魔法少女リリカルなのは×銀魂~侍と魔法少女~   作:黒龍

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休日前なので予定より早めに投稿しました。


2020年明け 5:椅子に長時間座っているとケツがキックされたみたいに痛くなる

「それでは、チーム銀ノッブとメガメガはポイントが0以下になりましたので抽選機を回してください」

 

 司会進行であるフェイトに指示され、露骨に気が進まなそうな顔を見せながらも銀時、ノッブ、新八、ネプテューヌはガラガラが置かれた机の前に立つ。

 まず最初にガラガラを回す為の取っ手に手を付けるのはノッブ。

 

「……どれ、とっと終わらすとするかの……」

 

 そう言ってノッブは軽くガラガラを何度か回せば、排出口から一個の白い小さな玉が出てカランと銀色の四角い皿の上に落ちる。

 近くに控えていたフェイトは小さな玉を手に取って数字を確認し、ノッブと銀時に玉の数字を見せる。

 

「出た数字は、1です」

「俺らよくよく1に縁があんな」

 

 と銀時が言うと、フェイトが思い出したようにある説明をする。

 

「あーそれと、一応補足して説明しておきますが、罰ゲーム中も笑った場合はアウトとなりマイナスポイントが付き、罰ゲームが終わって再び与えられる10ポイントがマイナス分引かれます。なので0になっても更にポイントがマイナスされることを覚えておいてください」

「うわー……マジかよ……」

「休まる時がないとはこのとこじゃな……」

「うげーッ……」

 

銀時、ノッブ、ネプテューヌは露骨に嫌そうな声を漏らし、新八が問いかける。

 

「あのー、じゃあもしかして……罰ゲーム受けるまでに笑ってポイントが-1とか-2とか……下手したら-10とかになったら……」

「二回連続で罰ゲーム受けてもらいます」とフェイト。

「うわ……」

 

 説明を聞いて新八のみならず他の面々も顔をしかめる。だが、銀時はないないと首を横に振る。

 

「いや、さすがに罰ゲーム受けるまでに-10まで笑うってこと早々ないだろ」

「でも止まったマスの内容が終わるまで罰ゲーム受けないみたいですから……分かりませんよ?」

 

 新八の指摘を受けて銀時はなんとも言えない微妙な表情で口を閉ざす。

 

「それでは説明も一通り終わったので罰ゲームを始めます」

 

 とフェイトが言うと、ショックキングな出来事を表すかのような大きな音がディスプレイの方から聞こえ、画面には新たな文字が出現する。

 音に反応して参加者一同の視線が空中のディスプレイに注がれる。

 

『罰ゲーム1――タイキック』

 

「「えッ……え゛ッ!」」

 

 もうタイトルで罰ゲーム内容を察してしまったであろう銀時とノッブは驚きの声を漏らし、白い両扉が開けばタイキックさんが出てくる時のBGMが流れだす。

 

「うわッ、マジでタイキックさん来んの?」

 

 銀時やノッブを含め参加者一同の視線が白い両扉に向く。

 開いた扉の奥から出てくるのは、白いシャツに赤い短パンを履き頭に鉢巻きを撒いたタイキックさんに似た格好をした――〝志村妙〟が謎のダンスをしながら出てくる。

 

「ちょッ!? 姉上ェッ!?」

 

 タイキック役がまさかの身内と言う事実にビックリする志村弟。

 むろん残りの万事屋組も驚き、神楽は驚き席から立ちあがる。

 

「おォ! 姉御ッ!」

 

 ちなみに妙を知らない面々はだれだれ? と不思議そうな表情を浮かべている。

 

「ちょッ!? お前かよ!? タイキックじゃなくて妙キックじゃねェか!!」

 

 と銀時は顔を青くさせながらツッコミ入れるが、妙は構わずゆっくり謎ダンスしながら近づく。

 

「おわおわおわ、きたきた……!」

「マジかマジかマジか……!」

 

 銀時とノッブはお互いの方に手を伸ばしながら戦々恐々。

 銀ノッブの前までやって来てダンスを踊りながら止まる妙。そしてタイキックされることに若干怯えている二人にフェイトは声を掛ける。

 

「それでは、チーム内でタイキックされる方を選んでください。あんまり長引く場合は二人に執行されます」

 

 フェイトの言葉を聞いた銀時とノッブはお互いの顔を見合ってすぐさま、

 

