魔法少女リリカルなのは×銀魂~侍と魔法少女~   作:黒龍

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第七十一話:機械との戦い

 森の結界内部。

 

「――ッ!!」

 

 眼光を鋭くさせ、フェイトへ肉薄する銀時。彼は下から上へと木刀を振り上げ、少女を操るデバイスを弾き飛ばそうとする。だが、敵は右手を体の後ろに隠し、体ごと横に飛ぶ。

 木刀の斬撃はあっさりと躱され、切っ先は宙を切る。

 

 するとすぐさまデバイスが行動。フェイトの空いた左手を動かし、掌を銀時へと向けた。

 魔法陣が展開されたのを見て、銀時は咄嗟に魔力弾が発射されると判断。

 だが、銀時は体を動かさず、少しだけ頭を後ろに逸らして魔力弾を回避。金色の弾が少しだけ銀色の前髪を掠める。

 

 敵に再び隙が出来た瞬間、右足を軸に体を一回転させ、フェイトの右側に回り込む。

 回転の勢いを利用して木刀を振るう――狙いは、右腕。

 

 今度は刀ではなく、刀を持つ手に狙いを定めたのだ。

 下手したら骨を折るかもしれないが、この際仕方ない。

 

 至近距離でのギリギリの駆け引きの中、銀時の刃はガキン! とぶち当たる――〝刀の刃〟に。

 

 それもそのはず。デバイスもまた咄嗟に判断を切り替えて、魔力弾を発射する構えから、刃で迎え撃つ態勢にシフトしたのだ。

 

 木の刃と鉄の刃がぶつかり合い、鍔迫り合いとなってしまう。

 

「ぐッ!」

 

 ――なんてバカ力だ! 神楽相手にしてるみたいだぞこりゃ!

 

 大人と子供の体格差。無論、有利なのは上から力を入れてるはずの銀時。上から押さえつけるような体制のはずなのに、押し切れない。

 フェイトの体は魔力による強化でも行っているのか、とても子供とは思えないほどの圧力を発揮していた。

 

 スマートなフェイトの戦術とは対照的な、乱暴極まる魔力による暴力。

 それが今まさに、銀時を退けんとする。

 

 銀時は木刀でガードしながら必死に足に踏ん張りを入れるが、少しだけ足が後ろへと下がってしまう。

 更には洞爺湖ではないただの木刀の為もあって、木刀の刀身には切り込みが徐々入っていく。

 

「ストラグルバインド!!」

「チェーンバインド!!」

 

 するとユーノとアルフが魔法陣を展開し、緑色に光るロープとオレンジ色の鎖を放つ。

 攻撃を行っていたフェイトの体を縛り上げる事に成功――だが、それは一瞬の出来事となってしまう。

 

「無駄」

 

 とフェイトの口が呟くと同時に、二人が掛けたバインドがまるでガラスのように砕け散ってしまう。

 

「くそッ! デバイスには触れてないのに!」

 

 まったくバインドが効かない事にアルフは舌打ちし、ユーノは汗を流す。

 

「正直信じられないけど、バインドが掛けられると同時に超高速で演算解析して解いてるのかもしれない!! インテリジェントデバイスでもありえない速度だ!!」

 

 ユーノ仮説を聞いて魔法を使える者たちにレイジングハートからの念話が飛んでくる。

 

【もしくは肉体に触れた魔法は刃でなくとも吸収できるのかもしれません。どちらにせよ、我々のバインドが効かない事実は変わりませんが】

【でも、一瞬だけ動きが止められるならまったく効果がないワケじゃないよ!】

 

 ユーノとアルフの視線が、上空で戦闘の様子を伺っている白い魔導師へと向く。

 

【そうだね! それにあたしらに出来ることはまだまだいっぱいある!!】

 

 呼応するように飛んできたアルフの念話に、なのはが、はい! と力強く頷く。

 そしてユーノも念話を返しながら表情を引き締める。

 

【とにかく、今は近接ができる銀時さんのサポートを優先して動こう!!】

 

 銀時と力比べを行っているデバイスは少し関心したような声を漏らす。

 

「ギリギリまで魔力で強化していながらも押し込まれない腕力と脚力。あなた、人間ですか?」

 

 フェイトの頭が小首を傾げると、銀時は汗を流しながらニヤリと口元吊り上げる。

 

