リアル事情とはいえ、2年以上の放置になってしまい申し訳ありません。
話の配分を考えて、今回は短めに区切りました。
リニスが会議室でなのはたちにプレシアの過去を説明をしていたから時間は進み、銀時が目を覚ました頃まで戻る。
『プレシアの使い魔であるリニスが病室へとやって来た』、現在。
「……なるほどな」
リニスからプレシアの事情を聞き終えた銀時はベットに横になりながら、平然とした顔で言う。
「まー、これまでの話をまとめると……プレシアは親バカ」
「いや、まとめるとこズレてない?」
とツッコムのはアルフ。対してリニスはニッコリとした笑顔で言う。
「正解」
「えッ? リニス?」
ボケかました魔法の先生にアルフは若干驚き顔。銀時はやれやれと言いたげな表情で頭を掻く。
「しっかし、話を聞く限りフェイトのヤツ……大分無理も無茶もしてやがりそうだな」
「えぇ……そうですね。〝あの光景〟を見て……あの子の心の苦しみは痛いほど痛感しました……」
「……あの光景?」
と言って首を傾げるアルフ。含みのあるリニスの言葉に銀時も怪訝な表情をしだす。
リニスは沈痛な面持ちで「えぇ」と返事をし、語りだす。
*
これは、リニスが管理局に接触を測ろうとする少し前の出来事。
海鳴公園でクリミナルたち、そしてフェイトがアースラと通信を行っていた終盤の時。
「大切なモノはもう……何も……」
フェイトがカメラに向かって冷たい声を言い放つ。
そしてそのまま通信は切られた瞬間、
「お゛ェ゛ェ゛!!」
フェイトはいきなりパラサイトのズボンに向かって嘔吐。
「うおォォォッ!?」
パラサイトは驚きの声を上げ、フェイトは四つ這いとなり涙を流しながら許しをこうかのように言葉を漏らす。
「アルフ……ごめん……! ごめんね……! ごめお゛ェ゛ェ゛ェ゛!!」
泣きながら口から吐しゃ物を吐き出すフェイト――発射先はパラサイトのズボン。
「ごめんじゃねェよ! 俺に謝ってくんない!」
「お゛ェ゛ェ゛ェ゛!!」
「お゛ェ゛ェ゛ェ゛!! じゃねェ! だから俺にかけるな! ワザか!? ワザとやってるだろッ!!」
パラサイトは怒鳴り声を上げながらフェイトから離れだす。
「うッッわッきったねェッ!!」
と汚物まみれのズボンに顔をしかめるパラサイト。
十歩くらい離れたトランスは真顔で口を開く。
「よかったじゃん。美少女のゲロが貰えて」
「…………」
スタスタと早足でパラサイトはトランスに近づくと、近づかれた白髪少女はスタスタと後ろ歩きで後退。
その光景を猫の姿で草むらから隠れて見ていたリニスは、
(フェイト!! 無力な私を許してください……!!)
涙を流しながら肉球で口元を抑えていることしできなかった。
*
「あんな幼い少女が精神的ストレスで……!! あの時ばかりは……本当に自分の無力を呪いました……!!」
口元を手で抑え、涙を流すリニスの語った過去。
まさかの話を聞かされたアルフと銀時はお互いに顔を見合わせ、「えッ? マジで? あのフェイトちゃんが?」みたいな表情を浮かべていた。
「……ま、まー……とりあえず……うん。そうだね。フェイト助けないとね」
「う、うん、そうだね」
アルフと銀時はなんとも言えない表情で、なんとも歯切れの悪い言葉で頷き合う。
「あとー……リニス。それ……フェイトの名誉のために、他の誰にも言わないでおくれよ?」
おずおずと言うアルフの言葉にリニスは涙を拭いながら頷く。
「はい……わかってます……。なんというか、フェイトの苦しみを伝えたくなってしまってつい……」
「いやー……今の話しは言わなくても良かったと思うけどなー……」
と銀時が言う。
ちなみに、
フェイトが口から吐いたモノは地面に残る→知らずに嗅いだ神楽も口から盛大に吐き出し→吐き出したモノはクロノにダイレクトアタック
という奇妙な繋がりが少し前にあった。もちろん、銀時とアルフの二人が知るわけないことではある。
「そんで、問題をまとめるとだ」
銀時は膝に手を置きながら、真剣な顔で。
「リリカルなのはの人気ヒロインがゲロイン(この小説限定)になった」
「どこまとめてんだ!」
アルフはバシッと銀時の頭を叩く。
「まぁ、ゲロは置いといてだ。現状の問題は……」
憂いを帯びた表情の銀時を見てアルフはやっと本題に入ったか、と思った。
