Angel Beats! 一風変わった戦線行進曲   作:俺俺

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作者的には、戦う主人公はテクニカル系やスピード系よりも、パワー系が好みです、はい。



戦線加入

 

 

 

 

 

「なんで校長室?」

 

遊佐ちゃんに連れられて辿り着いたのは、校長室だった。

 

「何?ゆりっぺさんってのは、校長な訳?」

「いいえ、違います」

「じゃあ校長は?」

「追い出してあたし達がこの部屋を使用しています」

「わーお」

 

もしかして、とんでもない所に連れて来られたんじゃね?

 

「鉄ちゃんさん、少し耳を塞いでください」

「え?何で?」

「いいから」

 

そう言われて耳を塞ぐ。どうしたんだろうか?

そんな事を考えていると、遊佐ちゃんは俺の肩を叩いた。

 

「もういいですよ」

「早いな。もういいのか?」

「はい」

 

そして校長室の扉を開ける。そこには、長身で眼鏡をかけた知的な男が一人佇んでいた。

・・・・ふむ。なるほど。

 

「つまり、こいつがゆりっぺさんか・・・!」

「違います」

「じゃあ、あいつ誰!?」

「彼は」

 

遊佐ちゃんがあの眼鏡男の名前を言おうとしたその瞬間、校長室の扉が開いた。

 

「あら遊佐さん、そこに居る彼は?」

 

入って来たのは肩辺りまで伸ばした紫色に近い髪にカチューシャを付けた強気そうな女子生徒だった。黒の二―ソックスとスカートの間に見える素肌、なんと眩しい事か。これは遊佐ちゃんの黒パンストの足にも負けるとも劣らない・・・

 

「何処を見ているんですか?」

「いででで!!遊佐ちゃん!耳引っ張んないで!!」

「誰だあいつ?」

「新人か?」

「な、何か、怖そうな人だね」

「そうか・・・?俺はまたアホな奴が来たと思うんだけどな」

「Оutlaw bey!!」

「あさはかなり」

 

女子生徒に続いて数人の男子生徒と、長い黒髪にマフラーが特徴の女子生徒、ギターを持った女子生徒が校長室に入って来た。皆して俺に注目するもんだから少し照れる。

 

「ゆりっぺ、そのチャラチャラした男は誰なんだ?」

 

デカイ槍とも斧ともつかない獲物、ハルバートを持った男が黒ニ―ソ娘に話しかけるに問いかける。なるほど、こいつがゆりっぺさんか。

 

「彼はこの世界に来た新しい人です」

「あの、遊佐ちゃん?いい加減耳離してくれない?」

「へぇ。だったら戦線に入らない?」

「あの、聞いてる?そろそろ耳をだな」

「戦線っていうのは」

「いい加減耳離せって言ってんでしょうがぁぁぁぁぁぁ!!」

 

俺がそう叫ぶと何とか耳を離して貰えた。うぅ、結構痛かった・・・。

 

「で?結局戦線って何?ミリタリー?俺詳しくないよ?」

「ミリタリーじゃないわよ。あなた、自分がなぜこんな所に居るか疑問に思わない?」

「疑問だらけだよ。俺はくたばったと思ってたのに」

「だったらここが死後の世界だという事は、理解出来るわね?」

「おう」

 

俺が頷くと、ゆりっぺさんが校長の机に腰を掛ける。

 

「ここはね、生前過酷な人生を過ごし、ありふれた学園生活さえ送れなかった若者の魂が死後に行きつく場所なの。あなたも此処に来たという事は、そういう人生を味わったという事でしょう?」

「まぁ、ちょっとはな。じゃあ俺らって幽霊みたいなもん?」

「順応性が高いわね。話を続けるわよ。人の死は無差別に起きるものだった。だがら抗いようがなかった。でもここは違うわ。抵抗すればいつまでも存在し続けられるのよ」

「抵抗って、何に抵抗するんだよ?」

「神と天使によ」

 

は?神と天使?

 

「あたし達は今まで理不尽な人生を送って来たわ。なら、そんな過酷な人生を強いて来た何者かが居るとは考えられない?こんな世界が存在する以上、否定はしきれないはずよ?」

「それが、神と天使ってか?」

「そうよ。より正確にいえば、天使は神の使いであり、この世界に迷い込んだあたし達人間を消滅させる役割があるの。だからあたし達はまず天使を駆逐し、その黒幕である神に復讐する。そしてこの世界を手に入れる!!それがあたし達《死んだ世界戦線》の目的よ」

「いや、ぶっちゃけそっちは比較的どうでもいいだよ」

 

《ズゴ――――――!!!》

 

校長室に居る俺以外の奴が全員ズッコけた。

 

