すいません、年末年始がバタバタしておりました。
落ち着いてきたので、投稿です。
「そ、それでは授業を終わります」
「う、うごごごご…」
そんなこんなで、初めての授業が終了する。
あの後も数回頭を叩かれた一夏は文字通り頭を抱えている。
「い、いてて…今日でどんだけの脳細胞が死んだのか…っと、そうだ!」
ガバッ、と顔を上げた一夏は授業が終わり伸びをしているビットへと歩いていく。
「あ、えーっと、ハロウ?あ、アイアム…」
「ん?あ、日本語でOKだ。イチカ君だよな?」
恐る恐る話し掛ける一夏だったが、それにビットは立ち上がり気さくに応える。
「あ、ああ。そうだけど…」
「さっきも自己紹介したけど、オレはビット。ビット・ヴォルケー。ま、男性操縦者同士、仲良くしようぜ」
そう言って一夏に手を差し出し、握手を求めるビット。
「え、あ、そ、そうだな!よろしくな!あと一夏でいいぜ!」
慌ててガッチリと握手を返す一夏。
(な、なんてコミュ力なんだ!まるで俺が来るのを予想していたかのように…!)
(ま、唯一の男のクラスメイトだし、まずは話し掛けるわな。オレだってそーする。)
「なあ、その、ヴォルケーのことはなんて呼べばいい?」
「どっちでもいいぜ。ビットでも、ヴォルケーでも。なんなら、えーっと、スペツナーム、アダナ、だったか?つけてもいいぜ」
「あ、あだ名か?うーん…」
「ちょっとよろしくて?」
談笑をする一夏とビットに、1人の少女が話しかけてくる。
「ん?えっと、アンタは?」
「まあ!なんですのそのお返事は!わたくしに話しかけられるのも光栄なのですから、それ相応の態度というものがあるのではないかしら?」
「と、言うよりイチカ。自己紹介の時名前言ってたぞ、この子…」
「え?マジで?聞いてなかった…」
「ちょっと、聞いてますの!?」
「イチカは聞いてなかったな」
「ああ、その、ごめん。よければもう一度名前を…」
「そういうこと言ってんじゃねーですわ!」
ゼイゼイと肩で息をする金髪の少女。
「おいおい、大丈夫か?そんな声張り上げてると喉痛めるぞ。」
「誰が出させてると…!」
「んで、結局名前は…?」
「わ、わたくしを知らないのですか!?このイギリス代表候補生にして入試主席のセシリア・オルコットを!?」
「え?だいひょうこーほせい?何それ?」
「な、なななな…!」
ビットのマイペースぶりと一夏の無知に怒りのボルテージがガンガン上がっていくセシリアと名乗った少女。
「んー。なんて言えばいいか、そのまんまISの国家代表になれるかもしれない人。ちなみにチ…オリムラ先生は元がつくが代表。ワンランク上だな」
「そう!つまりわたくしはエリートなのですわ!」
「な、なるほど。それって、すごいのか?」
もはや怒りを通り越して呆れるセシリア。
「し、信じられませんわ…極東にはテレビもないのかしら?」
「ん?あるぜ?普通に」
「ま、ISに興味のない奴は気にせんわな、普通」
「なっ!?」
「んじゃさ、オルコット…だっけか。お前はベースボールの日本代表候補を言えるか?って話だ」
「そ、それは…」
言い淀むセシリア。
「言えないだろ?オレもだ。まあ、知ってもらう努力はするべきだな。そう考えると言い方はともかくさっきのはアリか」
「ぐ、ぐぬぬ…」
「…?あ、そう言えばイチカに何か用事なんだっけか。ほら、イチカ」
「お、おう…そ、それで?オルコットさん?」
「ん、んん!と、とにかく!本来ならわたくしのような人間に話しかけられるだけでも光栄なのですよ?そのあたりを理解していただけるかしら?」
「え、えっと、その、ラッキー?」
「何ですのその疑問形は!?先ほどからわたくしを馬鹿にしていますの!?」
(う へ あ め ん ど く せ え)
げんなりする一夏。
