魔理沙のタイムトラベル   作:MMLL

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高評価及び多くの感想ありがとうございます。
一部参考にさせていただきました。指摘してくださった方には感謝です。


第110話 魔理沙の忘れ物④ タイムリープ

  ――【西暦200X年7月25日午前10時】――

 

 

 

 

(どうやら確認する必要があるわね)

 

「紫ー! ちょっと出て来て~! 聞きたいことがあるんだけどー!」

 

 虚空に向かって叫ぶと、目の前の何もない場所にスキマがザックリと開き、中から紫が登場する。

 

「はいはい、何の用かしら?」

 

 猛暑日なのに相変わらず暑そうなドレスを着ているなぁ、って思ったけど、スキマの中はひんやり冷たくなっていて、そこから溢れた冷気が蒸し暑さを和らげてくれる。

 

「……あんたのスキマの中って涼しいのねぇ。どんな原理でそうなってるのよ?」

「単純明快、出口の一つを外の世界の涼しい地域に繋げていてね、そこの空気を中に入れてるのよ」

「いいなぁ。こっちにもその冷気を分けなさいよ」

「嫌よ面倒くさい。涼しくなる方法は他にいくらでもあるんだから、貴女なりに創意工夫を凝らしなさい」

「むぅ、ズルい」

 

(境界を操る程度の能力って本当に自由ね。私もそんな能力が欲しかったわ)

 

「ところで私に用ってなあに? これから藍と出かけようと思っていたところなのだけれど」

「ねえ、今日って何月何日か分かる?」

「今日は7月25日よ? それがどうかしたの?」

「! ありがとう。もう帰っていいわよ」

「え、本当にそれだけの用事で私を呼びつけたの? はぁ、まあいいけど」

 

 紫はため息を一つ吐いて帰って行った。

 

「……参ったわね。これはどうしたらいいのかしら」

 

 時間の巻き戻し――そんな信じ難い事態に巻き込まれた私だけど、思考は至って冷静だった。

 縁側に座ったまま目が覚めたわけだし、状況的には『今までの出来事は夢だった』『時の神によって次の日の午前10時まで丸々眠らされた』と思うのが一番自然なんだろうけど、そうは思えない理由が幾つかあった。

 

 今日は雲一つない快晴で朝からとても蒸し暑く、じっとしても汗が肌を伝う炎天下の日。あちこち歩き回って更にこんな場所で寝ていたのなら、大量の汗で体がベタついて巫女服がびっしょりになっていてもおかしくない。

 

 でも今の私はそんなに汗をかいてなくて、巫女服はタンスから下ろし立てのほぼ新品状態。今朝紅魔館に出掛ける前に汗を洗い流していったし、丸一日眠らされていたと考えるのは無理がある。

 

 そして、パチュリーの時間移動にまつわる話や時の神を名乗る存在の言葉、フランと交わした遊びの約束、お昼に食べた咲夜お手製のステーキの味……紅魔館で経験した出来事についてかなり鮮明に覚えているわけで、夢だったと考えるにはリアリティがありすぎる。

 

 何よりも、時計を見た瞬間に私の勘が“時間が巻き戻った”と強く主張していて、それ以外の可能性は思い浮かばなかった。“魔理沙が未来から来たかもしれない”っていう仮説も見事に証明されちゃったし、もはや自分の勘は未来予知と言ってもいいくらいに精度が高い。

 

(この時間の巻き戻り……私以外の人はちゃんと覚えているのかしら?)