「さいしょはグー!! じゃんけんポン!!」

 

 銀時はグー、ノッブはチョキ。

 

「しゃーおらァーッ!!」

「あああああァァァァァ……ッ!!」

 

 銀時は喜び二の腕を抑えながらガッツボーズ、ノッブはチョキを出したまま膝たちになり絶望。

 

『ノッブ、妙キック』

 

「いつの間にかタイキックが妙キックに代わってる……」

 

 と新八がツッコミ入れる中、妙はノッブにキックを受けさせる為に立たせて少し尻を後ろに出させていた。

 ノッブはビビるあまり祈るように震える両手を合わせ女声で必死に訴えかける。

 

「わ、わし戦国大名の前に女じゃから!! 第六天魔王の前に乙女じゃからッ!! だから優しくして!! やさ――!!」

「死ねやァァァァァッ!!」

 

 気合い一発、妙キックがノッブの尻に炸裂!

 

「あ゙い゙ッッッ!! お゙ッゔッ!!  ォ゙ォ゙ォ゙ォ゙……!!」

 

 ぐぐもった吐きそうな悲鳴を漏らしながらノッブは衝撃で前を歩き、そのまま痛みのあまり尻を抑えながら横に倒れ悶えている。

 

「「「アハハハハッ……!!」」」

 

 チームの相方銀時とぐだの相方沖田さんとついでにチームメガメガの計四人がノッブの様子を見て蹴られた直後から笑っていた。

 

『銀時、沖田さん、ネプテューヌ、新八、アウト。

銀ノッブ:-2ポイント

メガメガ:-2ポイント』

 

「わー、本当にマイナス表記されてる……」

 

 となのはがコメントする。チームプリなのだけは悲痛なノッブの姿に同情して顔を背けているようだ。

 一方でまったく遠慮なしに笑っていた沖田さんのケツを神楽が棒でぶっ叩く。

 

「おりゃァーッ!!」

「い゙っだッッ!! わたしもい゙っだいッ!!」

 

 痛がる沖田さんとは対照的に銀時はまだアハハッと笑っていた。

 妙キックをした妙はそのままタイキックさんのBGMと共に小走りで白い扉に向かっていく。

 尻を抑えて倒れるノッブは痛みに耐えながら銀時に顔を向け睨みつける。

 

「ぉ、ぉィ……! ぎ、銀時ィ……貴様ァ……! わし、相方、じゃろ……! 笑い……過ぎじゃ!!」

「アハハハ……あー……いや、すまん。お前の命乞いとリアクションおもしれェからつい、な」

 

 ようやく笑い終わった銀時は右手を顔の前でちょんと立てて謝罪の意を示す。顔はニヤけているが。

 銀時がノッブをゆっくり立たせながら待機席に戻ろうとしている辺りでフェイトが声を掛ける。

 

「それでは、罰ゲームが終わったので銀ノッブは8ポイントからスタートです」

「あー、はいはい……ん?」

 

 と銀時が生返事している途中で疑問の声をもらす。

 銀時とノッブは司会進行であるフェイトに声を掛ける。

 

「……あれ? そう言えば、俺らのポイント……1ポイント……余分に減ってね?」

「うんうん」

 

 とノッブも相槌を打つ。するとフェイトは平然とした顔で教える。

 

「銀時が罰ゲーム中5秒以上笑って20秒以内にお尻を叩かれませんでしたので」

「あッ! ヤベッ!! しまった!!」

 

 と銀時が頭抱えていると、

 

「…………」

 

 ノッブが凄まじい眼力で恨めしそうに自分の不幸で無駄に笑って無駄にポイント減らした天パを見つめていた。

 ノッブの色素のなくなった目力から逃げるように銀時は汗を流しながら待機席に足早に戻り、ノッブも足早に席に戻った後もずっと銀髪天パを見つめ続けている。

 そしてようやく、メガメガが罰ゲームを受ける番となりフェイトが声を掛ける。

 

「では、メガメガもどうぞ」

「……はい」

 

 と代表者である新八がガラガラの取っ手を握る。

 さっき1出した負い目があるのか、ネプテューヌは「私がやるー!」みたいなことは言い出さなかった。

 ガラガラが周り、カランと玉が出てフェイトが確認する。

 

「出た目は……4です」

「うわ、不吉だ……」

 