「再登場が六話以上の俺は……主人公として非常に危ねェ……」
「そこでもねェよッ!」
アルフはまたまたツッコミを入れて銀時の頭をバシッと叩く。
「なにを言うか銀時」
と口を挟むのは桂。読者の方々は結構久しぶり過ぎて忘れているので説明すると、病室で銀時の看病していたうちの一人が桂小太郎なのだ。だからこの長髪男はこの場にいるわけである。
桂は腕を組みながら真剣に話し出す。
「ぶっちゃけこの小説の一話一話はたかだか一万字いくかいかない程度の長さだ。ならば、この小説の六話はぶっちゃけアニメとかなら一話とか二話くらいで終わる長さだぞ? だから気にすることはない。ワンピースの過去回想とかもっと長いぞ」
「いや、あんたもどうでもいい話に乗っかんな!!」
とアルフは食い気味にツッコム。
銀時は口を尖らせつつ反論しだす。
「だけどよー、この話が投稿されてんのリアル時間だと2年超えてて――」
「やめろやめろやめろ!! そこは言及すんな!!」
あまりの危ない発言にアルフが強引にストップをかけた。
桂は「そもそもだ」と言って人差し指を立てる。
「さきほどの過去回想は、リリカルなのはの主人公格のフェイト殿についてのものではないか。主人公なのだから、フェイト殿に関する過去編ならば、あと十話くらい伸ばしても読者は理解してくれるであろう」
「いやいやいや、さすがにダメだろ」
と銀時は首を横に振って語りだす。
「八万字近い過去回想だぞ。ぶっちゃけなげェよ。それもこれも小出しにしてきた謎やらプレシアの過去を改変しまくった話しの都合のしわ寄せがもろに終盤と俺に降りかかってんじゃん。ぱっつぁんたちはちょくちょく回想に口挟んでたのに、俺だけハブよ? 酷くない? リリカルなのはの主人公のなのはは良いとして、銀魂の主人公の俺はどうなの? しかもこの小説の列記とした主人公の一人よ? なら俺をあんまり出さないってのはぶっちゃけどうなん? あと、フェイトの過去回想言う割にプレシアの話しに比重を置き過ぎじゃない? もうちょっとコンパクトにまとめられなかったの? まだ無印終わらないの?」
「うむ……それは確かにな……」
桂は残念そうに相槌を打つ。
「いや、お前らホントなんの話してんだよ! 今の話しが一番無駄じゃねェか!」
とアルフは我慢できずに声を上げてツッコミ入れる。
やがて銀時は溜めた息を吐き、頭を掻きながら言葉を漏らす。
「まァ……おおよそはわかったってところだな。どこぞの金髪がどんだけ無理してたのかも含めて……」
平然とした顔の銀時。だが、膝に乗せた拳にはささやかながら強い力が籠っていた。
「銀時……」
声を漏らすアルフは、銀時の発する微細な感情をどことなくだが感じ取ることができた。いつもは真剣みや感情の起伏が読みづらい天パから感じられる、怒りにも、やるせなさにも似た確かな感情が。
すると、
「――坂田銀時さん」
リニスは銀髪の侍の名を呼ぶ。
その場にいるアルフ、桂、銀時の視線が山猫の使い魔の元へと向かう。リニスは表情を引き締め、口を開く。
「全ての事情を知ってもらった上で、あらためてお願いします。フェイト、プレシア、アリシアを助ける為に――あなたの力を貸してください」
そこまで言って、深々と頭を下げるリニス。
やがてアルフと桂の視線が自然と、銀時へと注がれた。
リニスの懇願を受けた銀時は深く息を吐き、ささやかに開けた自身の手の平へと視線を向ける。
「……こんな、ただの鉄の棒っきれを持っただけで血反吐出してぶっ倒れた男の力をか?」
「はい」
頭を下げ続けながらリニスはハッキリと返事をし、銀時は更に言葉を続ける。
「ビームが撃てるわけでもねェし、電気や炎が作れるワケでもねェ。まして空の一つも飛べやしねェ。なのに、こんなただの銀髪におめェは頼むと? 魔法が使えるなのはやそのダチたちや、クロノたち管理局の連中の方が頼りになると思わねェのか?」
「無論、彼らのご助力も必要です。ですが、私にはあなたの力も必要だと思っているんです」
リニスは頭を下げたまま毅然とした態度を崩さずに頼み込むが、
「俺はフェイトを助けられるほど大層な
きっぱり言い続ける銀時。少し声音を小さくさせながら彼は語る。
