魔法少女リリカルなのは×銀魂~侍と魔法少女~   作:黒龍

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第七十二話:切り札

 銀時たちが隠れていたビルより少し離れた高層ビル。それがフェイト――デバイスによって放たれた雷撃の弾丸の雨を受けてあっという間に破壊され、倒壊する。

 

 その光景をビルの影から隠れて見ていた銀時は汗をダラダラ流しながら唖然とする。

 

「おいおいおいおい! なんだアレ!? あんなんアリか!?」

 

 銀時同様に、ユーノも驚きの声を上げる。

 

「し、信じられない! まさか不安定なジュエルシードの魔力を吸収して自身の魔力に変換しつつ運用するなんて、力技とかそんなレベルじゃない!」

「だッッから! そう言う専門的な言い回しで解説すんの止めろ! 理解できないんだよこっちは!!」

「つッッまり超ヤバいって事です!!」

「よッッくわかりました!!」

 

 銀時とユーノが大声で会話の押収繰り広げるので、なのはは慌てた声を出す。

 

「ぎ、銀時さんもユーノくんもこ、声が大きいから!! し、静かにしないと敵に見つかっちゃう!!」

「いいやお前の声も大きいから!! そして俺の声もでけェ!!」

 

 銀時が頭抱えた直後、ズドドドドッ!! と彼らが隠れていたビルから爆破音と破壊音が聞こえ、どんどん壁は砕け、崩壊していく。

 しかし、倒壊し土煙を上げるビル周辺には誰もおらず。

 

「微かに声が聞こえたと思ったのですが……」

 

 電気をまとったフォトンスフィアを百近く展開したデバイスは、フェイトの目を使いながら下を見回す。

 

 一方、銀時、ユーノ、なのはは「ハァ、ハァ、ハァ!」と息を切らしながら近くの木の陰に隠れていた。

 銀時は木を背にしながら、チラリと上空で自分たちを探している敵を睨む。

 

「……おいおい、あのー……なんだ? 空にごまんとあるエレキボール。ピカチューかあいつ?」

 

 「電気タイプだしな」と呟く銀時の横で、視線を別の方向へ向けていたなのはが真剣な表情で告げる。

 

「……今、アルフさんに確認しました。アレはフェイトちゃんの必殺技『フォトンランサー・ファランクスシフト』って名前の技のようです」

 

 技の説明を受けて、銀時は眉間に皺を寄せる。

 

「意味はわかんねェけど、やたら強そうなのはわかった。つうか、威力のスケールがドラゴンボール並みだったぞさっきの。お前らの技っていちいち破壊力も派手さも下手なジャンプマンガよりすげェぞ。なに? 魔法少女は全ての技が必殺なの?」

 

 銀時がぶつぶつ文句を垂れ流してる中、フェイト――ではなく、デバイスは次の行動に移りだす。

 

 掌を上空へと掲げ、一気に十数個のフォトンスフィアを収束させ一つに纏め上げた。それは巨大な雷の槍へと変化。

 そして出来た上がった雷槍を、槍投げようにビルに向かって放つ。やがて(いかづち)の槍はビルに直撃し、そのままビルとその周辺に放電と爆破が一気に起こり、全てを破壊する。

 

 最早、ビルが倒れることすら許さない一撃を見た銀時は目をパチクリさせながら口を開く。

 

「……アレは?」

 

 なのはが再び真剣な声で告げる。

 

「……今、アルフさんに確認しました。フェイトちゃんのもう一つの必殺技の『スパークエンド』って言う技らしいです。威力は見ての通りだと」

「おいマジかよ。やっぱ前から思ってたけど、お前にしろフェイトにしろ将来オメーらの彼氏になる奴マジ勇者だな。そんな奴いたら、俺マジでリスペクトだわ」

「銀時さん酷いの!」

 

 なのはは涙目になってしまう。

 

「いや、そんな呑気な事言ってる場合じゃありません!!」

 

 とユーノが声を上げて、慌てて説明をしだす。

 

「正直信じられませんが敵がジュエルシードで魔力供給ができる以上、スタナミ切れを狙うという戦法が使えません!」

「なのはがジュエルシード使ってスーパーなのはになるって手は?」

 

 と銀時が無茶苦茶な提案。

 

「できるワケないでしょそんな事!! 奇跡的に出来たとしても結局遠距離型の魔力攻撃しかできないなのはじゃ太刀打ちできないでしょうが!!」

「はうッ!」

 

