人間兵器の逆襲 作:ごっほん
賞金稼ぎでそれなりの金はあるが、船を買えば吹っ飛んでしまう。よって海賊船を強奪することにする。ついでに航海士ももらっておこう。
現在、港の離れにベラミー海賊船が停泊している。ベラミーは回復し次第俺へ復讐したいので、島で治療しているようだ。
回復まで待ってやってもいいが、決闘後に航海士と医師をもらいたいので、先に交渉に行くことにする。
「オラァ! なんだてめぇ!」
「卑怯もんが! 船長が弱っているときに!」
べラミーの部下に囲まれたが、無視して進む。唾をかけてきたやつには手で仰いでそいつの顔へ返す。
「お、おい! 止まれ!」
「ベラミーはまだ!」
ベラミーの部下を押しのけて進み、医務室に到着。鍵を壊して中に入る。
「てめえは……」
べラミーは顔から肩にかけて包帯ぐるぐる巻きだった。忌々しそうに俺を睨む。
「出て行け! 卑怯もんが! 入室を許可した覚えはねえぞ!」
「決闘のルールを決めておきたい」
「あん?」
「場所はお前が指定していい。日時もだ。相手を殺すか気絶させるか参ったと言わせれば勝ち。これでいいか?」
「はんっ。参ったなんて言わせねえよ。ぶっ殺してやる」
「それで、ここからが重要なのだが」
「さっさと言え」
「勝った側が負けた側の財産総取りでいいだろう?」
「ああいいぜ。つーか俺は海賊なんだ。いちいち言われなくたっておめえのもんは全部奪うさ」
「そうか。では交渉成立と言うことで」
「話が終わったならさっさと帰れ!」
俺は言われた通りに早足で出て行く。
病院から帰る途中、ベラミーの部下に銃撃されたが、覇気で防いだ。
それから一週間後、ベラミーの部下から封筒が届いた。中には決闘状と書かれた紙が入っており、場所と日時が書かれていた。
今日の真昼間に成果市前広場でやるらしい。一般人が大勢集まっている場所でショーのように殺し合いたいようだ。まあ殺し合いになどならないが。そこで行われるのは一方的な虐殺。
午前中は引越しの準備をし、娘達と共に荷物を持って家を出た。決闘に勝てばそのままベラミーの船に向かうつもりだ。
「ははっはは。よく逃げずにきたな。それだけは褒めてやる」
「どうも」
並んで立つ俺とベラミー。身長は若干ベラミーの方が高いが、体格は俺の方がいいはずだ。ベラミーも筋肉質ではあるが贅肉も見える。俺は全身鍛え抜かれた鋼の肉体。
「やれやれー! ベラミー!」
「男を見せろ! マット!」
「キャー! ベラミー!」
観衆は盛り上がっている。ベラミーの一味と俺の義妹。買い物に来たおじさんおばさん。決闘を見に来た若い男女。爺さん婆さんもいる。
応援は、どちらかと言うとベラミーの方が多い。ベラミー一味を省いてもベラミーの方が多い。モブに徹していたとは言え、なんだかなあ。
顔は、ベラミーの方がイケメンかもしれない。俺はマフィアとかにいそうな強面だからな。ベラミーの方が愛嬌がある。
「時計の針が12を指したら開始だ。それまでせいぜい神に祈っておくんだな」
「分かったよ」
「ふんっ、舐めやがって」
ベラミーは上着を脱ぎ、屈伸を始める。本気でくるようだ。
俺も軽くストレッチする。
「マット! 危ないからやめとけ!」
「お前戦えるのか!? 相手は本物の海賊だぞ!?」
「筋肉だけで勝てる相手じゃないぞ!」
仕事仲間が俺を心配して声をかける。俺は肩の筋肉を盛り上げて大丈夫だとアピールする。
「うへえ」
「たまらんなあ」
ホモは消えろ。
なんでこの大観衆の中でホモの声がはっきり消えたのだろうか。危機感?
さて、時計が12時ちょうどを指す。ベラミーは大きく息を吸い、屈んだ。
「さあ! ショータイムだ!」
隙だらけだから5回は殺せたと思うが、せっかく観衆が集まっているのでベラミーにも見せ場をあげることにする。
と、不意にベラミーの足が膨れ上がる? というかグルグルになった?
ええっ!? ズボンがやぶけてない! どういうこと!? 物理的にどういうこと?