 新八は露骨に嫌な顔をしながら罰ゲームの内容が表示されるであろうディスプレイに目を向ければアナウンスが流れる。

 

『罰ゲーム4:注射』

 

 ネプテューヌと新八はあからさまに顔をしかめる。

 

「うわッ……」

「露骨にやりたくない奴がきたなー……」

 

 また白い両扉が開き、中から二人の女性が歩いて出てくる。一人は白いニットの上着と赤いスカートを履いた女性、もう一人は青いロングコートを着た女性。

 そしてその二人の人物にいの一番に反応するのはネプテューヌ。

 

「あッ、コンパとアイエフじゃん! なになに? 二人も仕掛け人みたいな感じなの?」

 

 コンパとアイエフとは簡単に説明するとネプテューヌ側のゲストである。

 ネプテューヌの問いかけに「はいです」とコンパは笑顔で答え、反対にアイエフは愛想のない表情でコンパを指さしながら答える。

 

「まー、コンパがメイン。私はサポートって言う感じ。私は言っちゃえばお手伝いみたいなもんね。……あんまり気は進まないけど」

 

 最後に顔を背けてボソリと呟いた言葉が新八の耳には届いたようで同情の視線を送っていた。

 ネプテューヌは説明を聞いてうんうんと頷きながら相槌を打つ。

 

「ふ~ん、それで? 私たちのどっちかがコンパの注射を受ければいいの?」

「はいです。年明けも健康な体でいられるように注射を打つです」

 

 アイエフは目を逸らしつつ頭を掻きながらテキトーに告げる。

 

「まー、寒いときは風邪ひきやすいんだし、打ってもらえば?」

「えぇ~……年明け早々注射は嫌だなー……」

 

 腕を垂らしてあからさまに嫌がる素振りを見せるネプテューヌに新八は言葉を掛ける。

 

「でもネプテューヌちゃん。クリアしないとデメリット大きいし、さっさと打ってもらおう」

「まー、しょうがないね」

 

 そう話しているうちにコンパたちの近くに四脚の診察台が地面から浮き出てくるのを見て少し離れた場所から見ているなのはは汗を流す。

 

「ホントに謎の超設備ですね……」

「マジでなんでもありな空間だよな」

 

 銀時が相槌を打っていると、ノッブはあること気付く。

 

「なんかあの眼鏡……少し後ろに下がっておらんか?」

 

 ノッブの言う通り、新八は診察台が出た辺りで何も言わずにネプテューヌの少し後ろに下がっていた。

 仕掛け人と言うかスタッフみたいな感じで出てきた友人にネプテューヌは普段通りと言った感じで気楽に言葉を掛ける。

 

「じゃあ、コンパ。なるべく痛くないようにお願いね? わたし、どこぞのサイヤ人くらい注射嫌いだから」

 

 どうやらネプテューヌは自分が罰ゲームを受ける流れで話を進めているようだ。たぶん友人相手だから警戒も薄れて普段のノリになっているのだろう。

 

「大丈夫です。痛くならないように注射を打つのも看護師の務めですから」

 

 と言ってコンパは容器がドラム缶のようにドでかく針が親指よりもぶっとい注射器を出して笑顔で告げる。

 

「それじゃ、〝肛門に注射〟するので〝お尻〟を出してくださ~い」

 

 ネプテューヌは口を縦にポカーンと開け顔と目は死んだように一気に真っ白になる。

 

「「「アハハハハッ……!!」」」

 

『銀時、ノッブ、沖田さん、アウト。

銀ノッブ:6ポイント』

 

「おりゃーッ!!」と神楽。

「あ゙ゔッッッ!!」

 

 と神楽にケツを叩かれる沖田さんは尻を抑えながら「一々全力で尻を叩かないで!!」と涙を流して嘆く。

 

「厳密には肛門に注射するのではなく、肛門に針を入れて直腸に健康に良い溶液を――」

 

 などとコンパが説明しているが、説明を受ける側のネプテューヌは口をポカーンと開けて白いまま。そして相方の新八は罰ゲームの肛門注射から逃げようとどんどん後ろに下がる。

 やがて、呆けた表情のままのネプテューヌがようやく後ろを振り向く。

 

「……? ……」

 

 ネプテューヌは一度前に向き直り、

 

「……ッ!?」

 