 

 もしそうならもっと騒ぎになっていてもおかしくないと思うけど、さっきの紫の態度を見る限り、みんな忘れちゃってる気がする。

 

(それに、あの時の神は間違いなく咲夜や慧音の歴史喰い以上の能力を持っていることになるわね)

 

 かつての永夜異変で慧音がハクタク化し、人里の存在を“無かった事”にしたことがあったけど……。あれも結局その場しのぎなだけで、真の意味での歴史改竄能力はないし、ここまでの影響力はなかった筈。

 

 意識が途切れる前に聞いた時の神の言葉を思い出す。

 

『……時間移動の知識と手段を得た人間は、例外なく私の手で歴史から隠滅してきたわ。けれど此度のケースでは、私の手で歴史を修正すると時の流れに致命的な歪みが生じてしまう。何故ならあなた達はこの世界に必要な人物だから。既に確定している未来は変えられない』

 

(私に探られたら困る何かがここにあるってことなのかしら)

 

 懐に入れた魔理沙のルーズリーフに視線を落とす。今までこんなことなかったし、間違いなくこの本が原因なんだと思う。

 

「……いずれにしても、真相を確かめに行く必要がありそうね。まだまだ聞きたいことは山ほどあるし」

 

 同じ失敗を繰り返すな――なんて言ってたけれど、あんな得体の知れない存在の忠告なんて聞く必要はない。私が未来で経験した出来事をなぞって行けば、再び時の神に会えるはず。

 私はすっくと立ち上がり、家を出発しようとしたけど。

 

「そうそう。これを忘れちゃ駄目よね」

 

 すぐに引き返し、お祓い棒と陰陽玉を持って腰に下げる。ちゃんとスペルカードも忘れずに。

 

「これでよし」

 

 麦わら帽子を被り直す。

 まだ異変と決まった訳じゃないけれど、異変を解決する時くらいの強い気持ちで紅魔館に向かって飛んで行った。

 

 

 

 

 

 

 陽炎がユラユラと上る酷暑を乗り切り、再び紅魔館の門前に移動した私。

 

「あれー? もしかしてと思いましたが、やっぱり霊夢さんじゃないですか!」

 

 この猛烈な暑さも厭わず、門前で美鈴が元気よく手を振っている。

 私の記憶ではここで一言二言話したけど、今回は無言で彼女の傍に近づいていく。

 

「霊夢さんがここにいらっしゃるなんて珍しいですね~。何かあったんですか?」

 

 フレンドリーに話しかけてくる美鈴に一瞬考えて「……ちょっと気になることがあって、パチュリーと咲夜に話を聞きたかったのよ。中に入ってもいい?」

 

「霊夢さんなら全然オッケーですよ! 魔理沙さんも普通に入ってくれればいいんですけどねぇ、そうしたら私も怪我しなくて済みますし。アハハ……」

 

 美鈴は自嘲気味に笑っていた。

 いつも思うんだけど、この館の住人ってどいつもこいつも戦闘能力が高いし、門番なんて必要ないんじゃないかしら。門番よりも主のレミリアの方が強いってどうなのよ?

 

 それに門番を置くにしても、もうちょっと厳つい人相の妖怪の方が門番として機能するんじゃないかって思う。美鈴は全然威圧感なくて、どちらかというと“近所に住む優しいお姉さん”って感じだし、メイドとか似合いそうな気もする。

 

 ま、私としては彼女の方が親しみやすいからいいんだけどね。

 

「二人はどこにいるか分かる?」

「パチュリー様は大図書館にいらっしゃると思いますが、咲夜さんは……今の時間ですと、館の掃除を行なっていると思うので、どの場所にいるかはちょっと分かりかねます」

 

 美鈴との既視感を覚えるやり取りに、ふと気になった私はこんな質問をする。

 

「……あんたさ、最近こうして私と同じような会話をしたの、覚えてたりしない?」

「? おかしなことをおっしゃいますね。私の記憶違いでなければ、霊夢さんと会うのは約二週間ぶりだと思いますけど」

「やっぱりそうよね」

「どうかされましたか?」

「ううん、なんでもないわ。最近は暑い日が続いてるけど、お仕事頑張ってね」

「うぅ、有難うございます霊夢さん! よ~し、まだまだ頑張りますよ~!」

 

 軽い労いの言葉に何故か感激している美鈴をよそに、私は中へ入っていった。

 

 

 

 