「なんだ? 俺がゴリラにでも見えんのか? おいおい、そう言うのはお妙や近藤(ゴリラ)の立ち位置だろ」

「口が減りませんね」

「だったら黙らせてみやがれ、ポンコツ」

「では……」

 

 そう言うと同時にデバイスがフェイトの頭上にいくつも魔力弾を生成。

 すぐにそれに気づいたなのはが魔力弾を展開して放つ。

 

「シュート!」

 

 なのはが放った誘導魔力弾がフェイトの頭上に展開された魔力弾全てに命中。それによって、爆煙が発生してしまう。

 

「ッ!」

 

 チャンスと見てか、銀時は一歩ほど距離を取った。

 鍔迫り合いから抜け出した彼は、木刀を振り絞り、横薙ぎに振るう。木の刀身がガキンッ! と鉄の刀身へと叩きつけられ、刀はフェイトの手から吹き飛ばされてしまう。

 そのまま草むらへと刀型のデバイスは落ちた瞬間を見て、ユーノとアルフは拳を握りしめ笑みを浮かべる。

 

「やった! これで――!」

 

 だが、ユーノが言い切る前に、爆煙の中ではフェイトが銀時へと急接近し、彼の胸に掌をかざす。

 

「ッ!」

 

 銀時が咄嗟に後ろに下がろうするが、

 

「――発射」

 

 一瞬遅く、小さな呟きと共にフェイトの手から電気を帯びた金色の魔力弾が放たれる。

 

「がァッ!!」

 

 銀時の胸に魔力弾が一発命中し、彼の体はそのまま爆煙を突き抜けて後ろへと吹き飛ばされる。胸から煙が立ち上り、服が燃え、皮膚が焼け焦げると言うなんとも無残な状態となってしまう。

 

「銀時さん!」

「銀時!」

 

 なのはとアルフは傷を負った銀時を見て心配そうに声を上げ、ユーノは驚き目を見開く。

 

「そんな!? デバイスは手から離れたのに!」

 

 フェイトの体はゆっくりと前へと歩きながら煙を抜け、彼女が腕を横に伸ばすと、魔法陣を作製。そして、陣から出た金色の糸を使って、草むらに落ちたデバイスの柄に巻き付け、自身の元に引き寄せる。

 

「くそッ! 手元にあるなし関係ないのかよ!!」

 

 アルフは歯噛みしながら、胸を抑えて顔を歪ませる銀時へと近づき、回復魔法を使う。すると銀時は上半身を持ち上げ、自身を回復させようとするアルフの腕を掴む。

 

「……おい、あんま魔法使って魔力ってのを消費すんな。今のオメェはあんまり長期戦できねェだろ?」

「でもあんた酷い怪我じゃないか!」

 

 悲痛に言うアルフの言葉通り、魔法を受けた銀時の胸は血が流れていた。だが、彼は痛みも構わず立ち上がる。

 

「大丈夫だ。お前は知んねェけど、もっとひでェ怪我なんざしょっちゅうしてた事あんだからよ。それに……」

 

 銀時の目がスッと細くなると同時に、フェイトの周りにはいくつも魔力弾が生成されていた。

 

「休んでる暇なさそうだ」

 

 バンバンバン! と一気に数発の魔力弾の嵐が降り注ぐの見て、銀時は声を張り上げる。

 

「お前らは上に逃げろッ!!」

 

 咄嗟の言葉を受けてアルフとユーノは障壁を張りながら上空へと退避。

 

 銀時は木刀を振って魔力弾を一発弾く――が、木刀は砕けてしまう。

 防ぐ手段がなくなろうと、負けじと最小限の動きで体を捻り、魔力弾を躱す。そして隙ができればすぐさま横へと前転して一旦逃げ、素早い動きで木を背にし、敵の動きを探る。

 

 デバイスは魔力弾を自分の周りに生成しながら歩き始めた。

 

 チラリとその無機質な目を上空にいるなのは、アルフ、ユーノへ向けた。すると、牽制目的であろう魔力弾を何発か発射するが、三人は分散し電気を帯びた弾を避ける。

 デバイスは首を横に振って上空に分散した三人を探るが、立ち並ぶビルの影や森の中などになのはたちは隠れてしまっているので、見つけられそうにない。

 

「……生体感知のジャミング?」

 