「大体貴方達、…いえ、金髪の貴方はご趣味が本当ならばともかくとして、もう一人はISについて何も知らないのによくこの学園に入れましたわね。男性でISを操縦できると聞いたのですが…少しは期待していましたが、残念すぎますわ。と、いうか金髪の貴方は本当にISの整備を行えるんですの?」
水を向けられたビットはわずかに困り顔を浮かべる。
「え?あ、いや、できる、というかしなきゃならない、というか…」
「…?訳がわかりませんわ。やはり先ほどのは口から出まかせですの?」
「…馬鹿にしない?」
「何がですの?」
「その、オレのIS、オレ以外の誰にも触らせなくて…」
「は?…とんだ独占欲ですわね。馬鹿にするなと言う方が…」
ビットの答えに呆れ返るセシリア。
「いやだからそうじゃなくて、オレのISがオレ以外の人間からのアクセスを完全拒否してるんだよ…」
「…は?では、OS更新などはどうしてるんですの?あとコアネットワークは…」
「コアネットワークはほぼ完全に一方通行だ。オレが操縦している時に限り相互通信可能だけど。ハッキングはOS開発者ですら出来ない。完全にブラックボックスになってる。OS更新はなんか自動的に始まる。チェックはするけど」
「…それ、本当にISですの?」
「今更ながら不安になってきた…」
頭を抱え始めるビット。
疑わしきものを見る目でビットを見るセシリア。
「ふん、まあ、わたくしはエリートですから貴方達のような人間でも優しく教えて差し上げますのよ?まあ、泣いて頼まれたら、ですけど。何せわたくし、入試で唯一、教官を倒したエリート中のエリートですから」
その言葉に驚愕するビット。
(マジかよ!あんな
「え?俺も倒したぜ?」
「「ハァッ!?」」
「っても、相手はなんか勝手に自爆した感じだけど」
「何ですのそれ。…で、そちらの金髪の貴方は?」
「いい加減名前呼ばない?無理無理。世界最強が相手だぜ?時間切れまで逃げ回るのが精一杯だっての」
「お、織斑先生相手に逃げ切ったんですの…?どうやって?」
「何発かイイの貰っちまったけど。まあ目潰し不意打ち何でもアリでなんとかな。…久しぶりに地獄を見たぜ」
みるみるうちに瞳のハイライトが消えていくビット。
ドン引きするセシリアと一夏。
"キーンコーンカーンコーン"
と、そこで休み時間の終了を知らせる鐘が鳴り、まだ何か言いたそうなセシリアは渋々、一夏は普通に席に戻る。
鐘が鳴り終わるとともに教室へ入り、教壇の前に立つ千冬。
「よし、全員いるな?さて、授業を始め…る前にだ。クラス代表を決めるのを忘れていたな。クラス代表とは対抗戦だけでなく生徒会の会議や委員会への出席など…まあクラス委員長のようなものと考えてもらっていい。自薦他薦は問わん。誰かいないか?」
入ってくるなり、千冬はそう言った。どうやら、クラス代表を選出するらしい。
「はい!織斑くんがいいと思います!」
途端に始まる他薦の嵐。
「お、俺!?」
「私はヴォルケーくんがいいと思います!」
「私も!」
「え?え?オレ?まあいいけど」
「ちょ、ちょっと待って!俺そんなのやらな…
「納得がいきませんわ!」
バンッ!と机を叩き声とともに立ち上がったのはセシリア。
「ん?じゃ、セシリアは自薦するってことか?」
「え、ちょまうぇ、…」
予想外だったのか、呑気に聞き返したビットに言葉を詰まらせるセシリア。沈黙が流れる。
「…と、とにかく!そんな選出は認められません!男がクラス代表などいい恥さらしですわ!!このセシリア・オルコットにそのような屈辱を1年間味わえと!?」
そんなセシリアのセリフの後、コソコソと千冬に話しかけるビット。
(チフユさん、チフユさん。俺たちハジサラシだってよ。んで、ハジサラシって何?サラシ、ってのは胸に巻くテーピング?だよな?ハジ、ハジ…たしか、恥ずかしいって意味だよな?ということは…)
「ん?いやそのサラシとは違、というかお前敬語を…」