ベラミーはバネのようになった足で大きく屈み、跳ねた。
悪魔の実の能力だろうな。なかなか速い
しかし俺とは全く方向違いの家目掛けて飛んで行ったぞ。何が目的だ?
ベラミーは家のそばで体勢を変え、ぶつかる直前に足を壁へ向け、足をバネに変えて衝撃でバネを縮め、そのバネを広げて再び跳ねる。また同じ要領で壁に突っ込んでバネの足で跳ねる。またバネの足で跳ねる。
だんだん速くなってるな。目が辛くなってきた。まあそれは向こうも同じことだろう。
「スプリングホッパー!」
技名だろうか? 突然叫んだ。だが、叫んだ頃にはスピードが上がらなくなったぞ。これがやつの限界か。この程度なら対応できる。
「ははっはは!」
ベラミーは後ろから俺に突っ込んできた。
俺は両手を上に上げ、軽く身を屈める。
「なっ!」
ベラミーの突きをかわす形になった。相手の攻撃を予想した動きだ。見聞色とまでは言えないが、日々の訓練と野生の勘により何となく後頭部を殴ってくることは予想できた。
そして頭上に出された腕に俺の両腕を絡める。
「くっ、この!」
腕と手でベラミーの肩から首裏にかけてをつかむ。つかみながら相手のスピードを利用して俺の体を潜り込ませる。
「うわっ」
つんのめるような体勢のベラミー。俺は上体を倒し、ベラミーを巻き込むようにして、地面に叩きつける。
「ぐっ」
一本背負いのような形だ。ベラミーは背中から強く地面に落ち、回転しながらバウンドし、勢いよく群集に突っ込んでいく。
「ぎゃああああああ!」
「はええ!」
「がっ、がばはっ」
顔から地面に落とすつもりだったが、ベラミーが思ったより速かったので失敗した。
ダメージもさしてないだろう。あの能力で逃げられたら困るので、早めに止めを刺すことにする。
「くっ、やってくれたっ!?」
しゃべっている途中にもベラミーに殴りかかる。
ベラミーは構えるが、動きが鈍すぎる。
「ぐ、ぐふふっ」
ボディーブロー一発。苦しそうにうめき声をあげ、よだれを垂らすベラミー。
ふらふらとした足取りで2歩、3歩足を踏むと、白眼をむいて倒れた。
「う、うおおおおおおお!」
「すげえええつえええええ!」
「筋肉最強! 筋肉最強!」
「見たか海賊! これが荷物運びの力だ!」
観衆は大盛り上がりだ。
おそらく俺の動きもベラミーの動きも見えていないだろうから、楽しめたのは雰囲気だけだろうけどね。
クローン娘達は当然と言った表情だったが、若干にやにやしていた。
対してベラミー一味は悲惨だ。
「うそ、だろ……」
「ベ、ベラミーが負けるはずねえ! インチキだ! インチキを使ったんだ!」
絶望、信じられないと言った感じだ。見ていて気持ちいい。しばらく放っておこう。
俺は町の住人に胴上げしてもらったり、食料をおごって貰ったりした。ベラミー一味は隙を見てクローン娘を人質にとろうとしたが、返り討ちにあっていた。
しばらくすると、ベラミーが目覚めた。俺はわざわざボディーブローを手加減し、こいつが起きるのを待っていた。
船医と航海士が欲しかったが、俺の口から言っても従わない可能性があるので、ベラミーの口から言わせたかった。
俺はベラミーに近づいていく。ナイフ使いがベラミーを庇うように俺の前に出る。
「な、なんだてめえ! 敗者をいたぶろうってのか!」
「いたぶるのとは違う。決闘の約束で、敗者は勝者に全財産を渡す手はずになっている」
「何!? ふ、ふざけてんのか!」
ナイフ使いは怒り、俺に切りかかろうとする。が、当たる直前でベラミーが待ったをかけた。
「止めろ! サーキース!」
「ベラミー! だがっ」
「みっともねえ真似してんじゃねえよ。俺は負けたんだ。敗者が口出しする権利はねえ」
「くっ」
ベラミー一味は苦しそうに肩を落とす。
「ところで、俺と一緒に来たいやつはいないか? 航海士と医師が欲しいのだが」
嫌なやつらが、航海する能力はあるからな。ダメ元で聞いてみる。
「はあ?」
「誰がお前なんかに」
やっぱダメだよな。
「しょうがない。全員縛って海軍に突き出すか」
「何!?」
「てめえ!」