 戦力外通告のような言葉を言われ、なのはは胸に矢が刺さったような感覚を受けてしまう。

 ユーノはそれに気づき慌てて「ご、ごめん。そういうつもりじゃ!!」と弁解。

 

 銀時は「しょうがねェか」と頭をボリボリ掻きながらため息を吐いて、決意が籠った眼差しをなのはとユーノに向ける。

 

「お前ら、やっぱ『あの作戦』で早々に決着付けた方がよさそうだ」

「銀時さんでも――!」

 

 思わず声を上げようとするなのは。だが、銀時の譲らないという意思を垣間見せる瞳を見たことで、押し黙ってしまう。

 

 なのはは瞳を右往左往させながら、ユーノへと助けを求めるように視線を向けた。

 視線を受けたユーノは諦めたようにため息を吐き、不安そうに自分を見る白い少女へと告げる。

 

「なのは、仕方ない。銀時さんの作戦で行こう」

「ユーノくん!?」

「現状、ジュエルシードが使われてる今の状態じゃ長期戦は僕たちこそスタナミ切れで倒され――」

 

 そこで言葉を途切れさせ、ユーノは頭を振る。

 

「いや、そもそもこのままだと見つかってすぐに各個撃破されて早々に決着が付いてしまう可能性がある」

 

 ロストロギア――その中でも魔力という点だけならいくつもの次元世界を滅ぼせる力の一端を宿しているジュエルシード。それを敵は最大で十三個使ってくる可能性があるのだ。

 もうスタナミ切れだとか悠長な事を言ってる状況ではなくなっている。こうやって話し合っている間も敵は有り余る魔力を見せつけるかの如く、目につくビルを片っ端から破壊していく。

 

 ちなみに銀時たちは知らないが、アルフも直感的にビル周辺は危険と判断して森に隠れているのだ。

 

 時間が経過する毎に、攻撃の激しさが段々増していた。敵の心中はわからないが、痺れを切らしているのかもしれない。

 

 破壊音が強烈になっていく中、ユーノは汗を流す。

 

「それにこのまま隠れてるワケにもいかない。奴が僕たちを倒すことを止めて、逃げ始めでもしたら、今度こそ本当にフェイトを救うチャンスは二度と来ないかもしれない」

「…………」

 

 早々に何か攻勢に出なければ、自分たちの最大の目的は達成できないどころか、最悪の結末へと繋がってしまう。

 ユーノはなのはの肩に手を置き、しっかり少女の目を見つめる。

 

「だからやろう、なのは。銀時さんを信じて、早期決着を狙うしかない」

「ガキのオメーには酷な話だが、腹括ってくれねェか。成功しようがしまいが、全部俺が決めた事だ」

 

 と銀時は言った後、なのはの頭に手を置く。

 なのはが反射的に銀時へと顔を向ければ、彼はしゃがんで少女と同じ目線となり、その気だるげな眼差しから芯の通った光を向ける。

 

「――オメェはただ真っ直ぐに撃て」

 

 言葉を受けた少女は少し間、目を瞑って考えをまとめ、目を開き、しっかり頷く。

 

 白い少女の答えを聞いて銀時は「よし」と言ってなのはの頭をぽんぽんと叩き、立ち上がりながらニヤリと笑みを浮かべるのだった。

 

 

 いくばくかの時間が経つと、森から桃色の閃光が上空へと飛び出す。

 

「ん?」

 

 無論、デバイスは反応を示し、フェイトの目を使って出て来た対象を確認する。

 

 現れた魔導師――なのははフェイトと並行した位置にまで浮遊。そして敵と相対すれば、杖の柄を持つ両手に自然と力が入りだす。

 少女の愛機は先端に付いた赤い宝石を光らせた。

 

《怖いですか?》

 

 なのはは「うん」と頷くが、その顔はとても怯えてる少女のモノとは思えないほど自信と度胸に満ちている。

 

「確かに怖いけど、私はアルフやユーノくんや銀時さ――」

 

 そこまで言ってなのはは一旦言葉を途切れさせ、薄く笑みを浮かべる。

 

「〝銀さん〟を信じてるから。それに……」

 

 なのはは自身の愛機――レイジングハートに優し気な笑顔を向けた。

 

「自慢の相棒がいれば、どんな困難も超えられるって信じてる」

《なら、彼女を助ける為に我々は持てる力すべてを出しましょう》

 

