

 アルフはハッと声を漏らしながらも、慌てた様子もなくゆっくりと後ろへと首を向ける。すると片目に映るのはさきほどまで銀時が入って行った部屋。そして奥まで開き切ったドアに背中を預け腕を組んで立っている銀髪天然パーマの姿だった。

 

「…………」

 

 数瞬、アルフは黙ったまま視線を斜め下へと向けて考え込んでいるようだったがすぐにまたドアノブを回そうと手を動かす。

 

「待ちな。どこに行くかも告げねェのはいただけねェな」

 

 自身を無視して立ち去ろうとするアルフを止める為に銀時はまた声を掛け、彼女の元まで歩き出す。

 銀時の声に反応してか、アルフは正面こそ向いているもののドアノブを強く握りしめるだけで動こうとしない。

 銀時はアルフに手が届く距離までやって来ると足を止め、再び問いかける。

 

「行く当てでもあんのか?」

「……ないよ」

 

 アルフは感情が籠らないような冷たい声で答える。

 銀時は首を掻いてから問いかける。

 

「じゃあなにか。フェイトの居場所もわかんねェのに、おめェはこのまま一人で出ていくつもりか?」

「あぁ……だからほっといてくれ」

「わりィが、はいそうですかって行かせるつもりはねェぜ、俺は」

 

 と言いながら銀時はアルフの肩に手を置く。

 するとアルフは右肩に置かれた銀時の腕にゆっくりと左手を持っていき、手首を掴む。

 

「ほっとけって……言ったろ……?」

 

 俯き気味に冷たさへ感じさえる声で答え、片目をジロリと銀髪の侍の顔へと向ける使い魔。

 徐々にだが自分の手首を掴む手に力が入り始めていることを感じる銀時。彼は掴む手に目を向けてから、自身を見つめるアルフの顔を見たのち、少し息を吐きだしてから口を開く。

 

「……今にも〝人殺しそうな目〟をしてるテメェをか? 無理な相談だぜ、そりゃ」

 

 銀時の言葉を聞いたアルフは「そうかい」と呟いた後、ゆっくりと顔を前へと向き直し、俯く。

 やがて狼の使い魔はギリィと強く歯を軋ませ――。

 

 

 場所は変わり海鳴市にある公園、さきほどまでフェイトとクリミナルたちが居たであろう公園に設置してある公衆便所。

 その男子トイレ内ではバシャバシャ!! と言う勢いのある水の音と、

 

「だァァァアアアアアアアアアア!! チクショォォォオオオオオオオオオオオ!!」

 

 キャラすらかなぐり捨てて顔面に付着した吐しゃ物を必死に洗浄しようとする執務官の雄たけびが聞こえてくる。

 それをトイレの入り口から見つめていた神楽はタオルを手に取ってクロノの近づき、

 

「災難だったアルな」

 

 なんとも言えない憐みの視線を向ける。

 

「その災難の元凶は君だろうがァァアアア!!」

 

 怒声を神楽にぶつけながらタオルをバシッと奪い取るクロノ。

 コイツ公務執行妨害で牢屋にぶち込んでやろうか!? と考えながらクロノがタオルで顔を勢いよく拭いていると神楽の少し後ろにいた沖田が、

 

「いよッ、ゲロもしたたる良い男」

 

 と煽る。

 

「だァァァ!! うっさい!! 名誉棄損で逮捕するぞ!!」

 

 とクロノは怒鳴ってから、

 

「つうかなんでお前もここにいるんだコラァァッ!!」

 

 いつの間にか神楽同様にアースラ抜け出している沖田に気付いてタオルを便所の床に叩きつける。

 すると、

 

「ちょっとッ!! 沖田さん神楽ちゃん!! こんなとこでなにやってん!?」

 

 新八まで現れる始末。

 そしてクロノの怒りは臨界点を超える。

 

「お前もかァァァ!! お前もなのかァァァァ!!」

 

 顔面が青筋だらけと言わんばかりの勢いで指と腕をぶんぶん振りながら新八に詰め寄る。

 新八は執務官のあまりの剣幕に怯えてしまい、

 