 再び後ろを振り返って逃げようとする新八を見て驚きの表情を浮かべる。そしてすぐさま逃げる相方を追いかけようと足と手をバタつかせながらずっこけて前に倒れる。

 

「「アハハハ……!!」」

 

『銀時、ノッブ、アウト。

銀ノッブ:4ポイント』

 

「な、なんだ今の二度見……!」

 

 笑いながら銀時がツッコミしている間に、

 

「まままままま待って!! 待ってッ!! 待てッ!!」

 

 ネプテューヌは四つん這いになりながら新八の足に必死にしがみつく。それを見てノッブは腹抱えて余計に笑う。

 

「アハハハハッ! いや必死過ぎじゃろ!! 気持ちは分かるが!!」

 

 袴の裾にしがみ付くネプテューヌを新八は必死に振り払おうとする。

 

「ちょッ! 離して! 離してッ!! 離せッ!!」

「嫌だァァァァァァァ!! 尻に注射は嫌だァァァァァァァ!!」

「僕も嫌だァァァァァァァ!!」

 

 などと揉めているとコンパは困ったように告げる。

 

「どうしましょう……このままですとお二人に注射をしなくちゃ――」

「「――――ッ!!」」

 

 コンパの言葉を聞いて新八とネプテューヌは口をあんぐり開けて顔面蒼白となる。

 ネプテューヌは顔を上げて涙を流しながら、

 

「新八ィィィィィ!! 受けろやァァァァァッ!!」

 

 キャラを捨てて迫真の顔で頼み込む、と言うか命令する。

 

「嫌じゃァァァァァァァァァァァァッ!!」

 

 新八も跳ねのけんばかりの勢いで必死に抵抗して、ネプテューヌの掴みをなんとか振り払い走って逃げ出し、顔を後ろに向けて大声で告げる。

 

「コンパちゃァーん!! 逃げ遅れた方に注射打ってェェェ!!」

「ちょちょちょッ!! テメェ!! ズルい!!」

 

 とネプテューヌが慌てて立ち上がり新八に文句を言ってからすぐさま後ろを振り返れば、

 

「そうなんですか?」

 

 と小首を傾げて自身を見つめてくるデカい注射機持ったコンパ。それを見た途端、ネプテューヌはなりふり構わなくなる。

 

「こ、ここここここうなったら――変身!!」

 

 そう言ってネプテューヌは光に包まれ、光が収まれば別の女性の姿がそこにはあった。長い紫色の髪をお下げにし、ヘビータイプの黒いレオタードに身を包んだ戦う女神――パープルハートの姿が。

 パープルハートに変わったネプテューヌを見てノッブ、沖田さん、ひかる、ララは驚きの声を漏らす。

 

「うおッ、マシュみたいな格好になった」

「なんかデカいノッブの時みたく胸も無駄にデカくになってますね」

「キラヤバー! プリキュアみたいに変身した!」

「オヨー……」

 

 呑気な待機席の面々と違って新八は汗を流し焦り声を出す。

 

「あッ!! テメェ!! ズルいぞ!!」

 

 逃げながら文句を言う相方の言葉など無視してパープルハートはギラリと目を光らせて新八にとびかかる。

 

「逃がすかァァァァァァァァ!!」

 

 こっちも完全にキャラなど忘れて高速移動で近づいて新八の肩を掴み、柔道技よろしく相方を背負い投げして診察台に叩きつける。

 

「おべッ!!」

 

 強引にうつ伏せ状態で診察台に乗せられた新八をパープルハートは上から必死に抑え付けながら必死の形相で友人二人に声を掛ける。

 

「コンパァーッ!! アイエフゥーッ!! 私がこの眼鏡を抑えてるから早急に尻に打ってッ!!」

「いやもうめちゃくちゃだな……」

 

 と銀時は見せられている光景に対して呆れた声を漏らす。

 

「いやァァァァァアアアアアアアアアアアアアッ!!」

 

 新八は喉が裂けんばかりの悲鳴を上げて逃げようと暴れる。だがパープルハートの力は尋常じゃないくらい強いのでまったく逃げられず、巨大注射を持ったコンパは敬礼。

 

「わかりましたです!!」

「そもそもなんで尻に薬打つんんだァァァァァ!! なんで健康な一年に必要な行為なんだよおィィィィ!!」

 

 最後の抵抗とばかりに新八が疑問を含めたツッコミ入れるとアイエフに巨大注射を預けたコンパは新八の袴を下ろしながら説明する。

 