 愛機の答えを聞いてなのはは力強く頷き、レイジングハートの先端をフェイトへと向けた。そして、形態を砲撃用へと変化させる。

 

「ちょっと無理させちゃうけどかもしれないけど、頑張るよ! レイジングハート!」

《All right master!》

 

 自身の宿主の体に音叉状の先端が向けられると、刀は目を細めだす。

 

「無駄な事を」

 

 もうなのはの攻撃魔法など吸収する必要すらないと言わんばかりに、デバイスは白い魔導師に向かってフェイトの腕を伸ばし、掌を向ける。

 

「発射」

 

 そのままなのはに向かって雷撃の雨が向かっていく。

 

「今だッ!」

 

 だがしかし、なのはは咄嗟に飛行して攻撃を回避。ギリギリのところで雷撃の雨を避ける。

 そのまま、射撃に追いつかれまいと高速で移動を続けた。

 

「読んでますよ」

 

 デバイスが呟いた瞬間、

 

「ッ!?」

 

 なのはの両足は四角い金色のバインドによって拘束されてしまう――。

 間違いなく、デバイスが仕掛けた設置型(トラップ)のバインドだ。

 

 無論、作り出された隙を敵が見逃すはずがない。なのはに雷の弾丸は降り注ぎ、少女は爆発と爆煙に包まれる。

 

 雷撃のマシンガンが止めば、デバイスはフェイトの掌を上空へと掲げ、残った十数のスフィアを集め、巨大な雷槍を完成させた。そして、槍投げのように雷槍をなのはへと投げつける。

 

 雷槍が何かに命中したと同時に爆発し、周辺を放電で包み込む。

 

「一人撃破」

 

 いくら防御魔法とバリアジャケットの強度が堅固だとしてもただではすまない、そんな一言を敵がフェイトの口から発した時だった。

 

「うぉぉぉぉおおおおおお!! 天パロケットォォォオオオオオオオオオオ!!」

「ッ!」

 

 突如として真後ろから聞こえてきた張り裂けんばかりの大声にデバイスはハッとした。

 フェイトの顔を後ろへと向ければ、数メートル後ろにはアルフが背負い投げの要領でありったけの力を使い銀時を投げる姿が。

 

「避ければいいだけの――」

 

 と言おうとした直後、フェイトの体に下から緑色の鎖が巻き付く。

 

「!」

 

 デバイスが反射的に下に目を向ければ、右の掌を向けながら魔法陣を展開しバインドを掛けているユーノ姿が。

 何度も意識を逸らすかのような連鎖的な不意打ち――数瞬の隙ができてしまった瞬間、

 

「がッ!」

 

 背中から襲ってきた衝撃と共に声を漏らすデバイス。同時に、フェイトの体ががっちりと男の腕によって捕まえられ、憎たらしい声が耳に届く。

 

「つーかーまーえーた!」

 

 一瞬で背中に視線を向ければ、声以上に憎たらしいニヤ面を見せる銀髪天然パーマの顔がフェイトの瞳に映る。

 そのままフェイトの体がふらつき落ちそうになるが、デバイスはすぐさま体制を立て直して地面に落ちないように浮力を上げる。

 

 例え、成人男性が一人、野球ボールのように飛んでこようが体が無事ならありあまる魔力で浮力を維持する事など容易いのだろう。

 

 だが、それが命取り。

 

 銀時は敵が態勢を整えている間にすぐさまダンゴムシのように体を丸める。

 そして、自身の両足をカニのハサミのように曲げて、少女の両足を挟み込んで拘束。更に胴に回していた両腕を動かし、右腕を使ってフェイトの両腕を締め付け、左腕を頭に回して抑え付け、全身をがっちりホールド。

 

「は~い、人間バインドかんせ~い」

 

 そして銀時は抑揚の薄い声でデバイスではなく、黒衣の少女へと告げる。

 

「わりィなフェイト。好きでもねェムサイ男に抱きしめられて嫌だろうが、ちょっとの間我慢してくれ」

 

 デバイスはフェイトの目をジロリと動かし、少女の体を抑え込む銀時へと向ける。

 

「ならば――」

 

 敵は彼の思い通りにさせないとばかりに腕や足に力を籠め始める。

 魔力で強化された凄まじい抵抗力に銀時は「ぐッ!」と声を漏らし汗を流すが、余裕の笑みを浮かべる。

 

「どうだ? 魔法の拘束は簡単に外せても、人間様の拘束は外せないだろ?」

 