「すみませんすみませんすみません!! なんかわからないけどすんっっません!!」

 

 とにかく平謝り。

 だがいくら謝ろうと執務官の怒りは収まらず、頭を掻きむしる。

 

「なんでどいつもこいつもフリーダムなんだッ!! 待機しろつったら待機しろよ!! 言うこと聞けよッ!! 管理局舐めんのも大概にしろコラァァァ!!」

「すみませんすみませんすみません!! なんかわからないけどマジすんっっっません!!」

 

 とりあえず何度もぶんぶん頭を下げる万事屋の常識人たる新八。

 

「まァ、眼鏡もこう言ってることだし許してやろうぜ」

 

 と言って沖田はクロノは肩に手を置く。

 

「いやおめェも謝れ」

 

 と言って沖田の頭にチョップを叩きつけるのはクロノでもましてや新八でもなくタバコをくわえた土方。

 

「土方さん!? どうしてここに!?」

 

 いきなり現れた真選組副長を見て驚きの声を上げる新八に対し、土方は頭を抑えてしゃがむ沖田を指さしながら答える。

 

「この沖田(バカ)のお守りだ」

 

 と言う回答にすぐに新八は納得。

 

「なんでこう……誰も彼も……」

 

 一方、沖田、新八に引き続き現れた土方を見てクロノは右手で目元を覆いながら天井を仰ぐ。

 そんな悲壮感と苦悩たっぷりのクロノを見て土方は小さく、すまん、と謝ってから沖田と神楽の襟首をグイっと捕まえる。

 

「ほれ行くぞ」

 

 そのままずるずると沖田と神楽を連れ行こうとする。沖田は「へ~い」と言って意外と素直に連れて行かれるが、一方のチャイナガールは。

 

「離すネマヨ!! お前銀ちゃんでもねェ癖に私の手綱を握れると思ったら大間違いネ!!」

「あーおい、暴れんじゃねェ」ごねる神楽を土方はめんどくさそうにしながら捕まえ続ける。「つうか俺から見て万事屋の野郎がおめェの手綱握れてるように見えねェけど?」

「とにかく離すネ!! このまま銀ちゃんとアルフをポリ公共に任せちゃいられないネ!!」

「おめェが居たって万事屋の野郎を見つけだせねェだろうが」

「なに言ってるアルか!! 私の知力を舐めてもらっちゃ困るネ!!」

「道も満足に覚えられねェ奴に知力なんざ1もあるわけねェだろ」

「真実はいつも一つ!!」

「だからなに? 真実見つけても万事屋もアルフも見つからねェからな? 分かったことはお前の知力も推理力もゼロだってことだけだからな?」

「ゼロの執行人だけに!!」

「うまくねェんだよ。安室さんに謝れ」

 

 とにかく銀時とアルフを探し出すと言って聞かない神楽を力づくで引っ張りながら土方は局員と話してアースラへと転送してもらう前に後方に立っていた新八へと顔を向ける。

 

「おい眼鏡。ボーっとしてねェで、おめェもとっととアースラに戻れよ」

「あッ、はい!」

 

 ごねる神楽の様子を見て何を思ったのか、心ここにあらずだった新八は土方の声ですぐに我に返る。

 アースラへと転送される土方たちを見てから新八もすぐさま後ろいるクロノへと体を向け、頭を下げる。

 

「あの……クロノくん! 神楽ちゃんが迷惑かけたみたいで本当にごめん! あとでちゃんと注意するから!」

 

 新八の謝罪を聞いて、クロノは深くため息を吐く。

 

「……まぁ、いいよ。彼女も居ても立ってもいられなかったんだろうってことにしておくから」

 

 行動の内容はともかくとして、と恨めしそうにセリフを付け足したクロノの言葉を聞いて新八は「本当にすんません!!」とまた深く謝る。

 

「……じゃ、じゃあ僕はこれで……」

 

 と言って申し訳なそうにアースラへと戻ろうとする新八に対してクロノは待ったをかける。

 

「ちょっと待ってくれ」

「えッ?」

「アースラに戻る前に、改めて聞きたいんだが」

「銀さんのこと……だよね?」

 