 敵が口を開いて呟いた言葉。どうやら、結界の効果をようやく察知したらしい。

 

 結界内では、銀時たちの位置を把握させない為のジャマーを発生させているのだ。

 ここまで来て分かったことだが、魔力吸収やバインド解除とは違い、生体感知の阻害は有効らしい。

 

 状況が膠着し始め、森に静寂が訪れる――。

 

 銀時は木の陰に隠れて様子を伺い続けるが、

 

「ッ!」

 

 胸の痛みが襲って声を漏らす。

 銀時を漏らした小さな声をデバイスは聞き漏らさない。ロボットのように顔をグイっと向け、音のした方向へと、自身の周りに展開した魔力弾を何発も放つ。

 

 木が何本も倒れ、爆煙が上がる。だが、銀髪の侍の悲鳴が聞こえない。

 

 デバイスはじっくり様子を伺っていると、フェイトの右手――刀型のデバイスに向かって、銀時が〝新たな木刀〟を振り絞りながら突っ込んできていた。

 デバイスは即座に反応し、銀時に向かって左手を(かざ)すと同時に防御魔法を使ってシールドを展開し、向かってくる木刀の刀身を防ぐ。

 あまりにもシールドが堅かったのか、ヒビを入らせながらも銀時の持っていた左手の木刀は折れてしまう――だから銀時は〝右手の木刀〟を深く握りしめた。

 

「でやりゃァァァァ!!」

 

 気合一閃――。

 

 銀時はより力を込めて木刀を振るい、たったの二太刀で強力なシールドをガラスのように砕いてしまう。だが、銀時の右手に持った二本目の木刀もあまりの衝撃によって折れてしまう。

 

「チッ!」

 

 銀時は舌打ちしながらも退こうとせず、刀型のデバイスの鍔に向かって蹴りを炸裂させた。

 そのままフェイトの手からデバイスは離れ、空中を回転しながら近くの木の高部へと突き刺さる。

 

 しかし、フェイトの手から離れようとも少女は元に戻るはずもなく、デバイスも慌てた様子すらない。

 

 デバイスはフェイトの体を操ったまま武器も持たない無防備な銀時に向かって掌の前に出し、魔力弾を生成し放とうとするが、銀時は息を大きく吸い込む。

 

「なのはァァァ!! 今だァァァァ!!」

 

 彼が大声を上げると共に、後退してすぐに離脱。

 デバイスはすぐさま銀時の意図に気付いて上を見上げれば、『カノンモード』へと変形させたレイジングハートを構え、砲身に魔力を充填させている少女の姿が。

 

「ッ……」

「ディバイン――」

 

 既にフェイトへと照準を合わしているなのは。杖の柄に備え付けれたグリップを握り、トリガーを引く。

 

「バスタァァァァァ――――ッ!!」

 

 気合の咆哮と共にレイジングハートの砲身から発射される桃色の魔力の本流。それはフェイトの体ごと包み込まんとするほどの威力と勢いを誇り、デバイスは咄嗟に右手を掲げ、防御魔法を展開しだす。

 

 しかし、なのはの砲撃の威力があまりにも高過ぎるらしく、フェイトの足は地面を削りながら後退していた。更には黒衣のバリアジャケットと手袋は燃えるように破損していき、バリアにもヒビが徐々に広がっていく。

 

 このまま押し切れるか? と、様子を覗く銀時は考えた。

 

 だが、デバイスはすぐに足腰に力を入れると共に、左の掌を前に(かざ)して新たに強固で大きい防御シールドを展開。

 やがてなのはの砲撃によって一つ目の防御魔法は壊れてしまうが、次の防御魔法によって完全に桃色の魔力砲は防がれてしまった。

 

 デバイスはなのはの攻撃を破れば、すぐに地上にいる銀時を探す。だが、その姿はどこにもなく、さきほどまで上空で自分に攻撃を加えていた砲撃魔導師の姿もどこにもいなくなっていた。

 

「…………」

 

 敵が周りにいない事を確認したデバイスはフェイトの手を見ると、彼女の黒い手袋はほとんど破壊されてなくなっている。

 

 一応手は動くらしく、握っては開いてを繰り返して問題がないと判断したようだ。

 続いて今度は、フェイトの体を見回す。薄い布地のバリアジャケットは体から足にかけて、ところどころが燃え焦げたように破損し、少女の珠の肌が見え隠れしている。

 

