人間兵器の逆襲   作:ごっほん

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人形使い

 マウス大佐が海軍を辞め、マウス大佐の息のかかった連中が秘書や幹部になった。その日の夜、俺はその秘書と幹部達を女を除いて全員抹殺した。

 殺した首はダンボールに積めてマウスに送った。『死にたくなければ従え』と血で書いた紙を入れて。マウスは顔を真っ青にして、俺の操り人形になることを了承した。

 

 しかし俺は油断していなかった。マウスは小物だ。俺に逮捕状を出して金の取引に持ち込むような策は思いつかないと考えた。

 俺がマウスに黒幕を尋ねると、マウスは妙に引きつった顔をして「し、知らない。そんなやつはいない」と言った。試しに腹を殴ってみると、簡単に口を割った。

 

「わ、分かった! 言う! 言うから殴るのはやめてくれ!」

 

 やはり黒幕はいたようだ。

 

「げ、元帥だ。センゴク元帥」

「何!?」

 

 あの人の良さそうなおっさんが? 原作でも卑怯な手は嫌っていた気がするが。

 うーん、どうだったかなあ。あまり出番なかったからなあ。

 

「本当か?」

 

 俺はマウスに拳を見せる。

 

「ほ、本当だ! 指令書もある!」

「元帥ではなく、世界政府が元帥に命令したのではないか?」

「し、知らん! そんなことは知らん!」

 

 ウソを言っているようには見えないが。うーむ。

 

「お前は俺に金の分け前は1対1でいいと言っていた。センゴク元帥はそれを許したのか?」

「えっ!? な、何のこと!?」

 

 あっ、しらばっくれた。こいつまだ隠してるな。

 

「おい。死にたくなかったら正直に話せ。金の分け前は1対1でいいと言ったか?」

「い、言ってない! 言ってない! それは俺のアレンジだ!」

「アレンジ? じゃあ本当の任務は?」

「任務は、お前を海賊にして、七武海の称号を取引に魚人討伐に加えろというものだった!」

「七武海だと!?」

 

 俺が七武海? 魚人討伐の依頼は何度も来ているから分かるが、七武海?

 俺はいつの間にそんなに強くなっていたんだ? それとも政府が欲しいのは傭兵集団か?

 

「本当にその任務で正しいのか?」

「ほ、本当だ! 指令書もあるぞ!」

 

 マウスが指令書があるというので、この場では納得しておくとにした。指令書はセンゴクが持っているらしく、確認は難しいが。

 でもなんかまだ怪しいんだよなあ。

 

 俺はマウスを牢に入れることにした。海軍や政府と話をさせる時はクローン娘を秘書につけ、裏切ろうとしたらいつでも殺せるようにする。これでいい。

 こうして俺は表向きは死んだことにして、裏では会社の経営を継続した。名前はオイルに変えた。どうせマットという名前も本名ではなかったと考えれば大した問題ではない。俺の本名は実験番号144という意味でワン・フォーフォーだからな!

 

 

 

--マリンフォード--

 

 

 

 その頃、海軍本部マリンフォードでは次の七武海を決めるための会議が開かれていた。

 

「何!? マットがマウス大佐に殺されただと!?」

「はい。マウス大佐の被害も甚大で、多くの部下を失い、自身も引退さざるをえない身になったと」

「俄かには信じがたいね。マットは100を超える傭兵を率い、億越えの海賊2人、5000万超えの海賊を30人も仕留めた男だ。それも大した傷を負わず、一方的にね」

 

 部下からの報告に驚くのは海軍本部元帥センゴクと大参謀のつる。

 

「クハハハハハ。殺されるにしても死んだフリをしたにしても、大した胆力のねえやつだ。七武海の器じゃねえだろう」

 

 笑うは王下七武海のサー・クロコダイル。

 

「くっ」

 

 センゴクは悔しそうに歯を食いしばる。

 センゴクはマットを七武海にしたかった。七武海は政府の下についた海賊という建前だが、彼等が政府のために働くことはほぼない。むしろ特権を利用して裏でコソコソ悪さをするのが常だ。だからセンゴクは、海兵の間で人格者と噂の男を七武海にして、悩みの種を減らしたかった。

 マットの首に懸賞金をかけたのも、民衆に彼を海賊と認識させるためだった。七武海に据えたのは海賊だという建前を守るためだ。また、マットと彼を狙う賞金稼ぎや海賊と戦わせ、実力を確かめるためでもあった。