 クロノは軽く頷き、新八は申し訳なそうに後頭部を掻く。

 

「ごめん……。さっきも答えた通り、歌舞伎町……僕たちの元の世界ならともかく、この世界で銀さんがどこに向かうだとかどこにいるかなんて皆目見当がつかない」

「……まぁ、そうだろうな。となると……かなりマズイかもしれない……」

 

 ある予想を立てたクロノは疲れを覚えたように眉間をおさえる。

 クロノの言葉を聞いて新八はおずおずと言葉をかける。

 

「いや……あのォ……確かに銀さんはチャランポランで時折なにしですかわかんないとんでも侍ですけど……」

「彼に身近な人物である君からそこまで自信なさげなフォローが来ると余計に心配なんだが……」

 

 より深く眉間をおさえるクロノは心底疲れたような声を漏らす。

 

「その様子だと、彼の行動予測もあまりできなそうだね……」

「ま、まぁ大丈夫だよ! いくら好き勝手するあの人でも、悪いことはたぶんしないから! だから気長に探して行こう!」

「〝たぶん〟がつくのか……」

 

 なんとも頼りない新八のフォローを聞いてクロノは額を手で抑えてから、深くため息を吐く。そして顔を上げ、真剣な表情を作ってから新八へと語り掛ける。

 

「彼の身内の君には話すが、正直いまは悠長に坂田銀時とアルフを探してはいられない」

「えッ? それって……どういう……」

 

 よくわからないと言いたげな新八に対してクロノは順を立てて説明を始める。

 

「一応君たちはアルフが使い魔だってことは知っているのか?」

「う、うん……」

「だが、使い魔がどういった存在なのかは知らないだろ?」

「うん……まぁ……」

 

 歯切れが悪いが予想通りの答えを聞いてクロノは説明を続ける。

 

「簡単に説明するが、使い魔と言うのは主人に対して忠誠心が高いのが基本的だ」

「そりゃ、そういうものなんじゃ……」

「あぁ」と頷くクロノ。「だからこの強い忠誠心が今は厄介なんだ」

「えッ?」

 

 首を傾げる新八に対してクロノは腕を組んで語る。

 

「僕は少ししかアルフを見ていないから断定はできないが、たぶん彼女はフェイトに対してとても高い忠誠心をもっているのは確かだ。それこそ、主人の望むことならなんでもするとすら思っているほどかもしれない」

「…………」

 

 クロノの説明を聞いて段々と何かを察し、嫌な予感を覚えてきたのだろう新八は不安そうな表情を見せ始める。

 クロノは新八の表情の変化に構わず説明を続ける。

 

「そんな使い魔の元をあんな形で主人が去ってしまった。はっきり言って、主人に対する依存度が高い今のアルフの精神は平穏とは程遠いだろう。もうなにをしでかすか分からない状態――まぁ、自暴自棄と言った状態まで追い込まれてしまっている一目瞭然だった。魔力の供給がないと状態だから、無茶はしないだろうなんて可能性は相当低い。その上、坂田銀時という何を言い出すかもしですかもわからない不安要素だらけの起爆剤まで一緒だからな……」

「もし今の状態でアルフさんが暴走したら……」

 

 青白い顔で不安そうに言葉を絞り出す新八に対して、クロノは自身の今考えられる最悪の予想を口にする。

 

「――アルフの命どころか、場合によって銀時の命も危険な状態ということだ」

 

 

 

 ズガンッ!! ドカンッ!! という音と共にフェイトが今まで拠点にしていたアパートの一室へと繋がる玄関扉が内側からぶつかってきたモノの勢いに押し出され、留め金を破壊しながら、共有廊下の手すりまで吹っ飛んでしまう。

 破壊され、くの字に折れ曲がった玄関扉の上には更に扉が乗っており、その更に上には体を逆さにして乗った銀髪の男――坂田銀時が声を漏らす。

 

「こりゃ、骨が折れそうだ……」

 

 

 