「何でよ!!?抵抗し続ければここで存在し続けられるのよ!?それともこのまま消えるつもり!?ちなみにこれ死後の世界でのジョークなんだけど笑えるかしらぁぁぁぁぁ!!?」

「マジで?それは困るな。ちなみに全然面白くないぜ!」

 

俺だって消えるにしても存在し続けるにしても、心の整理が必要だ。

 

「じゃあ聞くけど、神と天使ってどんな奴?」

「神については詳細ははっきりしていません。我々の前に一度も姿を現していないので。天使についてならこちらのスクリーンをご覧ください」

 

そう言って答えたのは遊佐ちゃんだ。部屋の電気が消えると、天井からスクリーンが下りてきて、映写機の光が照らされる。金掛ってんなーこれ。

 

「これが天使?どう見ても普通の女の子みたいだけど?」

 

スクリーンに映し出されたのは小柄な銀髪美少女だ。少なくとも、人間を消滅いさせる様なヤバい奴には見えない。

 

「見かけに騙されては駄目よ、続きを見てなさい」

 

そこに映し出されたのは、天使に対峙する戦線のメンバーが十数名だ。今校長室に居る奴も混じっている。そいつらは拳銃やマシンガンと言った重火器を手にして、雨霰と天使に向かって撃ちまくる!

 

「えぇっと、これは集団リンチの図?」

「あ、やっぱりそう見えるんだ」

 

そう思ってよく見てみると、銃弾は一つも天使に当たっていない。戦線メンバーが下手糞なのではない。銃弾が天使に当たる前に、その軌道が大きく曲がっているんだ。

 

「天使は幾つもの特殊能力を持っていて、殆ど倒れる事が無いのよ」

 

そう言っている内に戦線メンバーはどんどん天使の手から出て来た刃で斬り伏せられる。それは数の差を容易く覆す、一方的な攻撃だった。

そして今、眼鏡をかけた男が天使に首を刎ねられて、あれ?

 

「こいつ今切り殺されたよな?何で生きてんの?」

 

俺は壁にもたれて眼鏡をクイッと上げる長身の男を指差す。

 

「この世界に来た時点で死者だから、どんな大怪我を負っても死ぬ事が無いのよ。例え首を刎ねられてもね。時間が経てば完治するわ」

「それだったら俺達も消える事なんて無いんじゃね?」

「どういう理屈かは知らないけれど、天使はあたし達に普通の学園生活を送らせて、消滅させる力があるのよ。ちなみに模範生の振りでも駄目よ?それであたし達の仲間が何人も消されたわ」

「ちなみに」

 

あの眼鏡男が一歩前に出てきて話しかけて来た。

 

「このまま消えればミジンコになります」

「はぁ!?ミジンコォ!?何で!?」

「はっ!魂が人間だけに宿ってるとでも思ってたのかよ」

「高らかに」

「次はぁーヒトデかも知れんし!!ヤドカリかも知れん!!フナ虫かも知れん!!」

「なぜ浜辺に集中しているかとツッコム余裕も無さそうですねぇぇぇぇぇ!!ちなみに意味なんてありませんよぉぉぉぉぉぉ!!あーはっはっは!!」

「お、おおぅ」

 

余りのテンションに思わずドン引きする。この眼鏡、知的キャラはどこ行った?

ようは消滅すればどうなるか分からないってことか。

 

「じゃあ改めて聞くわ。戦線に入らない?」

「入りまーす」

 

フナ虫になってたまるか。

そう思って入団を宣言すると、皆歓迎ムードになった。

 

「それじゃ自己紹介から始めるわね。あたしはゆり。死んだ世界戦線のリーダーを務めているわ。それで、そこに居る青い髪の彼が日向君。やる時はやる男よ。多分」

「やる時はって、ヒデ―なゆりっぺ。俺は何時だって出来る男だろ?ま、今後ともよろしくな!何か困った事があればいつでも言えよ」

 

調子も良いが人も良い、そんな印象を受ける日向の握手に応じる。

 

「おう。俺は内海鉄平。よろしくな」

 

結構固い掌だ。それなりの事してきた証だろう。

 

「そこの眼鏡の彼は高松君。知的に見えるけど実はアホよ」

「よろしくお願いします」

 

その眼鏡は見せかけだったらしい。

 

「彼は大山君。特徴が無いのが特徴よ」

「あはは、ようこそ戦線へ」

 

これほどひどい特徴はそうそうないだろう。

 

「彼は松下君。柔道5段で、皆から敬意を持って松下5段と呼ばれているわ」

「よろしくな」

 

今度は糸目の巨漢だ。見た目を裏切らない力強い握手だった。

 

「そこのチンピラみたいなのが藤巻君」

「藤巻だ。よろしくな、坊主」

 

坊主って、お前俺と年齢変わらねぇーだろ。

 

「そこで踊っているのはTK。年齢国籍全てが謎の男よ」

「BREAK!!BREAK!!」

 

こいつはBGM担当か?

