弧月を握った少年   作:ハヤヲ

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どうも、ハヤヲです。

ゆったりまったりやってたら
こんなに期間空いてしまいました。
みてくれてる人少ないとは思いますがどうぞ



緑川 駿

現在、俺はソロランク戦のブースにいる。理由は緑川に誘われたから。簡単には言えばこうだが、緑川は俺がB級上がりたてで舐めているのだろう。あの含んだ笑みを見ればすぐにわかった。陽介に許可をもらい少しお灸を据えてやることにした。中学生と言えど緑川はA級だ、油断すれば此方が負けかねない。だが、太刀川さんの弟子として負けるわけにはいかない。

 

 

『もしもーし聞こえてる?何本勝負にする?』

 

「何本でもいいぞ。」

 

『ふーん。じゃあとりあえず5本勝負にするよ』

 

「おっけー」

 

『転送開始』

 

アナウンスが流れ、ステージへ転送される。

場所は市街地A。ノーマルなステージだ。

 

 

さてさてさーて。始めましょうかね!

 

 

 

ーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

 

『転送開始』

 

転送が完了すると前方300m先に緑川を目視できた。お互いに視認し、緑川はスコーピオンを片手に持ち此方の出方を窺っていたので、俺は背中に背負ってある弧月を抜き、緑川に向かって走り出した。数秒走っていると、

もう少しで攻撃手(アタッカー)の間合いになり、戦闘が始まるはずだったが、そうはならなかった。何故なら、緑川の前方20m手前で()が止まってしまったからだ。

 

「どうしたの?急に止まって。」

 

「お前に一つ言いたいことがあってな。」

 

そういいながら弧月も鞘に納める。それを見ると緑川も一度スコーピオンをしまった。

 

「ん?手加減でもしてほしいの?」

 

とことん舐めてでる緑川に俺は呆れ、肩を落としていた。

 

「はぁ。緑川さ、何でそんなに余裕かましてんだ?俺の実力とか知らないだろ。」

 

「そんなの知らないよ。オレはA級でアンタはB級。しかも上がりたて。ポイントだってマスタークラスには到底届いてないし。何を警戒する必要があるのかさっぱりだね~」

 

緑川にB級上がりたてで勝てるやつはほぼいない。それほどに緑川は強いのだ。だが、強いと言ってもB級全員に勝てるわけでもない。

 

「そうか。なら、賭けをしないか?」

 

「賭け?」

 

「そうだ。もしお前が勝ったら一つ要求を飲んでやる。…ただし、俺が勝ったらわかってるな?」

 

あえて自分の要求は言わない事によって『俺が勝ったら一つ言うこと聞け』というお互いほぼおなじ要求だと思わせることだ。

 

「いいよ。それ乗った。」

 

自分が負けるとは微塵に思ったいない緑川はすぐに承諾した。

 

「よし、じゃあ始めるぞ。」

 

そう言ってから俺は背負っている弧月に手をかける。すると、緑川も戦闘態勢をとった。

 

 

 

 

 

 

 

 

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【先日】

 

 

「ハァハァ……」

 

「今日はここまでにするか。」

 

「はい。ありがとうございます。」

 

今日は週に何回かある師匠の太刀川さんとの模擬戦。未だに勝てない。本当に怪物だと思う。俺も少しずつだけど強くなってるはずなんだけどな。

 

「そうだ、閃。弧月のポイント今どれくらいだ?」

 

「ポイントですか?もう少しで6500越えますけど」

 

出水にはそんなにだが、陽介相手なら勝ち越せる事が増えてきた。相変わらず射手(シューター)は苦手だ。出水のお掛けで弾を切り落とす練習になってるから其処らの射手(シューター)には簡単には負けないだろう。対して陽介の方はお互いオプショントリガーなしの試合、もちろんシールドも使わずの戦いをしているので勝てたりするのだ。オプショントリガーを使った戦いならまだ陽介勝ち越すことは難しいだろう。いつか越えてやるが…。

 

 

閑話休題

 

「それがどうかしたんですか?」

 

「そろそろ師匠として新しいことでも教えてやろうかと思ってな。」

 

「はぁ…?」

 

そもそも太刀川さんにはこれといって教わったことはない。模擬戦するだけで勉強にはなるのだが、手取り足取りという訳ではない。それにしても新しいこととはいったい何だろうか。

 

「そうだな、8000ポイント越えて、俺から二本取れたら教えてやる。だからそれまで……… 」

 

 

 

 

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【ソロランク戦:市街地A】

 

「よし、じゃあ始めるぞ。」

 

緑川がスコーピオンを構え、戦闘態勢に入る姿をみてから、俺は抜刀すると利き手に持っていた弧月を左手に持ち替えた。

 

「旋空弧月」

 

一瞬、緑川が驚いたように俺の左手に視線をやっていたがすぐさまジャンプして回避する。勿論これで仕留められるとは思ってない。すると緑川はグラスホッパーを使って距離をつめてきた。それにあわせ上から垂直に弧月を振るうが再びグラスホッパーで回避される。陽介の試合同様、乱反射(ピンボール)を始める緑川。慌てず視線で緑川を追い続けて、仕掛けてくるのを待つ。

 

 

( ……きた!!)