新八「銀さん銀さん。なんとか最新話も投稿されました」

銀時「つっても一か月以上経ってるけどな。前の話なんて1年半近く経ってんだぞ……」

なのは「ホントに1年半で色々とありましたよね」

銀時「なにかあったーつっても特に何もねェだろ。なんか驚くことあった? 世の中なんか変わった?」

なのは「すんごいビックイベントがありましたよ!!」

新八「そうですよ!! だって平成が終わったんですよ!!」

銀時「いや平成が終わったー、新年号きたー……って俺たちがコメントして良い事なの?」

なのは「そこはメタ発言気にせず素直に祝いましょう!!」

新八「そもそもそうそうないビックイベントだったんですよ!! ちょっとはオーバーなリアクション取りましょうよ!!」

銀時「つってもよー……令和になってなんか変わんの? 良い事あんの? これから消費税も上がんのに?」

新八「うわ……なんて後ろ向きな発言……。やっぱこの人毛根と一緒に捻くれてる……」

なのは「でもでも!! 前向きな驚きのイベントもたくさんありました!!」

銀時「例えば?」

なのは「リリカルなのはの映画が放映されました!!」

銀時「でもvivid終わってなかったっけ?」

なのは「はうッ!?」

新八「いやそこは最終回お疲れさまくらい言えよ!! あと銀魂のアニメも放映もされたんですよ!!」

銀時「銀魂はジャンプから消えたけどな」

新八「ぐわッ!? ってまだ連載してるから!! 終わる終わる詐欺だから!! つうかあんたちょっとはビックニュース聞いてデカいリアクション取れないんですか!?」

銀時「そもそも令和終わっても無印編すら終われてない時点でテンションだだ下がりなんだよ」

新八「そこは作者のあれこれ考慮してホントッ!! 自虐ネタだとしてもデリケートなとこなんですから!!」

銀時「まぁ、良いけどよ。そもそもよ、俺を驚かせたかったらもうちょっとビックニュースねェの?」

新八「いや令和以上のビックニュースとか――」

フェイト「終わったよ……」

銀時「はッ?」

新八「えッ? ……なにが?」

フェイト「銀魂……終わったよ」

銀時「……えッ? いや、ジャンプで連載してないだけだから」

新八「それは原作のまさかの終わる終わる詐欺で――」

フェイト「原作銀魂……〝本当〟に最終回迎えたよ」

銀時「……詐欺じゃなくて?」

フェイト「うん」

新八「…………移籍でもなくて?」

フェイト「うん」

なのは「本当に………………満を持して?」
 
フェイト「うん」

銀時・新八・なのは
「「「………………」」」

フェイト「銀時……お疲れ様」

銀時・新八・なのは
「「「ええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!?」」」




本当の本当に原作の銀魂が最終回を迎えたと言う情報を確認して、ついに終わったのかー……って気持ちになりました。
私個人はまだ最終回……と言うかジャンプ最終回以降は進んでいないんですよね。
15年……私が銀魂を1話から追ってから10以上経ったのかーって……。早いようで長い時間が過ぎたんだなーって感覚です。
私はアニメから銀魂にのめり込んでいったのでそこから単行本だったり小説だったりを揃えたり、果ては映画を見に行ったり、ゲーム買ったり、ずっと楽しんできました。
最初に買ったジャンプマンガは銀魂ではなく、ボーボボなんですがたぶんそこからギャグマンガが好きになってその延長線上で銀魂が大好きになったと思います。
私は銀魂がこち亀並みにずっと続くと思っていただけに物語が本当に終わりそうな話を迎えると、本当に終わるのかなー、それとも続くのかなー、ってやきもきしながらジャンプを買い続けて話を追い続けていました。(まぁ、GIGAに移ってから追えなくなってしまったんですが)
それで本当に銀魂が最終回詐欺ではなく本当に迎えたって情報を見て、本当に最終回迎えたんだなーって半信半疑になりながら実感し始めてる感じです。まぁ、単行本を買って確認しないと私個人が銀魂の最終回を迎えたとは言えないんですけど(笑)。
そんなこんなで、最終回を迎えた銀魂と空知先生。お疲れ様です。本当にお疲れ様。そして、本当にありがとうございました。
最後に。

銀魂は永久に不潔だと思います。

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