「だが、俺よりずっと歳が下のガキ共は違う。ビル粉砕できるくらいのビームが打てたり、炎やら氷やらを出したり操れたり、パッとしないチビ執務官だってバズーカ並みの威力の弾を何発も打てる。俺の周りにいる魔法使い共は、どいつもこいつも度肝抜くような芸当しっぱなしだ。しかも、人を殺さずに無力化できるとくらァ。だが、俺はどうだ?」
銀時は自嘲気味に口元を釣り上げた。
「ただ木とか鉄の塊を振り回すだけしか能のねェ、侍だ。できることと言えば、棒っきれ振りまして人様ぶん殴るだけ。相手を殺さないようにするなんて加減を常にできるワケでもねェ。そんな侍が、こんな派手派手の少年マンガ顔向けの世界で、なにもできることはないって、普通は考えねェのか?」
「……そうだね。あんたの言う通りかもね」
と言ったのは、視線を下に落とているアルフ。使い魔の言葉に、銀時はやっぱりな、と言いたげな顔になる。
使い魔はやれやれといった表情で話し出す。
「あたしだって最初の時は、こいつ使えんの? とか、なんで魔法を使えないただのモジャモジャ頭と一緒に行動しなきゃならない? とか色々内心文句垂れた時期もあったよ」
「あらためて言われると凹むなおい……」
と銀時は呟くが、言葉ほど凹んだ表情はしていない。
アルフは「だけどね」と言って、さらに言葉を紡ぐ。
「魔法も使えないのに、天才魔導師と優秀な使い魔を助けてきたモジャモジャだって事もあたしは知ってる。あたしやフェイトにはできないようなバカな事を平然やっちゃうようなバカだって知ってる」
そこまで言って、アルフはニカっと笑みを浮かべる。
「――あんたは強くて面白い。このあたしが保証してやるよ」
「おまえ……」
ささやかに意外そうな表情を浮かべる銀時が呟くと、アルフは自慢げに胸を張りだす。
「だけどま、銀髪のご主人様(仮)より金髪のご主人様(真)の方がもっと強くて賢いけどね」
主思いの使い魔の言葉に銀時は「言うじゃねェか」とほくそ笑む。そしてアルフは力強い眼差しを銀髪の侍へと向けた。
「だからこそ、強い
そこまで言ったアルフは、少し悲しそうにしながらも優し気な笑みを浮かべる。
「でももし、あんたが自分を力不足だって決めちまったんなら、あたしはこれ以上はなにも言わないよ。そんなボロボロになったあんたを無理に頑張らせたくないしさ」
アルフの言葉を聞き終わった銀時は天井を見上げて、口を閉ざす。
すると桂は椅子から立ち上がり、
「……どうやら、俺は場違いのようだな」
珍しく空気を読んで医務室を出て行こうとしだすが、扉の前で立ち止まる。
「……銀時よ」
呼ばれた銀時の視線が自身に向いた瞬間、桂は振り返らないまま言葉を続ける。
「今回の一件、俺はただの部外者だ。だからどうこう言える立場でもなければ、魔法より我らの剣が役に立つなどという過信も言えはせん。だから、貴様がどんな考えを持ち、どのような決断を下そうと俺は一向に構わん。だが、これだけは言わせてもらう」
桂は少し振り向き、曇りのない眼差しで告げた。
「――俺の知っているモジャモジャは、魔法や妖刀に後れを取るほど弱い男ではないぞ」
「……たく、何様だよロン毛」
銀時は呆れた声を出し、桂はそのまま医務室を出て行く。
するとリニスは折り曲げた腰を元に戻し、意思の籠った瞳を銀時に向ける。
「大きくても小さくても、結局はただの力。ただ力をぶつけるだけでは、フェイトは助けられないと私は思います」
言葉を投げかけれた銀時が無言で視線を向けると、リニスは憂いを伺わせる表情で祈るように手を組む。
「誰かを助けたい、誰かの助けになりたい、そんな思いを持った人たち一人一人の知恵と力と意思が重なり合えば、きっと……」
憂いを帯びた瞳のリニスは、優し気な笑みを浮かべながら告げる。
「良い結末に向かうと思うんです」
フェイトの先生だった使い魔からの願いにも似た言葉。
それを受けた銀時は、ゆっくりと目を瞑る……。
本当に二年以上待てせてしまい、すみませんでした。
色々と書いた話の取捨選択をして構成をまとめているうちに、リアルで体調をまた崩してしまい、書けなくなる状態が続いてしまいました。
なんとか体調がよくなってきたので、急ピッチではありますが完成させて投稿させました。
*
第六十六話の質問コーナー:https://syosetu.org/novel/253452/76.html