お久しぶりの方はお久しぶりでございます。
ルルガルウです。
前の作品が行き詰まっているのでリハビリがてら書かせてもらいました。
それでは、どうぞ。
「…まさかお前が、一般人、それも子どもとはいえ
そこは炎に包まれた戦場。
いや、戦場だった、と言うべきか。
すでに戦闘行動は終了し、その後処理が行われている。
横転したトラック。
クレーターのような地面の陥没。
パチパチと何かが燃える音。
煤が舞い、様々なモノの焼ける匂いが充満する
「…一緒に、来るか?」
自身の記憶の始まりだ。
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IS男性適合者発見される。
その報は、世界中を駆け巡った。
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IS。
インフィニット・ストラトス。
宇宙開発用のマルチフォームスーツとして開発されたソレは、しかしながらその高い
重防御、高火力、高機動。
従来の兵器を遥かに凌ぐその性能は、たちまち世界のパワーバランスを変えた。
それだけならばまだよかった。
しかし、ISは世界の
それは何故か。ただの【兵器】にそのような真似ができたのは何故か。答えは単純だった。
女性にしか扱えなかったからである。
たちまち、世界はその様相を変えた。
まず、軍上層部は半数以上が女性となった。
軍だけではない。
企業、政界、NGO。ほぼ全て組織の頭が女性中心となった。
それほどまでに、ISの力は凄まじかったのだ。
既存の兵器では設置型、もしくは戦車などの戦闘車両の装備を使ってやっと傷をつけることができるほどの防御性能。
殴るだけで戦車の装甲が凹み、先に挙げた装備以上のものを軽々と扱うことのできる出力、火力。
戦闘機すら追いつけず、まともに照準させてもらえない機動力。
一国に精々2桁ほどしかないISに国防の要が掛かっていると言われればその異常さがわかるだろう。
ISに乗れるから、女は強い。
ISに乗れない男は弱い。
いつしかそんな風潮がどこからともなく現れ、瞬く間に社会に浸透していった。
いわゆる、女尊男卑の時代である。
そんな時代に、男性のIS適合者が現れたという報は、否が応でも注目されることだった。
発見された男性適合者は
日本人である。
あの"ブリュンヒルデ"、
それらの情報は世界に衝撃を与えた。
これを契機に男性の社会的地位回復に乗り出そうとする者。
悪質なデマとし、その情報をもみ消しにかかる女尊男卑主義者。
すぐさま男性のIS適合試験を行うことを検討する議会。
そんな喧々囂々な世界に、さらなる衝撃が走る。
我が国でも、ISの男性適合者が見つかった。
そんな声明を発したのは、ヨーロッパの一国。
ドイツだった。
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海沿いの道路をタクシーが走る。
運転するのはこの道10年のベテランドライバー。ややぶっきらぼうだが渋く、トークもそれなり以上にこなせるので常連客からは名指しで指名されるほどの人気である。
そんな彼は、とある人物を乗せて、とある場所へと運んでいた。
チラリ、とバックミラーを使って後部座席の様子を伺う。
乗せているのは男だ。車内から見える海を眺めている。
特徴的な外見だった。
金色の髪を無造作に跳ねさせたヘアスタイル。
エメラルドを思わせる明るい緑の碧眼。
日本人にはまずありえない顔の造形。
「…お客さん、日本へはいつ?」
問いかけた言葉は日本語。
しまった、とも思ったが、そもそも彼は目的地を日本語で言ってきたことを思い出し、気を取り直す。
「ん?ああ、昨日からだよ」
「日本は初めてで?」
「そう。どんなものがあるのか楽しみだな」
淀みなく出てくる日本語。
タメ口なのが気になるが、そういう日本語の覚え方をしたのかもしれない。
「日本語上手いですねえ。日本へは観光で?」
「ああ、いや。留学、になるのかな。この場合。日本語が上手いのは故郷のみんなに徹底的に叩き込まれたからだな」
「…へえ。留学、ねえ。今から行くところも関係あるのか?」
ドライバーは口調を本来のややぶっきらぼうなものに変える。
恐らくだが、その方がこの少年も話しやすいだろう。
「アリもアリ、大アリさ。詳しいことは話せないんだけどな」
「そうかい。ま、いいけどよ」
それ以上は詮索せず、話題を他のものに変える。