 全身の筋肉全てを今の一瞬に使うかの如く。

 凄まじい力を発揮する銀時に対して、拘束解除を諦めたデバイス。

 

「ですが、早計ですね。動く事は可能――」

 

 ならばと、銀時に拘束されながら浮遊移動しようとするが――まるで動かない。

 

「!?」

 

 ただ体を抑え付けられてるはずなのに、魔力浮遊による移動ができない事にデバイスが驚きの表情を見せた。

 不思議を解消するのように銀時の体に視線を向ければ、

 

「バイン……ド?」

 

 足、腕、胴に、緑色のリング状の輪っかが銀髪の体のあちこちに巻き付いている。

 まさかの光景に、デバイスの口調は若干の唖然を含んだもとなっていた。

 

 思考の処理を遅らせるデバイスの後ろ、いや、銀時の後ろでは――ユーノが銀髪の体に必死にバインドを何重にも掛けている。

 

 戸惑っているであろうデバイスの反応を見て、銀時は嫌らしい笑みを浮かべる。

 

「どうやら、自分(テメー)に引っ付いたバインドってのは簡単に剝がせても、人様に付いたモンは剥がせないみてェだな」

 

 人間バインドした挙句、その特攻した人間もバインドで拘束して対象の動きを封じる。こんな拘束方法は、デバイスも予想外だったらしい。

 とはいえこれにより、肉体の動きも魔力による移動も完全に封殺した。

 

「さ~て、早々に決着といこうじゃねェか」

 

 直後、視線を天然パーマの顔へと向けていたフェイトに目に映り込む。

 自身の周辺一帯の微粒子のような光の粒が空へと舞い上がる。 

 

 魔力粒子の向かう先に目を向ければ、遥か空――太陽のように輝く桜色の光が。

 

 光を作り出す主――その白いバリアジャケットは、焦げ付き破れ、体にも多少の怪我を負いながらも、

 

《Starlight Breaker!》

 

 最強の一撃を放つ為の準備を整ていたのだ――。

 

「まさか、まだ攻撃する余力が……」

 

 高町なのはの存在を認識し、若干だがデバイスがフェイトに出させる声に動揺が見られた。

 

「ほぉー、さすがの機械(からくり)様も相当ヤバいって認識したみてェだなァ」

 

 銀時が嫌味を言ってる間に、ユーノはフェイトの周りに浮かんでいたジュエルシードを回収する。だが、デバイスはそんな事に意識を向けている余裕などないようだ。

 

 レイジングハートの砲身の先に作り出される桜色の球体は徐々にその大きさを肥大させていき、巨大なサークルが大型の球体を囲い始める。

 

 銀時は嫌味たらしく口元を吊り上げる。

 

「アレってよォ、使い切れなくなった魔力ってのを集めて放つ技らしいぜ?」

「収束……砲撃……」

 

 と呟くデバイスの言葉を聞いて、銀時はクククと黒い笑い声を漏らす。

 

「散々テメーが垂れ流したモン、そっくりそのまま利子付けて返してやるよ」

 

 

 

 確実に敵の強大な防御を砕き、意識を奪う為――限界まで十二分に散らばった魔力を収束させ続けるなのは。

 だが、魔力を収束させるコントロールは思った以上に繊細な作業だ。しかもこれを限界ギリギリまで収束させねばならないので、なのはは汗を多量に流す。

 だがなにより、今のなのはには決心を鈍らせている要因があった。

 

 ――銀さん……フェイトちゃん……!

 

 これからまったく罪のないフェイトと銀時に今の自分が撃てる最強の技を放つ事に対する躊躇い。

 いくら最初に決意を固めたと言っても、こうやって直面すると大きく罪悪感がのしかかる。

 この技が客観的に見なくてもどれだけの破壊力を持っているか周知しているだけに撃つと言う決心を鈍らされる――いくら非殺傷とは言えだ。

 このまま本当に撃っていいのか? となのはが決心が若干揺らいだ時、

 

「がァァァアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

 銀時の張り裂けんばかりの悲鳴が聞こえて来た。

 

「銀さん!?」

 

 小さいながらも銀時の悲鳴が耳に入り、なのはは心配げな声を上げる。

 なのはは巨大な魔力球によって下の様子を見る事ができないが、銀時は今、フェイトの体から発せられる電撃を受けて苦しんでいた。

 銀時の安否を心配してなのはの集中力が乱れようとした時、

 