「最近は食生活が偏ってしまう場合が多いので、快便になれようお薬をお尻に打つです」

「それただのカンチョーじゃねェかァァァァァ!! いやァァァァァアアアアアア!!」

 

 完全に尻を出された新八はなお悲鳴を上げる。ただしこれ以上暴れると危ないので体は大人しくなっている。なんとも言えない表情で顔を背けるアイエフからコンパは巨大注射を受け取る。

 そんな光景を離れて見ているノッブは腕を組みながら相方の銀時に声を掛ける。

 

「なにが悲しくて年明け早々男の尻穴に針を突っ込むシーンなんぞ見なきゃならないんじゃ……」

 

 冷静に冷めたコメントをする待機組とは逆に白熱するパープルハートはコンパに声を掛ける。

 

「コンパ! ヤっちゃって!!」

「ちょッ!! そのヤはどういう――!!」

 

 と新八がツッコもうとするがコンパは巨大注射機を構えて気合いの一声。

 

「イくです!」

 

 ゴスッ!

 

「アッーーーーーーーーーーーーーー!!」

 

 

『4番目、沖田さん&神楽。チーム名――沖楽』

 

「あー、ピッタリなチーム名だな」

「頭ユルユルのコンビじゃしな」

 

 と銀時とノッブのコメントを聞いてサイコロを振る準備ができた沖田さんと神楽は青筋浮かべる。

 

「うわー、あの二人無駄にムカつきますね」

「できればあいつらウ〇コにしたいナ」

 

 そんなこんなで次にサイコロを投げる組みは残っている神楽と沖田さんのチーム。既に神楽がサイコロを持って待機しており、待機席に座る面々はその姿を見ている。

 

「………………」

 

 ただその中で、眼鏡の青年は席に座らず尻を抑えながら頭を下げてどんより暗い空気を醸し出し、いつもの姿に戻った女神は悪気があるのか席に座りながら相方から顔を背けている。ちなみにこのチームの現在のポイントは8。

 そして今までと同じように空中ディスプレイに神楽と沖田さんのチーム名とポイントが表示される。

 

『チーム名――沖楽。現在ポイント〝1〟』

 

「「ヴェ゙ッ!?」」

 

 1と言う数字を見てチーム沖楽の二人は信じられないとばかりに驚きの声を上げるが、銀時とノッブは冷静にコメントする。

 

「そりゃ順番回ってくるまでにあんだけ笑えばな」

「むしろ、よく1だけ残ってたもんじゃ」

 

 そこまで言って再びノッブがディスプレイに目を向ける。

 

「しかし、わしと沖田だけは頑なに真名で呼ばんのな」

「サーヴァントは真名を知られてはダメだからな」と銀時。

「って言うか、これだけ色々あって……まだ1巡もしてないんですよね……」

 

 なのはが少し疲れたように言葉を漏らす。

 

「ソッジーーーーーーーーッ!!」

 

 と神楽が今まで散々笑いまくってポイント減らしてきた沖田さんに怒鳴り声をぶつける。一部の罰ゲームを知ってしまった以上、さすがの神楽も澄ましてはいられなかったようだ。

 神楽の怒鳴り声を受け、

 

「すみしぇん!!」

 

 沖田さん、涙を流しながら思わず噛んで謝罪。

 

「「んん……!」」

 

 ノッブとなのははなんとか吹き出そうになるを耐え、銀時は口を大きく開けて堪えている。

 すると司会進行のフェイトが催促する。

 

「とりあえず、サイコロを振ってください」

「ん……」

 

 最初の元気なテンションとは打って変わってテンションただ下がり神楽がテキトーにサイコロを放り投げる。

 出た目は……1。

 

「ンフ……」

 

 とララが声を漏らすと、

 

「「あッ……」」

 

 なのはとひかるが声を漏らす。たぶんアウトになったと思ったのだろう。

 すぐさまララが右手を横に振って否定する。

 

「大丈夫大丈夫ルン!! 今のは笑ってないルン!!」

 

 ララの言う通りアナウンスは来ず、なのはとひかるはホッと胸を撫でおろす。

 銀時とノッブは眉間に皺を寄せながら不満の声を漏らす。

 

「今の笑ったよなー?」

「ちょっとプリキュアに判定甘いんじゃないか?」

 