それは最近のニュースについてだったり、ドライバーおすすめの食事処や服屋だったり。
そうこうしているうちに、タクシーはいつの間にか目的地に着いていた。
「着いたぜ、お客さん」
「おっ、ありがとう。えっと、会計は…カードでも?」
「ああ、大丈夫だ」
支払いを済ませ、車の外へ出る少年。
ドラミラーを開けて声をかける。
「おい!」
「ん?」
「俺はいいが、目上の人には敬語使えよ!」
「わかった!ありがとう!」
そんなやり取りを最後に交わし、タクシーは走り去った。
「…よっし」
少年はタクシーを見送った後、振り返る。
その視線の先には、巨大な建物。
IS学園があった。
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「…で、なぜお前は早速拘束されているんだ?早々何かやらかしたのか?」
IS学園の教師、織斑千冬が目の前の拘束されている少年を呆れた目で見つめている。
その少年は先ほどタクシーに乗っていた青年であった。
「知らねーよ!つか何もしてねーよ!オレは守衛さんみたいな人に立ち入りの許可を求めただけだっつーの!」
IS学園に入るために、守衛らしき人物に話しかけた直後にいきなり拘束された身としてはそのような視線を向けられるのは納得いかない。
「敬語を使え馬鹿者。報告では不審者がいたから拘束したとのことだが?」
「いやいやいやいや、しっかりと挨拶して、身分を明かして、
「…ふむ、お前が嘘をついていないとすると…」
そう言うと千冬は報告書の作成者名を見る。
千冬には見覚えがあった。
その人物は守衛の中でも特に女性主義に傾倒した人物だった。
「…なるほど。状況は理解した。災難だったな」
「いや全くだ…です。なんだってこんなことされなきゃならないん…です?」
「…ハァ。わかった、そんなに話しにくいなら敬語は使わんでもいい。理由としては簡単だ。…お前が男だからだよ」
「あー。なるほど、そういう…」
「すまないな。この学園にもそういう輩は少なくない」
「…ま、いいよ。
申し訳なさそうな顔をする千冬。苦笑を浮かべる少年。
「チフユさん。とりあえず、
「ああ、少し待て…」
そして掛けられていた手錠を外してもらった少年はノビをする。
「しっかし参ったぜ。最近は男だからって捕まるのか」
「まあお前の言い分ももっともだが、なんでもお前タクシーで来たらしいじゃないか。疑われて当然じゃないか?」
「え?別に普通じゃ…?」
「ならお前はアメリカ大統領が電車を乗り継いで訪問しに来たら信じるのか?」
「あー…」
「まったく、状況をわかっているのか、お前は?」
「わかってるよ。
「…わかっているならいい」
千冬はもう一度ハァ、とため息をつくと、
「まあいい。お前には明後日から授業に出てもらう。明後日から新学期だからな」
「え?俺って2日前に呼ばれたの?スケジュール管理杜撰過ぎない?」
「やかましい。
疲れたように言う千冬。
「あ、それとお前には今日付けで寮に入ってもらう。ちなみに寮長は私だからな」
「え?いやまあチフユさんなら安心だけど…できたのか?男子寮?」
「そのようなものはない」
「えっ」
「そのようなものはない」
「…一人一部屋?」
「…二人一部屋だ」
「…ルームメイトは流石にイチカ君だよな?」
「…」
「おいコラ。なんで今目ェ逸らした」
露骨に冷や汗をかいて目線を逸らす千冬に思わず突っ込む少年。
「し、仕方がないのだ。護衛という観点から見るとな…」
「護衛?そんなもん必要ないのはチフユさんが一番知ってるだろ」
「…まあ、護衛と言うよりかは…」
「…監視、か。まあそりゃそうか」
「私は反対したのだがな…」
肩をすくめる少年。
悩ましげな顔をする千冬。
「とにかく、今から編入試験を受けてもらう。試験と言っても、ペーパーはない。
「おっ、実戦か?それともシミュレーションか?相手は?」
「
「…
「だから私だ。あれからどれだけ腕が鈍ってないか試してやろう」
「お、おいおいチフユさん、あんた今IS無いって…」
「ふふ、何だ、そんなことを気にしているのか?」
誰もが見惚れるであろう微笑みを浮かべる千冬。
それに比例してあっ、という顔をした少年の顔色はみるみる真っ青になっていく。
「 な め ら れ た も の だ な 」
「いやそのちょっと待ってそれは誤解というか何と言うか」
「ついでに目上の者に対する態度も叩き込んでくれる」
その後、IS学園のアリーナからは轟音が繰り返し響き、学園の七不思議の一つに加えられたという。
読了ありがとうございます。