 マットが1億越えを楽に倒したと言っても、真の実力者にとっては一億の首など雑兵と変わらない。マットの真の実力を見るためにはもう少し強い相手と戦わせたかった。中将クザンや英雄ガープと戦わせる計画もあったが、無駄になった。

 

 センゴクはマットが死んだとは思っていない。しかし目立つのが嫌で死んだフリをするような男には期待しにくい。七武海という制度の狙いは、むしろ目立って恐怖を見せつけ、他の海賊を押さえつけることだからだ。無理に目立たせることはできるが、そうやってマットの怒りを買って海軍の敵になってしまったらバカらしい。

 いや、ひょっとしたらそのバカらしい事態が既に起こってしまっているかもしれない。マットは本当にマウス大佐の部下を殺してしまったかもしれなかった。

 

「七武海の後任はジンベエに決定する」

「魚人との融和を思えば彼もいい人選さ。世界貴族は不満だろうけどね」

 

 結局、後任の七武海はタイヨウの海賊団船長のジンベエに決まった。

 

 

 会議が終わり、クロコダイルはバナナワニを動力にした船で帰路につく。自身のデンデンムシを取り出し、知った番号につなげる。

 

「俺だ。金の準備はできたか?」

「ちゅっ、ちゅちゅ。無理だった。お前に送金しようとしたのがセンゴク元帥にバレてしまった」

「なんだと?」

 

 クロコダイルは会議中のセンゴクの態度を思い浮かべる。

 自身に対して警告するような言葉も仕草もなかった。本当にバレたのかは疑わしい。

 

「てめぇ、相手を考えてものを言った方がいいぞ」

「ちゅちゅっ、ほ、本当だ! バレてしまったものは仕方ないだろう!」

「ふん、そうかい。無能に必要なのは言葉ではなく死の恐怖だったな」

「えっ、ちょっ」

 

 クロコダイルはマウスの返答を待たずにデンデンムシを切った。

 クロコダイルはマウスを暗殺することに決めた。おそらく生きているであろうマットも殺す。ガールズカンパニーを完全に手中に収めるために。

 彼にとっては金も重要だがガールズカンパニーが抱える傭兵も重要だった。自身もこれから大勢の傭兵を雇う予定があるからだ。一億超えの首を楽に狩れる傭兵がいるなら申し分ない。

 

 

 さて、この通信は秘書の監視下で行われた。マウスの首には短刀が当てられ、マット改めオイルに不利なことを言おうとすれば即座に殺すつもりだった。

 

「電話の相手は誰だ?」

「ク、クロコダイルだ」

「何故あの時は黙っていた?」

「そ、そりゃあ、喋れば俺が殺されてしまうからだ! 当たり前だろ!」

「そうか。どちらか主人か分かっていなかったようだな。今死ぬか?」

「ひぃっ! ちゅっ、ちゅちゅっ。怒らないでくださいよ。ギャグじゃないですか」

「ギャグ?」

 

 まだかろうじて使い道はあると思い、オイルはマウスを殺さなかった。

 クロコダイルはガールズカンパニーの利権を欲しがっている。ならば利権を独占しようとしているように見えるマウスを許さないだろう。必ず殺そうとする。

 クロコダイルがマウスを狙うなら、マウスを餌にこちらも暗殺者を狙える。クロコダイル本人が来た場合も、餌の周りで戦闘の準備をしておけば被害なく勝てる可能性が上がる。

 敵がセンゴクや世界政府やドフラミンゴなら逃げるが、クロコダイルはそれほど怖い相手ではなかった。原作ではグランドライン初期のルフィに敗れていた。それは覚えている。ならば一人一人がその頃のルフィ並みに強い集団には勝てないだろう。

 

 

 さて、クロコダイルは殺し屋を雇い、マウスの暗殺を試みた。しかし、何度送り込んでも失敗した。どころか、暗殺者の全てがガールズカンパニーに入ってから連絡を寄越すことすらできなかった。

 

「雑魚が。手こずらせやがって」

 

 しかし、1億の首を簡単に取れるという傭兵だ。彼等がマウスの護衛につけば暗殺が難しいのもうなずける。

 自身が動くべきか? だがまだ目立ちたくはない。

 クロコダイル自身はガールズカンパニーが束でかかってきても勝てると思っているが、取り残しが出るのを心配していた。今、海軍に目をつけられると計画が難しくなる。

 

「チッ」

 

 クロコダイルは葉巻を噛みちぎりながら、マウスの暗殺を延期することに決めた。

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