望がウルトラマンや螺旋体の事を知らされてから、10日間が経過した。その間は教導役の三人が基地の中の空間で稽古をつけてくれていた。
ある日の稽古で望は一ツ木達に尋ねた。望たちはU.A.基地の一室でウルトラマンに変身し、特訓を重ねていた。
「ところで、ここ建物の中のはずなのにどうしてこんなに広い空間があるんですか?」
「ここはM.T.フィールド。外の世界とは完全に隔絶されている為、建物の中でありながら、ウルトラマンの本来の姿である巨大形態となっても問題はない。市街地防衛のために屋外で使われる場合もある」
「そんな技術が一体どこに……もしかして光の国ですか?」
「ご名答。人類が光の国と接触を果たし、螺旋体と戦うようになった際、科学力で大幅に劣る我々に技術を提供してくれたのだ」
「何つったけ?メトロイドじゃなくって、何かそんな感じの名前だったよな?」
「メテオールだ。この間も言ったぞ」
「あ、そうそうそれ」
「このメテオール技術のおかげでU.A.の車両や戦闘機、さらには各隊員が装着するアーマーの開発も可能になった」
「もっともそんなに強力な兵器を世界が放っておくわけ無いから南川隊長たちも苦労した見たいだけどな」
と何やら複雑な事情が絡んでいるみたいだった。後になってから南川に詳しい詳細を尋ねると、各国がメテオールを利用しようとしていることは事実だが、まだ危険な面もあるため実験という名目で日本に隔離することになった……というのが、各国政府との協議の結果決まった事だった。
訓練ではエースアリエスは基本的な戦い方、エースライオンは近接格闘術、エースオックスは光線技を教えていた。彼らの特訓は厳しかったが基礎からしっかり教えてくれる一ツ木、姉御肌の彩音、正確な解説をくれる英二の教え方も良く、望ことエースサジタリウスは徐々に才能を開花させていき、最初は光線があらぬ方向へ飛んでいくこともあったが5日目の訓練で、戦い方が形になってきたと評されるまでになった。
そして今、望は基地の中で一ツ木達と共にスタンバイしていた。また新たな螺旋体が出現したため、U.A.の出動が要請されたのだった。
『それじゃあ、これから4人に出撃してもらう』
『望君、今回が初任務になるけれど、心の準備は出来ているぱむ?』
「はい」
インカムから入る南川とジロウの問いかけに、望はなるべく緊張していると悟られないよう答えた。
「あの、一ツ木さん。俺、皆さんに特訓してもらってそれなりに戦う事は出来るようになったとは思っているんですけれど、本番はこれが初めてなんで、上手くやれるでしょうか?」
「大丈夫、君は俺達の指示に従って行動すればいい。すでにフォーメーションも考えてあるからな」
「大丈夫。俺も最初は苦労したから少しずつ慣れて行けばいいさ」
彩音が望の肩を叩いて励ました。英二も頷きかける。
「じゃあ、行くぞ」
一ツ木の号令に四人は集合し、指輪を突き合わせ叫んだ。
「エース!!」
四人の体が光に包まれると基地のゲートが開き、一ツ木達は外へと飛び出していく。望も遅れないように後から付いていった。
今回出現した螺旋体は金色と銀色の体色を持つ二体で、金の個体は右の肩甲骨、銀の個体は左の肩甲骨がそれぞれねじれて翼の様になっていた。U.A.では「SP-02 CHAMELEON 」のコードネームが付けられている。
ファルコンやパンサー、アーマー部隊が地上や空中から攻撃するが、螺旋体の速さに追いつけず見当ちがいな方向に飛んで行ったり、空中で相殺されてしまっていた。
「あれか!」
「あれって合体する奴じゃねえか?」
「そうだ。それに背中のねじれで空を飛べる
そこへ望たちが駆け付ける。四人はすでにウルトラマンの姿へと変身し、空中に停止していた。
「よし、私とサジタリウスで奴に接近しつつ攻撃。オックスとライオンは後方から援護してくれ」
「えっいきなり俺がですか?」
「そうだ。これまでの訓練を思い出していけば不可能な事ではない。それに君は私に続いて攻撃すればいい」
「そういう事。リーダー信じればやれるって!」
「よし、続け!」
エースアリエスが真っ先に螺旋体に向かって突進していき、エースサジタリウスも慌てて後に続いた。その場に残ったエースライオンとエースオックスが両腕を空に掲げてエネルギーをチャージすると、エネルギーをリング状に高速回転させて相手に発射した。
必殺の「ウルトラギロチン」である。訓練でも何度か使用した、強力な切断能力を持つ技だ。
ウルトラギロチンは真っ直ぐに螺旋体の方へと向かっていく。螺旋体は飛んできたギロチンに気付くと、左右に飛んで避けていくが、ギロチンは追尾能力で二体の後を追いかけていった。エースアリエスとエースサジタリウスも続く。
螺旋体はギロチンにぶつかる寸前に一体に合体してさらに高空へと飛び立つ。ギロチンは追いつくことが出来ずに正面衝突し、砕け散った。
エースアリエスはエースサジタリウスに合図を送ると、額から細長い光線「パンチレーザー」を発射する。サジタリウスも胸の光球「カラータイマー」から「タイマーショット」を放つ。空を飛んで逃げるCHAMELEONの足にパンチレーザーとタイマーショットが命中し、螺旋体の足の細胞を分解する。しかし光線の全てが命中する前にCHAMELEONはその名の通り、透明になって光線を交わした。
「透明になった!」
「オックス、それにライオン。ウルトラアイスポットを照射してくれ。これでは光線が当たらない」
エースアリエスの交信で、エースオックスとエースライオンの眼から一条の光が放たれた。エースアリエスとエースサジタリウスも同じ光を発射する。ウルトラアイスポットとは、相手の透明化を暴く光線である。上下左右に動く光が、CHAMELEONの透明化を解除させた。相手も透明化に気付いたらしく、逃げるのを辞めて、追ってくるエースサジタリウスとエースアリエスの方向を向いた。
低空のエースサジタリウスとエースアリエス、高空のエースライオンとエースオックスに挟まれるCHAMELEON。
好機と見たエースたちは双方から挟み撃ちにしようと迫ったが、そこに待ったをかけた者がいた。
それは違う方向から放たれたビームだった。突然の事態にエースサジタリウス達は急停止して光線を避け、CHAMELEONもまた口から吐き出した火炎で光線を相殺した。
「えっ……一体何が?」
「まさか……奴らか?」
「テリトリーに入っちゃった……って事?」
「ご名答よ」
何者かの声が木霊す。声の方向を見てみると、そこには自分たちと同じウルトラマンが三人いた。
「あれは、まさかウルトラマン?」
「そうだけど、あいつらは少し厄介なんだ」
「ウルトラの問題児……ってところかな」
空中にて、7人のウルトラマンが顔を合わせた。