 デバイスはフェイトの首を少し横に傾けて、一言。

 

「少々魔力を使い過ぎました……」

 

 やがてデバイスは木の幹に刺さった、〝自身〟へと目を向けるのだった。

 

 

 銀時、なのは、ユーノ、は敵をすぐには倒しきれないと判断してか、ビルの陰に隠れて話し合っていた。

 ちなみに、ユーノは銀時の胸の怪我の治療をし、アルフは上空から敵の攻撃がないか見張っている。

 

 銀時はユーノの治療を受けながらなのはにジト目向ける。

 

「しっかしなのは、お前のビームホントえげつねェな。アレ、フェイトだったら涙目だったんじゃね?」

「うッ!」

 

 なのははバツが悪そうに顔を背けてしまう。どうやら反応を見る限り、彼女自身も自分の攻撃がいかに半端ない威力を持っているか自覚があるのだろう。

 銀時は壁に後頭部を付けながら呆れたような声を出す。

 

「たく、最近の魔法少女はマジで物騒だな。波動砲撃ったり、千鳥使ったり、俺らよりジャンプしてんじゃん。全然魔法少女じゃねェじゃん。魔砲少女じゃん」

 

 銀時の言葉を聞いてなのははずーんと隅っこで膝を抱えて落ち込み、いじける。

 

「ちょっと銀時さん!! 今戦闘中なんですからなのはのモチベーションを下げないでください!!」

 

 とユーノがツッコミ入れる。

 

「まッ、だけどよ」

 

 銀時はなのはの頭に手を置き、少女は反応して後ろを振り向く。

 

「オメェのその目玉飛び出るぐれェ強力な砲撃と――修学旅行の土産屋並みにあったオメェん家の木刀のお陰で無謀な闘いってワケじゃなさそうだしな」

 

 銀時は近くに置いてある長尺のバッグたちをバンバンと叩く。

 

「銀時さん……」

 

 なのはは銀時の言葉を受けて嬉しそうに目を潤ませる。少女はきっと、自分の能力が役に立つと言う実感に喜びを感じているのだろう。

 

「終わりました」

 

 ユーノは治癒魔法を解くと銀時は立ち上がって腕を回す。

 

「痛みは大分引いたが、まだちっと(いて)ェな」

「傷は塞げましたし血も出ていませんが、悪魔で応急処置ですので気を付けて下さい」

「わーったよ」

 

 銀時はぶっきらぼうに手を振った後、バッグから新たに二本の木刀を腰のベルトに差し、更には両手に木刀を持つ。

 

「正直、こっちの残弾が尽きる前にあいつを倒せりゃいいんだが」

 

 木刀を持った右手の人差し指で頭をポリポリ掻きながら銀時はめんどくさそうに告げる。

 フェイトのような高い魔力量で攻撃してくる敵との戦い。現状は綱渡りだが、なんとか戦えるという実感は得られた。だが結局、得物が普通の木刀だけに心許ないのも事実だ。

 

 せめて洞爺湖があれば継続的な闘いも望めるのだが、ないモノは仕方ない。

 ホントにアホな事して壊したな、と後悔の念が生まれてしまう。

 

 すぐに武器が壊れてしまうので、ヒットアンドアウェイに近い戦法を強いられる事になる。こんなことなら、ヅラ辺りにでも刀を要求すれば良かったと、今更ながら考える銀時。

 いや、洞爺湖はともかく、並みの刀ではやっぱり心許ない。フェイトみたいな強力な魔導師の魔法相手だと耐久力がどれだけ持つかわからないな、と考えを改める。

 

 ビルの陰から敵の様子を伺い始める銀時に、ユーノが真剣な表情で告げる。

 

「たぶん、敵の方が先にスタナミ切れを起こすと思います」

「そうなのか?」

 

 銀時はユーノへと顔を向けて片眉を上げ、分析とサポート魔法が得意な魔導師は「ええ」と頷く。

 

「いくら宿主のフェイトの魔力量が尋常でない上に魔力吸収があると言っても、あんなに乱暴な魔力運用をしていたら、吸収量よりも消費量が上回って、すぐに魔力不足を起こすはずです」

「確かに、結構後先考えないごり押し戦法だったしな」

 