 

死角からの攻撃を弧月で向かい打つため水平切りで緑川のトリオン体を切り裂く……

 

 

 

『戦闘体活動限界。緊急脱出(ベイルアウト)。』

 

 

ことはなかった。

そして、二本目も同じ展開、緑川の乱反射(ピンボール)からの攻撃で供給器官を切られやられた。

 

 

 

 

 

峯内閃vs緑川駿 0対2。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『ソロランク戦。三本目開始。』

 

現在のステージは河川敷。そしてソロランク戦は5本勝負なので、リーチをかけられている。

 

「これで最後だね。あんな啖呵きっといてリーチだけど大丈夫?負けちゃうよ?」

 

そう緑川は勝利を確信した顔で笑みを浮かべている。

 

「そうだな。だが、……チェックメイトだ。」

 

俺は脱力し俯くと、緑川は再びグラスホッパーで仕掛けてくる。さっきまでとは違い死角からの攻撃ではなく、正面から突っ込んでくる。

 

「じゃあ、これでオレの勝ちね!!」

 

まだ脱力したままの俺の首を狙ってスコーピオンが振るわれる。しかし、それを最小限の動きで避け、次の瞬間には緑川のトリオン体を真っ二つにした。

 

「何を言ってるんだ?言ったはずだ。チェックメイト…ってな。」

 

緑川にそう言い残し、緊急脱出(ベイルアウト)するのを見送った。

その後の試合も瞬殺し、ソロランク戦が終了した。

 

 

 

 

『ソロランク戦5本勝負。峯内vs緑川。3対2 勝者、峯内』

 

 

 

 

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緑川とのランク戦に勝利した俺はブースを出て、ソファーに座って観戦していた陽介の元にむかった。しかし、中学生と言えど流石はA級だな。相手が油断してなかったら利き手で弧月使ってもでも危なかったと思う。

 

 

「お疲れさん。これ、コーヒーな」

 

「サンキュ」

 

陽介は手に持っている缶コーヒーをくれた。俺はトリオン体を解除してからプルタブを引き一口飲んだ。それを見た陽介は手を頭の後ろに組み先ほどの試合結果を見上げる。

 

「予想通りになったな。それにしても驚いたぜ、いつの間に練習してたんだ?」

 

「太刀川さんに言われたんだよ『8000越えるまで左手だけで戦え』ってな。」

 

まあ、A級とB級の上位ランカーには利き手で戦っても良いらしいけど、今回は行ける気がしたから左手で戦っただけだ。

しばらく、陽介と話してると少し遅れて緑川が出てきた。見ると肩を落とし俯いていることから大分ショックだったのだろう。すると、そんなのはお構いなしに陽介は笑いながら緑川に声をかける。

 

「おう、緑川おつかれさん。どうた、閃は強かっただろ」

 

だが、緑川は反応しない。俺は息を吐いてから緑川の前に立ち、おでこにデコピンをした。

 

「イテッッ!」

 

緑川はおでこを押さえながら唖然とした顔で見上げてくる。

 

「賭けは俺の勝ちだ。そして俺の要求はデコピン。……そんな落ち込むな、お前がもし油断なんてしてなかったらあんなに簡単に勝てたりしてない。」

 

油断!怠慢!即ち怠惰!……うん。違う。

 

「まあ、閃は太刀川さんの弟子だからな。それに毎日のように俺や出水と戦ってんだ。弱いわけがないよな」

 

ホントホント。この三人を相手にしてたら自然と強くなれるわ。出水と陽介に限っては毎日のように誘ってくるし、戦闘狂って怖いわー。俺も大概だけど。

 

「そうそう。だから緑川。これからもよろしくな」

 

ショックから立ち直ったのか唖然とした顔からだんだん笑みを取り戻し…

 

「……次は負けないからね!峯内先輩!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





次もいつになるかわからないので
気長にお待ち下さい。

誤字・脱字・感想等ございましたら
報告ください。

それではまた次回まで…

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