 館の中の長い廊下を抜け、そのまま一直線にパチュリーのいる大図書館へ降りていき、扉を開けて中に入る。

 相変わらず本だらけの部屋。視線を上に向ければ、記憶の通りに中二階で本の整理をしている小悪魔の姿を見つけた。

 

(ここはいつも涼しくていいわねぇ。夏の間だけ定住しちゃいたいくらいだわ)

 

 そんなことを思いながら奥に向かって歩いていくと、これまた記憶の通り大机の前に座って読書をしているパチュリーの姿を見つける。

 

「あら、霊夢がこんな所に来るなんて珍しいわね。レミィなら上にいるわよ」

 

 私の気配に気づいて本を閉じ、目を見ながら少し驚きが混ざった声色で喋るパチュリーもまた記憶の通りであって――。

 

「ねえ、このルーズリーフに見覚えはない?」

 

 机の前に向かい、魔理沙が忘れて行ったルーズリーフを見せる。

 

「これは?」

「ここには未来の魔理沙が記した次元シフト法を用いたタイムトラベルの理論が書かれていてね、あんたがこれを読んで時間移動をしようとしたら時の神を名乗る存在に干渉されて、気が付いたら今日の午前10時に時間が戻されていたのよ」

「ちょ、ちょっと待ちなさい。一体何の話よ?」

「本当に覚えてないの? 今日の午後1時45分に確かにあった出来事で、あんたもその当事者の一人だったんだけど」

「まだ正午にもなってないわよ? 何を言ってるのよ貴女。暑さで頭がおかしくなったんじゃない?」

「……そう」

 

 幾分かの心配と憐みが混じった視線を投げかけてくるパチュリーは、どうやら本当に何も知らないみたい。

 

(パチュリーも覚えていないなんて、もしかして巻き戻される前の記憶が残っているのは私だけ……? ますます分からなくなってくるわね)

 

 そんな心の声が顔に出ていたのか、パチュリーは。

 

「何があったの霊夢? 私でよかったら話を聞くわよ? ――ついでに小悪魔、霊夢に何か飲み物を出してあげなさい」

「承知いたしました~!」

 

 中二階で図書の整理を続けていた小悪魔は、抱えていた本をその場に置いてどこかに飛び去って行った。

 

「実はね……」

 

 私はついさっき経験した夢のような未来の出来事と、それに至るきっかけとなった四日前と昨日の出来事について説明する。その間、パチュリーは私の眼をじっと見ながら真剣に話を聞いてくれた。

 

「――ということなのよ」

「……つまり貴女は未来の魔理沙の忘れ物を調べる為にここに来て、そこに記されていた魔法を私が使ったら時の神が出て来て、気づいたら時間が巻き戻っていた――そう、言いたいのね?」

「ええ。これは異変なんじゃないかって思うんだけど、みんな覚えてないみたいだし、異変と断言していいものなのか迷ってるのよ」

 

 話の最中に小悪魔が持って来た冷たいお茶を飲みながら、内心を吐露していった。その甲斐もあってか、乾いた喉が潤って火照った体も鎮まり、少し頭が冷静になった気もする。

 

「霊夢さんが経験した時間の巻き戻り現象って、俗に言う【タイムリープ】ってやつですよね。私もたま~に時間移動を題材にした小説を読んだりしますよ♪」

「タイムリープ?」

「機械や魔法等の力で過去や未来に行く事を【タイムトラベル】。精神もしくは記憶だけの時間移動の事を【タイムリープ】って区別するんですよ。ちなみに、偶然の事故や自分の意思で制御出来ないタイムトラベルは【タイムスリップ】と言います」

「へぇ~、一口に時間移動といっても色々種類があるんだ」

 

 小悪魔の解説に私は素直に感心する。これはタイムリープって言うのね。

 

「もし霊夢の話が事実なら、何故貴女だけが記憶を覚えていられるのかって話になるわね。だって私にはそんな記憶はないもの」

「そうなのよねぇ」

 

 私がこうして調べて回る事が時の神にとって不都合なのは分かるけど、時の流れに致命的な歪みが生じるとはいったいなんなのかしら?