 すると話題を逸らすようにララが慌てて立ち上がりサイコロに指を突き付ける。

 

「そ、それよりあのサイコロ絶対おかしいルン!! いくらなんでも四回連続で1が出るなんておかしいルン!! 確率1296分の1ルン!! インチキルン!!」

「ルンルンうるさいルン。誤魔化すなルン」と銀時。

「まーでも、こういう事ってたまーにあるし」

 

 とネプテューヌが相槌を打ち、沖田さんが反応する

 

「あー、ガチャで最高レアが連続で当たる時と一緒ですよ。出る時は出ますし」

「えー……でもやっぱり怪しいルン」

 

 とまだ納得のいってない様子のララにようやく復活し始めている新八が言葉をかける。

 

「……まー、本当にインチキサイコロだって分かったらそれをネタに主催者に抗議しよう。今いくら言っても僕たちは自由になれないし」

「そう言うことじゃな……」

 

 ノッブが疲れたように言うと納得はしてないがララもしょうがないと言わんばかりにため息を吐きながら席に座り直す。

 

「あッ、神楽ちゃんたちのコマが出てきましたよ」

 

 と言うなのはの言葉を聞いて全員の視線がスタートのマスの方へと向く。

 出てきたのは沖田さんと同じ髪型に神楽のぼんぼりを二つ付けた頭の大型ジャスタウェイコマ。

 線に沿って進むコマを見てノッブはつまんそうに見る。

 

「あー可もなく不可もなく、普通じゃな」

 

 とノッブがコメントした直後、

 

『コフッ!』

 

 コマの口が四角く開き、音声と共に口から赤い液体と一緒に黒い佃煮みたいな物が飛び出す。

 

「「「「うおッ!?」」」」

「「「「わッ!?」」」」

 

 まさかコマから声が出て口から何か出したことに驚く参加者一同。

 地面に赤い液体と黒い紙の切れ端みたいなのを巻き散らしながら進むコマ。

 

「…………」

 

 新八は恐る恐る近づきながら黒と赤が混ざった物を一つまみ取り上げ、観察すると口角を上げる。そして声を震わせながら銀時たちに見せつける。

 

「こ、これ……す、酢昆布です……アハハハ……!」

 

『※チーム沖楽のコマだけ特殊仕様』

 

「「アハハハッ……!!」」

 

『新八、銀時、ノッブ、アウト。

メガメガ:7ポイント

銀ノッブ:2ポイント』

 

「てりゃァッ!!」

「いったァッ!!」

 

 ネプテューヌに尻を叩かれる新八をよそに銀時とノッブは笑い声を漏らしつつコメントする。

 

「ハハハ……あー、なるほど……こう言う感じできたかー……」

「さ、最後に予想外のがきたのー……」

 

 そうこうしてるうちにチーム沖楽のコマは1マス目に到着。

 

『ミッションマス――アイアンマン』

 

「「「「「…………」」」」」

 

 もう四回目なので参加者一同の反応は薄い。

 

『その姿はまさにスーパーヒーロー!!  彼の名は!!  ダンボォォォォォル戦士!! マダオ!!』

 

「あッ、ついにマダオになった……」

 

 と銀時が呟くと同時に扉が開けば、

 

「うっせェー!! 知るかバーカッ!!」

 

 若干涙目声と共に白い扉の奥からダンボールの切れ端だけが出てくる。

 

『※長谷川、登場拒否』

 

 長谷川がヤケクソになって投げた足と腕のパーツだけが地面に残り白い扉はバタンと閉まる。

 

「「「「「…………」」」」」

 

 全員がその光景を無言と見つめていると。

 

『ミッション成功』

 

「「んん……」」

 

 アナウンスを聞いた銀時とノッブは口を閉ざし顔を逸らしてなんとか笑うのを堪え、ネプテューヌがコメントする。

 

「まー、あんだけ無様な姿晒したらねー……」

 

 とりあえずミッション成功なので沖楽のコマは1マス進む。コマの移動が終わり、これで全チームのコマが同じマスに並ぶことになる。

 すると、

 

『コフッ!』

 

 沖楽のコマがまた吐血して前にいた銀ノッブのコマの頭にビシャッと血と酢昆布を巻き散らす。銀色のモジャ頭は赤く汚れ、酢昆布があちこちに纏わりついている。

 