いやいや、当然でしょう。このまま放っておいたらいつか一般人に被害が出るだろうし、俺も復讐されるかもしれないからね。物理的な攻撃は怖くないけど毒殺とか危ないからね。海軍に預けるのが安全だ。女の子は逃がすけどね。
女剣士クローンの娘達がいつもの要領で縄を持ってくる。暴れる男はアマゾンリリークローン達がボコり、大人しくなったところを縄で縛る。いつの間にか町人も俺達を手伝い始める。
ほどなくベラミー一味は全員縄についた。
いつもならこのまま海軍に引き渡すが、今回はグランドラインへの航海があるからな。航海士、医師、癒し、人質として使えそうなやつは全員連れて行こう。
「そいつら全員連れてってくれ。そうすりゃ航海は協力してやる」
いらない男達を町人に預けようとしたら、ベラミーに待ったをかけられた。意外と仲間思いだったらしい。そう言うならやってもらおうか。
結局、ベラミー一味全員を伴ってベラミーの船に乗っていく。船で女の拘束を外すが、男は鉄檻に入れる。航海士の男だけは監視つきで解放する。
「さて、出航だ! グランドラインを目指して!」
「わくわくするね!」
「久しぶりの船旅だー! 何か歌ってよ! 兄貴!」
「やっと潜入調査ができる!」
「私が目指す最強への道の始まりよ」
「かっこいいです。姉様」
それぞれの思いを胸に、ベラミーの海賊船は進み始めた。
出航後ほどなく、旗のドクロマークを黒墨で塗りつぶした。わざわざ海賊と名乗る必要はない。賞金稼ぎの方が暮らしやすい。洗脳された娘達は不満そうだったがな。せっかく海賊になれるチャンスを棒に振った、と。
さて、航海は順調に進んだ。海賊と遭遇することもあったが、何の緊張感もなくボコり、なけなしの財産を頂いた。
特に問題なくレッドラインに到着する。このレッドライン付近は海流が速く、入り口に船首を合わせるのが難しい。案の定若干ずれてしまい、岩に激突しそうになったが、大砲の反動と俺の蹴りで強引に方向を変えた。船の8分1くらいが吹っ飛んだ。
俺は海に落ちてしまったが、娘達にロープを投げてもらい、なんとか船に戻ることができた。危なかった。
その後、レッドラインを上り始めたわけだが、壊れた部分から水の浸食が始まった。侵食があまりにも激しく、また侵食によってさらに船が壊れるので、とても危険だった。緊急事態なのでベラミー一味の男を全員檻から出し、船の修理に協力させた。
そうしてなんとかレッドラインの反対側まで来ることができた。
そこには信じられないくらい巨大なクジラがいた。アイランドクジラという名らしい。まさに島のような大きさだった。
俺達は近くの灯台付近に船を止め、本格的な修理を始めた。この付近は材料が乏しく、修理は困難だったが、なんとか張りぼてで間に合わせた。
その後、ログポースが指す島へと舵を切った。ベラミー一味の男達は檻に入れなかった。どうせ襲い掛かってきてもすぐに制圧できるから問題ない。
始めの島までの航海は大変だった。突然霰が降ってきたり、前後左右を嵐に囲まれたり、海底火山の水蒸気で視界が消えたり、海王類の群れに遭遇したり。さらにはボロボロの船が浸水。踏んだり蹴ったりだった。
しかしなんとか始めの島に到達した。ここでベラミー一味とは別れる。航海ではそれなりに協力的だったので、無能な男達は解放してあげた。賞金首のサーキースは海軍に売った。ベラミーは単に売るか殺して悪魔の実を抜き取ってから売るか考え中。
ジェルマにいた頃の研究で、悪魔の実の能力者が死んだ時に、近くの果物の実が悪魔の実に変化することが分かっている。砂漠や海の真ん中で果物を用意しておけばその果物に悪魔の力を宿せる確率が高い。
ベラミーにはこの実験台になってもらおうかなと思っているわけだ。しかしあまりに外道なので、やっていいものか悩んでいる。ベラミーがどうしようもない外道なら黙って殺すのだが、ちょっと優しい面もあるんだよな。
かわいい女の子はできる限りクルーにしましたよ。元々帰る場所のない非行少女が多かったので、仲間になるかと問えば「だっさい服装をやめてくれたら入ってもいい」と答えてくれました。
現在、男が4人に対し女が30人。どこまで増やそうか?