 

「このルーズリーフがきっかけなんだっけ? 調べてみても良い?」

「ぜひお願いするわ」

 

 パチュリーが手に取り最初のページを開くと、途端に眼の色が変わる。

 

「これは……! 興味深いわね。ふむふむ」

「……パチュリー?」

「次元論をこんな風に展開するなんて――」

 

 いつかのように怒鳴られる事は無かったけど、私の存在をすっかり忘れて、完全に本の世界に入ってしまった。 

 

「あぁ、こうなってしまうとパチュリー様は事が終わるまで駄目ですね」

「そうみたいね」

 

(これはしばらく時間をおかないとダメかな)

 

 私は空になった湯呑を大机の上に置き、パチュリーに背を向ける。

 

「霊夢さん、どちらへ?」

「ちょっと咲夜からも話を聞いてくるわ。お茶ありがとね」

 

 

 

(えっと、私の記憶だと確か咲夜は門の方にいた筈)

 

 大図書館を出て1階に上がり、エントランスホールに向かって歩を進めていると、正面から歩いてくる人影を見つける。

 

(……もしかして)

 

 私は立ち止まってその人物像を確認する。

 金色の髪に赤色の服。七色の結晶がぶら下がる羽。フランもまた私の姿に気付いたみたいで、こっちに向かって小走りで駆けてくる。

 そして窓から差し込む真夏の太陽を避けるように日陰で立ち止まり、「あー! やっぱり霊夢だ~! なにしてるのー? 暇なら私と遊びましょ?」と、幼さを感じさせる可愛らしい声で無邪気な笑みを浮かべていた。

 

(思った通り。また遊びに誘われちゃったし、この感じだと私のことを覚えて無さそうね)

 

 私はしゃがんで目線を合わせながら「今日は遊びに来たんじゃないのよ。咲夜に用があって探してたんだけど……もしかして今、門のところにいたりする?」と優しく訊ねると、フランは屈託のない笑顔で「うん! なんかね、めーりんにお昼ご飯を持っていくって言ってた! 今日はサンドイッチなんだって!」と舌足らずなしゃべり方で答えてくれた。

 

 なるほど、あの時門にいたのはお昼の差し入れだったのね。

 

「それにしてもよく分かったね? もしかして、さっき私が玄関で咲夜とお話しているところを見てたの?」

「ただの勘よ」

 

 この子にタイムリープ云々のことを話してもしょうがないし。

 

「それじゃ私は行くわね」

 

 私は立ち上がり、また脇を通り抜けようとしたけれど。

 

「ねえねえ、そんなことより遊ぼうよ! いいでしょ!?」

 

 記憶の通り再び服の裾を掴まれてしまった。そういえば前回は約束を守れずじまいだったわね。また時間が巻き戻るかもしれないしここは……。

 

「いいわよ。遊びましょうか」

「本当に? やったー!」

「ただし手短に頼むわよ? 早く行かないと咲夜がどっか行っちゃうかもしれないから」

「うん、いいよー!」

 

 すっかり上機嫌になったフランは、私からある程度の距離を取った。

 

「スペルカードは1枚にしてね」

「1枚じゃ少なすぎー! 5枚にして!」

「……間を取って3枚ね」

「うん!」

 

 そうしてルールを取り決めて。

 

「さあ、遊びましょ? 簡単に壊れたらいやよ?」

 

 先程までの無邪気な少女は消え去ってしまい、代わりに現れたのは畏怖の念を起こさせる吸血鬼の姿。スペルカードを取り出したフランは、見る者全てを恐怖に陥れる笑みを浮かべていた。

 

「いつでもいいわよ。来なさい!」

 

 私も自分の中のスイッチを切り替えつつ、懐からスペルカードを取り出して彼女の弾幕に備えた。

 

 

 

 

 

「キュゥ~」

「はあっ、はあっ、はぁ……、……つっかれたぁ~!」

 