「「「「ブッ……ハハハッ……!!」」」」

「「アハハハハッ……!!」」

「「「ブフッ……!!」」」

 

『全員アウト。

銀ノッブ:0ポイント』

メガメガ:5ポイント

プリなの:0ポイント

沖楽:-1ポイント』

 

 ようやく1巡終わったところで0ポイントになった3チーム。

 司会進行のフェイトが声を掛ける。

 

「では、0ポイントになったチームの代表者は抽選機を回して下さい」

 

 席を立つ二チームのテンションはただ下がりになる。

 銀時は頭を下げて右手で顔を抑え、ノッブは疲れたように頭を下げ、

 

「あァ……また罰ゲームだー……」

「またかー……」

 

 なのは、ひかる、ララはあからさまに落ち込み、

 

「ついに私たちもかー……」

「あァ……」

「オヨー……」

 

 神楽は沖田さんの肩をガシっと掴む。

 

「ソッジー!! 責任取るアル!!」

「連帯責任でお願いします!!」

 

 0ポイントになったチームが各々嘆きながらも言われた通りに抽選機の前に集まる。

 まず、チーム銀ノッブ。

 

「出た数字は……1です」

 

 フェイトの言葉に銀時とノッブは驚きの声を上げる。

 

「「うっそだろおいッ!?」」

 

『罰ゲーム1――妙キック』

 

 そして白い両扉が開けばタイキックさんが出てくる時のBGMが流れだすと共に妙キックさんが謎ダンスしながら出てくる。

 

「いや妙キックさんてなに!?」

 

 と新八が地の文にツッコミ入れ、銀時とノッブはじゃんけん始める。

 

「「最初はグー! じゃんけんポン!!」」

 

 銀時はグー、ノッブはチョキ。

 

「しゃーおらァッ!!」

「ぬおーッ!! パー出すと思ったにィ!!」

「「「フフッ……!!」」」

 

『新八、なのは、ひかる、アウト。

メガメガ:4ポイント

プリなの:-2ポイント』

 

 1度目の妙キックと全く同じ内容に吹き出す三人。

 

「せいやァーッ!!」

「いったァッ!!」

 

 新八のケツは相方の女神にシバかれる。そしてノッブのタイキックがスタート。

 

「わし乙女じゃから!! 魔王でもなんでもないか弱い女の子じゃから!!」

 

 また女の子声で妙キックさんに祈るように両手を合わせながら命乞いしており、銀時がなんとか笑わないように口をつぐんでいる。

 

「堪忍して――!!」

 

 ノッブは必死に頼み込むが、

 

「死ねオラァァァァァッ!!」

 

 妙キックは容赦なく第六天魔王の尻に炸裂!!

 

「お゙ゔッッッ!!  あ゙ゔぅ゙ぅ゙ぅ゙ッ!!」

 

 1回目と同じく前へと倒れ込みながら横に倒れ、尻を抑えながら悶絶するノッブ。そんな魔王を尻目に妙キックさんは小走りに帰っていく。

 その光景を見て銀時と新八とネプテューヌと沖田さんは口開けたり、口をつぐんだり、首を傾げて笑わないように堪えている。

 そして次のチームは『沖楽』。

 

「出た数字は、2です」

 

『罰ゲーム2――握手』

 

 そして白い両扉が開き中から出てくるのは頭が白いライオンでどこぞのヒーローのような青いスーツをきた筋肉マッチョの巨漢。

 その姿を見ていち早く反応を示す小中学生トリオ。

 

「わッ、なんか凄い人が出てきた……!?」

「キラヤバーッ!! 宇宙人!?」

「オヨー……」

 

 そして出てきた仕掛け人に沖田さんが気さくに声を掛ける。

 

「あッ、エジソンじゃないですか」

「ついにわしらのとこからも来たなー……」

 

 待機席から眺めているノッブが呟き、FGOからの仕掛け人トーマス・エジソンが右手をグイッと前に出す。

 

「では、代表者が私と握手をしてくれ」

「…………」

 

 沖田さんがエジソンの大きな手を少し目を細めながら眺め、神楽は意外そうな声を出す。

 

「なんか結構簡単そうアルな」

 

 神楽の言葉を聞いてチラリと横のチャイナに目を向けた沖田さんは相方の肩をポンと叩き人当たりの良い笑顔を浮かべる。

 

「楽な罰ゲームそうですし、神楽に頼んでもいいですか?」

「しょうがないアルな」

 