《集中してください!》

 

 相棒の言葉によってなのははハッとし、慌てて収束砲撃のコントロールを続ける。だが同時に、悲痛な声を上げてしまう。

 

「でもレイジングハート!」

 

 こうやって銀時が苦しむ声が耳に入ってしまうと、より自身の攻撃を当てる事に対する戸惑いが大きくなる。

 だが、

 

《あなたの気持ちは理解できます》

 

 愛機は迷う主の背中を押す――。

 

《ですが、彼――坂田銀時はあなたが迷って攻撃を躊躇う事を望んでいません》

「レイジングハート……」

 

 相棒の言葉を受けてなのはは瞳を揺らし、思い出す――銀時が自身を信じて言ってくれた言葉。

 

『――オメェはただ真っ直ぐに撃て』

 

 なんの為に銀時があそこまで苦しみながらも頑張っているのか? 自分自身よく理解しているはずだ。

 なによりも皆で掴み取ったチャンスが最初で最後である事も――。

 

「いくよ……レイジングハート……」

 

 なのはは目を瞑り、息を深く吐き、より集中力を高める。

 

「――私たちの知恵と戦術、最後の切り札!」

 

 できるだけ銀時の苦しみを終らせる為に、なのはは一秒でも早く収束を終える事に力を注ぎ続ける。

 

 

 

「がァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

 電撃を浴びせられる銀時は凄まじい悲鳴を上げるが、決してフェイトの体を離そうとしない。それどころか、強固な意志の強さで四肢により力を込める。

 

 すると近くに居たアルフが右腕を思いっきり後ろに振りかぶって、

 

「いい加減にィ――!」

 

 フェイトの持つ刀型のデバイスの刀身に向かって、拳を叩きつける。

 

「諦めろってんだぁーッ!!」

 

 鉄製の手甲にぶち当たったデバイスはガキン! と言う音を鳴らしながら遥か遠くまで飛ばされてしまう。だがしかし、銀時に対する放電は決して止まない。

 そしてアルフはユーノ同様に、急いで離脱しながら銀時に声援を送る。

 

「銀時!! 後ちょっとだけ根性みせなよ!! 後でたっぷり甘いもん食わせてやるから!!」

 

 銀時は電撃を受け、バインドが壊れ初め、服の至るところ焦がしながらも、必死に力を振り絞る。

 

「つう……ことだ……! 往生しな……ポンコツクソデバイス……!」

「ならば……!」

 

 若干声音を上げたデバイスは銀時への放電を止め、右手首を動かしだす。そうすれば、いくつも防御シールドが魔力球に向かって展開させる。

 何重にも円型のシールドを展開するが、銀時はなのはが撃とうとしている切り札の威力を既に知っていた。

 

 フェイトを操るデバイスが今どれだけ強固なシールドを張れるか知らないが、なのはのこれから放つ攻撃はどんな防御も粉砕するのだ。

 もう既に撃てるであろう魔力の塊でできた巨大な球体を見て銀時はニヤリと口元を吊り上げた後、痛みなど構わず息を吸い込み一気に声を張り上げる。

 

「フェイトォーッ!! 後で好きなもんいくらでも食わしてやっから今はちょっと痛いくらい我慢しろォ!!」

 

 

 

 魔力を収束し終えたなのははレイジングハート構えなおし、魔力球の前へ発射魔法陣を展開する。

 もちろん狙いは銀時と――フェイトだ。

 

「これが私たちの、全力――全開!!」

 

 レイジングハート掲げ、なのはは声を張り上げる。

 

「スターライト――」

 

 超巨大な魔力の塊に向けてレイジングハートの切っ先を向け、

 

「ブレイカァァァァァァァ――――ッ!!」

 

 一筋の光を放つ――。

 

 そして、(せき)を切ったように球体から魔力の本流が――銀時とフェイトに向かって放たれる。

 それはまさに圧倒的量で二人を覆いつくしてあまりあるほどの一撃であり、敵が張った何重もの防御の層など、モノともしない。

 

 飴細工のように壁を破壊していく――破壊の閃光。

 

 眼前の光をまっすぐ見つめる銀時と、ありえないとばかりに瞳を見開くフェイトの体は、桜色の光に包み込まれた。

 

 なのは最強の技は、森も地面も周りのビルも破壊しつくし、巨大な爆発を発生させた――。




第七十二話の質問コーナー:https://syosetu.org/novel/253452/82.html
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