 肩で息をしながら座り込む私の前には、床に仰向けになったまま目を回しているフランの姿があった。

 とにかくフランは手強かったわ。

 弾幕の密度もさることながら、四人に分身して周りを考えずに炎の剣で斬り付けてくるし、狭い廊下――と言っても5、6人くらい並んで歩けるくらいの広さはある――だと避けるのが大変だった。

 

 カーペットは引き裂かれ、窓ガラスは粉々になり、シャンデリアの鎖は千切れ、外に面する壁には人が通れるサイズの大きな穴が何個も空いていて、そこから外の熱気が室内に入ってきている。

 

 反対側の壁には、床から天井にかけて抉るような傷や黒く焼き焦げた跡がついたりしてて、扉もズタボロ。なんかもう、この辺り一帯は爆発の跡のような凄まじい有様になっている。

 

「妙に騒がしいから何かと思って来てみれば、酷い有様ねぇ」

 

 後ろから鈴を転がすような声が聞こえて振り向くと、そこには険しい表情の咲夜が立っていた。

 

「咲夜……」

「フラン様の相手をしてくれた事には感謝するわ。けれどね、もう少し周りの状況を見て遊んで欲しかったわ。後片付けするこっちの身にもなってよ」

「ご、ごめんなさい」

 

 確かにこれはやりすぎてしまった。咲夜には何の反論もできなかったので、私は素直に頭を下げる。

 

「……ま、反省しているのならいいわ。フラン様相手に手加減するのは難しいしね」

 

 そう言って咲夜が指を弾くと、荒れ放題散らかり放題だった廊下は新居同然に戻っていた。

 

 割れた窓は張り替えられ、シャンデリアは元に戻り、大穴が空いた壁は綺麗に塞がれていて、激しい戦闘の爪痕が残っていた壁や天井や床はピカピカにリフォームされている。

 

 そして目の前で気絶していたフランはいつの間にかいなくなっていて、多分咲夜の手で地下室に戻されたんだと思う。ま、弾幕ごっこという遊び柄、当たると痛いかな~ってくらいの威力だし、対して怪我はしてないはず。

 

 私からしてみれば瞬きする程の時間だったけど、この規模の修繕ともなるとかなり時間が掛かっていそうで、ますます申し訳ない気持ちになってくる。

 

「本当にごめんね? ここまで直すのは大変だったでしょ?」

「別に慣れているから平気よ。こんなの日常茶飯事だしね」

 

 涼し気な表情で答える咲夜。しょっちゅう物が壊れてたら修繕費も馬鹿にならないだろうに、紅魔館ってお金持ちなんだなぁ。

 

「ところで霊夢。貴女、私に聞きたいことがあってここまで来たんでしょ?」

「ど、どうしてそれを!?」

 

 一瞬咲夜に未来の記憶があるのかと期待したけれど、帰ってきた言葉は予想とは違うものだった。

 

「さっき美鈴から聞いたわ。その様子では、パチュリー様にはもう会ったのでしょう?」

 

(なんだ、そうだったのね)

 

 気を取り直して私は胸の内を打ち明ける。

 

「あのさ、笑わないで聞いてくれる? 実は私、タイムリープしたみたいなの」

「……はぁ」

「それでね、咲夜は時間が巻き戻ったことを覚えてない? タイムリープする前にも私と少し話をしたんだけど」

 

 唖然としていた咲夜は少し考え込んでいたけど、やがて私の肩に手を置き「……霊夢、貴女きっと疲れているのよ。少し休んでいくといいわ」

 

「本当なんだってば!」

「分かってる、分かってるわ。最近暑い日が続いてるものね。ちょうどこれからお昼にしようと思ってた所だし、霊夢も食べて行きなさいな」

「その反応信じてないでしょ。もう~!」

 

 子供をなだめるような扱いに少しプンプンしたけど、また豪勢なお食事が食べれると思った私は、親ガモに付いていく子ガモのように咲夜の後ろを歩いて行った。


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