 沖田さんに乗せられた神楽はやれやれと言った感じでエジソンの手を握った瞬間、

 

「いだだだだだだだだッ!!」

 

 超痛がり出す。

 

『※罰ゲームはエジソンと直流(でんげき)握手』

 

「いだッ!! いだいいだいいだいッ!! いだだだだだだだだだッ!!」

 

 電撃握手が痛くてたまらないようで手を放そうとするがエジソンが神楽の手をがっしり掴んで離さない。

 神楽が手を離そうとぶんぶん振るが、

 

「はなッ! いだだッ!! はなッ!! いだだだだだだッ!!」

 

 エジソンは手を離してくれずライオン頭の手もぶんぶん縦横に振られる。

 

『※エジソンの握手は割と長い』

 

「「「「「アハハハハッ!!」」」」」

 

『銀時、ノッブ、ネプテューヌ、新八、沖田さん、アウト。

銀ノッブ:8ポイント

メガメガ:3ポイント

沖楽:7ポイント』

 

 そして笑いながら銀時とノッブがコメントする。

 

「アハハ……! 痛がってんだから離してやれよ……!」

「しかも割としつこく握ってくるんじゃな……! ハハハ……!」

 

 執拗に握り続けるエジソンの手を縦横無尽に振りながら痛がる神楽の姿にもろに笑ってしまう五人。

 しかも沖田さんに至っては5秒以上笑っても20秒以内に尻を叩く人がいないので更にポイントが減っている。

 ようやくエジソンが手を離して直流握手が終了。そして罰ゲーム執行人エジソンは扉の奥に戻る前にサムズアップ。

 

「直流をよろしく!」

 

 だが左手を抑える神楽は直流マンになどまったく意に返さず沖田さんを睨みつける。

 

「ソッジィィィィッ……!!」

「す、すみません……よ、予想外でした」

 

 ニヤけ顔のまま弁明する沖田さんに待機席から見る銀時とノッブはジト目を向ける。

 

「あいつたぶん分かってて神楽に譲ったよな」

「思ったより良い性格しとるな……」

 

 そして最後に罰ゲームを受けるチーム『プリなの』。

 代表者のひかるが抽選機を回すと白ではなく黒い玉が飛び出す。

 

「あッ……」

 

 とフェイトが声を漏らし、なのはとひかるは少し怯えながら声を漏らす。

 

「えッ? えッ?」

「な、なになに?」

 

 フェイトは玉を拾って見せる。玉には小さな赤い文字で0が描かれていた。

 

「大外れの0が出ました」

「「ええええッ!?」」

「よ、よりにもよって大外れ!?」

 

 なのは、ララ、ひかるはまさかの驚きの声を上げ、待機席の面々も反応を示す。

 

「おッ、なんかヤバそうだな」

「なんじゃなんじゃ?」

 

 銀時とノッブは興味を示し、

 

「なんだろー?」

 

 ネプテューヌは若干わくわくしていた。

 そしてディスプレイに罰ゲームの内容が表示される。

 

『罰ゲーム0――ふりだしに戻る』

 

「「「えッ?」」」

 

 とプリなのは呆けた声を漏らし、

 

「「「「「はッ?」」」」」

 

 待機席の面々は冷めた声を漏らす。

 そしてチームプリなののコマは2コマ下がってふりだしに戻った。

 

「なにあいつらー、運良過ぎね?」

「うっそー……今の状態じゃ実質損害ゼロじゃん……」

 

 銀時、新八は落胆と驚きの声を漏らし、

 

「絶対プリキュア贔屓しとる!! なんじゃこの格差は!!」

「ぶーぶーッ!! 女児アニメだからって優しくするなー!」

 

 ノッブとネプテューヌは文句とブーイングを飛ばし、

 

「私はあんな痛い思いしたのに!!」

「痛い思いをしたの私じゃァーッ!!」

 

 文句を言う沖田さんの頭を神楽が黒い棒でぶっ叩く。

 

「いったァァァァァッ!!」

 

 と悲鳴を上げる沖田さん。

 そのなんとも微妙な空気になった光景にプリなのの三人は、

 

「「「アハハハ……」」」

 

 安堵感からか苦笑いの声を漏らす。

 

『なのは、ひかる、ララ、アウト。

プリなの:6ポイント』

 

「「「あッ……」」」

 


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