千冬の言葉は耳に届かず、何かを自分で納得したビットは、途端にドン引きしたような顔でセシリアを見る。
「な、なんですの!?いきなりそんな汚いものを見るような顔をして…」
「お前…オレたちをそんな目で見てたのか!?」
「え、そんな目って…」
「え、だって、同級生をエロ下着みたいに見るのは流石に引くわ。しかもそれを
「なんの話ですの!?まるで意味がわかりませんわよ!?」
恐らくは大声で異を挟むことで主導権を握ろうとしたのであろうが、ビットが肝心なところで日本語の意味を理解できず、ここに誤解によるすれ違いが起きる。
しかもセシリアのことを"同級生の男子を好みのエロ下着として見る変態女"というかなり倒錯した人物扱いしてである。
「日本人はHENTAIって聞いたことがあったが、よもやイギリス人までとはな…!なるほど、SHINSHIってそういう…あ、SHUKUJOか」
「だから何の話ですの!だ、大体文化としても後進的なこの国に暮らさなくてはならないこと自体耐え難い苦痛で…」
「いやいやいや、お前それ本気で言ってる?世界に誇るワショクにタタミ。とても後進的とは思えねーなぁ。大体、IS生み出したのも確か
「そ、それとこれとは…!」
「てか、ヤーパンに来たくないならなんで
「う…」
サラシ云々の時はともかく、それ以降は本当に疑問にしか思っていない顔で問うてくるビットにたじろぐセシリア。
「うるさいですわ!大体、貴方の国だって…!」
「ん?ドイツ?関係なくね?あ、なるほど」
しかし言い募るセシリアに、納得したような顔を浮かべるビット。
「これが噂に聞くコクジョクか。コクジョクは基本と聞いたことがある」
(((((いや聞いたことねぇよ!)))))
恐らくは初めてであろうクラスの心が一つになった瞬間だった。
「なるほど、なるほど。つまりはオルコットはオレたち"男"がクラス代表になるのが気に食わないんだな?でもこれといって攻撃するとこがないからコクジョクをしたと、つまりはそういうわけだ」
「ぐ、ぬ…」
うんうんと頷くビット。何も言えないセシリア。
「ま、別にいいんじゃない?イチカ、辞退しようぜ」
そしてビットのまさかの言葉に、教室が騒然となる。
「お、おい!ビット!いいのかよ!?」
「何がだよ?」
「だって、あいつは…!」
「だってああまでしてオレたちを引きずり落とそうとするってことは、これから1年間、上手くやれる自信が彼女にはあるってことだろ?だったら彼女に任せちまえばいいじゃん。オレ自信ないし。」
「そ、そりゃ俺にもないけど…」
「あ、言われっぱなしが悔しい?」
「そりゃそうだろ!」
「なんだ、結構熱いところあるな。オレも間違ってもクール系じゃないけど、
その言い方が余りに平坦で、息を呑むクラス一同。
「な、慣れたって…」
「へ?お前、今まであんまり女から攻撃受けなかった系?」
「受けなかったって、な、なんだよそれ!」
「いや、普通にあるじゃん、あの程度。むしろ優しいと思うけど。ほら、自分含めた周りの人の人間性否定されたりとか、そんなんじゃないしさ」
「な…」
「え?」
そこで周りを見渡すビット。言葉を失っているクラスメイトたち。
「え、何この空気。…もしかして、やらかした?」
引きつった笑みを浮かべ、助けを求めるように千冬を見るビット。
「ん、んん!まあそこまでにしておけ。双方言いたいこともあるだろうが、とりあえず、ISでの決闘の機会を設ける」
「いや、オレ辞退するって…」
「お前はそれでよくても、周りが納得すまい。さて、オルコットと織斑の自薦、他薦同士。そしてお前もだヴォルケー。一週間後の第3アリーナで試合を行う。しっかりと準備をしておくように。分かったな?」
「は、はい!」
「わ、わかりましたわ…」
「
三者三様の返事をし、ひとまずはそれでお開きとなった。
読了ありがとうございます。