 しかし、機械(からくり)の癖に随分間抜けな失態を犯すな? と銀時は顎を撫でながら考えた。だが、魔法の事についてはまったくと言っていいほど素人なのであまり深く考えてもしょうがないと結論付け、別の話題を振る。

 

「にしても、やっぱり予想通り刀だけでしか魔力吸収ってのが出来ねェみてェだな」

「はい。私の攻撃も防いでましたし」

 

 頷くなのは。

 ユーノは顎を親指と人差し指で挟んで眉間に皺を寄せる。

 

「っとなると、やっぱり僕やアルフのバインドを無効化してたのも魔力吸収ではなく超高速の解析による分解、もしくは解析からの破壊と考えてよさそうですね」

 

 銀時は「あッ、ごめん」と言って、待ったをかける。

 

「俺、そっちのマジカル的な会話には入れないし、理解できないからもうっちょっと嚙み砕いて教えてくんない?」

 

 ユーノは理解力に乏しい侍の言葉に苦笑し、改めて解説する。

 

「つまり、僕たち魔導師のバインドは効きますけど、一瞬動きを止める程度にしか役に立たないと考えてください」

「オーケー」

 

 銀時は右手を軽く上げて返事をした後、疲れようにため息を吐く。

 

「魔法がフェイトの体に一応効くってんなら、やっぱ『アレ』でいくしかねェか……?」

「ぎ、銀時さん! い、いくらなんでも『あの作戦』は危険すぎますよ!!」

 

 となのはは汗を流しながら慌てた声を出し、ユーノも真剣な表情で首を横に振る。

 

「確かに、『アレ』をやるのは僕も賛成できません。やはり、敵の魔力切れが起こるまで地道に戦うのが確実だと思います」

 

 二人の言葉を受けた銀時は、

 

(まァ、俺もさすがにアレは本当の本当にやりたくないけど)

 

 と心の中で呟いた後、幼いながらも精神も考え方も大人びた二人の顔を見つめ、口を開く。

 

「なのは、ユーノ――」

「「ッ!!」」

 

 言葉を言い切る前に、二人はハッと何かが聞こえたような表情となり、銀時は小首を傾げた。

 

「ん? お前らどうした?」

「そ、それがアルフさんから念話が飛んで来て……」

 

 となのはが説明。次にユーノがアルフから念話に耳を傾けつつ、真剣な表情を浮かべながら答える。

 

「なんだか、大分慌ててるんです」

「なに?」

 

 銀時も事態が急変した事を察して口を閉じた。

 銀時にはアルフから届いた念話が聞こえないが、少年少女の様子を見て何かを察し、黙って様子を伺う。

 やがて、徐々になのはとユーノは信じられないとばかりに目を見開き、驚きの表情を浮かべる。

 

 さすがに事態の全容が気になった銀時は低い声で問いかける。

 

「おい、なにがあった」

「そ、それが……」

 

 なのはは動揺し、瞳を揺らしながら口を開く。

 

「て、敵が……ジュエルシードを使って……『魔力の補充を』……」

「なにッ!?」

 

 まさかの情報にさすがの銀時も驚愕の表情を浮かべ、汗を流しながら声を上げる。

 

「フェイ――いや、クソデバイスは今どこにいんだ!」

「上空です」

 

 ユーノの言葉を受けて銀時は慌てながらも慎重にビルの陰から空を見渡す。

 

 

 

「たく……冗談もほどほどにしろっての……」

 

 アルフは汗を流しながら、主人の体を今なお使っている敵を睨む。

 

「…………」

 

 フェイト――いや、デバイスは少女の両肩の上に二つのジュエルシードを浮かべ、その青白い魔力を、自身(デバイス)へと流し込む。

 

 フェイトのバリアジェケットも破損した状態から、無傷な物へと戻っていた。

 そしてデバイスは自身の周り、そして半径十数メートルの範囲に雷を帯電させた金色魔力弾――フォトンスフィアを幅広く展開。

 まるで空を覆わんとするほどの大量のスフィアを生成しながら、光を宿さない赤い目が光る。

 

「――さて、まずは……」

 

 フェイトの手が振り下ろされる――同時に、スフィアから魔力の弾丸がマシンガンのように発射され、雨あられとビルに向かって光球が降り注ぐのだった。

 




第七十一話の質問コーナー:https://syosetu.org/novel/253452/81.html
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