 

「そこのくの一みたいなのが椎名さん。何かに付けて「あさはかなり」って言うわ」

「あさはかなり」

 

さっき高らかにって言いましたよね?

 

「彼女は岩沢さん。陽動部隊のリーダーでもあるのよ」

「よろしく」

 

おお!この変人だらけの中で唯一まともそうなのが

 

「待って・・・!今、降りてきた・・・!!(ブツブツブツブツブツブツブツ)」

 

前言撤回。こいつも変人だった。

 

「遊佐さんの事は知っているわね?彼女はオペレーターとして活躍してもらっているわ」

「改めて、よろしくお願いします。鉄ちゃんさん」

「おう、こちらこそよろしくな」

 

そう言って遊佐ちゃんとも握手を交わす。実に細く柔らかい手だった。

 

「最後にそこでハルバートを持っているのが野田君よ」

「ふん!!俺は認めんぞ!!貴様のようなチャラチャラした奴がメンバーに加わるなぞ!!ゆりっぺ、考え直せ!こんな奴、足を引っ張るだけだ!!」

 

かっちーん!もうムカついた!!

 

「さっきから聞いてりゃ好き放題言いやがって!俺のどこがチャラ付いてるって!?」

「いやー鏡見てみれば分かるんじゃないかな?」

 

と、大山が言う。

そして俺は部屋の隅に置かれていた鏡を見てみる。そこに移っていたのは何時も通りの俺の顔。茶髪(地毛)、両耳にピアス、シンプルで武骨なネックレス、指輪は両手に3つずつ、ブレスレットにチェーンその他諸々。

・・・・・ふむ。

 

「俺のどこがチャラ付いているんだ!?」

「シラを切りやがった!!」

「此処まで言い切られると、ある意味清々しいよ!!」

「黙れ!俺に認めてほしくば、力を示す事だな!!」

「面白ぇ!!今からお前をボコボコにすりゃいいのか!?」

「ストープ!!2人とも落ち着きなさい」

 

そう言って間に入って来たのはゆりっぺさんだ。流石に見かねて止めに来たのか?

 

「やるなら静かにやりなさい」

「無茶苦茶言ってくれるぜ、ゆりっぺさん・・・!」

 

喧嘩を静かにやれだなんて、無茶ぶりにもほどがある。

 

「それだったらシンプルな勝負で決着をつけなさい」

「シンプルな勝負?」

「そうね、腕相撲とかどう?内海君が勝てば野田君は何の文句も言わない。野田君が勝てば内海君の入団は白紙に戻すって言う事で」

「それ俺が負けたらフナ虫になれって事!?」

「何もフナ虫に拘らなくても」

「あさはかなり」

「腕相撲用のテーブルを用意しました」

 

遊佐ちゃんが何処からともなく木製の机を持ってくる。それもわざわざ腕相撲にはピッタリの大きさだ。そんな遊佐ちゃんの気遣いに涙が出そうだ。

仕方ねぇ、腹括るか・・・。俺は机に肘をつく。野田も俺に続く様に肘をついた。

 

「レディー・・・・」

 

日向の試合開始の合図と共に

 

「ゴー!!」

 

ドゴンッ!!!

 

俺は野田の腕を机に叩き付けた。それば狩か、机は真っ二つに割れ、野田は床に叩きつけられた。その衝撃で床には大きなヒビが入っている。

その光景に周りのメンバー、あの遊佐ちゃんや椎名までもが目を見開いている。

 

「内海、WIN!!」

 

日向が俺の勝利宣言をする。何とかフナ虫にならなくても済んだみたいだ。

 

「お、おおお・・・!う、腕が・・・!」

 

む。少し力を入れすぎたかもしれん。野田が腕を押さえている。

 

「すげー力・・・。机割れてんぞ?」

「鍛えている野田をこうも瞬殺するとは」

「内海君、生前は何か、体を鍛えてたりした?」

「え?特には何も、強いて言うならバイトは解体業と引越センターで働いてたな」

 

俺がそう言うと、ゆりっぺさんは顎に手を付けて考え込む。しばらくして考えがまとまったのか、勢いよく顔を上げた。

 

「とりあえず、内海君の所属は後日追って説明するわ。遊佐さん」

「はい」

「明日内海君の体力測定を行って。それで所属を決めるから」

「了解しました」

「以上解散!!」

 

何やら俺の預かり知らぬ所で予定が埋められていく。どういう事だ?

 

「それでは明日午前8時に校長室まで来てください」

「お、おお、分かった」

 

この後、俺は訳が解らないまま、日向に案内されて寮に戻った。

 

 

 

 

 

 




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